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執筆者:佐々木 太郎

ロジスティクスのデジタル・トランスフォーメーション「物流DX」とは?実行上の課題についても解説

2024年4月より、働き方改革関連法によって自動車運転業務の年間時間外労働時間の上限が960時間に制限されることが決定しています。これによってトラックドライバーの時間外労働時間が制限されるため、運送や物流の領域でそれまでのことが良くも悪くも当たり前ではなくなり、新たな課題や問題が生じることが考えられます。

これらのことを総称して、「2024年問題」と言います。この問題が目前に迫った今、物流領域において早急にDX推進に取り組むべきだと考えている方は多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、物流全体を最適化・適正化することを表す「ロジスティクス」におけるDX、物流DXとその課題について詳しく解説します。

そもそもDXとは何か

DXとは、「Digital Transformation (デジタルトランスフォーメーション)」の略称です。

経済産業省は、DXについて「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。発達したデジタル技術を活用することによって、ビジネスだけでなく、日々の生活までより快適で便利に変革する、という概念です。

DXが推進されている背景には、日本の少子高齢化による労働力不足があります。少子高齢化が進む中で生産性を向上させるためには、DX化による業務効率の改善は必然といえるでしょう。

DX推進は、多くの企業が取り組み、それぞれ目標を掲げています。 デル・テクノロジーズが2020年1月に発表した「第2回 DX動向調査」より、企業が掲げたDXの主な目標をご紹介します。

AIやRPAの活用で生産性を大幅に上げるための業務プロセス改革とITの導入

AIやRPAを活用することで、ルーティーンワークが自動化され、業務の改善につながります。

クラウドに集約して無駄なサーバコスト、セキュリティコストの削減

一般的に、自社のサーバを使用するよりもクラウドを利用した方がコストの削減につながるとされています。

完全ペーパーレスの実現

「電子帳簿保存法(正式名称:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律)」の施行により、ペーパーレス化が進んでいます。

DXの目的は、業務効率化、生産性の向上、顧客満足度の向上、新たなビジネスモデルの創出など、全体的なビジネスパフォーマンスの改善だといえるでしょう。 2018年に経産省が発表した「DXレポート~ITシステム2025年の壁の克服とDXの本格的な展開」と題したレポートに記されている声をご紹介します。

・多くの経営者が、将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変するデジタル・トランスフォーメーション (=DX)の必要性について理解しているが・・・(一部抜粋)

・ 既存システムが、事業部門ごとに構築されて、全社横断的なデータ活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがなされているなどにより、複雑化・ブラックボックス化(一部抜粋)

・ 経営者がDXを望んでも、データ活用のために上記のような既存システムの問題を解決し、そのためには業務自体の見直しも求められる中(=経営改革そのもの)、 現場サイドの抵抗も大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている(一部抜粋)

・この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性(2025年の崖)(一部抜粋)

出典:経済産業省 「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~ 」

上記において、まず重要なのはDXの定義についてです。 レポートの中では、DXを「将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変する」としています。DXがこれまでのIT化の考え方と大きく異なるのは、現状の業務をITシステムに置き換えることによって効率性を追求することが目的にあるのではなく、新たなビジネスモデルを創出・柔軟に改変することだと言えそうです。

これはすなわち、新規事業の創出や事業構造の転換をデジタルで行うことを意味しています。 物流におけるDXを推進する事によるメリットや、取り組み事例についてさらに詳しく知りたい方はこちらのページをご確認ください。

物流DXとは?推進するメリットや今後の課題について解説

近年、さまざまな業界でデジタル技術の導…

2021.11.29

DXの手段としてSaaSの導入も加速

DXの推進に伴い、SaaSの導入も加速しています。SaaSとは、 「Software as a Service」の略称で、クラウド経由でサービスを提供するソフトウェアのことを指します。

SaaSの具体なサービス例としては、「Google Workspace(旧G Suite)」、「Microsoft 365」、「Salesforce」、「Adobe Creative Cloud」などがあげられます。SaaSはクラウドベースのサービスであるため、DXの一部として実装されることが多い傾向にあり、企業がデジタル化の道程を進む上で重要なツールです。SaaSを導入することによって、企業はITリソースをより効率的に管理し、新しいデジタル技術を採用しやすくなります。さらに、SaaSは既存のオンプレミスソフトウェアと比較して導入やアップデートが簡単にできるだけでなく、データの収集・分析、臨時情報共有、チーム間の協力などを促進し、DXの成果を最大限に引き出す役割を担います。

