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物流DXとは?推進するメリットや今後の課題について解説

近年、さまざまな業界でデジタル技術の導入が進んでいます。その波は、レガシー産業である物流領域も例外ではありません。物流の2024年問題への対応を中心に、物流DXの推進が加速しています。

本記事では、物流DXパートナーのHacobuが物流DXの概要について解説します。また、物流DXの推進に取り組む背景や、物流DXの導入によって得られるメリットもあわせて解説します。

物流DXツールのMOVOはこちらからサービスの詳細をご覧いただけます。

この記事でわかること

  • 物流DXはデジタイゼーション、デジタライゼーションと組み合わせて実現していく
  • 物流DXは、SXの一丁目一番地でもある
  • 物流DXの鍵はシェアリングである

目次

DXとは何か?

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」を指します。

DXを推進するためには、以下の3つのステップがあげられます。

  • デジタイゼーション(Digitization)
  • デジタライゼーション(Digitalization)
  • デジタルトランスフォーメーション(DX)

デジタイゼーションとは

デジタイゼーションとは、「アナログ・物理データのデジタルデータ化」です。

ITシステムの導入によって業務をデジタル化することで業務の効率化を目指すことが主たる目的です。具体的には、従来紙を用いて行っていた業務をデジタル化することなどがあげられます。日常業務と密接に関わっていることから、デジタイゼーションは現場担当者が主導していくことが一般的です。

デジタライゼーションとは

デジタライゼーションとは、「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」です。

特定の業務プロセスを整理し、その全てをデジタル化することで、デジタル技術による新たな価値やビジネスモデルを生み出します。デジタライゼーションは事業部門が担う、新たな事業価値や顧客体験を生み出すための戦術要素といえます。

デジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーションとは、「組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、“顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革」です。

デジタイゼーションやデジタライゼーションの個別の業務プロセスに限らず、企業の組織全体をデジタル化することによって、組織そのものやビジネスモデル全体を変革させます。

そのため、DXは経営戦略であるといっても過言ではありません。

デジタイゼーション、デジタライザーションに取り組んだ上で、IT活用と業務遂行を一体化させることにより、大きな業務改善を実現させることで、事業環境の再構築が叶うのです。

物流DXとは何か?

物流領域で行われるDXが「物流DX」であり、「総合物流施策大綱(2021年度〜2025年度)」によると、物流DXとは「機械化・デジタル化を通じて物流のこれまでのあり方を変革すること」と定義されています。物流DXにより、他産業に対する物流の優位性を高めるとともに、我が国産業の国際競争力の強化につなげることが目的です。

参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001409564.pdf

これらに取り組む手段として、「物流分野の機械化」「物流分野のデジタル化」があげられます。

ここで大切なのは、機械化・デジタル化・効率化はあくまでDXの手段であり、デジタイゼーションやデジタライゼーションだということです。

物流DX自体が機械化・デジタル化・効率化ではないため、混同しないように注意しましょう。

参考:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001464774.pdf

物流を取り巻く課題

物流は日本における豊かな国民生活や産業競争力、地方創生を支える重要な社会インフラです。しかしながら、業界全体として、数多くの課題を抱えている現状があります。

なぜ物流DXの推進が必要なのか。ここでは、物流を取り巻く課題について解説します。

物流の「2024年問題」

物流の2024年問題とは、2024年4月1日以降、ドライバーの時間外労働の上限規制により発生するであろう様々な問題のことを指します。

物流の2024年問題については、こちらの記事でも詳細に解説しています。

ドライバーの働き方改革

2023年には月間60時間以上の割り増し賃金が25%から50%に引き上げられました。加えて、2024年4月以降は、トラックドライバーにおける時間外労働時間が現在の年間1176時間から年間960時間までに限定されました。

