【プロが解説】フォークリフト事故の安全対策7選|現場目線での原因から成功事例まで
「現場でフォークリフトのヒヤリハットが絶えない」
「重大な事故を防ぐための具体的な対策を知りたい」
そうお悩みの安全管理者の方も多いのではないでしょうか。
フォークリフトは物流現場に欠かせない便利な機器である反面、一歩間違えれば人命に関わる重大な労働災害を引き起こす危険性があり、企業の信頼失墜や経営リスクにも直結しかねません。
本記事では、物流現場の安全責任者を務めた筆者が、フォークリフト作業における事故の型や現場で起こりがちな原因、すぐに実践できる具体的な安全対策7選をご紹介します。さらに、システム導入によって安全確保に成功した企業の事例についても詳しくお伝えします。
ぜひ最後までお読みいただき、事故によるリスクを減らし、貴社の従業員の命と安全を守るための参考にしてください。
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目次
フォークリフト作業における4つの事故の型
この章では、フォークリフト作業現場で発生しやすい4つの代表的な事故の型について解説します。
- プラットホームや高所からの転落・墜落
- マストやヘッドガードへの挟まれ・巻き込まれ
- スピード超過や過積載による車両の転倒
- 死角や動線が重なる地点での他車両・作業員への激突
プラットホームや高所からの転落・墜落
フォークリフトの事故の中でも、死亡や重傷といった重大な労働災害につながりやすいのが転落や墜落です。
トラックへの積み降ろしを行うプラットホーム(トラックバース)の段差から、バック走行時に誤ってフォークリフトごと落下してしまうケースなどが挙げられます。また、フォーク(爪)の上にパレットを乗せ、その上に作業員が乗って高所作業を行った結果、バランスを崩して墜落してしまう事故も少なくありません。
マストやヘッドガードへの挟まれ・巻き込まれ
フォークリフト特有の構造によって引き起こされるのが、可動部への挟まれや巻き込まれの事故です。
運転席の前方にあるマスト(支柱)と車体の間に手や頭を挟まれたり、ヘッドガード(屋根部分)と荷物の間に挟まれたりする危険性が潜んでいます。
これらの事故は、車両の点検中や、荷物の状態を少し確認しようと運転席から身を乗り出した一瞬の隙に発生することが多い傾向にあります。
スピード超過や過積載による車両の転倒
車両の転倒は、運転者の操作ミスや安全ルールの違反によって起こりやすい事故の一つです。
規定以上の重さの荷物を無理に運ぼうとする”過積載”の状態で走行したり、スピードを出したまま急なハンドル操作を行ったりすると、遠心力で車体のバランスを崩してしまいます。
また、荷物を高く持ち上げた状態での走行も、重心が高くなり非常に不安定になるため危険です。
死角や動線が重なる地点での他車両・作業員への激突
物流現場で頻繁に発生するのが、歩行中の作業員や他のフォークリフト、あるいはラックなどの設備への激突(接触)事故です。
フォークリフトは、積載する荷物の大きさによって前方の視界が大きく遮られ、死角が生まれやすいという弱点があります。さらに、通路の曲がり角や出入り口などで、人とフォークリフトの動線が交差していると、出会い頭の衝突リスクは一気に高まります。
次の章では、「これらの事故はなぜ起こる?」という疑問について、安全責任者の経験を基にお伝えします。
【安全責任者目線】フォークリフト事故が起きる原因

この章では、安全責任者としての現場経験を踏まえ、フォークリフト事故を引き起こす根本的な原因について解説します。
- 荷物の待機や業務過多による「現場の焦り」
- 作業の慣れが生む危険な「だろう運転」
- 人手不足に伴う作業員への教育時間の不足
荷物の待機や業務過多による「現場の焦り」
フォークリフト事故の原因のひとつとして、最も多く挙げられるのが”焦り”です。
筆者自身、これまで多くの事故処理に携わってきましたが、事故を起こした作業員のほとんどが、要因の一つとして「急いでいた」「焦っていた」と口にしていました。トラックの到着遅れによる荷待ちや、想定以上の物量による業務過多は、現場のスケジュールを大きく狂わせます。
