総合物流施策大綱とは?概要や現時点での進捗や今後の展望を解説
総合物流施策大綱は、政府が策定する物流分野の中長期計画です。物流クライシスへの対応を背景に、現行大綱の進捗評価と次期大綱の方向性が注目されています。本記事では、現行大綱の3つの柱と進捗状況、次期大綱が掲げる5つの施策の柱、さらに荷主・物流事業者に求められる役割などについて、物流DXパートナーのHacobuが解説します。物流政策の全体像を理解し、自社の取り組みを考える際にぜひご活用ください。
目次
総合物流施策大綱とはどのような計画か
総合物流施策大綱とは、日本政府が国の産業競争力の強化や国民生活を持続的に支えることを目的として策定する、物流に関する中長期的な総合施策です。1997年の最初の策定以降、4~5年ごとに見直しが行われ、その時々の社会情勢に対応した物流政策の方向性を示してきました。
策定以前は物流に係る各省庁が独自に政策を実施していましたが、総合物流施策大綱の策定以降は、経済産業省・国土交通省・環境省などの関係省庁が連携して総合的かつ一体的な物流施策の推進を図っています。
総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)
最新版である総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)は2021年6月15日に閣議決定され、物流DXや標準化の推進、労働力不足対策、強靱で持続可能な物流ネットワークの構築を3つの柱として掲げています。

第1の柱「物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化」では、物流・商流データ基盤の構築、パレット・容器等の標準化、サイバーポートの整備などを通じて「簡素で滑らかな物流」を目指します。
第2の柱「労働力不足対策と物流構造改革の推進」では、トラックドライバーの労働環境整備、荷待ち・荷役時間の削減、自動化・機械化の推進、多様な人材の確保により「人を支える物流」の実現を図ります。
第3の柱「強靱で持続可能な物流ネットワークの構築」では、災害対応力の強化、カーボンニュートラルの実現、国際競争力の向上を通じて「強くて優しい物流」を構築します。
参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001464774.pdf
2つの政策パッケージ
総合物流施策大綱の実効性を高めるため、政府は「物流の2024年問題」への対応を加速させる2つの政策パッケージを策定しました。
1つ目は、2023年6月に関係閣僚会議で決定された「物流革新に向けた政策パッケージ」です。2つ目は、2023年10月に閣議決定された「物流革新緊急パッケージ」です。
この2つの政策パッケージでは、2024年問題への対応策として「物流の効率化」「商慣行の見直し」「荷主・消費者の行動変容」の3本柱が掲げられ、それぞれに対応する施策がまとめられました。このパッケージは、2030年度に見込まれる約34%の輸送力不足を補うことを目指し、トラックドライバーの時間外労働上限規制の適用を見据え、荷待ち・荷役時間の削減や積載効率の向上、モーダルシフトの推進などの官民一体となった取り組みが示されました。
参考:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/pdf/20231226_1.pdf
参考:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/pdf/kinkyu_package_1006.pdf
2030年度に向けた政府の中長期計画
2024年2月、政府は2つの政策パッケージに基づく具体的な施策のロードマップとして「2030年度に向けた政府の中長期計画」を策定しました。この計画は、総合物流施策大綱の実効性を高めるために策定された2つの政策パッケージを着実に実行するための工程表であり、主要施策について年度ごとの実施内容とフォローアップの予定を明示しています。
本計画では、2030年度までに荷待ち・荷役時間の削減(年間125時間)、積載率向上(16%増)、モーダルシフト、再配達削減などの具体的な数値目標が設定されています。また、毎年度フォローアップを行うとともに、次期総合物流施策大綱のタイミングと合わせて見直しが行われることが明記されており、総合物流施策大綱を頂点とする一連の政策体系の中で、具体的な実行計画としての役割を担っています。
参考:https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/buturyu_kakushin/pdf/20240216.pdf
改正物流関連2法
2024年5月、総合物流施策大綱に基づく2つの政策パッケージと中長期計画で示された方針を制度として担保するため、物流総合効率化法と貨物自動車運送事業法の改正が成立しました。これらは通称「物流関連2法」と呼ばれ、総合物流施策大綱を頂点とする政策体系を法的に支える役割を果たしています。
物流総合効率化法の改正では、一定規模以上の荷主企業や物流事業者に対し、荷待ち・荷役時間の短縮、積載効率の向上に関する義務が課されました。貨物自動車運送事業法の改正では、物流事業者に対して書面交付や実運送体制管理簿の作成などの義務が課されました。これにより、多重下請け構造の是正と適正な運賃収受の実現を目指しています。