非正規の形態でドライバーを雇用している物流事業者も多いですが、下記の2つのルールを遵守する必要もあります。

・正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などの待遇に不合理な差をつけてはならない

・非正規雇用労働者から求めがあった場合には、待遇の差に関して理由を説明する必要がある

人手不足の深刻化

近年急速に拡大するEC市場の発展に伴い、物流需要が増加している一方で、人手不足が深刻化しています。

人手不足の原因としては、長時間労働、労働条件の厳しさ、トラックドライバーの高齢化などがあげられます。

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、トラックドライバーは全産業平均と比較して、年間所得額が約1〜2割低く、年間労働時間が約2割長い現状があります。

参考:https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/work

国は2025年度までに全産業平均まで年間所得額平均を引き上げることと、平均労働時間を引き下げることを目標にしていますが、トラックドライバーの働き方改革を進めないと、ますます人手不足が深刻になるといえるでしょう。

業界全体としてDXの遅れ

ITやテクノロジーの成長が著しい昨今ですが、物流領域は依然としてアナログなコミュニケーションが当たり前とされ、基本的に企業間の受発注も紙を用いるのが一般的です。

物流領域におけるテクノロジー活用として注目を集めているのは、主に商品を管理、移動させる際に使うマテリアルハンドリング機器などではないでしょうか。

しかし、物流のマテハン機器はまだまだ技術上の制約が多いのが現状です。例えば、決まったレールの上でしか稼働しない無人搬送車や、特定の倉庫でしか機能しない在庫管理システム、旧式のサーバーが残り、データの移行が困難であることなどが課題としてあげられます。

物流領域では未だアナログでの管理が一般的であり、テクノロジーの導入には消極的だといっても過言ではありません。

労働生産性の改善

2024年4月以降も、これまで通り物流を維持していくためには、労働生産性の向上が不可欠です。

しかし、物流事業の労働生産性は2015年度から2018年度まで大きく上昇したといわれているものの、絶対値として全産業と比較すると大きな差が存在しているでしょう。産業平均に追いつくためには、トラックドライバーの労働生産性を現状の1.4倍に上げる必要があるといわれています。

参考:https://www.mlit.go.jp/common/001354690.pdf

物流の脱炭素

近年は、気候変動に対する懸念とともに、企業における持続可能性への取り組みが急速に加速しています。とりわけ、脱炭素に取り組む企業は増加しています。

物流領域も例外ではありません。トラック輸送は日本全体の6.4%のCO2を排出しており、倉庫部門による排出は日本全体の0.1%程度であるものの、近年CO2排出量が増加している状況にあります。

2030年のCO2排出量を2013年度比46%削減、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、運輸部門・倉庫部門はそれぞれ取り組みが必要です。

物流領域・トラック輸送における脱炭素への取り組みや最新の事例については、こちらの記事でも詳細に解説しています。

物流コストの高騰

物流領域では、物流コストの高騰という経済的な課題も抱えています。

物流事業者からの値上げ要請などを理由に売上高物流コスト比率は、長期的には上昇傾向にあります。また、物流コストの内訳としては輸送費が50%以上を占めるといわれています。

物流コスト高騰の原因

トラック輸送の運賃は、2017年度から上昇傾向にあります。その原因としては、トラックドライバーの労働環境や荷主の要求サービスレベルの向上、そして不在・再配達率の増加など小口配送への対応が考えられます。

近年は、オンラインショップの台頭やコロナ禍にあった外出自粛などの影響で、EC市場が急成長したことで個人宅への小口配送が急増しました。必要なときに必要な量だけ配送する仕組みであるため、鮮度の高い商品を提供しやすいのがメリットである一方で、人員不足や再配達の増加といった問題を増幅させる一因にもなりました。

従来は店舗への手配のみで済んでいた物流が、一個人への配送へと変化することによって梱包や出荷作業が増加し、さらに輸配送のルートも複雑化してしまうことから、配送料や人件費も嵩み、物流コスト全体が上昇する原因になります。