このようにDXとSaaSの相互関係は密接であり、両者の同時進行は企業の競争力向上に向けて不可欠なのです。

ロジスティクスにおけるDX/物流DXとは

近年、物流領域において「ロジスティクス」が重要視されています。ロジスティクスとは、「モノの流れ(物流)を一元管理すること」を指します。

JIS物流用語では、ロジスティクスは「物流の諸機能を高度化し、調達、生産、販売、回収などの分野を統合して、需要と供給の適正化をはかるとともに顧客満足を向上させ、あわせて環境保全及び安全対策をはじめ社会的課題への対応をめざす戦略的な経営管理」と定義されています。

つまり、ロジスティクスとDXは、物流領域における効率と競争力を高めるために互いに関連しており、ロジスティクスのプロセスをより効率的で透明性のあるものにするためにDXが加速化できると考えて良いでしょう。

例えば、AIやIoTのようなテクノロジーは、在庫管理、輸送ルートの最適化、リアルタイムのトラッキングと予測など、ロジスティクスの各領域で活用されています。これらのデジタルツールと戦略は、ロジスティクスをより迅速、正確、そしてコストも効率化することが可能になります。

ロジスティクスについては、こちらの記事もご参考ください。 ロジスティクスは運送業の課題を克服できるのか?最新の事例も紹介 https://www.tryeting.jp/column/9882/

物流DX実行上の課題

ロジスティクスにおけるDXが何をもたらすか、そしてどれほど効率化できるか想像できるとはいえ、DXを実行するのは容易ではありません。超えるべきハードルもあります。実行する上での経営判断(経営者の心理的パラダイムシフト)と人材の確保です。

物流DX実行に対する経営者のコミット力

前述の経産省のレポートには「経営者がDXを望んでも・・・業務自体の見直しも求められる中、現場サイドの抵抗も大きく」という記載があります。 これこそが、新規事業の創出もしくは事業構造転換としてのDXを実行する上での課題のひとつだといえます。

しかし、上記の問題はDX推進へ取り組む企業が増加している今に始まったことではありません。 2000年前後にはパッケージソフトウェアの代表格であるERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の導入が相次ぎましたが、その際にも現場サイドの抵抗は大きい傾向にありました。ERPを導入する際は、スクラッチ開発とは異なり、現状の業務の変更が求められます。従来の業務にERPを合わせるのではなく、業務をERPに合うように変える、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)プロジェクトを行う必要がありました。業務を変えるためには、さらに組織構造や評価指標の変更も必要とされます。

上記のような困難な状況を乗り越えられた要因として、「プロジェクト実行に対する経営者のコミット力」があげられます。ERPの導入によってしばらくの間現場に混乱が発生したとしても、「ERP導入プロジェクトをやりきる」という経営者の強いコミットがあったからこそ、実現できたのではないでしょうか。DXを実行するためには、 ERP導入の際の業務変更による現場の抵抗のみではなく、「新規事業の創出もしくは事業構造転換」という事業そのものに介入する必要があるため、難易度はさらに高まります。その実現には、ERP導入の際以上の経営者の強いコミットが必要だといえるでしょう。

物流DX人材の確保

前述のとおり、DXは「将来の成長、競争力強化のために、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変する」と定義されています。 新規事業の創出や事業モデル転換は難易度が高い傾向にありますが、DXはそれにさらにデジタルの技術を活用して実現するものです。 DXを実現するためには、DX戦略を描くことができる人材の確保が必要不可欠となってきます。

DX戦略を描くことができる人材のポイントとしては、下記2点です。

①事業領域に関する深い理解がある ②デジタル技術を手触り感を持って理解している

2であげた「手触り感」とは、表面的な理解ではなく、デジタル技術がどのように動いているか、少なくとも簡単なコーディングはできる、簡単なSQLは使えてリレーショナル・データベースの中身がわかる、というレベルです。

そしてさらに、クラウド技術やIoT、AIが、何ができて何ができないのか、ということを理解している必要があります。上記を理解していることによって、システム構成や使用するテクノロジーを考えながら、新規事業の構想を練ることが可能になります。

また、「ここまでが技術的に可能になるだろう」という仮説をもとに、中長期的に事業ロードマップを描くことができます。 ①、②の両方を備え持っている人材を確保することは難しいといえますが、事業ロードマップを描くことができなければ、そこから得られるであろう利益を原資として足元のDXプロジェクトに投資をする意思決定もできないのではないでしょうか。