これらの法改正は、総合物流施策大綱→政策パッケージ→中長期計画→法改正という一連の流れの中で、物流の適正化と生産性向上を法的に後押しする役割を果たしており、政策の実効性を担保する重要な制度的枠組みとなっています。
参考:https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001722736.pdf
総合物流施策大綱における2021~2025年の概要と進捗
現行の総合物流施策大綱(2021年度~2025年度)は、物流DX、労働環境改善、強靭化・脱炭素の3つの柱を掲げて物流改革を推進してきました。2025年6月時点の進捗評価では、約7割の項目で目標達成にさらなる取り組みが必要とされ、次期大綱に向けた課題が明確になっています。
3つの柱:「物流DX」「労働環境改善」「強靭化・脱炭素」の推進状況
現行の総合物流施策大綱では、「物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化」「労働力不足対策と物流構造改革の推進」「強靱で持続可能な物流ネットワークの構築」の3つを柱として掲げています。2025年時点でのKPI達成状況を見ると、全体として課題が残る結果となりました。
| 目標を大きく上回って達成できる | ほぼ目標通り達成できる | 目標を達成するために更なる取組が必要である | 現状値の検証が必要である | |
| 物流DXや物流標準化の推進によるサプライチェーン全体の徹底した最適化 | 4項目 (36%) | 1項目 (9%) | 6項目 (55%) | 0項目 (0%) |
| 労働力不足対策と物流構造改革の推進 | 1項目 (6%) | 2項目 (12%) | 14項目 (82%) | 0項目 (0%) |
| 強靱で持続可能な物流ネットワークの構築 | 1項目 (8%) | 3項目 (25%) | 8項目 (67%) | 0項目 (0%) |
物流DXと標準化の推進
第1の柱である物流DXと標準化の推進では、11項目のうち4項目が目標を大きく上回って達成できる見込みとなった一方で、6項目はさらなる取り組みが必要と評価されています。
目標を大きく上回って達成できた項目としては、2024年までに物流DXを推進する「物流・商流データプラットフォーム」の実証実験が進展し、一定の成果が確認されました。また、物流デジタル化の強力な推進や、物流・商流データ基盤の整備では企業間連携に向けた基盤づくりが進められています。
一方で、標準化の取り組みでは期待した成果が十分に得られていません。パレットやコンテナの規格統一、物流・商流データフォーマットの標準化については方向性が示されたものの、業界全体への浸透には至っておらず、企業ごとに異なる規格や仕様が混在している状況が続いています。また、標準化された物流用語の普及や、データ連携における情報セキュリティの確保といった課題も残されています。
労働力不足対策
第2の柱である労働力不足対策では、17項目のうち14項目が目標達成にさらなる取り組みが必要という厳しい評価となりました。これは3つの柱の中で最も厳しい結果となっています。
特に深刻なのが、トラックドライバーの荷待ち・荷役時間の削減です。2020年度の実績は約3時間(荷待ち時間約1時間36分、荷役時間約1時間30分)でしたが、2024年度においてもほぼ横ばいで推移しており、政府目標である「計2時間以内」の達成には程遠い状況です。バース予約システムの導入やパレット化の推進など、様々な施策が講じられているものの、荷主企業や物流事業者の商慣習の変革が進まず、実効性のある削減につながっていません。
積載効率についても、2020年度は約40%にとどまっており、政府目標である50%の実現には至っていません。共同配送やモーダルシフトの推進が図られているものの、企業間の壁や競争法上の懸念から、積極的な取り組みが進んでいない状況が続いています。
強靱で持続可能な物流ネットワークの構築
第3の柱である強靱で持続可能な物流ネットワークの構築においても、12項目のうち8項目がさらなる取り組みが必要とされています。約67%の項目で追加の取り組みが必要という結果は、労働力不足対策に次いで厳しい評価となっています。
災害対策については、BCP(事業継続計画)の策定を促す取り組みや、物流施設の耐震化・浸水対策などが進められています。しかし、策定済みの荷主企業・物流事業者の割合は目標を下回っており、特に中小規模の事業者における対策の遅れが課題となっています。また、災害時の代替輸送ルートの確保や、広域での物流ネットワークの連携体制についても、実効性のある仕組みづくりには至っていません。
カーボンニュートラルの実現に向けては、電動車両(EV、FCV)の導入促進、モーダルシフトの推進、物流施設の省エネルギー化などの施策が展開されています。一部の先進企業では電動トラックの試験導入や、共同輸配送によるCO2削減の取り組みが始まっていますが、充電インフラの整備不足やコスト面での課題から、業界全体への普及には時間を要している状況です。2050年カーボンニュートラル目標の達成に向けては、より実効性の高い施策とインセンティブ設計が求められています。
参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001894744.pdf
