【プロが解説】トラックの積載量を高める積み付け方法を徹底解説|増トンなど車両の大型化もご紹介
「法改正への対応が急務だ」「運賃高騰などの物流コストの増加に頭を抱えている」
そうお考えの荷主企業や物流事業者は多いのではないでしょうか。
解決策の一つとして、トラック1台当たりの積載量を、積み付け方法の工夫で可能な限り高めることが挙げられます。
実際に、筆者が勤務していた運送会社では、コンテナに積載率100%で積み込む工夫を徹底し、発送本数を減らして大幅なコストダウンを実現していました。これは、改正物流効率化法で求められる「積載効率向上」への対応策としても非常に有効です。
本記事では、物流現場で14年間積み込み作業に従事した筆者が、積載量を高める具体的な「積み付けのコツ」を解説します。また、増トン車など車両の大型化についても触れます。
ぜひ最後まで読み、貴社のコスト削減と法対応のヒントにしてください。
なお、「自社の物流課題をどこから解決すればいいかわからない」「専門家に相談して物流戦略を立て直したい」という方には、「Hacobu Strategy」がおすすめです。物流改善のプロが、データを元に貴社の課題解決をサポートします。
Hacobu Strategyについては、以下のリンクより詳細資料をダウンロードいただけます。
目次
トラックの積載量を高めたい背景とは?法改正とコスト増が要因
まずは、積載量を高めることが必要とされる主な2つの理由を解説します。
- 改正物流効率化法への対応
- 運賃高騰やパレット輸送による輸送コストを抑制
改正物流効率化法への対応
深刻な輸送力不足への対策として、2025年4月の法改正(物流2法改正)により、荷主企業や物流事業者に物流効率化が求められることになりました。具体的な内容は以下の通りです。
- 積載効率の向上
- 荷待ち時間の短縮
- 荷役時間の短縮
このうち、「積載効率の向上」に対応する手段のひとつとして、トラックへの積載量を高めることが有効です。
なお、物流2法改正については、以下の資料で詳しく解説しています。法対応に不安のある方は、以下のリンクからダウンロードしてぜひご活用ください。
資料「物流関連2法改正・政府の中長期計画を解説 荷主・物流事業者は今何をするべきか」をダウンロードする
運賃高騰やパレット輸送による輸送コストを抑制
運賃高騰に加え、ドライバーの負荷軽減策である「パレット輸送」への切り替えが、かえってコスト増を招いています。
パレット輸送は作業時間を短縮できる反面、パレットの厚みや隙間で積載量が減少してしまいます。だからこそ、積載量を高めて輸送効率を維持・向上させることがコスト削減の鍵となります。
たとえば、1日3台のルートを積載量アップで2台に集約できれば、トラック1台分のコストが削減可能です。中長期で見れば、そのインパクトは計り知れません。
では、どうやってトラックの積載量を高めるのでしょうか?その具体的な方法について、次章で詳しく解説します。
トラックの積載量を高める3つの方法
ここでは、積載量を高める代表的な3つのアプローチを解説します。
- トラックを「大型化」する
- 今ある車両の「軽量化」で最大荷重を増やす
- 既存のトラックの積載量を高める「積み付け方法」を実践する

トラックを「大型化」する
最も確実な方法は、車両サイズや規格を大きくすることです。トラックの大型化には以下の3つの選択肢が存在します。
1. 増トン車(中型増トン)
4t車の車軸やフレームを強化し、最大積載量を6t〜8t程度まで引き上げた車両です。「10t車を入れるほどではない」「大型免許所持者が少ない」といった場合に最適で、小回りが利く点もメリットです。
ただ、既存の車両の増トンは現実的ではないため、次回の車両入替時に検討することになります。
2. トレーラー・大型トラック
さらに積載量が必要なら、10t〜13t積みの大型トラックや、20t以上積載可能なトレーラーへ切り替えます。トレーラーであれば、T11型パレット(1100㎜×1100㎜)22枚分の積載が可能です。
一度の輸送量を最大化でき、拠点間輸送などで威力を発揮します。
3. ダブル連結トラック
大型化の「最終形態」とも言えるのが、1台で大型トラック2台分を牽引するダブル連結トラックです。ドライバー1人で大量輸送が可能となり、人手不足とCO2削減の両方に劇的な効果をもたらします。
ダブル連結トラックについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ダブル連結トラックとは?行政の取り組み、メリット、今後の課題などを解説
ドライバー…
2025.12.26
今ある車両の「軽量化」で最大荷重を増やす