それだけでなく、小口配送の急増は、積載率の低下や、倉庫内での在庫管理の複雑化を招き、業務効率の悪化につながります。加えて、上昇しているのは、トラック輸送の運賃だけではありません。保管量においても、物量の増加に伴い、不動産の稼働率は非常に高く、賃貸料金も増加傾向にあります。最低時給の上昇に加え、荷役作業者の平均時給が大きく上昇していることも、荷役コストの上昇の直接的な原因になっています。

物流DXは、SXの一丁目一番地

前述したように、物流領域は課題が山積みです。モノが運べなくなる「物流クライシス」は消費者の生活に大きな影響を与える課題、そして脱炭素は社会全体で達成していかなければならない重要テーマです。

このような社会問題から私たちの生活や環境を守るためには、持続可能な社会の実現が不可欠です。そのため社会および企業のサステナビリティ(持続可能性)を重視した企業運営を行うSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)の注目が高まっています。

SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)とは?

経済産業省の「伊藤レポート 3.0」によると、「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」とは、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを「同期化」させていくこと、及びそのために必要な経営・事業変革(トランスフォーメーション)を指します。

そもそも「伊藤レポート」は、経済産業省がまとめた企業のサステナビリティに関する報告書であり、日本企業における収益性の低迷を背景に作成されました。そして「伊藤レポート 3.0」は、2022年8月31日に経済産業省から発表された最新のレポートであり、日本企業が成長するために必要なSXをメインに作成されたものです。

伊藤レポート3.0において、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティの同期化とは、企業が社会の持続可能性に資する長期的な価値提供を行うことを通じて、社会の持続可能性の向上を図るとともに、自社の長期的かつ持続的に成長原資を生み出す力(稼ぐ力)の向上と更なる価値創出へとつなげていくことを意味するとされています。

SXは企業の努力のみでは達成できません。SXの実現のためには、企業、投資家、取引先など、インベストメントチェーンに関わるさまざまなプレイヤーが、持続可能な社会の構築に対する要請を踏まえ、長期の時間軸における企業経営の在り方について建設的・実質的な対話を行い、それを磨き上げていくことが必要となります。

参考:https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220831004/20220831004-a.pdf

SXとDXの関係性

DXを戦略的に積み上げた先にSXが実現するともいえ、両者は相反するものではなく、どちらかだけに取り組めばよいというわけではありません。

「DXによって業務課題が解決し、結果的に社会課題の解決に寄与する」「SXの実現にはデジタル技術が不可欠」という双方向的な関係性にあります。2つの視点を組み合わせて戦略・施策を考え、並行して変革を進めるのが最良の方法です。

物流DXは自社利益の増加だけでなく、社会の持続可能性の向上にも有効

物流DXは、SXの自社の長期的かつ持続的に成長原資を生み出す力(稼ぐ力)の向上としての「自社の物流コスト削減による利益増」だけでなく、「物流の2024年問題への対応」「脱炭素社会の実現」という社会の持続可能性の向上の全てを目的とする三方良しの戦略です。社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを同期化するための重要な経営アジェンダだといっても過言ではありません。

物流DXを推進するメリット

物流領域は数多くの問題を抱えていることは解説しましたが、物流DXを推進することによって以下のメリットが得られます。

・労働生産性の向上

・脱炭素への貢献

・コスト削減

ここでは、上記のメリットについて詳しく解説します。

労働生産性の向上

従業員の負担を軽減できる

まず、物流DXを推進することによって、物流システムが効率化し、従業員の負担を軽減できます。

例えば、従来人力に頼っていた配車業務をMOVO Vistaのような配送案件管理サービスでDX化できれば、FAXや電話にかかり切りにならず、さらに属人化も解消されます。また、車両の到着確認においても、電話でいちいち確認せずともMOVO Fleetのような動態管理サービスを用いてブラウザ上で確認できるため、従業員の負担が軽減されます。