「物流の2024年問題」に向けた商慣習の見直しと法整備の実行
物流の2024年問題への対応として、前述の改正物流法が2025年4月に施行され、法的な枠組みは整備されました。しかし、前述の進捗評価で示されたように、実態面では大きな改善が見られていません。荷待ち・荷役時間は2020年度から2024年度にかけて約3時間のまま横ばいで推移しており、法整備と現場の実態との間に乖離が生じています。政府は2024年から「トラック・物流Gメン」体制を強化し、荷主・元請・荷受等の関係者が連携して労働時間削減に取り組む体制を整備しました。今後は、法的な義務の履行状況を監視し、実効性のある是正指導を行うことで、商慣習の変革を促進することが求められています。
「フィジカルインターネット」実現に向けたロードマップの進展
フィジカルインターネットとは、インターネットのデータ通信の仕組みを物流に応用し、企業の枠を超えて物流資源を共有・最適化する次世代の物流システムです。総合物流施策大綱では、個別最適から全体最適への転換を実現する重要な概念として位置づけられています。
総合物流施策大綱の第一の柱である「物流DXと標準化」の推進を具体化するため、政府は2022年3月に「フィジカルインターネット実現推進会議」を設置しました。2023年6月には、荒井海造、日本通運、住友倉庫、ヤマトホールディングスなど荷主企業・物流事業者が参画し、初版となる「フィジカルインターネット・ロードマップ(Ver.1.0)」を策定・公表しました。これは、2030年度に向けた政府の中長期計画と連動し、具体的なマイルストーンと実装スケジュールを明示したものです。
推進会議の下には複数のワーキンググループが設置され、具体的な取り組みが進展しました。荷主WGでは業界横断的な共同物流の実証実験を実施し、運輸WGでは輸送容器やパレットの標準化を推進しました。また、拠点・機器標準WGでは共同配送センターの構築に向けた検討を行い、協調物流WGでは競争法上のガイドライン整備を進めました。2024年にはこれらの成果を踏まえてロードマップVer.2の策定が進められ、より具体的な実装プロセスが明確化されました。しかし、前述の進捗評価で示された通り、標準化の業界全体への浸透や、企業間連携における実効性のある成果には至っておらず、引き続き取り組みの加速が求められています。
参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001894745.pdf
総合物流施策大綱の今後の論点
現行大綱の進捗評価を踏まえ、2026年度からの次期総合物流施策大綱に向けた検討が進められています。次期大綱では、現行大綱で十分に進展しなかった課題への対応に加え、2030年を見据えた新たな論点が示される見込みです。
次期総合物流施策大綱では、2030年度までを「集中改革期間」と位置づけ、物流の持続可能性を確保するための抜本的かつ計画的な対策が示されています。政府は5つの施策の柱を掲げ、サプライチェーン全体の最適化と物流機能の維持を目指しています。

サービス供給制約への対応のための物流効率化
第1の柱は、サービス供給制約に対応するための徹底的な物流効率化です。
次期大綱では、2030年度に見込まれる深刻な輸送力不足に対応するため、自動運転トラックやドローン等の革新的技術の社会実装、効率的な物流ネットワークの構築、ラストマイル配送の効率化を三位一体で推進します。
米国や中国では既にレベル4自動運転トラックの商用運航が実現されており、日本でも2026年以降の高速道路における社会実装に向けた実証実験が開始されています。また、2025年3月には世界初のドローン航路が整備され、配送サービスの全国展開に向けたロールモデルの創出が期待されています。これらの革新的技術の導入により、労働生産性の向上と担い手の処遇改善を実現し、持続可能な物流体系への転換を図ります。
自動運転トラック等の革新的車両の導入促進
次期大綱では、2026年以降できるだけ早期に高速道路でレベル4自動運転トラックを社会実装するため、セミトレーラ等も見据えた幹線輸送の実証実験を含む事業化支援や、官民でのビジネスモデル検討を進めます。
あわせて、高速道路外の物流施設までの走行方法の確立や、貨物駅・港湾・空港など他モードとの連携、過疎地域のラストマイル配送での活用可能性も検討します。
さらに、路車協調システムの基準策定など走行環境整備を進めるとともに、遠隔監視による1対多運行や複数事業者の一元管理に向け、トラックデータの標準形式の整理・普及を推進します。加えて、ダブル連結トラック等の規格化・標準化と、対応拠点や高規格バース、充電・充填設備の整備を促進します。
デジタルライフラインの整備と物流サービスの実装加速
自動運転やドローン物流などのデジタル技術の実装を加速するため、「デジタルライフライン全国総合整備計画」に基づき、実証から実装への移行を進め、全国整備を推進します。
自動運転サービス支援道は物流ニーズも踏まえ、2025年度以降に東北自動車道で約40kmの設定を目指します。ドローン航路は、2027年度までに送電網上空1万km、2033年度までに4万kmの整備を進め、航路登録制度の検討も行います。さらに、航路の相互乗り入れや点検業務との組合せなどで事業性向上を図ります。
