更新日 2025.08.15

【2025年8月】物流効率化法(流通業務総合効率化法)改正の目的と企業の義務を解説

【2025年8月】物流効率化法(流通業務総合効率化法)改正の目的と企業の義務を解説

改正物流効率化法(流通業務総合効率化法)において、特定事業者に関する規制的措置を定める政令が、2025年8月5日に閣議決定されました。いよいよ、正式に特定事業者の基準や義務内容が定まり、特定事業者に値する企業におかれましては、さまざまな物流効率化に取り組む必要ああるでしょう。

本記事では、物流効率化法(流通業務総合効率化法)改正の目的と企業の義務を解説などについて、物流DXパートナーのHacobuが解説します。

物流効率化法 (流通業務総合効率化法) とは

流通業務(輸送保管、荷さばき及び流通加工)を一体的に実施するとともに、輸送網の集約やモーダルシフト、輸配送の共同化などの輸送の合理化により、流通業務の効率化を図る事業に対する計画の認定や支援措置等を定めた法律です。 国土交通省では、昨今の物流分野における労働力不足や荷主や消費者ニーズの高度化・多様化による多頻度小口輸送の進展等に対応するため、同法に基づき、2以上の者の連携による流通業務の省力化及び物資の流通に伴う環境負荷の低減を図るための物流効率化の取組を支援しています。

物流効率化法 (流通業務総合効率化法) の改正

2025年4月1日、改正物流効率化法が施行されました。同法改正では、輸送などの効率化に取り組む事業者への支援を盛り込むとともに、効率化への取り組みを荷主や物流事業者の努力義務としました。

また、一定規模以上の特定事業者には、物流統括管理者の選任や物流効率化に向けた中長期計画の策定などが義務化されます。特定事業者に関する事項は2026年4月1日に施行される見込みです。

物流効率化法 (流通業務総合効率化法) 改正の背景

物流効率化法 (流通業務総合効率化法) 改正の背景には、差し迫った物流課題があります。特に大きな要因として挙げられるのは「2024年問題」です。これは、トラックドライバーの時間外労働規制強化により生じる労働力不足と輸送能力低下の懸念であり、物流停滞が危惧されています。また、EC(電子商取引)の普及による多頻度・小口配送の増加は、物流現場の業務負担を増大させています。さらに、物流活動に伴うCO2排出量削減という環境問題への対応も喫緊の課題です。これらの複合的な問題に対処するため、荷主と物流事業者の連携を強化し、物流全体の効率化を図ることが、今回の法改正の狙いとなっています。

物流効率化法 (流通業務総合効率化法) 改正の流れ

物流革新に向けた政策パッケージ

2023年6月2日、我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議(第2回)が開催され、物流の2024年問題への対応に向け、荷主、物流事業者、一般消費者が協力して、我が国の物流を支えるための環境整備に向け、抜本的・総合的な対策として「物流革新に向けた政策パッケージ」が策定されました。この中で法改正に関する言及が行われました。

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2030年度に向けた政府の中長期計画

2024年2月、政府より2030年度に向けた物流に関する中長期計画が発表されました。ここでも法改正に関する言及が行われました。そして、政府として2030年度までに取り組む2つのKPIが定められました。それが荷待ち・荷役時間の短縮と、積載効率の向上です。この2つのKPIを達成するために、物流効率化法 (流通業務総合効率化法) の改正につながっていきます。そして、同月に物流効率化法 (流通業務総合効率化法) の改正が閣議決定されました。

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3省合同会議

2024年6月28日、3省合同会議(正式名称「国土交通省物流部会・経済産業省流通小委員会・農林水産省物流小委員会 合同会議」)の第1回会合が行われました。

国土交通省 交通政策審議会の物流部会、経済産業省 産業構造審議会の流通小委員会、農林水産省 食料・農業・農村政策審議会の物流小委員会のメンバーが委員として出席し、物流を取り巻く現状と取り組み状況や、同法施行に向けて必要な検討事項について確認し、今後の検討の進め方について話し合いが行われました。

以降、複数回の合同会議やパブリックコメントの募集などを経て、同法施行に向けて必要な事項が定まっていきました。

物流効率化法 (流通業務総合効率化法) における義務とは?

物流効率化法 (流通業務総合効率化法) における義務は、物流事業者・荷主双方に課せられます。すべての事業者には物流効率化への努力義務があり、特に一定規模以上の「特定事業者」は、中長期計画の作成・提出、定期報告、物流統括管理者の選任などが義務付けられます。

すべての荷主・物流事業者に課せられる義務

すべての荷主・物流事業者には以下2つに関する努力義務が課せられています。

特定事業者に課せられる義務

物流効率化法 (流通業務総合効率化法) において、特定事業者に指定されると、より具体的な義務が課せられます。特定事業者とは、年間取扱貨物量が9万トン以上の荷主や、保有車両台数150台以上の特定貨物自動車運送事業者など、一定規模以上の事業者が該当します。

特定荷主には、経営幹部の中から物流統括管理者の選任が義務付けられています。この管理者は、社内の関係部門や取引先との連携・調整を推進する役割を担います。

そして、特定荷主を含むすべての特定事業者には、物流効率化に向けた具体的な目標や計画を盛り込んだ中長期計画の作成・提出が必要となります。これは毎年度提出が基本ですが、内容に変更がなければ5年に一度でよいケースもあります。次に、作成した計画に基づき、物流効率化の進捗状況を定期的に報告しなければなりません。

これらの義務を怠ったり、報告内容が虚偽であったり、取り組みが著しく不十分であると判断された場合には、国から行政処分や罰則が科される可能性もあります。

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物流効率化法 (流通業務総合効率化法) の今後の流れ

前述のとおり、物流効率化法 (流通業務総合効率化法) は、2025年4月1日にすべての事業者に関わる事項は2025年4月1日に施行されました。そして、特定事業者に関わる事項は2026年4月1日に施行予定です。

物流効率化法 (流通業務総合効率化法) 対応ならHacobu

Hacobuは、物流統括管理者の中長期計画の策定や荷待ち・荷役時間の短縮、積載効率の向上を支援する物流DXパートナーです。物流DXコンサルティングのHacobu Strategy、トラック予約受付サービスのMOVO Berth、共同輸配送支援サービスのMOVO X-Dataなど、物流効率化法 (流通業務総合効率化法) 対応を進める上で最適なソリューションを持っております。ぜひお問い合わせください。

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。 >>プロフィールを見る

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