業務効率の向上が期待できる

物流業務において欠かせない在庫管理においても、DXによって業務効率の向上が期待できます。

従来のアナログの方法での在庫管理では、人員工数がかかる、発注元ごとに管理方法が異なる、管理の方法が担当者に属人化してしまうといった課題を抱えていました。

しかし、倉庫内作業でAIを活用することで、ピッキング作業をする際に最適なルートを提案してくれます。異なる商品を複数拠点で在庫管理する場合は、クラウドの導入も効果的です。

業務効率の向上が期待できるのは、在庫管理だけではありません。配送においてもDXにより、送でも最適なルートの選択が可能になります。

さらに、MOVO Berthのようなトラック予約受付サービスを導入することで、事前に何時にどのような荷役が発生するかがわかり、それに準じた作業計画を立てられます。またリアルタイムで計画を軌道修正するなど臨機応変に対応することによって、業務のムダやムラの削減につながります。

労働力不足の解消が期待できる

物流DXの実現によって、人がすべき業務が減ります。例えば、倉庫の商品ピッキングや梱包の作業において、ロボットや自動搬送システムが導入できれば、人の手による繰り返し作業の省力化につながります。

従来、人力で行ってきた管理業務・輸送業務・荷積み・積み替えなどをAIや機械に代行させることで、労働力不足の解消だけでなく、従業員はより付加価値の高いコア業務に注力できるようになります。

脱炭素への貢献

物流DXを導入することによって、脱炭素への貢献にもつながります。

物流において脱炭素に取り組むためには、サプライチェーンのCO2排出量を把握する必要があります。

サプライチェーンのCO2排出量の枠組みとして、以下の3つが挙げられます。

・スコープ1:企業が使用した化石燃料からのCO2排出量

・スコープ2:企業が消費した電力によるCO2排出量

・スコープ3:「原材料の生産、輸送、配送」「製品の使用、加工、廃棄」など、スコープ1とスコープ2以外の間接的なCO2排出量

スコープ3を削減しなければ、コスト上昇によって市場競争力が低下する恐れがあります。そのため、日本の東証プライム市場など第三者機関から企業に対して、スコープ3の開示を求める傾向にあります。

物流領域においては、元請事業者や実運送事業者、発荷主、着荷主など多くの企業が関わっているため、スコープ3でのCO2排出量の可視化は困難だとされていますが、MOVO VistaMOVO Fleetなどを活用することによって、輸配送のCO2排出量の可視化ができます。

業務効率化によるコスト削減

前述のとおり、物流領域では紙を用いたアナログな管理方法が一般的です。物流DXを推進し、紙媒体を電子化することによって事務処理の手間を軽減できるだけでなく、従来の紙の管理コストや印刷コストなどを大きく削減することも可能です。

納品伝票や注文書、請求書などを電子化すれば、事務処理をするためのデータ入力作業などもなくなり、労働生産性の向上につながります。そのため、不要な残業や臨時作業員などの人件費の削減が可能になります。

また、データを取得することによって、非効率な実態を初めて認識できるようになります。定量的に説明できるようになり、非効率やムダを改善することによって、さらなるコスト削減が期待できるでしょう。

物流DXを推進する上での課題

物流DXを推進することによって、数多くのメリットが得られることを解説してきましたが、物流DXを推進する以前に解決しなければならない課題もあります。

ここでは、物流DXを推進する上での課題について解説します。

エリアごとに異なる業務ルール

物流領域では、拠点ごとに扱う商品やサービス、業務内容が異なるため、それぞれの拠点ごとで効率化のために独自の工夫をしているケースが大半です。そのため、拠点ごとに業務プロセスが異なり、デジタル化を進めるのが困難な点が物流DX推進の課題です。

デジタル化を進める前に、データを保存する様式や、基本的な業務フローを統一する必要があります。ただし、デジタル化に影響のない独自性や、高い業務効率につながる創意工夫は残した方がよい場合もあるため、注意が必要です。