また、2030年代半ばまでに自動物流道路の先行ルート運用開始を目指し、輸送力向上と環境負荷軽減に取り組みます。加えて、自動運航船、空港作業、鉄道貨物、倉庫作業など陸・海・空の自動化を推進します。
効率的な物流ネットワークの構築と新モーダルシフトの推進
物流の生産性向上に向け、三大都市圏・地方都市の環状道路など高規格道路整備、スマートIC、港湾整備、地方空港の活用を推進し、強靱で効率的な物流ネットワークを整備します。
基幹物流拠点は、革新的車両対応や休憩施設・中継輸送機能、モード間結節、防災・脱炭素・地域活性化など多機能拠点として整備を促進するため、制度具体化を進めます。あわせて、中継輸送拠点の見える化に向けたデータ連携基盤整備や、コンテナ・トレーラのシェアリングで輸送効率を高めます。
さらに「新モーダルシフト」を推進し、鉄道・海運の混載輸送やパレット化、大型コンテナ・シャーシ導入を促進します。貨物鉄道の輸送余力の見える化、内航船の積載率調査・情報提供、31ftコンテナ対応の施設整備や内航ターミナル強化を進め、利用拡大を図ります。
また、地域での荷量確保に向け、自治体の産業政策等と連携し、企業立地や貨物駅・港湾・空港との接続に関する関係者協働を促進します。
ラストマイル配送の効率化と多様な輸送手段の活用
宅配便の再配達削減に向け、消費者が多様な受取方法を選びやすい環境整備を進めます。宅配ボックスや宅配ロッカーの設置促進に加え、標準約款の改正による受取方法の位置づけや、指定場所配達のトラブル防止・責任分担を明確化するガイドライン策定を進めます。
地域物流では、配送・小売事業者の先進的な効率化を横展開し、貨客混載など他分野連携による生産性向上を推進します。あわせて、荷主・物流事業者・自治体が連携する協議会への支援や、自治体も関与した物流拠点整備に向けた制度具体化を進めます。
さらに、ドローン配送は1人で運航できる機体数拡大やレベル4飛行に向けて検討し、ガイドラインを適宜見直します。自動配送ロボットも実証を進め、安全性検証や走行ルール整理を行います。

商慣習の見直しと構造転換
第2の柱は、物流全体の最適化に向けた商慣習の見直しと産業構造の転換です。次期大綱では、2025年に施行された改正物流法や成立した中小受託取引適正化法・トラック適正化2法を基盤として、荷主・物流事業者・消費者の連携を一層強化し、トラック運送業界の構造的な課題解決を目指します。
改正物流法等による新たな商慣行の定着促進
改正物流法に基づく積載効率の向上や荷待ち・荷役時間の短縮に向けた努力義務について、関係省庁が連携して荷主・物流事業者への積極的な周知・浸透を図り、適切なリードタイムの確保、入出荷日時の分散、標準仕様パレットの活用を促進します。
また、大手荷主・物流事業者を対象とした中長期計画の作成や定期報告の義務付けについても、実効性の確保と業務負荷の軽減を両立した制度運用を行い、ホワイト物流推進運動や物流パートナーシップ優良事業者表彰との連携を通じて、企業の取り組みを可視化し、市場からの評価につなげる仕組みを具体化していきます。
消費者・荷主の行動変容と意識改革の推進
物流負荷の低減には消費者や荷主の理解と実践が不可欠であり、次期大綱では、ゆとりある配送日時指定や再配達回避、多様な受取方法の活用など、物流に配慮した行動の普及を進めます。
BtoBでは、物流費の可視化、納品期限緩和、賞味期限の大括り化、返品削減、早朝納品の見直し等を促進し、納品リードタイム延長によるモーダルシフトも推進します。
政府は「再配達削減PR月間」など広報を強化し、EC・通販事業者への浸透に加え、学校教育や若者向けSNSを活用した啓発を展開します。
適正な運賃収受と取引環境の適正化の推進
次期大綱では、中小受託取引適正化法で新たに規制対象となった発荷主の運送委託について、トラック・物流Gメンが指導・助言を担い、公正取引委員会や中小企業庁と連携して取引適正化を推進します。
また、トラック適正化2法で導入される適正原価制度により、運送事業者が原価を下回らない運賃・料金を収受できるよう、取引実態を踏まえた制度設計と荷主への周知を進めます。
あわせて、運送契約の書面交付や委託次数2次以内の努力義務などの徹底を図り、多重下請構造の是正を進めます。
トラック運送業界の構造転換と健全化の推進
トラック運送業界では、ダンピング、違法な「白トラ」、多重下請構造といった課題が長年蓄積しています。
次期大綱では、トラック適正化2法に基づく議論を踏まえ、適正原価を下回る運賃・料金の制限、委託次数の制限、許可更新制度の導入、白トラに関与する荷主等への規制強化を徹底します。これにより、遵法意識の低い事業者の退出を促し、ダンピングや白トラの排除、多重下請構造の是正を通じて業界の健全化を進めます。
あわせて、中小事業者中心の業界が持続可能な経営基盤を確保できるよう、協業化によるリソース共有や事業承継・M&Aの実態を調査し、必要な政策措置を検討します。荷主側にも、適正に運営する事業者を適切に評価することが求められます。

物流人材の地位・能力の向上と労働環境の改善
第3の柱は、持続可能な物流サービス提供に向けた物流人材の地位・能力向上と労働環境改善です。
生産性向上や国内人材確保に加えて、特定技能外国人の受入れ、女性・若者・高齢者・障害者等の多様な人材の活躍促進、物流統括管理者(CLO)の育成、海運・港湾・鉄道・航空各分野における担い手確保など、総合的な人材戦略を展開します。物流を単なる労働集約産業から、エッセンシャルワーカーとしての社会的評価と将来性を兼ね備えた職業分野へと転換することを目指しています。