その遅れを取り戻そうとするプレッシャーが、スピードの出しすぎや安全確認不足といった危険な行動を誘発してしまうのです。
焦りは注意力や冷静な判断力を奪うため、重大な事故を引き起こす最大の引き金になります。
作業員の焦りを排除する方法のひとつに、トラック予約受付システムの導入があります。入出庫をコントロールし作業を平準化することで、作業員が慌てない、焦らない、ムダがない現場を作ります。荷待ち解消以外でも有効なトラック予約受付システムの活用方法について気になる方は、以下のリンクをクリックし資料をご覧ください。
資料「荷待ちが発生していない物流拠点でもバース予約システムを導入すべき理由とは?」をダウンロードする
作業の慣れが生む危険な「だろう運転」
日々の作業に対する”慣れ”から生じる気の緩みや、”だろう運転”も重大な事故の原因になります。
たとえば、フォークリフトで貨物が積んであるパレットを運ぶ場合、本来であれば視界を確保するために”バック走行”をするのが基本ルールです。
しかし、運転操作に慣れてくると「前進でも少し横から覗き込めば見えるだろう」「この通路には誰も来ていないだろう」と自己判断し、基本ルールを破って前進走行してしまう作業員が出てきます。
こうした「誰もいないだろう」「何もないだろう」という根拠のない思い込みは、死角からの飛び出しや障害物への激突など、取り返しのつかない事故につながる危険性が高い行動です。
人手不足に伴う作業員への教育時間の不足
物流業界全体が抱える深刻な人手不足も、現場の事故リスクを高める大きな要因です。
筆者が責任者を務めていた現場も例外ではなく、常に人員不足に悩まされていました。ギリギリの人数で日々の業務をこなすのに精一杯となってしまい、新しく入ってきた作業員に対して、しっかりとしたOJTなどの安全教育を行う時間を確保できないケースが多々あります。
フォークリフトの特性や現場特有の危険箇所、安全ルールを十分に理解しないまま、いきなり実務に就かせてしまえば、当然ながら事故率は跳ね上がります。安全を担保するための”教育”が後回しになってしまう環境そのものが、現場にとって危険な状態なのです。
物流業界における人手不足の現状や、具体的な解決策について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
物流業界で人材不足の原因とは?解決策や人手不足解消の成功事例を紹介
「なぜ物流…
2026.01.26
次の章では、「では具体的にどうすれば事故を防げる?」という疑問にお答えします。
現場で実施すべきフォークリフトの安全対策7選

この章では、現場ですぐに実践できるフォークリフトの具体的な安全対策を7つご紹介します。事故を未然に防ぐための参考にしてください。
- フォークリフト安全4原則の遵守
- 歩車分離による安全な作業動線の確保
- ドライブレコーダーや接近検知システムの導入
- 始業前点検と定期整備の確実な実施
- 荷物落下を防止する積み付けルールの徹底
- ヒヤリハット報告を促進する安全風土の醸成
- システム導入による作業態勢の整備
フォークリフト安全4原則の遵守
フォークリフトを安全に運用するための基本として、以下の”安全4原則”の遵守が重要です。
- 走行速度10km/h以下
- 基本はバック走行
- 停止表示の遵守
- 死角の安全確認
筆者の経験として、”速度制限”を厳格に守らせた結果、作業員から「スピードを出さないことで焦りがなくなり、落ち着いて作業できるようになった」という声が多く挙がりました。
精神的なゆとりを持たせる意味でも、基本ルールの徹底は効果的です。
歩車分離による安全な作業動線の確保
人とフォークリフトの接触事故を防ぐためには、作業動線を明確に分ける”歩車分離”が不可欠です。
人と車両が同じ通路を混在して通行していると、死角からの飛び出しなどによる激突事故のリスクが高まります。
筆者が勤めたことのある大手EC企業の物流センターでは安全対策が徹底されており、緻密な歩車分離の設計によってフォークリフトと歩行者の接点を最小限に抑えていました。
具体的には、床にラインテープを引いて専用通路を設けたり、物理的なガードレールや柵を設置するなどの方法です。