現状でも回っている現場

物流領域で働く現場の従業員が物流DXに関する理解に乏しい点も課題のひとつとしてあげられます。従来デジタルツールを導入せずとも業務をこなせていたという認識を持っている傾向にあるため、新しく導入される機能や技術に対して嫌悪感を示し、デジタル化への協力が得られず物流DXが頓挫することにつながっています。物流領域の現場にいる従業員の物流DXに対する捉え方や考え方にも目を向けましょう。

DX人材不足

デジタル技術の現場適合性や効果の検証は物流DX推進に不可欠です。そのためデジタル技術や制約事項などの正しい理解が必要ですが、現在はDX人材が不足している企業も多いため、DX人材の育成が急務です。

物流DXコンサルティングのHacobu Strategyが提供する物流DX人材育成支援サービスのHacobu ACADEMYはその解決策の一例でしょう。

企業間でのデータ連携

日本の物流領域においては、構成するプレーヤーが多く、企業間でのデータ連携が困難な傾向にあります。

原材料メーカー→完成品メーカー→卸→小売→消費者というような従来のサプライチェーンモデルから、共創を念頭においたデジタル時代に適応したサプライチェーンモデルに変革する必要があります。

そのためには、情報を共有するコントロールタワーの存在が不可欠です。

物流を取り巻く課題への解決策

物流を取り巻く課題は数多くありますが、解決策はどのようなことなのでしょうか。

解決策はさまざまありますが、ここで具体的な例をあげて解説します。

物流DXによる解決策

自社の物流コスト削減による利益増、物流の2024年問題への対応、脱炭素社会の実現、それぞれに有効な物流DXによる解決策を解説します。

物流の2024年問題への対応策

ダブル連結トラックの活用

ダブル連結トラックとは、トラックの後ろにもう1台荷台をつなげたトラックを指します。

大型トラック2台分の荷物を運べるため、トラックドライバー不足の解決策として注目を集めています。

自動運転(隊列走行)への期待

自動運転トラックの開発も、物流の2024年問題の解決策としてあげられます。

隊列走行とは、2台以上のトラックが隊列を組んで走行することを指します。 各トラックの走行状況を通信で共有し、適切な車間距離を保ちながら自動で走行する技術です。

自動運転による隊列走行も、トラックドライバーの不足や負担軽減による安全性の向上に期待されています。

中継拠点設置による業務効率改善

中継拠点設置とは、最終輸送先までの距離が長距離になる際に、その中間地点などに倉庫の拠点を置くことによって運行の距離を短くすることを指します。

中継拠点設置は、トラックドライバーの労働時間の短縮や、集車力の向上につながります。

スワップボディコンテナによる稼働率向上

スワップボディコンテナとは、一般的な車体と荷台が一体化した構造のトラックとは異なり、キャリアとコンテナを特殊な荷役機器を必要とせずに、キャリアの標準装備であるエアサスペンションによって自力で分離することができるトラックを指します。

分離中には、キャリアが別のコンテナを輸送することができるため、稼働率の向上につながります。そのため、トラックドライバーの無駄な時間を削減できます。

脱炭素社会実現に向けた対応策

EV/FCVトラックの活用

EVトラックとは、ガソリンの代わりに電動モーターや電池を主な動力源とするトラックを指します。

FCVトラックとは、車に搭載した燃料電池から作られる電気を使い、モーターを回して走行するトラックを指します。燃料になるのは、水素や改質メタノール、改質ガソリンで、水素を燃料にした際には走行中に二酸化炭素が発生せず、排出されるのは水のみです。