物流人材の育成プランと社会的認知度の向上
物流人材の深刻な担い手不足に対応するため、次期大綱では労働環境の改善に加え、エッセンシャルワーカーとしての社会的重要性の認知向上を図ります。
また、団体等検定制度の活用などにより、スキルに応じたキャリアアップの道筋を可視化し、職業の高付加価値化を推進します。自動運転やAIが進展する中でも、創造的な課題解決や現場対応、遠隔監視など求められる役割を明確化し、将来性ある職業として発信します。
これらを通じて人材獲得を進めるとともに、従事者の定着率向上を目指します。
特定技能外国人等の受入れと定着促進
生産年齢人口の減少で物流分野の人手不足は一層深刻化する見込みであり、次期大綱では、生産性向上や国内人材確保を進めても不足する分を、特定技能制度・育成就労制度を活用した外国人材の受入れで補います。
トラック運送業では、2028年度までに特定技能1号の受入れ上限2万2,100人の範囲内で、地方や中小・小規模事業者の人手不足に対応し、協議会を通じて制度趣旨や優良事例の周知を行い適正運用を推進します。
営業用倉庫等でも「物流倉庫」分野として外国人材の受入れを進め、協議会設置により制度周知と法令遵守を徹底し、受入れ先での定着・活躍に向けた環境整備を推進します。
多様な人材が活躍できる物流産業への転換
ダイバーシティとイノベーションの観点から、女性や若者、高齢者、障害者など多様な人材が物流分野で活躍できる産業への転換を進めます。
次期大綱では、ジェンダー主流化等を踏まえ、荷役負担の軽減や荷役分離に資する機械導入、中継輸送による日帰り運行の推進に取り組みます。あわせて「働きやすい職場認証制度」や「ホワイト物流」を後押しし、給与形態・勤務体系の課題整理を通じて人材を惹きつける雇用環境を整備します。
さらに、スポットワークによる担い手発掘、退職自衛官の再就職支援、無人航空機操縦士の技能証明制度の周知など、多様な人材プールの開拓を進めます。
物流統括管理者(CLO)と高度物流人材の能力向上
改正物流法で大手荷主等に物流統括管理者(CLO)の設置が義務化されたことを契機に、社内の関係部署連携や、取引先・異業種・競合企業を含む社外連携を通じて、サプライチェーン全体の物流改善を推進します。
あわせて、CLOに期待される役割の手引きや投資事例集の作成・公表、関係団体と連携した定期研修により、選任人材の知識・資質向上を図ります。
さらに、CLOと高度物流人材の連携体制を具体化し、大学等が開発したリスキリングプログラムの成果も周知して能力向上を支援します。
海運・港湾・鉄道・航空分野における担い手確保と労働環境改善
陸運以外の輸送モードでも担い手不足と労働環境改善が喫緊の課題であり、海運では船員不足を踏まえ、海技人材の養成ルート強化や間口拡充などの方向性に沿った対策を進めます。あわせて、船内作業の自動化や居住・通信環境の改善を促進し、省力化投資や協業化による配乗効率化などを通じて内航海運の生産性向上を図ります。
港湾分野では「港湾労働者不足対策等アクションプラン2025」に基づき、見学会や職業紹介等のPRを通じた魅力発信を推進します。鉄道分野では、入換・荷役等の人材確保と育成に取り組み、新技術による作業効率化と労働環境改善を進めます。航空分野では、グランドハンドリングの持続的な維持に向け、人材確保・育成、処遇改善、DX化を推進します。
トラックドライバーの休憩環境改善と輸送の安全確保
トラックドライバーの労働環境改善に向け、休憩環境の整備と輸送の安全確保を進めます。
次期大綱では、SA・PAや道の駅での大型車駐車マス拡充や短時間利用枠の整備、複数縦列式駐車場の検討などにより、確実に休憩できる環境を整えます。あわせて、拘束時間短縮と輸送効率向上のため、中継輸送の拠点整備等を推進します。
安全面では、マニュアル等による意識醸成や監査体制強化、ドライバー異常時対応システムを含むASVの開発・普及を促進します。デジタル式運行記録計は将来的な義務化も視野に普及を進め、2027年まで毎年フォローアップ調査を行い義務化の要否を検討します。
さらに、3D都市モデルを活用した安全教育や鉄道・航空を含む各輸送モードの事故防止策を進めます。

物流標準化と物流 DX・GX の推進
第4の柱は、フィジカルインターネットの実現を見据えた物流標準化・デジタル化とカーボンニュートラル実現に向けた脱炭素化の推進です。
次期大綱では、標準仕様パレットや物流情報標準ガイドラインの普及拡大に加え、配送伝票やデータ形式など新たな領域の標準化を推進します。また、2040年までのフィジカルインターネット実現に向けて、物流・商流データプラットフォームの構築、N対Nの共同輸配送の社会実装、多画面問題の解消などに取り組みます。
カーボンニュートラルの実現に向けては、運輸部門の二酸化炭素排出量削減を継続・拡大するため、商用車の電動化やバイオ燃料の使用促進、物流施設の省エネルギー化、モーダルシフトの推進などを強力に進めます。2026年度からの排出量取引制度の本格稼働や、GX推進法に基づく取組を通じて、サプライチェーン全体での脱炭素化を推進します。
標準仕様パレットの導入促進と物流標準化の拡大
