物流効率化法における特定事業者への行政処分と罰則を解説

目次
特定事業者に求められる義務
物流効率化の基本的な考え方
物流効率化法の改正により、すべての荷主や物流事業者に「物流効率化」の努力義務が課せられました。物流効率化とは、主に以下の2点を指します。
物流効率化に適切に取り組んでいるかの判断基準についての詳細は以下の記事で解説しています。
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特定事業者への義務とは
一定の基準を超える荷主や物流事業者は「特定事業者」に指定され、物流効率化に関して以下の内容が義務化されました。
- 中長期計画の提出
- 中長期計画に対する定期報告
特定事業者に課せられた義務についての詳細は以下の記事で解説しています。
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それでは、以降にて特定事業者に対する行政の監視・指導権限とその遵守の重要性を解説します。
特定事業者への行政指導・勧告・命令と罰則
すべての事業者への指導・助言
そもそも各事業所管大臣は、荷主や物流事業者が物流効率化に適切に取り組めるよう、必要な指導や助言を行う権限を持っています。そのため、特定事業者ではない事業者に対して、取り組みが判断基準を満たしていない場合、事業所管省庁が指導・助言を行う場合があります。
特定事業者への行政処分(勧告・命令)と罰金
特定事業者については、物流効率化の取り組みが判断基準を著しく満たしていない場合、事業所管省庁が取り組みを推進する旨を勧告する場合があります。勧告に従わなかったときはその旨が公表され、さらに、正当な理由なく取り組みを推進しなかった場合は、取り組みをするよう命令されることがあります。なお、命令に違反したときには、100万円以下の罰金が科せられます。

特定事業者への報告徴収・立入検査とその重要性
特定事業者指定・取消しと行政調査
行政は、特定事業者の指定及びその取消しを行うために、すべての事業者から報告を徴収したり、物流拠点などに立入検査を行う場合があります。要請があった場合には、適切に報告や検査を受け入れるべきでしょう。

報告・検査における罰則
また、特定事業者に対しては、前述の勧告・命令を行うために、報告を徴収したり、物流拠点などに立入検査を行う場合があります。
なお、特定事業者が規定による報告をしなかったときや、虚偽の報告をしたとき、検査を拒んだり妨げた場合、50万円以下の罰金が科せられる場合があります。

行政処分や罰則を科せられないために、すべての荷主や物流事業者がすべきこと
法令の内容を正確に理解する
物流効率化法は、日本の物流が直面する課題に対応し、持続可能な物流システムを構築するために制定されました。この法の目的や特定事業者制度の趣旨を深く理解することが、適切な対応の第一歩です。国土交通省の公式情報や関連するセミナー、ガイドラインなどを活用し、常に最新の情報を入手しましょう。
物流効率化への取り組みを計画的に実行する
努力義務が課せられているすべての事業者、そして特定事業者に指定された場合は、具体的な計画に基づき、荷待ち・荷役時間の短縮や積載効率の向上といった物流効率化の取り組みを推進することが重要です。中長期計画の策定とその着実な実行、そしてその進捗を定期的に確認し、改善していくPDCAサイクルを回すことが求められます。
行政への報告・検査に誠実に対応する
行政からの報告徴収や立入検査の要請があった際には、迅速かつ誠実に対応することが不可欠です。正確な情報の提供と検査への協力は、事業者の法令遵守意識を示すだけでなく、行政との良好な関係構築にもつながります。不備や改善点が見つかった場合には、真摯に受け止め、改善に向けて取り組む姿勢が大切です。
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