どちらも走行時のCO2を削減、またはなくすことができるため、脱炭素社会の実現に大きく役立つでしょう。

省エネ機器の導入

物流倉庫においてのCO2削減対策として、省エネ機器の導入があげられます。

省人化・省エネ型機器を導入する自立型ゼロエネルギー倉庫モデル促進事業は国によって支援が行われています。

再生可能エネルギー利用

省エネ機器の導入と同様に、物流倉庫において再生可能エネルギーを利用することも脱炭素社会の実現につながります。

再生可能エネルギー関係設備の導入促進も、国によって支援が行われています。

自社の物流コスト削減の対応策

デジタル化推進

自社の物流コストを削減する解決策としては、デジタル化の推進が挙げられます。

例えば、倉庫での在庫管理をデジタルツールの導入で最適化することによって人件費や保管費が削減されます。輸送管理システムを導入すれば、輸送ネットワークの改善につながり、運送費や人件費の削減が可能になります。

物流領域におけるデジタイゼーション、デジタライゼーションを推進することで、自社の物流を効率化することが可能になります。しかし、物流の2024年問題への対応は自社の最適化だけでなく、消費者や社会にとっても効果のある打ち手が必要となります。本質的な物流DXについては、後述の「物流を取り巻く全ての課題に対応する「三方良し」の物流DX」で解説します。

物流の2024年問題と脱炭素の2大課題に同時対応するには

モーダルシフト

モーダルシフトとは、トラックでの貨物輸送を鉄道や船舶などの環境への負荷が少ない輸送手段に切り替えることを指します。

鉄道や船舶は、トラックと比較すると輸送量あたりのCO2排出量が少ないため、モーダルシフトによって脱炭素社会の実現につながります。

また、鉄道や船舶は大量輸送が可能で、輸送量当たりの人員がトラックよりも少なく済むため、物流の2024年問題の解決にも役立ちます。

脱炭素社会の実現と自社の物流コスト削減の両方の解決策

カーボンプライシング

脱炭素社会の実現に向けて効果的な手段のひとつとして、「カーボンプライシング」があげられます。

「カーボンプライシング」とは、企業などの排出するCO2(カーボン・炭素)に価格をつけ、それによって排出者の行動を変化させるために導入する政策手法です。

カーボンプライシングは、大きく以下の2つに分けられます。

①炭素税・国境調整措置

炭素税とは、燃料・電気の利用(=CO2の排出)に対して、その量に比例した課税を行うことを指し、炭素に価格を付ける仕組みです。

日本では地球温暖化対策税が炭素税にあたります。(CO2排出量1トン当たり289円)

国境調整措置とは、CO2の価格が低い国で作られた製品を輸入する際に、CO2分の価格差を事業者に負担してもらう仕組みを指します。

EUの炭素国境調整措置(CBAM:Carbon Boarder Adjustment Mechanism)を設立する EU規則は2023年5月に施行され、10月から暫定適用が開始されました。

②排出量取引

排出量取引とは、企業ごとに排出量の上限を決め、「排出量」が上限を超過する企業と下回る企業との間で「排出量」を売買する仕組みを指します。

炭素の価格は「排出量」の需要と供給によって決まります。ただし、日本には排出量取引はなく、現状はJクレジット(クレジット取引)のみになっています。

カーボンプライシングの今後の見通しとしては、日本の炭素税については、EU水準までの引き上げの可能性が高いといわれています。また、排出量取引制度については、EUのような強制力を持った排出量取引もしくはJクレジット制度の拡充の可能性が高いでしょう。

仮に、炭素税がEU-ETS水準になった場合、車両1台当たりの炭素税は年間6.2万円になります。また、仮に、排出量取引がEU-ETS水準で適応された場合、車両1台の運行削減で年間85万円の収益増になるともいえます。

自社の物流コスト削減と物流の2024年問題の両方の解決策

パレット標準化

パレット標準化とは、パレットの運用に必要な保管・輸送・補修整備などの資源を最適化することを指します。

パレットのサイズは、国や業界だけでなく、搬送する製品によってさまざまですが、パレットのサイズを統一することで荷物の積み降ろしや移動などがスムーズに行えるようになり、労働時間や人員を削減できます。さらに、車両や倉庫のスペースを最大限に活用できるようになり、物流コストの削減にもつながります。

