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執筆者:菅原 利康

運転日報とは|保存期間や記載事項・抱える課題と解決方法について解説

運転日報とは、業務で自動車を使用した際に運行状況を記録する書類です。この記事では、運転日報の記載事項や運用ステップ、さらにその課題と解決方法について物流DXパートナーのHacobuが詳しく解説します。

2024年4月よりトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用され、労働時間が短くなることによって輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されています。そのため、運送会社の方はもちろん、荷主の方も運転日報について理解し、法令を遵守した運行ができているかを把握することは重要です。

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運転日報とは

運転日報とは、業務で自動車を使用した際に記録を残す書類のことを指します。これにより、運行状況を把握することができます。特に、トラック運送など貨物自動車運送業を行っている企業や、事業で使用する車両数が一定台数を超える企業では、運転日報の作成が義務付けられています。運転者の氏名、運転日時、走行距離などを記録する運転日報は、安全運転管理や法令遵守のために欠かせない書類です。

運転日報の作成は法律で義務づけられている

運転日報の作成を明記した法律が2つあります。以下でその内容について解説していきます。

貨物自動車運送事業輸送安全規則

「貨物自動車運送事業輸送安全規則」は、貨物を自動車にて運送する事業者(以降、運送会社)に対し、安全な輸送を確保するために国土交通省が定めている規則です。同規則第8条では運転日報の記載義務が定められています。

また、運送会社は、事業用自動車の運行を管理する営業所ごとに車両台数に応じた運行管理者を選任し、運転者に運転日報を記録・保存させる義務があります。

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則 | e-Gov法令検索

道路交通法施行規則

道路交通法施行規則は、主に自動車や自転車の運転者や歩行者が守るべき交通ルールを定めたもので、警察庁が定めている規則です。

同規則第9条では、運転日報の作成義務が記載されています。運送会社以外でも以下の場合、安全運転管理者を選任し、安全運転管理者には運転日誌の備え付けと運転を終了した運転者に記録させること(運転日報の作成)が業務として求められます。

  • 乗車定員が11人以上の自動車を1台以上保有する事業者
  • 5台以上の自動車を保有する事業者

参考:道路交通法施行規則 | e-Gov法令検索

運転日報の保存期間

運転日報の保存期間は基本的に1年間です。しかし、労働基準法の改正により、同規則第109条で、労働関係の重要な書類は5年間保存することが定められました。そのため、運転日報も5年間保存するのが望ましいでしょう。この保存期間を守ることで、法令遵守とともに労務管理の適正化を図ることができます。

参考:200401QA改正労基法

参考:労働基準法 | e-Gov法令検索

運転日報の記載事項

運転日報には決まったフォーマットはありません。必要とされる記載事項は、運送会社と、社有車を保有する企業では異なります。ここでは、運送会社の記載事項について解説していきます。

運送会社における運転日報の記載事項

貨物自動車運送事業輸送安全規則の第8条では、運送会社が作成する運転日報に記載すべき事項が定められています。要約すると、以下のような内容を記載する必要があります。

  • 運転者の氏名
  • 使用した事業用自動車の自動車登録番号、またはその他の事業用自動車を識別できる表示
  • 乗務の開始・終了の地点や日時、主な経過地点や距離
  • 運転を交替した場合は、その地点や日時
  • 休憩または睡眠をした場合は、その地点や日時
  • 車両総重量が8t以上または最大積載量が5t以上の事業用自動車に乗務した場合、貨物の積載状況や集荷地点、日時
  • 事故や大幅な遅延が発生した場合はその有無と原因

これらの記載事項を遵守することで、運行管理者は運転者の運行状況を正確に把握し、適切な管理を行うことができます。運転日報は安全な運行のための重要な記録であるため、正確かつ詳細に記録することが求められます。

参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則 | e-Gov法令検索

一般的な運転日報の運用ステップ

ここでは、一般的な運転日報の運用ステップについて解説します。

1. ドライバーが必要な項目を記入

ドライバーには、運転日報に必要な項目を正確に記入いただきます。わかりやすいフォーマットを使用し、誤字脱字や記載ミスの防止を徹底しましょう。マニュアルや記入例を提供し、丁寧な記入を促すことで、効率的な運行管理が実現します。

2. ドライバーから運行管理者に提出する

運行管理者はドライバーから運転日報を提出していただきます。運行管理者は提出忘れを防ぐために工夫が必要です。

3. 内容を確認して問題なければ保存する

受け取った運転日報の内容を注意深くチェックしましょう。メーターの距離や配送先の記録など、間違いがないかを確認し、間違いがあればドライバーに修正を依頼し、正しい内容で再提出していただきます。問題がなければ、運転日報を保存します。

正確な運転日報は業務改善に活用できるため重要

ドライバーの運転時間や走行距離を正確に把握することで、長時間運転の抑制や適切な休憩時間の確保が可能となり、労働環境の改善につながります。

また、車両の日常点検を記入項目に加えることで、異常の早期発見ができ、トラブルの未然防止に役立ちます。

さらに、給油量の記入により燃費を把握し、エコドライブを推進することができます。これにより、運行コストの削減や安全運転の促進が期待できます。

運転日報の運用方法

運転日報における3つの運用方法を解説します。

紙媒体を用いたの運用

あらかじめ作成したフォーマットに必要項目を手書きで入力していくだけで運転日報が作成できます。教育コストが低く、ITに不慣れなひとでも取り組みやすいのが特徴です。

Excelを用いた運用

Excelは日常業務で利用する頻度も高いので、新しく使い方を覚える必要がありません。また、インターネット上ではExcel用のテンプレートが数多く公開されており、任意のフォーマットを使って作成できます。

