更新日 2026.03.12

白ナンバートラックの摘発事例 – 罰則や企業・個人事業主がすべき対策を解説

白ナンバートラックの摘発事例 – 罰則や企業・個人事業主がすべき対策を解説

近年、物流業界では白ナンバートラックによる違法な有償運送が問題視されており、摘発件数も増加傾向にあります。2026年4月の改正貨物自動車運送事業法施行により、荷主企業にも是正指導が及ぶ枠組みが整備され、「知らなかった」では済まされない環境へと変化しています。本記事では、白ナンバートラックの摘発事例や罰則の内容、そして企業・個人事業主が講じるべき具体的な対策について、物流DXパートナーのHacobuが解説します。

なお、荷主や元請け事業者が白トラ摘発対策をするなら、配車受発注・管理サービス MOVO Vistaがおすすめです。実運送体制管理簿の作成から取引構造の可視化まで、属人的な確認作業に頼らずリスクの高い取引をデータで早期に特定し、白トラ利用を未然に防ぐ管理体制の構築を支援します。

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白ナンバートラックとは

白ナンバートラック(以降白トラ)とは、自家用として登録された車両、いわゆる白地ナンバーで運行されるトラックを指します。結論から言うと、白ナンバー車両で他社の荷物を対価を得て運ぶ行為は無許可の有償運送として違法となり得ます。荷主企業としては「コストが安い」「急ぎに対応できる」といった理由だけで委託先を選定すると、意図せず違法運送に関与してしまうリスクがあるため注意が必要です。白トラは、外観だけでは自社貨物の運搬か違法な有償運送かを見分けにくく、摘発が難しいとされています。その一方で、監視・指導体制の強化が進んでおり、荷主側の責任も問われる方向に制度が動いています。そのため、荷主企業は委託先の適法性を確認し適正な運送体制を構築することが求められています。

白ナンバーと緑ナンバーの違い

白ナンバーと緑ナンバーの違いは、運行の位置づけが「自家用」か「事業用」かにあります。荷主企業の実務では、運送契約の前提として、委託先が適法に有償運送を行える体制かを確認することが重要となります。

比較項目白ナンバー(自家用)緑ナンバー(事業用)
主な用途自社の貨物を自社のために運ぶ他社貨物を有償で運ぶ(営業用)
許可の考え方自家用の範囲内での運用が前提有償運送を行うための許可・体制が前提
荷主側のリスク発注・取引設計が不十分だと違法運送に巻き込まれる恐れがある許可条件や体制の確認を前提に取引管理がしやすい

白ナンバートラックを巡る問題が深刻化している背景

白トラ利用が続く背景には、物流現場のひっ迫と、短納期や低コストを求める取引慣行が複合的に影響している点があります。たとえば、正規の運送会社に依頼したいものの、労働時間や料金との兼ね合いで対応が難しく、「都合よく動いてくれる」白トラに頼ってしまう構図があると指摘されています。また、白トラは外部からの判別が難しいため、摘発されにくいという認識が温存されやすいです。

しかし、一方で同業他社からの通報や監視体制の強化により、摘発件数は増加傾向にあるとされています。2025年の6月に貨物自動車運送事業法の改正があり、白トラを利用する荷主にも「是正指導」が入ることになりました。国土交通省の「トラック・物流Gメン」の指導体制も、白トラを利用する荷主への防止働きかけにつながっています。こうした法制度の整備により、荷主企業は「知らなかった」では済まされない環境に変化しており、事前の対策が不可欠になっています。

トラック新法により白ナンバートラックの摘発が増加している

2025年6月、ドライバーの処遇改善と物流業界の構造転換を目的とした「トラック新法(トラック適正化二法)」が公布されました。この二法は、①貨物自動車運送事業法の改正と②適正化推進のための関連法から構成されます。

①の貨物自動車運送事業法の改正では、「不健全な事業者の淘汰」を実現するための仕組みが整備されました。具体的には、これまで一度取得すれば更新不要だった事業許可を5年ごとの更新制へ移行し、基準を満たさない事業者が市場に居座れなくなる制度設計が導入されます。さらに、白トラへの運送委託を禁止するとともに、委託した荷主にも罰則を適用する枠組みが盛り込まれました。つまり、事業者の質を底上げするという法の主旨から自然と、白トラ規制の強化へとつながる構造になっています。

