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執筆者:菅原 利康

過積載における罰則・処分とは|トラック運送事業者・ドライバー・荷主ごとに解説

過積載はさまざまなリスクがある危険な行為のため、法令などで厳しい罰則・処分が定められています。本記事では、過積載における罰則・処分について、トラック運送事業者・ドライバー・荷主ごとに、物流DXパートナーのHacobuが解説します。

過積載の原因やリスク、対策、通報先、最大積載量の確認方法などについて確認されたい方は、以下記事をご覧ください。

過積載とは|原因やリスク、対策、通報先、最大積載量の確認方法などについて解説

過積載とは…

2024.11.14

なお、荷主がトラック運送事業者(貨物自動車運送事業者)やドライバーに対し、過積載に関して主体的な関与があった場合、荷主勧告制度により、勧告・社名公表を受ける可能性があります。

荷主の方におかれましては、本記事を読む前に、荷主勧告制度を詳細に解説した資料をダウンロードすることをおすすめします。

トラック運送事業者の罰則・処分

トラック運送事業者が、過積載をさせた場合、運行管理者の資格取り消しや事業許可取り消しにつながります。社会的な信用が失われ、事業の継続に大きな影響を与える可能性があります。

道路交通法

道路交通法に基づく、トラック運送事業者への措置は以下のとおりです。

考案委員会による指示

過積載運転があった場合、公安委員会は「車両の使用者」に対し、車両の運行管理を改善させるため、過積載を防止するため必要な措置を執ることを指示します。

車両の使用制限処分

以下の場合、公安委員会は、車両の使用者に対し、3か月以内の車両の運転を禁止します。

  • ドライバーに対し、過積載を指示、または容認した場合
  • 公安委員会による前述の指示を受けた車両において1年以内に、再度過積載運転が行われた場合

車両の使用者とは

自動車の使用者とは、自動車を使用する権限を有し、その運行を支配し、管理する者であり、自動車の運行について最終的な決定権を有する者をいいます。物流領域においては、一般的にはドライバーの雇用主であるトラック運送事業者と考えられます。

同法において、車両の使用者は最大積載量を遵守させるように努めなければならないとされています。

罰則

  • 車両の使用制限処分に違反した場合:3か月以下の懲役または5万円以下の罰金
  • 過積載を指示・容認した場合:6か月以下の懲役または10万円以下の罰金

貨物自動車運送事業法

貨物自動車運送事業法に基づく、トラック運送事業者への措置は以下のとおりです。

車両停止処分

以下の基準により、車両停止処分が行われます。

過積載の程度が5割未満のもの

  • 初回:10日×違反車両数
  • 2回目:30日×違反車両数
  • 3回目:80日×違反車両数
  • 4回目:200日×違反車両数

過積載の程度が5割以上10割未満のもの

  • 初回:20日×違反車両数
  • 2回目:50日×違反車両数
  • 3回目:130日×違反車両数
  • 4回目:330日×違反車両数

過積載の程度が10割以上のもの

  • 初回:30日×違反車両数
  • 2回目:80日×違反車両数
  • 3回目:200日×違反車両数
  • 4回目:500日×違反車両数

事業許可の取り消し処分

悪質な過積載運転を行うと、初めての違反でも車両停止処分となり、再違反については車両停止期間の大幅延長、事業許可の取り消しなどの厳しい処分が行われます。

運行管理者の資格取り消し

運行管理者の業務について法令違反があり、かつ以下のような場合には運行管理者資格者証の返納命令が発令され、資格が取り消しされます。

  • (過積載を起因とした場合を含む)有責な重大事故を引き起こし、多数の死傷者を生じた場合
  • 過積載運転が計画的、または恒常的に発生していた場合

運行管理者資格者証の返納を命じされた場合、一定期間は同証の交付を受けることができません。その間、トラック運送事業者において運行管理者が不在の状態になってしまいます。

ドライバーの罰則・処分

ドライバーにおいては、違反点数・罰金の他に、民事訴訟で損害賠償責任が生じる場合があります。

道路交通法

道路交通法に基づく、ドライバーへの措置は以下のとおりです。

  • 自動車検査証の提示、重量測定受任義務
  • 過積載を解消するための応急措置(積荷の現場取り降し、警察官による通行指示)
  • 違反点数・罰金

最大積載量の超過割合による違反点数・罰則の違いは、下表のとおりです。

民事訴訟

過積載運行で事故を起こした場合、ドライバーには深刻な法的責任が発生します。民事訴訟においてドライバー自身が賠償責任を負う可能性があり、事故によって他者や財産に損害を与えた場合、賠償金の支払いが求められます。

荷主の罰則・処分

過積載はトラック運送事業者・ドライバーだけの責任ではありません。過積載に関して、荷主の主体的な関与があった場合、荷主に対して道路交通法と貨物自動車運送事業法に基づいて罰則などが科されます。

道路交通法

トラック運送事業者に対して、過積載と知りながら輸送を強いることは道路交通法で禁止されています。繰り返し、過積載の要求をしている場合は、警察署長から過積載の「再発防止命令」が出されます。

再発防止命令に違反すると、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金が科せられます。

貨物自動車運送事業法

トラック事業者の過積載について、荷主が主体的に関与していた場合、貨物自動車運送事業法に基づき、国土交通省から協力要請書や警告書が発行され、これに従わない場合には、勧告という措置がとられ、社名や事案の概要が公表される可能性があります。

荷主勧告制度とは?荷主勧告を受ける荷主の行為、企業に求められる対応などを解説

荷主勧告制…

2024.10.30

参考:道路交通法

参考:貨物自動車運送事業法

参考:過積載は、荷主にも罰則が適用されます!!|国土交通省

過積載の罰則・処分を理解し、安全な運行を

過積載は、トラック運送事業者・ドライバー・荷主それぞれに厳しい罰則・処分が科せられます。過積載のリスクを理解し、徹底した対策を心がけましょう。過積載を行わないために講じるべき対策などについては、以下の記事をご覧ください。

過積載とは|原因やリスク、対策、通報先、最大積載量の確認方法などについて解説

過積載とは…

2024.11.14

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2021.11.29

著者プロフィール / 菅原 利康

株式会社Hacobuのマーケティング担当

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