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執筆者:菅原 利康

APIとは?意味や仕組み、API連携の活用事例をわかりやすく紹介

近年さまざまなデジタル技術の進化に伴い、システムやサービスを連携させる「API」が注目を集めています。本記事では、物流DXパートナーのHacobuが、スマートフォンアプリやWebサービスの裏側で重要な役割を果たすAPIについて、その意味や仕組み、具体的な活用事例までをわかりやすく解説します。

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APIとは

API(Application Programming Interface)とは、プログラムを通じてアプリケーションやソフトウェアの機能を利用するための接続口のことです。APIは、ソフトウェアの機能を共有できる仕組みであり、異なるアプリケーションやシステム間でのデータ連携を可能にします。

APIの仕組み

APIの基本的な仕組みは、「リクエストの送信」と「レスポンスの取得」で構成されます。リクエストを送信するのがAPIの利用者で、レスポンスをするのがAPIの提供者という関係性です。

  • リクエスト:API利用者が、事前に定められた形式に従って使いたい機能や情報をまとめて要求します。
  • レスポンス:API提供者は、リクエストを受け取ると、送信された条件を処理して応答を返します。

身近な例を挙げると、ECサイトで購入時にクレジットカードで決済する機能においてAPIを利用すると、ECサイト側で決済機能を自社開発する必要がありません。ECサイト側が決済情報を送るリクエストを送信し、APIを提供するクレジットカード会社等がカード情報を確認し、「決済を完了しました」「カードの有効期限が切れています」「決済できませんでした」などのレスポンスを返すという流れになります。

APIを利用することで、開発者は複雑なシステムの内部構造を理解せずとも、必要な機能やデータにアクセスすることができます。これにより、効率的なアプリケーション開発やサービス間の連携が可能になります。

APIの種類と仕組み

APIには主に以下の4種類があります。それぞれの特徴と仕組みを見ていきましょう。

Web API

Web APIは、インターネットを通じてサービス間でデータをやり取りするためのインターフェースです。HTTPプロトコルを基盤とし、リクエストとレスポンスの形式には一般的にJSONやXMLが用いられます。たとえば、天気情報や地図サービス、決済システムなどがWeb APIを介して他のアプリケーションに提供されています。

Webブラウザだけでなく、様々なアプリケーションからアクセスできるため、現代のソフトウェア開発において重要な役割を担っています。また、APIキーやOAuthなどの認証方式を用いてセキュリティを確保することが標準的です。

ネイティブAPI

ネイティブAPIは、特定のオペレーティングシステム(OS)が提供する機能にアクセスするためのインターフェースです。iOS、Android、Windowsなど、各プラットフォームに直接アクセスし、機能やリソースを利用する際に使用されます。

スマートフォンアプリの開発では、カメラ、GPS、加速度センサーなどのハードウェア機能へのアクセスにネイティブAPIを使用します。また、プッシュ通知の送信や端末の設定へのアクセスなども、ネイティブAPIを通じて実現されます。

ネイティブAPIを利用することで、アプリケーションはOS固有の機能を最大限に活用できますが、その反面、特定のプラットフォームに依存するため、異なるOS間での互換性確保が課題となります。

ライブラリAPI・ランタイムAPI

ライブラリAPIとランタイムAPIは、どちらもプログラム開発に必要不可欠な機能を提供するインターフェースです。

ライブラリAPIは、プログラミング言語やフレームワークに付属するライブラリが提供する機能やツールを活用するためのインターフェースです。ライブラリとは、特定の目的を達成するために事前に構築されたコードの集合体であり、グラフィック処理、データ解析、暗号化など、さまざまな分野で使用されています。開発者は、APIを通じてライブラリを利用することで、複雑な機能を効率的に実装できます。

一方ランタイムAPIは、プログラムの実行時にアクセス可能なAPIで、主にプログラミング言語やランタイム環境が提供する機能にアクセスするために使用されます。これにより、開発者は実行中のプログラムの状態や動作を制御したり、ランタイム環境が管理するリソースにアクセスしたりできます。

API連携を利用するメリット

API連携を活用することで、企業や開発者は様々な利点を得ることができます。以下に主なメリットを詳しく説明します。

開発工数・費用の削減

API連携を活用することで、ゼロから機能を構築する必要がなくなり、開発工数や費用を大幅に削減できます。既存のAPIを利用することで、複雑な処理を短時間で実装でき、開発プロセスが効率化します。決済処理や地図表示を自社開発で実現しようとした場合、その分野の専門知識が必要になりますが、専門性の高いサービスのAPIを利用することで、自社でその知識を持つ必要がなくなります。また、API提供者が機能を継続的にメンテナンスやアップデートしている場合、自社で行う場合と比べて長期的なコスト削減につながる点も大きなメリットです。