②の適正化関連法では、独立行政法人の創設や物流施策推進会議の設置といった制度基盤が整備されました。

違法な白トラ運送に関わった荷主は、国土交通省による行政処分だけでなく、社名の公表対象にもなり得ます。違反が公になれば企業ブランドへのダメージは計り知れず、取引先・顧客との信頼関係にも深刻な影響を及ぼしかねません。地方運輸局が違反の疑いを把握した際には国土交通大臣への報告が義務化されており、監視の目は全国規模で強まっています。

参考:【2025年6月成立】貨物自動車運送事業法の改正内容の要点を解説

白ナンバートラックの摘発事例

摘発事例は、典型的には「白ナンバー車両が、他社の荷物を対価を得て運搬していた」といった無許可の有償運送が疑われるケースで発生します。摘発の入口は、事故後の調査で実態が判明する場合に加え、同業他社からの通報や監視体制の強化により発覚する場合もあるとされています。

事例1:違法に名義を変え、土砂を運んでいた白トラ業者が大阪・関西万博会場にも潜入

白ナンバートラックの摘発は世界的な大型イベントでも起こっています。2025年に開催された大阪・関西万博の工事現場では、正規業者から違法に名義を借りて土砂を運んでいた複数の白ナンバートラック業者が摘発されました。運転手らには2021年以降に総額約5億円の運賃が流れたとみられています。世界最大級のイベント会場においても白トラの問題は無縁ではなく、正規の許可を持たない業者が建設現場に入り込んでいた実態が明らかになりました。警察は監視を強めているものの、企業が自社の商品を白ナンバーの車両で運ぶのは認められており、外見上で判断できないのも摘発が難しい理由です。この事例は、大規模プロジェクトにおいても白トラ業者の潜入を防ぐことが容易ではないことを示しており、発注者側の管理体制の重要性が浮き彫りになっています。

出典:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE16APJ0W5A410C2000000/

事例2:豊洲市場で青果を運搬していた白トラ業者が同業者からの通報により摘発

世界最大級の公設市場として知られる豊洲市場でも白トラの出入りが判明しました。2024年12月に警視庁が摘発した業者は、豊洲市場で売買された青果を千葉県のスーパーへ輸送しており、2020年から2024年にかけて数億円を売り上げ、さらに約2300万円の仲介料を手にしていたとされています。この摘発は、白ナンバートラックが市場に頻繁に出入りしていることに対し、正規の運送業者から警視庁に苦情が寄せられたことがきっかけでした。

市場のように車両の出入りが多い場所では白トラが紛れ込みやすく、全体像の把握が困難とされています。この事例は、外見上の判別が難しい白トラが大規模な流通拠点においても不正に利用されている実態を浮き彫りにするとともに、同業者からの通報によって摘発に至るケースが増えていることを示しており、荷主側の取引先管理の重要性が改めて問われています。

出典:https://www.yomiuri.co.jp/national/20241203-OYT1T50230/

事例3:家具などを有償運送していた「白トラ」事業者が情報提供をきっかけに逮捕

2025年3月、北海道で許可なく家具などの運送を有償で請け負っていた、いわゆる「白トラ」行為について、運送会社経営者が貨物自動車運送事業法違反の疑いで逮捕されたと報じられています。報道では、警察への情報提供が端緒となり、捜査・逮捕に至ったとされています。この事例は、外観だけでは判別しにくい白トラであっても、周辺からの情報提供や監視強化を通じて摘発につながり得ることを示しています。荷主企業としては、急ぎ対応や価格だけで委託先を選ばず、許可の有無や運行体制を確認できる運用を仕組み化することが重要です。加えて、委託先から提示された許可情報を保管するだけでなく、更新や変更の有無を定期的に確認できるフローを整備することが重要です。たとえば、協力会社の登録情報を台帳化し、取引開始時と継続取引の節目でチェックする運用にすると、属人的な判断を減らせます。緊急対応が発生しやすい現場ほど「例外運用」が常態化しやすいため、例外時の承認ルールと記録まで設計しておくとリスクを抑えられます。