ルールによる注意喚起だけでなく、物理的に接触しない環境を整えることが、もっとも確実な安全対策といえます。
ドライブレコーダーや接近検知システムの導入
人の目や注意力を補完する意味で、テクノロジーを活用した機器の導入は有効な手段です。
たとえば、ドライブレコーダーを搭載することで、事故発生時の原因究明はもちろん、日常的な危険運転の抑止や安全指導の教材としても活用できます。
また、AIカメラを用いて人と車両の接近を検知し、警報音で知らせる『接近検知システム』などを導入すれば、確認不足を補うことが可能です。
従業員の命を守るための投資として、最新のソリューションを積極的に取り入れる企業が増えています。
始業前点検と定期整備の確実な実施
フォークリフトの予期せぬトラブルや故障による事故を防ぐために、日常的な点検と定期整備を必ず実施しましょう。
タイヤの摩耗、ブレーキの効き具合、ツメやマストの異常などを始業前にチェックすることは、法律でも義務付けられています。
実際に筆者は、始業前のホイールナットの点検でナットの緩みに気付いたことがあります。症状としては軽微なものでしたが、もし何週間も放置していたらどうなっていたかと思うと背筋が凍る思いでした。
機械的要因による事故は日々のメンテナンスで発生率を下げることができるため、点検を怠らないという当たり前の習慣を現場に根付かせることが大切です。
荷物落下を防止する積み付けルールの徹底
荷物の落下や荷崩れを防ぐためには、パレットへの正しい積み付けルールの徹底が必要です。
偏った積み方や、固縛が不十分な状態で運搬すると、走行中の振動や急ブレーキで荷物が崩れ落ち、周囲の作業員を巻き込む大事故につながりかねません。
”重いものは下、軽いものは上”といった基本原則や、正しいはいの組み方を守り、必要に応じてストレッチフィルムや荷崩れ防止バンドを適切に使用しましょう。
安全な積み付けは、現場の安全だけでなく、商品事故を防ぐ品質管理の面でも重要です。
ヒヤリハット報告を促進する安全風土の醸成
重大な事故を未然に防ぐためには、ヒヤリハット報告の活性化が欠かせません。
”ハインリッヒの法則”によると、小さな事故を減らすことが、結果的に大事故の未然防止につながるとされているからです。
※現場の安全改善に役立つ”ハインリッヒの法則”について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
ハインリッヒの法則とは?1:29:300の意味と倉庫の安全改善への活かし方を解説
ハインリッ…
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ただし、報告することで「怒られるかもしれない」と作業員が感じてしまうと、重要な情報は上がってきません。
報告者を責めるのではなく「危険を知らせてくれてありがとう」と称賛し、現場全体で報告がポジティブな行為であるという安全風土を醸成していくことが、事故防止につながります。
システム導入による作業態勢の整備
事故を減らすための安全対策として、作業態勢そのものを整備し、現場の負担を軽減することも重要です。その方法のひとつとして、システム導入が挙げられます。
たとえば、システムを活用した計画的な入出庫によって荷繰りの手間を減らし、業務を平準化できれば、ムダな作業が減り「慌てて作業する」という状況自体を予防できます。
有効なシステムのひとつが、『トラック予約受付システム』です。トラックの到着時間を分散させることで、現場に精神的・時間的なゆとりが生まれます。また、計画的な入出荷はムダな荷繰りや移動を減らし、結果として事故の削減につながります。
トラック予約受付システムでおすすめしたいのがシェアNo.1*の『MOVO Berth』です。サービス内容や解決できることが気になる方は、以下のボタンをクリックして資料をダウンロードしてご覧ください。
次の章では、実際にシステム導入で安全対策を成功させた企業事例をご紹介します。
システム導入で物流現場の事故対策に成功した事例

この章では、システムを導入し、現場の安全性確保や事故対策に成功した2社の事例をご紹介します。