最新データの取得が簡単

APIを利用すれば、外部システムからリアルタイムで最新のデータを取得することが可能です。たとえば、天気情報、株価、為替レートなどのデータを、定期的な更新や手動操作なしで簡単に取得できます。これにより、手作業によるデータ収集や更新作業を自動化し、人的ミスを減らすことができます。また、データの鮮度が高まり、正確な情報に基づいた意思決定が可能になります。

顧客体験の向上

API連携を通じて、さまざまな外部サービスやデータを自社のアプリケーションに統合することで、顧客により豊かで便利な体験を提供できます。たとえば、決済APIを活用してスムーズなオンライン決済を実現したり、地図APIを統合して店舗検索機能を提供したりすることが挙げられます。また、SNS連携APIを利用することで、ユーザーは新規登録の手間なく簡単にサービスを利用開始できるようになります。このような外部サービスとの連携により機能を拡張し、付加価値を高めることで顧客満足度の向上を期待できます。

API連携の活用事例

API連携は様々な分野で活用されており、ビジネスや日常生活に大きな影響を与えています。以下に、代表的な活用事例を紹介します。

SNS

SNSにおけるAPI連携は、ユーザーエンゲージメントを高め、サービスの利便性を向上させる仕組みとして利用されています。

  • ログイン認証:FacebookやGoogleのアカウントを使って他のサービスにログインできる機能
  • シェア機能:外部サイトの記事やコンテンツをSNS上で簡単に共有できる機能
  • 投稿連携:複数のSNSプラットフォームに同時に投稿できる機能
  • データ分析:SNSのデータを活用したマーケティング分析ツールの提供

ECサイト

ECサイトでのAPI連携は以下のような機能で活用されており、機能性と顧客満足度の向上に貢献しています。

  • 決済システム連携:クレジットカードやPayPalなどの決済サービスとの連携
  • 在庫管理:複数の販売チャネルにおける在庫情報の一元管理
  • 配送追跡:配送業者のAPIを利用した配送状況のリアルタイム追跡
  • 商品レコメンデーション:外部の分析エンジンを活用したパーソナライズされた商品レコメンド

社内業務

企業の社内業務におけるAPI連携は、業務効率や情報の一元管理に活用されています。

  • CRM連携:顧客管理システムと他の社内システムとの連携
  • 勤怠管理:勤怠システムと給与計算システムの連携
  • ドキュメント管理:クラウドストレージサービスと社内システムの連携
  • コミュニケーションツール:チャットツールとプロジェクト管理システムの連携

API利用時の注意点

APIを利用することで多くのメリットが得られますが、同時にいくつかの注意点も存在します。

API提供元のトラブルの影響を受ける可能性

APIを利用する場合、API提供元のトラブルが自社のシステムやサービスに影響を及ぼす可能性があります。例えば、API提供元のサーバーがダウンした場合、該当機能が利用できなくなったり、APIの仕様が予告なく変更された場合、既存の連携が機能しなくなる可能性があります。このため、バックアッププランの策定や代替手段の検討、障害発生時の対応フローを事前に検討しておくことが重要です。

適切なセキュリティ対策

API連携にはセキュリティリスクも伴います。不適切な認証や暗号化の不足により、データが漏洩したり、不正アクセスが発生する可能性があります。このため、APIキーやアクセストークンの管理、通信の暗号化、アクセス制限の設定など、基本的なセキュリティ対策を確実に実施する必要があります。また、ユーザーの個人情報や機密データを扱う場合は、データの暗号化やアクセスログの監視など、より厳密なセキュリティ管理が求められます。

従量課金によるコストの増大

多くのAPIは利用量に応じた従量課金制を採用しており、利用が増えるにつれてコストが増大する可能性があります。特に、アプリケーションの利用者が急増した場合や、APIの呼び出し頻度が高い機能では、想定以上のコストが発生する可能性があります。そのため、利用するAPIの料金体系を十分に理解し、適切な予算管理や利用量の監視、上限設定を行うことが重要です。

APIの今後の可能性

APIの技術は急速に進化しており、さまざまな分野での活用が期待されています。

AI技術と組み合わせた活用

AI技術とAPIの連携により、より高度で柔軟なサービス提供が可能になります。例えば、画像認識APIと機械学習を組み合わせることで、より精度の高い画像分析や自動タグ付けが実現できます。また、自然言語処理APIを活用することで、多言語対応のチャットボットや、より自然な対話システムの構築が可能になります。これらの技術を組み合わせることで、ユーザー体験の向上や業務効率化がさらに進むことが期待されます。