出典:違法“白トラ”で36歳会社経営の男を逮捕「無許可の白ナンバートラックで運送業を行った」許可を得ずに家具などを有償運送か(HBCニュース北海道)

白ナンバートラックで違反した場合の罰則

白ナンバートラックの違法運送は、運送を行った側だけでなく、依頼した荷主側にも指導や命令、罰金といった形で影響が及ぶ可能性があります。加えて、取引停止や信用毀損、オペレーションの崩れといった二次被害が、実務上はより大きな問題になります。

白ナンバートラックに運送依頼をした荷主側の罰則

白ナンバートラックに運送を依頼した側(荷主・元請けなど)は、行為態様や関与の度合いに応じて要請などの行政処分や100万円以下の罰金が科せられる可能があります。

これらに加えて、違法運送への関与が発覚すると、取引先からの信用失墜、取引停止、オペレーションの崩れといった二次被害が実務上大きな問題になり得ます。

白ナンバートラックで違法運送を行った事業者側の罰則

無許可で運送業を営んだ場合、違反を行った当事者には「懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金が科せられる可能があります。その両方が同時に科される場合もあります。

加えて、一度刑事罰が確定すると、刑の終了から5年間は事業許可の欠格要件に該当します。その間、正規の緑ナンバー取得を申請することはできず、有償運送での営業継続が法律上不可能となるため、事実上の廃業を余儀なくされるケースも少なくありません。

見落とされがちなリスクとして、無許可運送中の事故・トラブルへの対応があります。自家用車両扱いの白ナンバーには、事業用途を前提とした保険が適用されないため、万一の際に補償を受けることができません。結果として、損害賠償の全額を個人または事業者が自己負担で抱えることになります。また、取引先からの信用失墜、契約解除といった二次的なダメージも大きい点に注意が必要です。

白ナンバートラックで摘発されないためにできる対策

荷主企業が取るべき対策は「違法運送を依頼しないための仕組み化」です。担当者の注意だけに依存すると抜け漏れが発生するため、委託先選定や契約、発注さらに運行実績管理までを一連で整備することが重要です。

実運送体制管理簿の開示請求

実運送体制管理簿は元請け事業者に作成が義務付けられた、荷主企業が委託した運送業務の実態を把握し、適法性を確認するための重要な管理書類です。

元請け事業者はこの管理簿を作成することで、「実際に誰が運送を担当しているのか」「契約上の委託先と実運送事業者が一致しているか」といった点を明確にできます。

白ナンバートラックは外観からの判別が困難なため、書面やデータによる裏付けを残すことが不可欠です。実運送体制管理簿の整備により、違法運送への関与リスクを低減し、元請け事業者としての管理責任を果たすことができます。

また荷主事業は元請け事業者に対して、実運送体制管理簿の開示請求権があります。実運送体制管理簿を継続的に点検することで、委託先の状況変化や再委託の実態を早期に把握し、適切な是正措置を講じることが可能になります。

実運送体制管理簿とは | 作成義務化の背景や対象、要件、項目などを解説。よくある質問にも回答

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2026.02.25

委託先の体制を適正に管理する

委託先の適正管理では、契約締結時だけでなく、運用開始後も継続的に状況を点検する必要があります。価格や緊急対応の要請が強い現場ほど、適法性の確認が後回しになりがちなため、社内統制として運用に落とすことが重要です。内部監査の観点では、運送契約の相手方と実運送が一致しているか、再委託の実態が把握できているか、不自然に低い料金や請求形態がないかといった点を、定期的に確認できる仕組みが有効です。白ナンバートラックは「ばれにくい」という認識が温存されると再発しやすいため、監査や教育を通じて、組織としてリスク認識を更新し続ける必要があります。

個人事業主の場合も白ナンバートラックでの有償運送は違法となる

個人事業主であっても、白ナンバートラックで他社の荷物を有償で運送する行為は違法となりえます。(一部特例を除く)この判断基準は法人・個人の区別ではなく、「自家用としての利用範囲を超えているかどうか」です⁠。具体的には、報酬を受け取って他社貨物を運ぶ実態があれば、契約形式が業務委託や請負であっても、運賃に相当する対価を得ている以上、違法と判断される可能性があります⁠。 白ナンバーで自社製品などを運ぶのは問題がないですが、有価運送事業を行うには、事業用ナンバー(緑ナンバー)の取得が必須です⁠。白ナンバーのまま事業を始めると、後から適法化する際のコストが増大するだけでなく、過去の取引履歴も含めて信用上のリスクを抱えることになります⁠⁠。