- トラックの入場管理で現場から「安全を確保できるようになった」との声
- バースの使用状況を把握し、フォークリフトとトラックの動線を分離
トラックの入場管理で現場から「安全を確保できるようになった」との声
ユニリーバ・ジャパン株式会社の相模原工場では、敷地が狭く待機場がないため、周辺道路でのトラックの順番待ちや、場内での車両誘導がうまく回らないという深刻な課題を抱えていました。無秩序な車両の滞留は、接触事故のリスクを高めるだけでなく、現場の作業員にとって大きなストレスでした。
そこで、外部に待機場を設けた上で、トラック予約受付システム『MOVO Berth』を導入。入場車両の情報をデジタル化し、計画的な呼び出しを行う運用に変更しました。
その結果、場内や工場周辺に車両が滞留する状態が解消され、工場側からは「安全を確保できた」という安堵の声が上がりました。ドライバーからも「こまめに車両を動かす必要がなくなり、接触の可能性が減った」と好評で、システム導入が現場の安全性向上に直結した成功事例です。
なお、同社はトラック予約受付システム『MOVO Berth』の導入で、安全の確保だけでなく効率化も実現しています。詳細は以下のリンクをクリックし事例詳細をご確認ください。
バースの使用状況を把握し、フォークリフトとトラックの動線を分離
自動車部品メーカーの株式会社デンソーでは、1日700台もの車両が出入りする中継拠点において、アナログなバース管理に限界を感じていました。ドライバーは納入遅延を恐れるあまり必要以上の早着を繰り返し、現場の混雑を招いていました。
そこでトラック予約受付システム『MOVO Berth』を導入し、バースの使用状況をデータで可視化した結果、計画の精度が上がりドライバーの早着が激減しました。
さらに安全面において大きな効果をもたらしたのが、状況のタイムリーな把握です。遠隔からもバース状況を確認できるため、車両のバッティングを未然に回避できるようになりました。
また、ドライバーから「荷役作業時のフォークリフトの動線が他の作業と交差して危ない」と指摘があった際も、データに基づいて即座にバース位置を変更し、歩車分離などの安全対策を迅速に講じることが可能になりました。
なお、同社が導入し安全対策につなげたトラック予約受付システム『MOVO Berth』についてさらに知りたい方は、以下のリンクをクリックし詳細を確認してください。
まとめ|フォークリフトの安全対策と作業環境の改善による事故防止
本記事では、フォークリフト事故の型や起こりがちな原因、安全対策の方法を筆者の安全責任者の経験から解説しました。
フォークリフト事故の多くは、”現場の焦り”や”だろう運転”といったヒューマンエラーが引き金となります。重大な事故を未然に防ぎ、従業員の命を守るためには、以下のような多角的な安全対策を講じることが重要です。
- フォークリフト安全4原則の遵守
- 歩車分離による安全な作業動線の確保
- ドライブレコーダーや接近検知システムの導入
- 始業前点検と定期整備の確実な実施
- 荷物落下を防止する積み付けルールの徹底
- ヒヤリハット報告を促進する安全風土の醸成
- システム導入による作業態勢の整備
表面的なルールの徹底にとどまらず、作業員が精神的なゆとりを持って働ける環境を根本から整えることが、事故防止の最大の鍵となります。
『MOVO Berth』などのシステムを活用し、荷待ち時間の削減や業務の平準化を図ることは、現場の安全性を高める上で非常に有効なアプローチといえるでしょう。
本記事でお伝えした対策や事例を参考に、自発的に安全を守る組織風土を築き、貴社の安全な物流現場づくりにお役立てください。
※1 出典 デロイト トーマツ ミック経済研究所『スマートロジスティクス・ソリューション市場の実態と展望【2025年度版】』https://mic-r.co.jp/mr/03650/ バース管理システム市場のベンダー別拠点数。本調査に参加した国内主要システム6社の拠点数合計をシェア100%とした場合のシェア
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