トラックの過積載とは|リスクや罰則、通報先、最大積載量の確認方法を解説
過積載とは、トラックなどの貨物自動車が最大積載量を超えて荷物を運ぶ行為です。過積載はリスクが多く、罰則もあり、適切な対策が必要です。本記事では、過積載の原因やリスク、対策、通報先、最大積載量の確認方法などについて、物流DXパートナーのHacobuが解説します。
なお、荷主がトラック運送事業者(貨物自動車運送事業者)やドライバーに対し、過積載に関して主体的な関与があった場合、荷主勧告制度により、勧告・社名公表を受ける可能性があります。
荷主の方におかれましては、本記事を読む前に、荷主勧告制度を詳細に解説した資料をダウンロードすることをおすすめします。
目次
過積載とは
過積載とは、トラックなどの貨物自動車が最大積載量を超えて荷物を運ぶ行為を指します。過積載は道路交通法や道路運送車両法に抵触するだけでなく、車両の安全性を損ない、事故や道路の損傷の原因にもなります。
過積載の現状
大型トラックなどの大型車両における過積載の割合は、通行台数の0.3%ですが、道路橋の劣化に与える影響は全交通の約9割となっています。また、通行する特殊車両の約3割が過積載車両となっています。
参考:過積載車両の荷主対策の試行を開始します!~トラック事業者と荷主の責任の適切な分担に向けて~
過積載への荷主の関与
国土交通省が、全日本トラック協会員に対し、荷主に関するアンケート調査を実施したところ、約15%が荷主から過積載等の車両制限令違反を強要されたとの回答がありました。


最大積載量とは
最大積載量は、道路運送車両法 第二章「自動車の保安基準」で定められ、これを超える過積載の運行は違法行為です。
過積載を避けるためには、トラックの最大積載量を理解しておくことが重要です。最大積載量を理解するために、まずは車両重量と車両総重量について解説します。
車両重量と車両総重量
トラックが運行する公共の道路は、使用される目的にあわせて設計・管理されています。トラックの運行により公共の道路に損傷を与えることがないようよう、トラックには大きさや重量の規定があります。このうち、重量に関する規定が車両重量と車両総重量です。
車両重量
車両重量とは、車体本体の重量に加え、ガソリン(満タン状態)、規定量のエンジンオイルや冷却水、バッテリーなどを含めた重量のことです。乗員や荷物や工具・スペアタイヤなどは含まれません。つまり、すぐに人が乗って運転できる状態の車両の重さのことを指します。
車両総重量
車両総重量とは、車両重量に加え、最大乗車定員が乗り、さらに最大積載量の荷物を積んだ状態での総重量を指します。
一般的に、大型トラックは車両総重量が25トン以下、中型トラックは8トン未満、小型トラックは4~5トン程度となっています。トラックメーカーは、車両総重量が決められた重さ以下になるように車両重量や積載量を設計しています。
車両総重量の計算式は以下になります。なお、計算式では乗車定員1人の重量を55kgとして計算します。
車両総重量=車両重量+最大積載量+(乗車定員数×55kg)

最大積載量の確認方法
最大積載量は、車両総重量と車両重量などとの兼ね合いから、トラックごとに自ずと決まってきます。
最大積載量=車両総重量-(車両重量+乗車定員数×55kg)

なお、トラックの後ろに「最大積載量○○kg」といったステッカーが貼ってあったり、自動車検査証(車検証)には最大積載量や車両総重量、車両重量、乗車定員が記載されています。
最大積載量の目安
以下は、過積載にならない積載量の目安です。あくまで目安の数字のため、詳細は前述の確認方法を参考にしてください。
- 小型トラック:およそ3トン以内
- 中型トラック:およそ6トン以内
- 大型トラック:およそ8〜11トン以内
過積載を引き起こす背景・原因
過積載を引き起こす背景・原因は以下4点などが考えられます。これらの要因は、互いに関連し合いながら過積載問題を深刻化させています。
荷主による運賃の値引き要求
過当競争の中、トラック運送事業者はコスト削減を迫られ、一度に多くの荷物を運ぶことでコストを抑えようとします。さらに、荷主側が強い立場を持つことで、無理な値引き要求に応じるケースも増加し、その結果、過積載が常態化するという悪循環が生じています。
荷主都合による急な増加依頼
積み込み直前に、荷主都合で追加で荷物を運ぶことを求められる場合もあります。前述と同様、荷主側が強い立場を持つことで過積載とわかっていながら断れず、過積載が発生してしまいます。
ドライバー不足と人件費の高騰
深刻なドライバー不足により、1人のドライバーでより多くの荷物を運ばざるを得ない状況が生まれています。また、人件費の上昇に伴い、1回の運行で多くの荷物を運ぶことで人件費を抑制しようとする狙いから、積載効率を極度に追求し、最大積載量を超えた運行が行われる場合もあります。
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納品時間の厳格化とジャストインタイム対応
荷主の在庫管理の厳格化に伴い、納品時間の指定が細かくなっています。ジャストインタイムによる配送要請が一般的となり、複数回に分けて運行する余裕がなくなっています。その結果、指定された時間に間に合わせるため、1回の運行で規定以上の荷物を積載する場合もあります。