荷役の自動化/ロボット導入

荷役の自動化や、倉庫作業におけるロボット導入によって庫内作業の省人化を実現します。それによって、庫内作業員の人員不足の解決だけでなく、人件費のコスト削減が可能になります。

物流を取り巻く全ての課題に対応する「三方良し」の物流DX

物流領域が抱える、「物流の2024年問題への対応」「脱炭素社会の実現」「自社の物流コスト削減」の3つの課題の全てを満たす解決策は、シェアリングです。

物流の2024年問題への対応は「売り手よし」、脱炭素社会の実現は「世間よし」、自社の物流コスト削減は「買い手よし」となり、「三方良し」であるといえるでしょう。

ここでは、物流を取り巻く課題全てに対応する「三方良し」の解決策であるシェアリングについて詳しく解説します。

「三方良し」を実現するシェアリング

共同配送

共同配送とは、届け先(納品先)の共通するメーカーなどが互いに荷物を持ち寄り、特定エリアの配送業務を共同で行うことを指します。共同配送を行うことによって車両の積載効率などが高まり、コスト削減につながります。

共同配送により車両台数の削減だけでなく、長時間労働の改善や荷役作業の負担削減にもつながります。人材不足の解消も期待できるため、物流の2024年問題対策としても効果的です。

また、必要最低限の車両台数で配送ができるため、CO2排出量削減にもつながり、脱炭素社会の実現にも役立ちます。

Hacobuが物流ビッグデータを活用し、企業の枠を越えた物流効率化実現のための分析を実施したところ、ある1日のMOVO Berthで取得できる全運行のうち、41.3%で共同配送の実現可能性があることも明らかになりました。(詳細はこちらをご覧ください。)

共同保管

共同保管とは、複数の荷主が同じ倉庫に共同で商品を保管することを指します。

共同保管を行うことによって、保管効率の向上につながるため、省人化による人材不足の解消が期待できます。

さらに輸配送にもシナジーを生み、物流コストの削減にもつながります。

また積載率の向上や倉庫や車両の稼働率の向上も期待できるため、脱炭素対策としても効果的です。

データ共有

前述のとおり、日本の物流領域においては、企業間でのデータ連携が困難な傾向にあります。

どのような荷物が、どこからどこの場所に、いつ、どのような運搬手段で運ばれているのか、といったデータを業界や企業の枠を超えて蓄積・分析し、複数のステークホルダーを巻き込んでデータ共有を行うことによって、共創を念頭においたデジタル時代に応じたサプライチェーンモデルに変革していくことが可能になります。

データ共有には、クラウド物流管理ソリューションの「MOVO(ムーボ)」の各サービスを活用す流ことが有効です。

MOVOのサービス資料をダウンロードする。

物流DXを推進するためのポイント

物流DXを推進する際には、以下の4つのポイントが重要になります。

・物流統括管理者の選定

・現場と経営陣による連携

・IT人材の育成と確保

・計画的なシステムの導入

それぞれのポイントについて詳しく解説します。

物流統括管理者の選定

経営アジェンダである物流DXを推進するには、経営陣に物流統括管理者がおり、その者が物流DX推進の責任者になることが不可欠です。いわゆるChief Logistics Officer(CLO)を選定し、その者が企業のロジスティクス戦略全般の財務分析や戦略立案、課題解決を行うべきでしょう。この際に重要なのが、輸配送における最適化だけでなく調達や販売、さらには生産まで、つまりサプライチェーン全体を管掌できる人材がCLOとなることです。物流における課題はサプライチェーン全体のいずれかに問題があることが多く、ここにメスを入れられる人材である必要があります。

一方でそのような人材は限られているでしょう。その場合には、物流DXコンサルティング会社と連携し、専門的なノウハウを外部調達し、データ分析や戦略構築を行うことが有効です。