個人事業主が取るべき対応

個人事業主が白ナンバートラックで違法運送とみなされないためには、まず自身の運送形態が「報酬を得て他社の荷物を運ぶ」実態になっていないか、契約書だけでなく実際の業務内容を確認する必要があります⁠。業務委託契約や請負契約という名目であっても、実質的に運賃に相当する対価を受け取って運送している場合は違法と判断される可能性があります⁠。

違法とみなされるケースは、契約形式にかかわらず「有償性」と「他人の需要」という2つの要素が揃った時点で成立すると考えられます。たとえ少額でも、継続的に他社貨物を運んで報酬を得ていれば、貨物自動車運送事業法違反となる可能性が高まります。適法に事業を継続するには、一般貨物自動車運送事業の許可を取得し、緑ナンバーでの運用体制を整えることが現実的な対応となります⁠。

白ナンバートラックの通報先

白ナンバートラックが疑われる場合の情報提供先としては、各地域を管轄する運輸支局または運輸監理部が挙げられます。制度の概要や施行時期については、国土交通省からの周知文書でも整理されています。違法運送の疑いがある場合、これらの窓口に情報提供することで、行政による調査が開始されます。 通報後の流れとしては、まず運輸局が情報収集を行い、実態調査や事実確認を実施します。違反の有無を慎重に判断した上で、違法性が認められた場合は段階的な対応が取られます。具体的には、まず是正指導が行われ、改善が見られない場合は勧告・公表へと進みます。さらに改善されなければ命令が発せられ、命令違反には罰金などの刑事罰が科される可能性があります。 通報の仕組みが整備されていること自体が、監視体制の強化を示しており、荷主側としては「通報され得る取引」を作らないことが重要です⁠。取引や発注記録が残っていないと社内調査や是正にも時間を要するため、平時から証跡管理を徹底しておくことが求められます⁠⁠。

荷主・元請けが「白トラ摘発対策」をするならMOVO Vista

協力会社への配車ガバナンスを強化できる配車受発注・管理サービス MOVO Vistaは、実運送体制管理簿の作成機能はもちろん、案件ごとにどの運送会社へ依頼したかの履歴を自動で蓄積します。さらに、取引構造を可視化するダッシュボードにより、どの配送案件でイレギュラー便が多発しているか、また下請け階層が深くなりやすい運送会社はどこかを一目で把握することができます。属人的な確認作業に頼らず、リスクの高い取引をデータで早期に特定し、白トラ利用を未然に防ぐ管理体制の構築を支援します。

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まとめ

白ナンバートラックは自家用として登録された車両であり、他社の貨物を対価を得て運ぶ行為は、原則として無許可の有償運送として違法となります。外観から判別が難しいという特性から長らく摘発が困難とされてきましたが、実際の摘発事例が相次いでおり、荷主の共謀を認定した逮捕事例も出ています。

2025年6月に公布されたトラック新法(貨物自動車運送事業法の改正)では、白トラへの委託禁止と荷主への罰則適用が盛り込まれ、2026年4月の施行により「知らなかった」では済まされない法的環境が整いました。違法運送への関与が発覚した場合、荷主側には行政処分や100万円以下の罰金が科せられる可能性があるほか、取引停止・信用毀損といった二次被害も生じ得ます。

荷主企業・個人事業主が取るべき対策は、担当者の注意に依存しない「仕組み化」です。具体的には、実運送体制管理簿の開示請求による委託先の適法性確認、契約・発注・運行実績管理までの一連の整備、そして定期的な内部監査が有効です。白ナンバートラックが疑われる場合は、運輸支局・運輸監理部へ情報提供することで行政による調査につなげることができます。

MOVO Vistaのような物流DXツールを活用することで、取引先情報・運行実績・実運送体制管理簿をデータとして一元管理し、属人的な確認作業に依存しない持続可能な管理体制を構築することが、違法運送への関与リスクを最小化するための有効な手段となります。

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。 >>プロフィールを見る

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