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物流センターや運送会社に求められるペーパーレス化 | メリットや障壁、成功のポイントを解説
近年、物流センターや運送会社は、物流システムの導入によってペーパーレス化が浸透し、さまざまなメリットを得ています。本記事では、物流領域におけるペーパーレス化について物流DXパートナーのHacobuが解説します。
目次
ペーパーレス化とは
ペーパーレス化とは、従来紙で扱っていた書類(指示書、伝票など)をデジタル化し、電子的に管理・共有して紙媒体を削減または廃止する取組みを指します。一般的には、アナログな業務プロセス自体をクラウドやシステムへ移行し、効率化やコスト削減、情報資産化を図ることも含まれます。
業務の効率化が求められる物流領域
今、物流領域は以下のようなさまざまな課題を抱えています。
- ドライバー不足
- 積載効率の悪化
- 長い荷待ち・荷役時間
- 残業時間の上限規制(物流の2024年問題)
このような課題を解決していくためには、業務の効率化が求められます。効率化の一つの手段がペーパーレス化だと考えます。
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物流センターや運送会社におけるペーパーレス化できていない例
たとえば、1つの配送案件を見ても、以下のような業務に紙を使っていることが多いのではないでしょうか。
配送依頼書
配送依頼書をExcelで作成して印刷し、FAXで協力会社へ送付
車番連絡
協力会社からの車番連絡をFAXで受け取り
受付簿
配送先の物流センターの受付で、ドライバーの入退場管理は紙の受付簿に記入
納品伝票
同じく受付において、納品のサインを紙の伝票へ記入
運転日報
ドライバーは運行終了後、運転日報を手書きで記入して事務所に手渡し
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請求書
協力会社からの請求書は郵送で受け取り
紙を中心とした業務のデメリット
前述したような紙を中心とした業務は、実は以下のようなデメリットがあります。
情報の確認に時間がかかる
書類に記載の情報を確認するためには、書類を保管している部屋や棚まで移動し、そこから書類探しが始まります。対象の書類を見つけてからも、書類の何ページに求める情報があるかわからず、必要な情報を確認するまでに時間がかかります。
離れた相手への共有に時間がかかる
本社や他拠点など離れた施設にいる担当者に情報共有する際には、書類の郵送やFAX送付にかかる時間も発生します。
指示伝達に付随作業が発生する
紙を用いた指示伝達はFAX送信や手渡し、電話での補足確認など、さらにアナログな付随作業が発生することがあります。
情報更新の反映が遅れる
指示書に記載の内容が変更になった場合、最新情報を全関係者へ行き渡らせるには再度指示書を配布する必要があり、更新速度や情報同期性に限界が生じます。その結果、指示反映の遅れが発生し、業務全体のスピード感が損なわれることにつながります。
紛失や書き損じがリスクやミスになる
紙の書類は紛失・破損といったリスクが常に伴います。さらに手書きでの記入はヒューマンエラーの温床となり、書き損じや誤字・脱字が業務ミスにつながります。紛失やミスが発生すれば、確認作業や再発行などの手戻り対応が必要になり、現場の負担が増大します。
データ集約の欠如による改善機会の損失
紙の書類への記録では、作業時間や処理件数などのデータが分散し、あとで集約・分析することが困難です。その結果、どの工程に問題があるのか把握しづらくなり、定量的な改善策を打ち出せません。効果検証ができないため、業務の効率化が停滞し、改善のチャンスを逃してしまいます。
このように日々の業務が紙を中心に回っている場合、実は多くの非効率が発生しています。
ペーパーレス化が業務効率化につながる理由
それでは、なぜ業務をペーパーレス化できると効率が上がるのでしょうか。具体的な効率化内容は、システムや運用によって変わるため、一般的な例を解説します。
必要な情報にすぐにアクセスできる
書類を電子化してシステム上で情報を管理することで、担当者がどの場所にいても必要な情報には自身のパソコンなどからアクセス可能になります。
物理的な移動が不要になるだけでなく、フォルダ管理やキーワード検索を活用して、必要な情報まで即座にアクセスできます。
情報共有が容易になる
離れた場所にいる相手も、同じシステムにアクセスできれば、情報共有に時間がかかりません。
情報更新がリアルタイムで反映される
指示内容に変更があった場合も、システム上でリアルタイムで最新の指示内容を関係者全員が確認できます。
