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ドライバー不足の要因とは|その影響と効率的に解消するための施策
現在、物流領域ではドライバー不足という課題に直面しています。本記事では、この問題に対策を検討したい物流事業者向けに、物流DXパートナーのHacobuが現状、要因、そして対策について解説します。
目次
ドライバー不足の現状
現在、物流領域が直面している深刻な課題の一つにドライバー不足があります。厚生労働省の一般職業紹介状況(2024年2月分)によると、ドライバーの有効求人倍率は2.64倍に達しています。これは全職種計の平均1.20倍の2倍以上であり、ドライバーの需要が供給を大きく上回っていることを示しています。このような背景から、ドライバー不足は物流領域全体が慢性的に抱える課題となっています。
参考:一般職業紹介状況(令和6年2月分)について|厚生労働省
2030年度にはドライバー不足が21万人になる予測も
需要量に対するドライバーの供給量の予測について、2020年度のドライバー不足は約4万人でしたが、2025年度には14万人を超え、2030年度には21万人を超えると言われています。
ドライバー不足となった5つの要因
ドライバー不足に至った主な要因を以下の5点に分けて解説します。
労働条件が悪い
物流領域では、他の職種に比べて収入が低く、労働時間が長い傾向があります。特にドライバーは、全産業平均と比較して年間所得が低く、労働時間が長い傾向があります。このため、長時間労働と低賃金のイメージが定着し、新たにドライバーを確保するのが難しい状況です。これにより、若年層や新しい労働者が定着しにくく、ドライバー不足が深刻化しています。
ドライバーが高齢化している
少子高齢化による労働力不足は、社会全体の課題です。特に物流領域ではドライバーの高齢化が深刻です。多くのドライバーは長年の経験と知識を持ち、運転技術も高いです。しかし、上記に述べたように若年層の新規就労が少ないため、ベテランドライバーに頼らざるを得ない状況が続いています。このままでは、将来的な労働力確保が難しくなり、物流全体の安定供給にも影響が出る可能性があります。
女性の進出が遅れている
物流領域における女性ドライバーの割合は依然として低いです。女性の進出が進んでいない理由の一つは、妊娠・出産の際の育児休業や再雇用制度の整備が遅れている点です。さらに、勤務先や納品先での女性用更衣室やトイレの設備が整っていないことも問題です。また、身体的な負担が大きいことも女性が敬遠する要因の一つです。
宅配の需要が増加し続けている
近年、ECサイトの拡大やフリマアプリなど個人間取引の増加により、宅配の需要が急速に増加しています。日本経済研究センターによると、2035年には宅配便の数が現在の約2倍の88億個に達すると予想されています。この増加は、単に配送個数が増えるだけでなく、時間指定や当日配送、再配達などのサービスの要求も高まっているため、物流業界全体に大きな負担をかけています。
参考:EC(電子商取引)化の進展で、2035年には宅配便は倍増|日本経済研究センター
運転免許制度が改正された
2017年に運転免許制度が改正され、物流領域に大きな影響を与えました。従来は普通免許で最大積載量3トン未満、車両総重量5トン未満の車両を運転することができましたが、改正により最大積載量2トン未満、車両総重量3.5トン未満に引き下げられました。この改正後に普通免許を取得した場合、より大きな車両を運転するためには準中型免許が必要になります。特に若年層にとってこの変更は、運転免許取得のハードルを上げる結果となりました。
物流の2024年問題でドライバー不足が深刻化
慢性的なドライバー不足に加え、いわゆる物流の2024年問題でその流れは深刻化しています。物流の2024年問題とは、2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用され、労働時間が短くなり輸送能力が不足し、モノを運べなくなるリスクが高まるといったものです。
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物流領域にとってドライバー不足の影響は甚大
物流事業者、荷主への影響について、それぞれ解説していきます。
物流事業者への影響
ドライバー不足の解消には、新規ドライバーの募集や既存ドライバーの待遇改善などに多大なコストがかかっています。このようなコスト増加は、物流事業者にとって運賃の値上げをせざるを得ない状況になり、最終的には消費者にその影響が及ぶ可能性があります。荷主が運賃の上昇を受け入れない場合、物流事業者はこのコスト増加は、自社の利益低下に直結し、経営状況は悪化します。
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荷主への影響
物流の2024年問題により、物流コストの上昇が避けられません。ドライバーの労働時間規制強化に伴い、長距離輸送が制限され、リードタイムの延長が懸念されています。また、より早く運送依頼を出さなければ「対応可能なドライバーがいない」として運送依頼を断られる、もしくはリードタイムなど輸送条件の緩和を求められることが増えると予想されます。
