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ドローン配送とは|6つのメリットと3つのデメリット・抱える課題も解説
ドローンは農業や災害対応など、幅広い場面で導入されるようになりました。近年注目度が高まっているのは、ドローンを活用して荷物を運ぶ「ドローン配送」という新しい配送手段です。本記事では、ドローン配送について、メリット・デメリット、抱える課題などを物流DXパートナーのHacobuが解説します。
目次
ドローン配送とは
ドローン配送とは、小型無人航空機(ドローン)を活用し、配送センターなどからラストワンマイル配送を行うサービスです。
IoTやAIなどの最先端技術を駆使して物流プロセスを一元管理する「スマートロジスティクス」の一種であり、過疎地や離島への物流支援が可能になるとして、近年重視されるようになりました。
ドローン配送が注目される背景
ECの普及で宅配ニーズが増加し、物流領域は慢性的な人手不足に直面しています。さらに物流の2024年問題により、この状況は今後も深刻化する見込みです。
また、過疎地や離島では、人口減少や高齢化により定期的・安定的な配送手段が確保できない問題があります。
このような中、改正航空法の施行によりドローン配送の実現性が高まり、注目度が増しています。
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ドローン配送を取り巻く現状
ドローン配送を取り巻く現状について、以下の項目を解説します。
- 2022年12月にレベル4飛行が解禁された
- ドローン配送のガイドラインが制定された
- ガイドラインVer.4.0の概要
2022年12月にレベル4飛行が解禁された
日本では、ドローンの飛行レベルが4つに分かれています。
- レベル1:目視内で操縦飛行
- レベル2:目視内で自律飛行
- レベル3:無人地帯で目視外飛行
- レベル4:有人地帯で目視外飛行
2022年12月に改正航空法の施行で「レベル4」が解禁され、有人地帯でも自律飛行が可能になりました。これにより、ドローン配送の実用化に向けて大きく前進しました。
ドローン配送のガイドラインが制定された
2023年3月、国土交通省が「ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0」を公表しました。これは2021年3月に公表されたVer.1.0(法令編)から始まり、事例集を追加したVer.3.0を経て、レベル4飛行が可能となったことを受けたものです。
参考:ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0
ガイドラインVer.4.0の概要
ドローン物流の社会実装を推進するためには、ドローン物流に関する課題を抽出・分析し、その解決策や持続可能な事業形態の整理が必要です。ガイドラインVer.4.0では、導入方法や配送手段などに関する具体的な手続きや参考となる事例をまとめています。本ガイドラインは、レベル3飛行およびレベル4飛行によるドローン物流事業を計画する方を対象としており、第1部社会実装編、第2部法令編として構成されています。
ドローン配送の6つのメリット
ドローン配送のメリットについて、以下の項目を解説します。
- ドライバー不足の対策になる
- 交通渋滞の緩和につながる
- 配達時間を短縮できる
- コストを削減できる
- 過疎地や離島への配送に活用できる
- 災害時の物資運搬などに活用できる
ドライバー不足の対策になる
物流領域では、慢性的に人手が不足しています。特に物流の2024年問題により、ドライバー不足はさらに深刻化する見込みです。ドローン配送の実現は、このドライバー不足の解消に大きく寄与する可能性があります。無人での配送が可能となることで、物流の効率化と人手不足の緩和が期待されています。
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交通渋滞の緩和につながる
荷物の増加や配送回数が増えることに伴い、走行するトラックの台数も増え、交通渋滞を引き起こす要因の1つとなっています。特に都市部では渋滞が頻発しやすく、配達が遅れる可能性が高まります。
ドローン配送は上空を飛行して荷物を運ぶため、交通渋滞の影響を受けることはありません。これにより、交通渋滞の緩和が期待されます。
配達時間を短縮できる
上空を飛行するドローンは、最短距離で移動でき、配達時間を短縮できます。レベル4の解禁により、都市部でも目視外の自立飛行が可能となり、配達効率が向上し、時間短縮が期待できます。
コストを削減できる
ドローン配送は初期費用がかかるものの、配送を無人で行うのでドライバーの人件費がかかりません。燃料費や維持費は低く抑えられるため、ドローンの導入は、長期的に見て経済的なメリットが大きいと言えるでしょう。
過疎地や離島への配送に活用できる