Hacobuが提供するソリューション

株式会社Hacobuは、物流の課題を解決するアプリケーション「MOVO(ムーボ)」や物流DXコンサルティング「Hacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)」を通じて、「運ぶ」を最適化することをミッションに掲げています。ここでは、株式会社Hacobuが提供してる4つのサービスについて詳しくご紹介します。

トラック予約受付サービス 「MOVO Berth(ムーボ・バース)」

トラック予約受付サービスの「MOVO Berth(ムーボ・バース)」は、荷待ち時間の削減や、物流センターとトラック運転者のコミュニケーションの円滑化、物流現場の生産性向上を実現します。

国内ドライバーの半数に相当する42万人(※1)のドライバーが登録し、利用事業所数は1万拠点を突破、現在シェアNo. 1(※2)を誇るサービスです。

また、待機時間・作業時間・入退場車両などのデータの取得が可能なため、庫内業務の改善や全社の物流DXにも活用することが可能です。

トラック予約受付サービス 「MOVO Berth(ムーボ・バース)」

動態管理サービス 「MOVO Fleet(ムーボ・フリート)」

動態管理サービスの「MOVO Fleet(ムーボ・フリート)」は、5秒に1回のリアルタイム位置情報取得によって、正確に車両の現状を把握することができ、走行ルートや速度ログ、CO2排出量目安、着荷、停留など多角的なデータの蓄積を実現します。 取引先との情報共有や協力会社も含めた一括管理もできるため、データを用いた全社的な物流改革に活用いただくことが可能です。

動態管理サービス 「MOVO Fleet(ムーボ・フリート)」

配送案件管理サービス 「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」

配送案件管理サービスの「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」は、配車依頼から金額確認までを行うことができるため、協力会社への配車依頼業務を効率化が可能です。複数拠点での導入・活用することによって、本社では拠点横断でのデータの分析が可能となり、物流DXを促進するデータ活用にも役立ちます。

配送案件管理サービス 「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」

物流DXコンサルティング 「Hacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)」

物流DXコンサルティングサービスの「Hacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)」は、DX推進の戦略を構築し、SaaS導入支援やデータ分析活用支援、輸配送業務改善を行います。また、物流DX人材の育成の支援も行っています。

\物流DXコンサルティング〜Hacobu Strategy〜/

まとめ

少子高齢化が進んでいる日本において、業務効率化、生産性の向上などの全体的なビジネスパフォーマンスの改善を図るDX推進は重要です。特に物流領域では人手不足が大きな課題でもあり、DX実現は避けて通ることがでないといっても過言ではありません。ロジスティクスでのDX実現には様々な課題がありますが、DX人材の確保やSaaSを導入することが特に重要な要素としてあげられます。また、SaaSの導入によってITリソースをより効率的に管理し、新しいデジタル技術を採用しやすくなります。

「MOVO(ムーボ)」は、SaaS型の物流管理ソリューションとして、物流領域における様々な課題を解決するためのクラウドを提供しております。「荷待ち時間を削減したい」「業務のDXを進めたいが何から始めたらよいのか分からない」というご担当者様は、こちらのページをご確認ください。物流DXツールMOVO(ムーボ)が、あなたの「運ぶ」を最適化します。

https://hacobu.jp/

物流現場の課題を解決する物流DXツール「MOVO」の各サービス資料では、導入効果や費用について詳しくご紹介しています。また、MOVOの導入事例や物流に関するお役立ち資料もご用意しましたのでご活用ください。

各種資料は、こちらからダウンロードいただけます。

https://hacobu.jp/document/

(※1)利用者がMOVO Berthを利用する際に登録するドライバー電話番号のID数の累計数

(※2)出典:デロイト トーマツ ミック経済研究所,『スマートロジスティクス・ソリューション市場の実態と展望【2022年度版】』https://mic-r.co.jp/mr/02560/

著者プロフィール / 佐々木 太郎

Hacobu代表取締役社長CEO。アクセンチュア株式会社、博報堂コンサルティングを経て、米国留学。卒業後、ブーズアンドカンパニーのクリーブランドオフィス・東京オフィスで勤務後、ルイヴィトンジャパンの事業開発を経てグロッシーボックスジャパンを創業。ローンチ後9ヶ月で単月黒字化、初年度通年黒字化(その後アイスタイルが買収)。食のキュレーションEC&店舗「FRESCA」を創業した後、B to B物流業界の現状を目の当たりにする出来事があり、物流業界の変革を志して株式会社Hacobuを創業。

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