共同化や物流施設の自動化・機械化に向け、標準仕様パレットの導入を促進します。発着荷主やレンタルパレット事業者が連携し、供給時の共同配送と空パレットの共同回収を行う共同プラットフォームの設置を促すとともに、仕分け・回収や紛失時対応、費用分担の明確化に向け官民で検討を進めます。
また、BtoBのユニットロード標準化に向け、標準パレットを前提としたクレートや折りたたみコンテナ等の輸送容器を含め、関連する規格・設備・運用の検討を進めます。
さらにラストマイルでは、配送伝票の記載情報や番号体系、配送ステータス把握方法の標準化と、データ連携可能な形式の標準化に向け、官民関係者が参画する新たな枠組みの設置を検討します。
荷主・物流事業者間の連携・協働によるデータ連携の深化
物流情報標準ガイドラインに準拠したデータ連携を通じ、共同輸配送・共同保管・検品レスの取組をさらに発展させ、2040年のフィジカルインターネット実現も見据えた「N対N」の共同輸配送など先進ユースケースの社会実装を目指します。
荷主と物流事業者のデータ可視化・共有を推進し、メニュープライシングやダイナミックプライシング等により物流コストに応じた運賃・商品価格設定を後押しします。あわせて、調達・生産・在庫・輸配送計画の連携により、積載効率向上や発注・納入量の平準化を進めます。
さらに、モーダルシフトで使う大型コンテナ・シャーシの非効率を踏まえ、位置や稼働状況を可視化・共有する共同利用向けデータプラットフォームの実用化を目指します。トレーラ・トラクタの共同利用に向けた標準化・規格化も関係者合意のもと検討します。
物流のデジタル化・自動化・機械化等を通じた業務効率化の推進
生成AIやビッグデータ、デジタルツイン等の新技術を活用し、集配送のマッチングや配車・運行計画の最適化、異なる荷姿・重量の貨物の積合せなど、先進的なユースケースの創出を支援します。また、物流拠点における無人荷役機器や無人搬送機(AGV)、自動倉庫等を活用した庫内作業の効率化を推進します。
EC市場や冷凍食品市場の拡大に伴う需要増大に対応するため、中小の荷主・物流事業者を中心に、貨物管理や荷役作業等の自動化・機械化機器の導入を推進します。運行管理者の業務負荷低減に向けては、遠隔点呼・自動点呼の普及促進や運行管理業務の一元化、日常点検の自動化技術の活用を進めます。このほか、配送履歴情報の共有や不動産IDの活用、内航ターミナルにおける入退場管理等の高度化を推進します。
フィジカルインターネットの実現に向けた取組の推進
物流の「時間・距離・費用・環境」の制約を超え、個人・企業・地域の活力を引き出すため、フィジカルインターネットの実現に向けた取組を推進します。標準化したモジュラー式コンテナや物流結節点、プロトコルにより物流リソースを共有・統合し、「最も効率的な物流」「止まらない物流」「成長産業としての物流」「社会インフラとしての物流」の実現を目指します。
実現に向けては、自動化・機械化、拠点の装置産業化、垂直統合、標準化・シェアリングによる水平連携、物流・商流データ基盤、ガバナンス確立の6項目を連動させ、ロードマップ改訂で進捗確認と施策強化を図ります。
また、共同輸配送やDXを促すデータ連携方針を整理し、ダイナミックプライシング等の事例を周知します。商品情報標準化や2次元コード活用、地域での共同輸配送を進めるとともに、国際標準化を見据えた国内体制整備と関係国連携を強化します。
サプライチェーン全体の脱炭素化の推進
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、商用車の電動化・バイオ燃料の使用、物流施設の省エネ化、ゼロエミッション船の開発、カーボンニュートラルポート(CNP)の形成、持続可能な航空燃料(SAF)の導入など、運輸部門全体で脱炭素化を推進します。2026年度稼働の排出量取引制度の運用検証や、モーダルシフト推進荷主へのJ-クレジット制度活用によるインセンティブ付与など、環境価値を経済活動に組み込む仕組みを構築します。
再生可能エネルギー等の地産地消と循環経済(サーキュラーエコノミー)の推進
中小事業者の電動車導入に伴うコスト・航続距離・維持費の懸念を払拭するため、EVと再エネ・蓄電池を組み合わせた地産地消モデルの実証を行い、商用電動車の導入ガイドライン策定や性能評価制度の創設を進めます。あわせて、地域の配送・小売事業者が連携した静脈物流やサプライチェーン全体の脱炭素化を推進し、軽貨物車のEV化支援も具体化します。
さらに、循環資源の物流拠点となる港湾を「循環経済拠点港湾(サーキュラーエコノミーポート)」として整備し、認定制度を活用して再生資源の広域収集・運搬を促進し、物流の脱炭素化と資源循環を加速します。

サプライチェーンの高度化・強靱化
第5の柱は、国際情勢の不確実性や自然災害に対応したサプライチェーンの高度化・強靱化です。
次期大綱では、国際航空物流拠点の機能強化や国際コンテナ戦略港湾政策の推進、海運の競争力強化を通じて物流の国際競争力を高めます。あわせて、農林水産物・食品の輸出拡大に向けた戦略的サプライチェーン構築や、越境EC拡大を踏まえた通関業の適正運営も進めます。
また、名古屋港でのサイバー攻撃事案等を踏まえ、物流分野のセキュリティ対策を強化し、経済安全保障を確保します。さらに、ウクライナ侵略や紅海情勢など地政学リスクに対応し、国際物流ネットワークの多元化・強靱化を推進します。
加えて、能登半島地震の教訓を踏まえ、災害に強い物流ネットワークと緊急物資輸送体制の強化を進めます。