過疎地は道が険しくトラックが通りにくい状況があります。また離島への配送は、空輸・海運に限られます。
ドローン配送であれば、上空から最短ルートをたどることで、山間部や離島でも迅速かつ安全に荷物を届けることができます。これにより、生活に必要な物資を簡便に入手できるようになり、安心して生活することができます。
災害時の物資運搬などに活用できる
災害により孤立した地域への物資運搬は、従来ヘリコプターで行っていますが、離着陸には広いスペースが必要です。一方、ドローン配送なら離着陸に必要なスペースが小さいため、利便性が高まります。これにより、迅速な救援活動が可能となり、災害時の物資運搬においてドローンの活用が期待されています。
ドローン配送の3つのデメリット
ドローン配送のデメリットについて、以下の項目を解説します。
- 破損や衝突のリスクがある
- バッテリー・重量に制限がある
- 盗難のリスクがある
破損や衝突のリスクがある
ドローンは飛行中の操作ミスや風雨の影響で破損・衝突・落下などのリスクがあります。特に強風や雷雨などの悪天候時には、墜落の危険性が高まります。安全性を確保するためには、天候の確認や機体の整備が欠かせません。
また、落下により第三者へ損害を与える可能性もあるため、賠償責任保険への加入が推奨されます。
バッテリー・重量に制限がある
ドローン配送は飛行を繰り返すとバッテリーを消費します。また、運べる荷物の重さにも制限があります。特に過疎地や離島への配送では、飛行時間と荷物の重さへの考慮が必要です。
水素燃料電池の活用など、飛行時間を長くできるバッテリーの開発などによって、より広範囲でのドローン配送が可能となり、物流の効率化が期待されます。
盗難のリスクがある
ドローン配送は無人で行われるため、荷物を盗まれる、ドローンそのものを盗まれるなどのリスクがあります。特に高価なドローンや貴重な荷物は狙われやすいでしょう。このようなリスクを軽減するためには、配送中のサポート体制の整備が必要です。例えば、飛行ルートの工夫や人による監視、セキュリティ機能の強化などが考えられます。
ドローン配送の実用化が抱える課題
ドローン配送の実用化が抱える課題について、以下の項目を解説します。
- GPSの精度に左右される
- 運行管理システム(UTM)の整備が十分ではない
GPSの精度に左右される
個人宅にドローン配送する場合、GPSの精度が非常に重要です。位置情報に誤差があると、異なる家に荷物が届いてしまうリスクがあります。さらに、飛行中の機体に電波障害が起きないような環境整備も必要です。GPSの精度向上により、正確な配送が可能となり、ドローン配送の信頼性が向上します。
運行管理システム(UTM)の整備が十分ではない
目視外の自立飛行を安全に行うためには、運行管理システム(UTM)が必須です。しかし、現状ではUTMの整備が十分とはいえません。今後の実証実験や法整備を通じて、UTMの整備が必要です。2023年4月には、日本発のドローンの運航管理システムに関する国際規格が発行されており、これによりUTMの普及と技術開発が加速することが期待されています。
参考:日本発のドローンの運航管理システムに関する国際規格が発行されました|経済産業省
国内で進められているドローン配送の事例
国内で進められているドローン配送の事例として、以下の2つの地域について解説します。
- 東京都港区
- 山梨県北都留郡小菅村
東京都港区
東京都港区では、ドローンによるランチのフードデリバリー体験が提供されています。都市部の水上を飛行するルートで、片道約0.75kmの距離を飛行します。
参考:ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0 (82ページ)
山梨県北都留郡小菅村
山梨県北都留郡小菅村では、新スマート物流実装を通じた持続的物流網の再構築が行われています。河川や山の上空を幹線とし、民家付近にもアプローチして飛行するルートが実装済みです。
参考:ドローンを活用した荷物等配送に関するガイドライン Ver.4.0 (94ページ)
まとめ
本記事では、ドローン配送のメリット・デメリット、そして抱える課題について解説しました。ドローン配送は、破損や衝突、盗難のリスク、バッテリーの制限などの課題がありますが、ドライバー不足の解消や交通渋滞の緩和、配達時間の短縮など多くのメリットがあります。
今後のドローンの機能開発やガイドラインのアップデートは必見でしょう。
なお、Hacobuでは「運ぶを最適化する」をミッションとして掲げ、物流DXツール「MOVO」と、物流DXコンサルティングサービス「Hacobu Strategy」を提供しています。
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著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuのマーケティング担当
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