車両サイズを変えずに積載量を増やす手段として、パーツ重量を削る「軽量化」があります。最大積載量の算出方法は「車両総重量-車両重量-乗車定員(人数×55㎏)」であるため、車両重量を軽くした分だけ最大積載量が増えます。具体的な取り組み例は以下の通りです。
- アルミ合金の採用:荷台パネルやホイールを軽いアルミ製に変更する
- シングルタイヤの採用:ダブルタイヤをシングルタイヤに変更する
- 不要装備の撤去:使わない工具箱などを外す
ただし、効果は数十kg~100kg程度と限定的です。
既存のトラックの積載量を高める「積み付け方法」を実践する
車両の買い替えが難しい場合でも、「積み付け」の工夫で実質的な積載量は増やせます。
積載量を高めてトラック台数を減らせれば、輸配送コスト削減に直結します。たとえば1日3台のルートを2台にできれば、1台分のリソースが浮きます。
実際、筆者がいた運送会社では、コンテナに隙間なく積み込む技術で発送本数を減らし、コストを削減していました。
この「積載量を高める積み付け方法」の具体的なテクニックについては、次章で詳しく解説します。
トラックへの積み込みで積載量を高める4つのコツ
本章では、積載量を増やす積み付けのコツを4つ解説します。
- 【バラ積み時】とにかくムダな隙間を作らないよう意識する
- 【バラ積み時】下段に重量物、上段に軽い貨物を積む
- 【パレット積み時】ラックなどを使用し上部にも貨物を積む
- 「デザイン・フォー・ロジスティクス(DFL)」でムダなくす
【バラ積み時】とにかくムダな隙間を作らないよう意識する
バラ積み時、積載量を上げる基本は、「とにかく隙間を無くすこと」です。現場で実践できる具体的なテクニックは以下の通りです。
直方体のケースは縦、横をうまく組み合わせて隙間をなくす
同じサイズの直方体のケース(段ボール)を、同じ向きで並べていくと、列の最後で中途半端な隙間ができることがよくあります。その際、ケースの向きを1つ、2つと変えて組み合わせることで、テトリスのように壁際までピッタリ収まり、隙間を埋められることがあります。
大きな荷物・立方体のケースから積み込む
大きな荷物や正方形に近いケースは、融通が利かず隙間ができやすいものです。これらを先に積み込み、そこで生じた隙間を小さな荷物で埋めていくイメージで作業すると、ムダな空間ができにくくなります。
普段緩衝材を入れる箇所にも荷物を入れる
たとえば、大型車やコンテナにT11型パレット(1100㎜×1100㎜)を2枚並べると、横幅に15cmほどの隙間ができます。通常はここにトラックボードなどの緩衝材を入れて荷崩れを防ぎます。しかし、ここも積載スペースとして活用可能です。
あらかじめこの隙間に入るサイズの荷物を避けておき、緩衝材の代わりに詰め込めば、積載量を高めつつ、荷物が動かないよう固定できるため、まさに一石二鳥です。
【バラ積み時】下段に重量物、上段に軽い貨物を積む
バラ積み時は、荷台を上下2段に分割してイメージすることが重要です。そのうえで、下段に重量物、上段に軽い荷物を積むようにしましょう。
重量物を天井まで積み上げると、下の貨物が重さに耐えきれず潰れてしまうことも。しかし、この方法なら貨物を損傷させることなく、天井まで隙間なく安全に積み上げることができます。
さらに、間に大きな中敷き(コンパネなど)を入れることが非常に有効です。圧力が「点」ではなく「面」に分散され、下の荷物を守りながら天井ギリギリまで積みつけることが可能になります。
加えて、全体の重心が低くなるため、走行時の安定性も高まります。ただし、この手法は、下段に強度のある貨物を選ぶことが必須条件です。
【パレット積み時】ラックなどを使用し上部にも貨物を積む
パレット積みで積載量が低下する最大の原因は、パレットの上部にできる広大なデッドスペースです。段積みができない荷物であっても、「トラック2段積みラック」などを使用することで、擬似的に棚を作り、2段積みを可能にします。
ただし、ラックの回収方法(帰り便はどうするか)や、ラック自体の重量などの課題をクリアしなければなりません。
「デザイン・フォー・ロジスティクス(DFL)」でムダなくす
デザイン・フォー・ロジスティクス(DFL)とは、製品の企画・設計段階から物流の視点を取り入れ、輸送効率や保管効率を最適化する取り組みです。
商品の箱や輸送箱サイズを、パレットの規格にピッタリ収まるように数ミリ単位で設計・変更することで、隙間を物理的になくし、積載数を最大化します。これはメーカー機能を持つ荷主だからこそ実現可能な解決策です。
デザイン・フォー・ロジスティクス(DFL)については、以下の記事で詳しく解説しています。
デザイン・フォー・ロジスティクス(DFL)とは?物流起点の商品企画で全体最適へ
物流危機が…
2025.12.26
次の章では、「バラ積みとパレット輸送どちらにすべき?」という疑問にお答えします。

「バラ積み」と「パレット積み」どちらを選ぶべき?