紛失・記入ミスのリスクを削減できる
情報がシステム上に蓄積されるので、紛失のリスクはありません。情報はキーボードなどを使ってパソコンに入力するため、一定のタイプミスは発生しますが、書き損じや誤字・脱字は手書きよりも格段になくなります。
データを用いた業務改善が可能になる
業務データが自動的にシステムへ蓄積・集約されます。そのため、どのプロセスが効率的に稼働しているか、どこにボトルネックがあるかなどを容易に把握でき、業務改善のヒントが得られやすいです。
このようにペーパーレス化を推進することで、無駄な作業を減らし、業務を効率化することが可能になります。
ペーパーレス化を推進できない要因
前述のようなメリットをもたらすペーパーレス化ですが、以下のような場合、なかなか推進できないことがあります。
既存の作業スタイルへの信頼感がある
「伝票を手渡しする」「手書きで指示書を作成する」といった作業スタイルへ強い信頼感を持つ方もいらっしゃいます。「確実に受け取ったことを確認する」安心感や、長年の経験で培われた手作業への愛着が、新たなデジタル手法への抵抗感を生んでいることがあります。
現状維持の思考が発生してしまっている
「完璧でなくとも、いま問題なく業務は回っている」と捉える方もいらっしゃいます。その場合、明確な問題点に対する改善はあっても、さらなる効率化の追求へは目が向かないことがあり得ます。
ステークホルダーとのIT環境の整合性が必要
顧客や協力会社が、必ずしも自社と同等のIT環境を整えられるわけではありません。取引先と紙を前提としたやり取りが残る中、一部だけをデジタル化しても情報共有がスムーズに進まないため、全体としてのペーパーレス化が滞る要因となります。
一時的な混乱への躊躇
ペーパーレス化は移行期や開始当初は、業務プロセスが変わることで現場は一時的に混乱することがあります。そのため、システムの投資判断を躊躇するケースが少なくありません。
組織的な戦略やスキルの不足
経営層などから現場に対して「DX化で競争力を高める」という明確な戦略が共有されていないと、組織的な推進力が生まれず、導入が先送りされてしまうことが考えられます。また推進する上で必要なDXに関するスキルを持った人材がいないと、同じく推進力が生まれません。
ペーパーレス化がもたらす競争優位性
前項で「DX化で競争力を高める」という戦略について触れましたが、DXの推進は自社の競争優位性を高めます。DXの初歩ともいえるペーパーレス化を推進するだけでも以下のような優位性をもたらします。
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コスト削減
ペーパーレス化により印刷や転記、発送作業などのムダな作業を削減できます。これにより人件費や印刷費といったコスト削減につながります。
業務スピードの向上
ペーパーレス化により情報への検索や共有のスピードが上がり、リードタイム短縮やトラブル対応の迅速化が可能です。
売上拡大の機会創出
業務効率化は、コスト削減や業務スピードの向上だけでなく売上拡大にも寄与することを忘れてはいけません。
たとえば以下グラフについて、上段は1日30回の配車業務を行っている配車担当の1日を例示したものです。事務作業に多くの時間を取られていることがわかります。
一方、下段は配車受発注・管理サービスのMOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)を用いて、配車を行う場合の1日です。事務作業の時間を削減し、新たに生まれた時間で求貨求車を行ったり、新規開拓などの売上拡大を狙うことが可能です。
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環境負荷軽減への貢献
使用する紙の枚数削減は森林資源保護やCO2排出量削減に直結します。企業としての環境対策が求められる現在、環境負荷軽減への取り組みはブランディングにも寄与します。
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ペーパーレス化するデメリットや推進する上での障壁
ペーパーレス化は、全社的に多くのメリットをもたらしますが、一定のデメリットも発生します。
新システムの導入コスト
新システム導入には少なからずコストが発生します。削減できる人的コストと比較し、整合性を検証しましょう。
既存システムとの非互換性
既存の業務ソフトや取引先システムとの連携が難しい場合、カスタマイズや中間システム導入、API連携などが必要となり、時間とコストが増大します。