また生産領域まで踏み込んだ改善は高いハードルでしょう。まずはいわゆる後処理型の物流から脱却し、車両をいかに効率的に活用できるかという視点を持ち、荷待ち・荷役時間の削減や積載率の向上など、目に見える問題から着手することも有効でしょう。

現場と経営陣による連携

物流DXを推進するにあたって、経営陣と現場が独立した状態で進めるのは望ましくありません。

DXの影響を受けるのは実際に業務を行う現場であるため、現場の意見を無視して進めると大きな反感を買うことも起こりかねません。

物流統括管理者を中心とした経営陣は、DXの目的を明確にし、その必要性や導入のメリット、価値などを従業員へしっかり伝え浸透させる必要があります。

経営陣が指揮をとりながら、現場と協力してDXの取り組みを進めることが大切です。

IT人材の育成と確保

物流DXを推進する際には、DXに精通したIT人材を確保する必要があります。外部から人材を採用するのも有効な手段ですが、近年はIT人材の需要増加により、企業間の獲得競争が激化している傾向にあります。

そのため、IT人材の採用のみならず、並行して自社でIT人材を育成する取り組みも大切だといえるでしょう。

また、デジタル技術やデジタルツールを導入することによって、現場における働き方は大きく変化します。従業員がスムーズに対応できるためのマニュアルを用意することも重要です。

物流DXコンサルティングのHacobu Strategyが提供する、物流DX人材育成支援のHacobu ACADEMYを活用するのも有効です。

資料ダウンロードはこちら

計画的なシステムの導入

物流DXは、行き当たりばったりではスムーズに推進できないだけでなく、通常業務に支障をきたすことも起こりかねません。

自社の課題を明確にし、課題解決につながるシステムを選定しましょう。

DXを推進するには、綿密なスケジュールを組み立て、そのとおりに進めるのがよいでしょう。

物流DXの事例

ここでは物流DXの具体事例についてご紹介します。

キリンビバレッジとHacobuが行ったデータ連携の実証実験

全国に物流拠点を構えるキリングループの事例をご紹介します。

キリングループは、物流DXの施策としてトラック予約受付サービスのMOVO Berthを導入しました。

物流施設運営のデジタル化を図ることによって、配車や庫内の指示が簡便になり、業務生産性の向上につながりました。

それだけでなく、MOVO Berthを通じて得られるデータを活用することによって、課題を発見・分析し、改善したことで業務の効率化を実現しました。

さらに、キリンビバレッジとHacobuは食品卸、小売とともにデータ連携の実証実験を行いました。

物流DXにおいて、データ連携によるステークホルダーとの協働は重要なポイントです。

実証実験は、PSI(生産・販売・在庫)計画を共有し、共通の需要予測のもとで発注数量の平準化を図るものでしたが、プレイヤー間が協力することによってメーカー・卸・小売の3方良しが実現することが明らかになりました。

キリンの事例を詳しくご覧になりたい方は、こちらをぜひご参照ください。

物流DXを実現するために

物流は日本における、重要なインフラのひとつです。物流領域を取り巻く課題を解決するには、物流DXの推進は欠かせません。

物流DXを推進することによって、業務の効率化だけでなく、人的リソースやコストの削減、脱炭素社会への実現などにもつながり、物流領域そのものの生産性の向上も期待できます。

物流DXを推進する際には「シェアリング」が重要な要素のひとつです。中でもデータ連携によるサプライチェーン全体の変革は欠かせないといっても過言ではありません。

「物流DXを推進したいがどのように進めたら良いのかわからない」、「自社に最適なソリューションがわからない」といったお悩みをお持ちでしたら、物流DXパートナーのHacobuが一気通貫で物流DXをサポートします。

物流DXパートナーのHacobu

物流DXパートナーのHacobuはクラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」及び物流DXコンサルティング「Hacobu Straregy(ハコブ・ストラテジー)」を提供しています。

トラック予約受付サービス MOVO Berth

荷待ち・荷役時間の把握・削減、物流拠点の生産性向上を支援します。

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