前章では積載量を高めるコツを大きく「パレット積み」と「バラ積み」にわけて解説しました。ここまで読んで、「結局、自社はどちらを選べばいいのか」と迷われた方も多いのではないでしょうか。
本章では、判断の基準となる以下の3点について解説します。
- 【結論】どちらがよいかは企業の物流課題により異なる
- 「バラ積み」は、積載効率向上の数値目標クリアと輸配送コストの削減を実現できる
- 「パレット積み」は、荷待ち・荷役時間短縮に大きく寄与する
【結論】どちらがよいかは企業の物流課題により異なる
バラ積みとパレット積みのどちらを選ぶべきかは、貴社が今、最も優先して解決したい課題によって決まります。なぜなら、この2つの手法はメリットとデメリットが相反するものだからです。
▼パレット積みとバラ積みのメリットデメリット
| 積み付け方法 | メリット | デメリット |
| パレット積み | ・作業効率が高い (荷待ち/荷役時間が短い) ・事故率が低い | ・積載効率が低い |
| バラ積み | ・積載効率が高い ・輸送コストを下げやすい | ・作業効率が低い (荷待ち/荷役時間が長い) ・事故率が高い |
企業にはそれぞれ「輸送コストの削減(とにかく積みたい)」や「ドライバーの労働時間短縮(早く降ろしたい)」など、直面している物流課題が異なります。そのため、一概にどちらが正解とは言えず、自社の状況に合わせて使い分ける、あるいは路線便と貸切便で戦略を変えるなどの判断が必要になります。
【バラ積み】「積載効率向上」の数値目標クリアと輸配送コストの削減を実現できる
言わずもがな、物理的な積載量を高めるなら、手作業による「バラ積み」が有効です。その理由は、バラ積みなら、やり方次第で上下左右に隙間を作ることなく、テトリスのように貨物を積み込めるからです。
一方、パレット輸送は、パレット自体の厚みや、荷崩れ防止の隙間(はい付け)により、どうしてもデッドスペースができてしまいます。たとえば、トラックにT11型パレット(1100㎜×1100㎜)を10枚積むと、それだけで約50才分(パレットの高さ約150mm × 10枚分)もの貨物積載スペースが失われる計算になります。
バラ積みを選択することは、以下の2つの物流課題解決に直結します。
「積載効率の向上」の数値目標クリア
政府は、2025年4月改正の物流効率化法の積載効率向上の数値目標として、「トラック全体の積載効率を44%に向上させる(50%以上の車両が積載効率50%を実現する)」という指標を掲げています。
この指標はドライバー不足で『運べる回数』が減った今、1回あたりに限界まで詰め込まなければ、荷物が運べなくなる未来が確定しているからです。
バラ積みであれば、十分な荷物が集まっていればこの数値目標のクリアは容易でしょう。実際、筆者が以前勤務していたバラ積みがメインの運送会社は、往路の積載効率がほぼ100%でした。
輸配送コストの削減を実現する
バラ積みで1台あたりの積載量を増やせば、単純に輸配送コストを削減できます。積載効率が上がることで、必要なトラックの台数を減らせるからです。たとえば、これまで1日3台運行していたルートを2台で運行できれば、1台分の運賃およびドライバーのリソースを空けることができます。
「パレット積み」は荷待ち・荷役時間短縮に大きく寄与する
一方、パレット積みは、バラ積みの弱点である「時間」を解決します。時間効率の高さが最大の魅力であり、これは物流効率化法で求められる「荷待ち時間の短縮」「荷役等時間の短縮」に大きく寄与します。
▼荷主や物流事業者等に導入される規制的措置
「トラックドライバー1人当たり年間125時間の拘束時間の短縮(1運行の荷待ち時間・荷役等時間を2時間以内、1回の受渡しごとの荷待ち時間・荷役等時間を1時間以内にする )」
たとえバラ積みで積載量を増やしても、積み降ろしに3時間かかってしまっては、この基準をクリアできず、物流効率化の判断基準を満たさないリスクがあります。