IoTデバイスとの連携による活用

IoTデバイスとAPIの連携により、リアルタイムなデータ収集と制御が可能になります。スマートホームデバイスのAPIを活用することで、遠隔での家電制御や、センサーデータに基づく自動制御が実現できます。さらに、ウェアラブルデバイスとの連携により、健康データの収集や分析、パーソナライズされたサービス提供が可能になります。また、製造業や物流業では、IoTデバイスがリアルタイムでデータを収集し、それをAPIを通じて分析システムに送信することで、運用の最適化や予防保守が実現されています。こうした連携により、IoTデバイスの価値がさらに高まり、エコシステムの拡大が期待されます。

ブロックチェーン技術との連携による活用

ブロックチェーン技術とAPIの連携により、より安全で透明性の高いサービス提供が可能になります。たとえば、ブロックチェーンを活用した決済システムでは、APIを通じて安全で高速なトランザクションを実現できます。また、スマートコントラクトとAPIを連携させることで、取引の自動化や契約履行の追跡が可能になります。他にも、サプライチェーンマネジメントにおいては、ブロックチェーンの分散型台帳技術を活用することで商品のトレーサビリティを高め、データの改ざん防止や、効率的な運用が可能になります。これらの技術の組み合わせにより、新たなビジネスモデルの創出や、既存サービスの信頼性向上が期待されます。

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物流システムにおけるAPIの活用例

近年は物流領域においてDX化が進み、APIを用いてシステム連携をしているケースが増えています。

たとえば以下のような活用方法があります。

バース予約システムとWMSやWCS

トラックの入退場時刻や予約バース、トラック到着情報を持つバース予約システムと、商品のピッキング情報を持つWMS(倉庫管理システム)やWCS(倉庫制御システム)をAPI連携させることで、トラックの到着状況に合わせて庫内作業の段取りを組むことが可能です。

また、トラックの到着状況をリアルタイムで同期させることで、臨機応変に作業を軌道修正させることも可能です。

バース予約システムとエッジカメラ

到着トラックの車両番号情報を持つバース予約システムと、映像データの解析や処理を行うエッジカメラをAPI連携させることで、物流拠点に入場したトラックのナンバープレートから車両番号を読み取り、バース予約システムに予約の有無を照会させることが可能です。

API連携できるバース予約システムならMOVO Berth

前述のように物流拠点において効率化を図るなら、トラックの入退場情報や荷役情報を持つバース予約システムを導入することが有効です。既存のシステムやデバイスとAPI連携させることで、物流拠点の自動化をさらに推進できます。

MOVO Berth(ムーボ・バース)というバース予約システムは、バース予約連携APIに6つのメソッド用意しており、上記のような自動化を図るのにおすすめです。

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まとめ

APIは、現代のデジタル社会において、システムやサービスを効率的に連携させる重要な技術基盤となっています。開発工数の削減や最新データの取得、顧客体験の向上など、多くのメリットをもたらす一方で、セキュリティ対策やコスト管理など、適切な運用管理も求められます。

今後は、AI技術やIoTデバイス、ブロックチェーンなど、新しい技術との組み合わせにより、さらなる可能性が広がることが期待されています。企業がAPIを戦略的に活用することで、革新的なサービスの創出や業務効率の向上、競争力の強化につながるでしょう。デジタルトランスフォーメーションが進む中、APIの重要性は一層高まっていくと考えられます。

なお、Hacobuでは「運ぶを最適化する」をミッションとして掲げ、物流DXツールMOVO(ムーボ)と、物流DXコンサルティングサービスHacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)を提供しています。

トラック予約受付サービス(バース予約システム) MOVO Berth

MOVO Berth(ムーボ・バース)は、荷待ち・荷役時間の把握・削減、物流拠点の生産性向上を支援します。

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MOVO Fleet(ムーボ・フリート)は、協力会社も含めて位置情報を一元管理し、取得データの活用で輸配送の課題解決を支援します。

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MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)は、電話・FAXによるアナログな配車業務をデジタル化し、業務効率化と属人化解消を支援します。

物流DXコンサルティング Hacobu Strategy

Hacobu Strategyは、物流DXの戦略、導入、実行まで一気通貫で支援します。

著者プロフィール / 菅原 利康

株式会社Hacobuのマーケティング担当

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