成田空港等の国際航空物流拠点の機能強化
成田空港の国際航空貨物の取り込みを強化し、北東アジアの国際ハブ空港としての地位確立を推進します。B滑走路の延伸とC滑走路の新設により年間50万回の発着容量を目指し、首都圏空港全体で約100万回の実現に取り組みます。新貨物地区の整備や自動化・機械化を推進し、効率性・生産性の向上を図ります。
成田空港と羽田空港の一体的な運用に向けて、フィーダー輸送の自動化や税関関連事務の簡素化を検討します。また、関西国際空港では年間発着回数30万回、中部国際空港では完全24時間運用と代替滑走路の整備、北九州空港では滑走路延長等の機能強化を推進します。
国際コンテナ戦略港湾政策の推進と港湾競争力の強化
港湾ロジスティクスを強化し、サプライチェーンマネジメントや経済安全保障に貢献するため、国際コンテナ戦略港湾等の国際競争力を高めます。
国際基幹航路の維持・拡大に向け、フィーダー航路網の拡充や多様な輸送モードを活用した集貨を進め、「集貨」「創貨」「競争力強化」の3本柱を推進します。あわせて、「CONPAS」等を活用したAIターミナル化により、人手不足や混雑への対応を図ります。
さらに「サイバーポート」との連携強化で貿易DXを進め、国際バルク戦略港湾では大型船対応施設整備と共同輸送を通じて、資源・食料等の安定輸送網を構築します。
海運の国際競争力強化と海事産業群の強靱化
我が国の貿易を支える海事産業の人材確保・育成に向け、働き方改革や労働環境改善、デジタル技術活用、次世代船舶対応を進め、国内造船需要の促進等により需要・供給の好循環を創出します。
外航海運では日本商船隊・国内船主の国際競争力を高め、経済安全保障にも資する安定輸送を確保します。造船業は能力向上とサプライチェーン強靱化により高品質な船舶の安定供給を実現し、産業全体の競争力を強化します。
また、自動運航船の2030年頃の商用運航に向け、IMOでの国際ルール策定を主導し、通商協定や多国間協力を通じて国際海運の障壁是正にも取り組みます。
物流産業の海外展開支援と関係諸国との連携強化
物流産業の持続的成長に向け、フォワーダーやトラック・倉庫事業者等の海外展開を促進し、アジア等での収益拡大を図ります。新市場開拓に加え、各国の規制・インフラ改善への働きかけや官民ファンド活用による参入支援など、物流システムのソフト・ハード両面で支援します。
コールドチェーン物流では、グローバルサウス等での需要拡大を踏まえ、日本主導の国際規格の普及を推進します。あわせて、現地企業・政府との協創によりドローン配送等の実証を進め、現地ニーズに即した事業モデル形成と課題解決に貢献します。
さらに日中韓では、物流大臣会合での知見共有を通じ、RTIの利用拡大や相互通行可能なシャーシ活用を促進し、シームレスな物流システムの実現を進めます。
農林水産物・食品の輸出拡大に向けたサプライチェーン構築
2030年の農林水産物・食品の輸出額5兆円目標に向け、「輸出拡大実行戦略」に基づき、国内から現地まで一貫した戦略的サプライチェーン構築を推進します。
産地・事業者を生産から販売まで一気通貫で支援し、施設整備や輸送ルート最適化、地方港湾・空港活用などにより高品質・効率的な輸出を後押しします。あわせて、迅速な手続と品質保持の両立、リーファー電源等の整備、海外コールドチェーン拠点整備と国際規格普及を進めます。
越境ECと通関業の役割の重要性
通関業者は、関税率適用や品目分類などの専門知識をもとに輸出入者と行政をつなぎ、適正納付や貿易円滑化、違法・有害物品の流入阻止に貢献する国際物流の重要インフラです。
一方で、EPA進展や越境EC拡大で業務が複雑化・増加する中、料金設定やコスト転嫁が進まず、中小事業者を中心に厳しい経営環境が指摘されています。
このため、適正な通関業務料金の設定を促し、コスト転嫁の必要性を周知するなど、通関業者が人材確保・育成を進められる環境整備を推進します。
経済安全保障とサイバーセキュリティ対策の強化
国際情勢の複雑化やデジタル化の進展により、サプライチェーンの脆弱性や基幹インフラへのサイバー攻撃リスクが高まっており、名古屋港のターミナル停止などを踏まえ対策強化が不可欠です。
トラック運送業や倉庫を含む物流分野では、関係法令に基づく対応を進め、官民連携で持続可能な物流体制を構築します。あわせて鉄道・海運・造船・港湾運送・航空分野でも安定提供とサイバー対応力向上を図り、IPAの人材育成プログラム活用により未然防止から復旧・再発防止までの能力強化を進めます。
国際物流ネットワークの多元化・強靱化
感染症やウクライナ侵略、紅海・アデン湾での船舶攻撃などにより供給リスクが顕在化しており、国際物流ネットワークの多元化・強靱化が必要です。
日欧航空便の迂回運航や、スエズ運河回避による喜望峰周りへの転換を踏まえ、荷主・物流事業者と連携して代替ルートの実証輸送を行い、「中央回廊・カスピ海ルート」等のBCPルート開拓を推進します。官民コンソーシアムで成果共有と利用促進を進め、関係国・国際機関とも連携して情報発信を強化します。
また、北極海航路についても利用動向の把握と情報共有を進め、活用に向けた環境整備を行います。
シーレーンの安全確保
輸出入の大半を海上輸送に依存する我が国にとって、エネルギー・食料や経済安全保障の観点から、安定輸送とシーレーンの安全確保は重要です。