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学習コスト・慣れによる抵抗
現場は新しい操作やインターフェースに慣れる必要があり、当初は一時的な効率悪化やストレスが発生します。
現場からの反発
慣れている業務プロセスからの移行は、現場からの反発も考えられます。丁寧に、移行後のメリットを説明することが重要です。
法的要件や監査対応
電子データの法的有効性や保存要件が曖昧だと、税務・監査面で問題が生じます。電子帳簿保存法への対応など、関連法規理解と準備が欠かせません。
取引先との足並み調整
取引先が紙を好む場合、自社だけデジタル化しても効果が限定的です。足並みを揃えて、標準化を進める取り組みが求められます。
システム障害時のリスク
業務がオンラインに依存することになるため、システム障害やネットワークトラブルが業務停止を招く恐れがあります。バックアップ対策や代替手段の用意が不可欠です。
ペーパーレス化を円滑に進めるためにすべきこと
ペーパーレス化を推進するためには、以下のような取り組みを行うと良いでしょう。
現場ニーズのヒアリング
現場担当者の声を吸い上げることで、実務に適したシステムを選べます。要望を反映すれば導入後の抵抗感が減り、スムーズな定着が期待できます。
スクラッチ開発とSaaS導入を選択する
システムを導入する際、「スクラッチでシステムを開発するべきか、それともSaaSを導入するべきか」とお悩みの方もいるかもしれません。
物流システムにおいては、SaaS導入の方がメリットがあることが多いですが、自社に最適な方法を選択しましょう。
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2024.11.29
同じ内容の資料は以下からダウンロードすることも可能です。
段階的なトライアル導入
一部工程から試験的にペーパーレス化を進め、問題点や改善策を洗い出します。このステップを踏むことで、大規模展開時の失敗といったリスクを低減できます。
操作研修の実施
新システムの操作方法を丁寧に指導し、マニュアルや動画を用意します。現場が使い方を理解すれば、トラブル発生時も自力で解決しやすくなります。
FAQ整備・サポート体制
よくある質問に対するFAQを整え、問い合わせ窓口を設置します。疑問や不安をすぐ解消できる環境が定着を後押しし、心理的ハードルを下げます。
物流事業者がペーパーレス化に成功した事例
鴻池運輸
鴻池運輸は、MOVO Vistaの導入により、Excelへの入力作業や依頼書作成・更新、FAX送受信などの事務作業が不要になり、配車担当者の業務が効率化しました。そして、車両手配におけるFAXの送受信が、 1カ月あたり約1,500枚からゼロに削減できました。
鴻池運輸の事例は以下からご覧いただけます。
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物流事業者や運送会社がペーパーレス化 するならMOVO
本記事では、物流事業者や運送会社がペーパーレス化を推進するメリットや、を解説しました。
なお、Hacobuでは「運ぶを最適化する」をミッションとして掲げ、物流DXツールMOVO(ムーボ)と、物流DXコンサルティングサービスHacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)を提供しています。
物流現場の課題を解決する物流DXツール「MOVO」の各サービス資料では、導入効果や費用について詳しくご紹介しています。
トラック予約受付サービス(バース予約システム) MOVO Berth
MOVO Berth(ムーボ・バース)は、荷待ち・荷役時間の把握・削減、物流拠点の生産性向上を支援します。
動態管理サービス MOVO Fleet
MOVO Fleet(ムーボ・フリート)は、協力会社も含めて位置情報を一元管理し、取得データの活用で輸配送の課題解決を支援します。
配車受発注・管理サービス MOVO Vista
MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)は、電話・FAXによるアナログな配車業務をデジタル化し、業務効率化と属人化解消を支援します。
物流DXコンサルティング Hacobu Strategy
Hacobu Strategyは、物流DXの戦略、導入、実行まで一気通貫で支援します。
著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuのマーケティング担当
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