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実運送会社がドライバー不足を解消する方法
実際にドライバーを雇用している運送会社が行うべき、ドライバー不足解消の方法を解説します。
ドライバーの労働条件を改善する
ドライバーの労働条件の改善は、若年層の人材確保につながります。特に、残業時間の削減や賃金の見直し、休暇の取りやすさを重視する取り組みが重要です。これにより、物流領域の長時間労働や低賃金のイメージを払拭し、人材確保と定着率の向上が期待されます。多くの若年層は、働きやすい環境と公正な待遇を求めています。
女性が働きやすい労働環境を整備する
物流領域において、女性ドライバーの確保は喫緊の課題です。女性が働きやすい環境を整えるためには、以下のような取り組みが必要です。まず、女性専用の更衣室やトイレ、シャワー室の設置があげられます。これにより、女性ドライバーが快適に働ける環境が整います。次に、女性ドライバーが軽量の荷物のみを担当できる仕組みを導入することが重要です。これにより、身体的な負担を軽減し、働きやすさを向上させます。さらに、柔軟な勤務時間やパートタイムの選択肢を提供することで、家庭と仕事を両立しやすくすることも重要です。
広報活動を強化する
自社のホームページやSNSを活用して、自社の取り組みを積極的に発信しましょう。特に、若年層は転職や就職活動の際に企業のホームページやSNSをよくチェックしています。キャリアパスを公開することで、企業の透明性をアピールし、若手人材の関心を引きつけることが可能です。
物流事業者・荷主が行うべき物流の効率化
前述のようなドライバー不足を解消する対策と並行して、物流をさらに効率化する対策も重要です。
これは実運送会社ではなく、元請のような実運送を委託している物流事業者、そして荷主が取り組まなくてはならない事項です。
ドライバーの業務実態を把握する
そもそも物流を効率化する前に、ドライバーがどのように業務を行っているかを把握している物流事業者や荷主は少ないのではないでしょうか。
動態管理サービスのMOVO Fleet(ムーボ・フリート)を活用すると、元請や荷主であっても各ドライバーの拘束時間や運転時間の経過および残り時間をダッシュボード上で確認できます。
ドライバーの業務効率化を進める
ドライバーは一運行あたり、1時間34分の荷待ち時間が発生しているといわれています。
この荷待ち時間を削減することで、拘束時間の中でより効率的に荷物を運ぶことができます。
トラック予約受付サービスのMOVO Berth(ムーボ・バース)を活用すると、物流センターや工場に来場するトラックの来場時間を分散させることで荷待ち時間の削減につながります。
共同配送を導入する
共同配送を行うことで、複数の荷主の荷物をまとめて運ぶことができ、少ないトラックとドライバーでより多くの荷物を運ぶことができます。
物流拠点を分散する
物流拠点を分散することで、1回の運行ごとの輸送距離が短くなり、ドライバーの長時間労働の改善が期待できます。また、長距離輸送の負担が減ることで、若年層や女性のドライバー増加にもつながります。
中継輸送を導入する
事業所から中継地点へ荷物を運び、中継地点から納品先へ輸送する方式により、ドライバー1人あたりの輸送距離が短縮されます。
モーダルシフトを導入する
幹線輸送をトラック輸送から鉄道・船舶輸送に移行することで、トラックによる長距離輸送・ドライバーの長時間労働が解消されます。
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ドライバー不足を解消して明るい物流の未来を描こう
物流領域は現在、深刻なドライバー不足に直面しており、早急に改善していく必要があります。
実運送会社は労務改善や採用広報に力を入れ、ドライバーのイメージ向上、そして人材確保に繋げていきましょう。
実運送会社以外の物流事業者や荷主は、さらなる物流効率化が求められます。共同配送や物流拠点の分散、中継輸送、モーダルシフトは効果的ですが、導入に時間がかかる点に注意が必要です。
荷待ち時間の削減やドライバーの稼働時間の把握など、物流DXツールを用いた短期的な取り組みを並行して進めることが重要でしょう。
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Hacobuが提供する物流DXツール「MOVO」に関しては以下から資料をダウンロードいただけます。
トラック予約受付サービス MOVO Berth
荷待ち・荷役時間の把握・削減、物流拠点の生産性向上を支援します。
動態管理サービス MOVO Fleet
協力会社も含めて位置情報を一元管理し、取得データの活用で輸配送の課題解決を支援します。
配車受発注・管理サービス MOVO Vista
電話・FAXによるアナログな配車業務をデジタル化し、業務効率化と属人化解消を支援します。
また、こちらの情報もぜひ参考にしてください。
著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuのマーケティング担当
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