しかし、Excelで運用する場合、日付や個人名ごとに日報データが分散してしまい、どのような情報がいつ記載されていたかをあとから振り返るのが難しいというデメリットがあります。さらに、スマートフォンなどのモバイル端末による出先での更新・編集がしづらいことも難点です。

システムを用いた運用

今日では、システムを活用した運転日報の運用も主流です。

運転日報作成にシステムを利用することで、場所や時間、デバイスを問わずスムーズに作成・管理できるようになります。さらに、システム内には全ドライバーの日報が記録されるため、活動内容の見える化も簡単です。

しかし、システムによって利用できる機能や操作性には差があるので、「現場のITリテラシーに沿ったツールか」をチェックすることは重要です。

紙媒体の運転日報の運用が抱える課題

紙媒体でも必要項目が記載されていれば運転日報としての役目は果たしますが、紙媒体での運用には課題があります。

運転日報の記入が負担である

ドライバーにとって、運転日報の記入は本来の業務が忙しい中で大変な負担となります。中には日報作成のために毎日30分ほど残業しているといったケースも少なくありません。

また、手書きで書かれた文字は視認性が低く、誤認を生む恐れがあります。運転日報を管理者がExcelなどに転記している場合は、大きな手間がかかってしまいます。

手作業での日報記入はドライバーと管理者双方にとって負担が大きく、全体の業務に支障をきたすことがあります。

紙の管理が負担である

運転日報を紙で運用すると、毎日多くの日報をファイリングし、保管する必要があります。特にドライバーが多い運送会社では、保管スペースの確保やファイル管理に多大な労力がかかります。

さらに、必要な情報を探す際、1ページずつめくる作業は時間と手間がかかります。

運転日報管理システムの導入で課題解決

前述したような紙媒体による運転日報の課題は、運転日報管理システムを導入することで解決できます。

以下にシステム導入のメリットを解説していきます。

運転日報が自動で作成される

ドライバーはスマートフォンなどに入力するだけで運転日報を作成できます。ドライバーによる日報作成の負担が軽減されます。また、自動化により正確なデータを収集できるため、効率的な運行管理が可能です。

データの収集・分析ができる

蓄積されたデータを活用することで、稼働率の計算や最適な人材配置、所有台数の適正化が可能になります。これにより、無駄を省いた効率的な事業運営が実現できます。また、1か月分の日報から月報を作成するのも容易になり、管理業務の負担が軽減されます。

運転日報以外にも多彩な機能で効率化できる

システム導入により、さまざまなデータや情報を得ることができます。例えば、車両の現在地データを活用することで、急な配送依頼にも近くを走るドライバーと連携して対応が可能です。これにより、無駄のない効率的な配送を実現できます。また、最適な走行ルートの提案やリアルタイムでの車両管理が可能となり、コスト削減や業務の効率化が図れます。

運転日報管理システムの種類

運転日報特化型

1つ目は、機能が運転日報のみに絞られた特化型です。あまりコストをかけずに、まずは運転日報の利便性向上や業務効率化を図りたいという方におすすめです。

動態管理一体型

2つ目は、動態管理一体型のシステムで、GPS端末を利用した動態管理機能を中心に、車両管理業務を包括的に効率化できる様々な機能が備わっています。運転日報特化型と比べて機能が多い分、料金は高いですが、運転日報以外の車両管理業務も効率化したいという方におすすめです。

運転日報管理システム導入のポイント

運転日報管理システムを導入するうえで重要なポイントを解説していきます。

ドライバーに説明して理解を得る

運転日報管理システムを導入することによって、業務の効率化と生産性向上を目指しているということをあらかじめドライバーに理解してもらう必要があります。運転日報管理システムを導入することに対して、ドライバーからは監視される印象を受けることもあります。ドライバーの理解と協力を得なければ、データの収集もできないため、運転日報管理システムの目的を理解してもらい、安全確保や作業効率化のメリットを伝えることが重要です。

操作方法など導入前に周知する

新しいシステム導入には、苦手意識のあるドライバーもいます。スムーズな運用のためには、事前にドライバーに操作方法を説明する必要があります。説明会やマニュアル作成などでフォローし、ドライバーが新システムを用いた業務プロセスに移行しやすい環境を整えましょう。

まずは無料の運転日報管理システムを使ってみる

前述したとおり、「現場のITリテラシーに沿ったツールか」をチェックするのは重要です。いきなり有料の運転日報管理システムを導入しても、うまく活用できず無駄な費用がかかってしまうなどのリスクがあります。そのため、まずは無料の運転日報管理システムを試してみることも有効です。

ドライバー業務支援アプリのMOVO Driver(ムーボ・ドライバー)は、物流に特化した地図機能や位置情報共有機能だけでなく、物流DXツールのMOVO(ムーボ)各サービスをモバイルで利用できるサービスで、アプリをダウンロードすれば無料で利用できます。

「ドラログ」というドライバー向けサポート機能があり、運行記録を簡易に作成する事ができ、運転日報として活用いただけます。

具体的には、以下のようなことができます。

  • ボタンを押すだけで位置を自動取得して記録
  • 拘束時間、運転時間など改善基準告示対応に必要な時間を自動で計算して可視化
  • 法令に則った日報作成も可能
  • ドライバーの手元にも記録が残るので、過去の運送実績を確認する事も可能

MOVO Driverやドラログについて、以下から資料をダウンロードいただけます。

運転日報を有効活用しよう

正確な運転日報の作成と管理は、安全な運行管理や業務の効率化につながります。システム導入も含めて検討し、ドライバーの労務改善や自社の業務効率化を進めてみてはいかがでしょうか。

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2021.11.29

著者プロフィール / 菅原 利康

株式会社Hacobuのマーケティング担当

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