トラックの積載量を高めて物流改善に成功した事例

ウイング型セミトレーラ導入で大型トラック比50%の積載量向上を実現
神奈川県横浜市に本社を置く運送会社は、輸送効率化を目的に飲料用パレット(900×1100mm)30枚積載可能なウイング型セミトレーラを15台導入しました。従来の大型トラックでは20枚しか積載できなかったパレット数を30枚に増やし、大型トラック比で50%の積載量向上を実現しています。
また、2Lペットボトルの飲料輸送においては、重量制限の関係で大型車では18パレットが限界でしたが、新規格車では30パレットまで積載可能となりました。これにより、人員削減・台数削減・CO2削減といった複合的な効果が得られ、荷主への3PLを含めた総合的な物流提案にもつながっています。
出典:https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/publication/trailer_handbook201908.pdf
ダブル連結トラックの採用で輸送量2倍を実現
ニトリグループとその物流部門を担うホームロジスティクスは、福山通運のダブル連結トラックを導入し、関西から九州への長距離輸送において協業を開始しました。ダブル連結トラックは1台で大型トラック2台分の輸送が可能で、ドライバー1人で運べるため、物流2024年問題における労働力不足の解消に寄与しています。
また、同じ重量を輸送する場合において、通常の大型車両に比べてCO2排出量・燃料消費量ともに約40%削減。輸送コストの削減と環境負荷軽減を同時に実現しています。今後はダブル連結トラックの導入エリア拡大に加え、鉄道を活用したモーダルシフトにも取り組む予定です。
出典:https://www.nitorihd.co.jp/news/items/faa1074c2d66b532e709b326fa6ef363.pdf
物流課題の解決はHacobuにおまかせ
積載量を高めることは課題解決の一手段にすぎません。「何から手をつければいいのかわからない」という方は、私たちHacobuにご相談ください。
Hacobuが提供するサービスのひとつである「Hacobu Strategy」は、あらゆる物流課題を解決する物流DXコンサルティングサービスです。
【Hacobu Strategyの強み】
- 現場と戦略の両面からアプローチ:物流現場を熟知した専門家と、大手コンサルティングファーム出身の戦略立案のプロが協働し、実行可能な改善策を提案します。
- データに基づく課題の可視化:経験豊富なデータサイエンティストが、物流データを徹底分析。ボトルネックがどこにあるのか、数値で明確化します。
- 実装までを一気通貫で支援:提案だけで終わらず、改善施策の実装から効果測定まで、現場に寄り添ってサポートします。
「なにから取り組めばいいか分からない」「データに裏付けされた効果のある対策をうちたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。以下のボタンより、サービス資料をダウンロードいただけます。
まとめ|トラックの積載量を高めて時代に合った物流改善を
トラックの積載量を高めるための方法として、最も即効性があり、コスト削減効果が高いのは「積み付け方法の工夫」です。
- 隙間を徹底的に埋める:「バラ積み」の技術で積載率を100%に近づける。
- 目的に応じた使い分け:量なら「バラ積み」、時間短縮なら「パレット積み」と課題に合わせて選択する。
- 車両スペックの見直し:その上で、さらなる効率化が必要なら「増トン車」や「大型化」を検討する。
「箱の大きさ」はすぐには変えられませんが、「中身の詰め方」は今すぐ変えられます。法改正やコスト高の波を乗り越えるため、まずは現場の「積み方」から見直し、賢く積載量を高めていきましょう。
関連記事
お役立ち資料/ホワイトペーパー
記事検索
-
物流関連2法
-
特定荷主