地政学的緊張や海賊・テロ等に対応するため、海賊対策や中東での情報収集を継続し、海上保安庁の支援などを通じて沿岸国の法執行能力向上を同盟国等と連携して進めます。あわせて、国際海洋秩序の維持やMDA能力強化、ODAによる人材育成・設備供与・インフラ支援を推進します。
さらに、マラッカ・シンガポール海峡など重要チョークポイントで、航行援助施設の更新支援や人材育成を進めます。
大規模自然災害等に備えた物流ネットワークの強靱化
能登半島地震では迅速輸送を行った一方、道路網の制約や幹線道路・港湾の被災で初動対応が難しく、物流ネットワークの耐災害性強化が必要です。
道路は高規格道路整備や4車線化を進め、鉄道はJR貨物や自治体等と連携した代行輸送BCPを策定します。港湾は耐震化・液状化対策と港湾BCPの改善、広域港湾BCPで代替輸送を確保します。空港は「A2-BCP」に基づき早期復旧に向けた災害対応を進めます。
緊急物資輸送の体制強化と官民連携の推進
被災自治体だけでは困難だった配送手段の確保や拠点管理を物流事業者へ委託することで、避難所への物資配送が円滑化しました。さらに、船舶による大量輸送や、孤立集落へのドローン配送など多様な手段も活用されました。 今後は、荷主・運送・倉庫事業者等が連携したBCP策定を進め、連携訓練や官民協定の締結を促進します。あわせて、共同輸配送やドローン配送体制を平時から整備し、物流施設への非常用電源導入支援や地域防災計画での拠点活用方針の明確化を進めます。国も職員派遣等を通じ、輸送手段確保や物資管理・配送を支援します。

参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001979430.pdf
総合物流施策大綱が求める「荷主」と「物流事業者」の役割
総合物流施策大綱では、持続可能な物流の実現に向けて、荷主企業と物流事業者のそれぞれが果たすべき役割と責任が明確に示されています。改正物流法により法的な義務としても位置づけられました。
荷主企業に求められる「物流管理責任者」の選任と行動変容
次期総合物流施策大綱では、大手の荷主企業に対して改正物流法に基づく物流統括管理者(CLO)の設置と、積載効率向上や荷待ち・荷役時間の短縮に向けた計画策定と定期報告の義務が課されています。また、適切なリードタイムの確保、入出荷日時の分散、標準仕様パレットの活用が求められます。そして、物流費の可視化、納品期限の緩和、賞味期限の大括り化、早朝納品の見直しなど、BtoB取引における商慣習の改善も必要です。さらに、物流を単なるコストではなく経営戦略の一環として位置づけ、適正な運賃・料金の負担と物流効率化への積極的な投資を通じて、サプライチェーン全体の最適化に貢献することが期待されています。
物流事業者に求められる「多重下請け構造」の是正と運賃交渉
次期総合物流施策大綱では、物流事業者に対して改正トラック法に基づく実運送体制管理簿の作成義務が課されています。これは多重下請け構造を可視化し、実運送を担うトラック運送事業者が適正な運賃を受け取れているかを確認するための仕組みです。また、トラック適正化2法により、適正原価制度が導入され、運送事業者が原価を下回らない運賃・料金を収受できる環境整備が進められます。運送契約の書面交付や委託次数2次以内の努力義務も徹底され、透明性の高い取引関係の構築が求められます。さらに、燃料費や人件費の上昇を踏まえた適正な価格設定、荷待ち時間や附帯作業に対する料金の明確化を通じて、サービスの対価を適正に受け取るための交渉力強化が期待されています。
物流改善なら株式会社Hacobu
株式会社Hacobuは、物流DXパートナーとして、総合物流施策大綱が求める物流改革の実現を支援しています。荷待ち時間の削減、配車業務の効率化、サプライチェーン全体の可視化など、物流領域が抱える課題に対して、実効性のあるソリューションを提供しています。
Hacobu Strategy(物流DXコンサルティング)は、物流統括管理者(CLO)の役割や中長期計画の策定を支援します。物流課題の現状分析から改善計画の立案、KPI設定まで、総合物流施策大綱が求める物流効率化の取り組みを戦略的にサポートします。
MOVO Berth(トラック予約受付サービス)は、バースの予約受付をデジタル化し、荷待ち時間の削減を実現します。総合物流施策大綱が求める荷待ち・荷役時間2時間以内の達成に貢献します。
MOVO Fleet(動態管理サービス)は、車両の位置情報をリアルタイムで可視化し、配送状況の把握と効率的な運行管理を実現します。
MOVO Vista(配車受発注・管理サービス)は、配車業務のデジタル化により、属人化を解消し、業務効率の向上を実現します。
Hacobuは、これらのソリューションを通じて、お客様の物流改革を総合的に支援し、持続可能な物流の実現に貢献します。
まとめ
総合物流施策大綱は、政府が策定する物流の中長期的な総合施策です。現行の2021~2025年度大綱では物流DX・労働環境改善・強靭化を推進してきましたが、荷待ち時間削減など約7割の項目で課題が残ります。次期大綱では2030年までを集中改革期間と位置づけ、自動運転等の革新技術、商慣習の見直し、人材育成、標準化・DX・GX、サプライチェーン強靱化の5つの柱で物流の持続可能性確保を目指します。
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