過積載の6つのリスク
過積載にはどのようなリスクがあるのでしょうか。6つに分けて解説します。
制動距離が長くなるリスク
積荷の重量が増えると、トラックが進む際にかかる力が大きくなり、その分制動距離も延びます。特に過積載の状態では、通常よりも制動距離がさらに長くなり、急停止や危険回避が難しくなります。ブレーキをかけても止まりにくいため、過積載は事故リスクが大きくなります。
スピードの制御が難しくなるリスク
積荷の重量が増えると、トラックの位置エネルギーや運動エネルギーが大きくなり、スピードが自然と上がってしまうリスクがあります。特に下り坂では重力の影響でブレーキが効きにくくなり、スピードが出やすくなります。さらに、長時間のブレーキ操作で「フェード現象」が発生する恐れがあり、これによってブレーキ性能が低下し、重大な事故につながる可能性が高まります。
荷崩れが起きるリスク
積荷が多くなると重心が高くなり、トラックの安定性が低下しやすくなります。この結果、走行中に荷崩れが発生するリスクが高まります。荷崩れは他の車両や道路に重大な被害を与え、最悪の場合は大きな事故につながる恐れがあります。
道路劣化のリスク
過積載は道路に大きな負担をかけ、わだちやひび割れを引き起こす要因です。特に道路橋に対する影響は深刻で、重量に耐えきれず構造劣化が進むリスクが高まります。これにより、修繕コストや交通規制が必要になるため、物流の効率にも悪影響を与える可能性があります。
車体劣化のリスク
トラックの車体にとって、タイヤや車軸、その他周辺パーツへの負担は非常に大きく、これらの部品は常に過酷な条件下で使用されています。過積載が行われると、消耗が早く進み、故障リスクが高まります。
環境悪化のリスク
過積載はエンジンに大きな負担をかけ、環境に悪影響を与えるリスクがあります。エンジンに負荷がかかることで燃費が悪化し、排気ガスの量が増加します。これにより、CO2や有害物質が多く排出され、地球温暖化や大気汚染を促進します。また、エンジン音も大きくなり、騒音公害の原因にもなります。
過積載の罰則・処分
過積載を行うと、トラック運送事業者やドライバー、そして荷主にも罰則・処分が科せられる場合があります。社会的な信用が失われ、事業の継続に大きな影響を与える可能性もあるでしょう。
トラック運送事業者の罰則・処分
トラック運送事業者が過積載を指示・容認した場合、車両停止処分が科せられる場合があります。処分日数は過積載の割合と違反回数に応じて定められており、違反車両数を乗じた日数分、当該車両を使用できなくなります。具体的には、過積載割合が5割未満の初回違反で10日×違反車両数、5割以上10割未満では20日×違反車両数、10割以上では30日×違反車両数となり、違反を繰り返すごとに処分日数は大幅に加重されます。悪質と判断された場合には、車両停止期間の延長に加え、事業許可の取り消しや運行管理者資格の返納処分が下されることもあります。
| 過積載割合 | 初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 |
|---|---|---|---|---|
| 5割未満 | 10日×違反車両数 | 30日×違反車両数 | 80日×違反車両数 | 200日×違反車両数 |
| 5割以上10割未満 | 20日×違反車両数 | 50日×違反車両数 | 130日×違反車両数 | 330日×違反車両数 |
| 10割以上 | 30日×違反車両数 | 80日×違反車両数 | 200日×違反車両数 | 500日×違反車両数 |
ドライバーの罰則・処分
過積載を行ったドライバーには、道路交通法に基づき違反点数と罰則が科せられる場合があります。罰則内容は過積載の割合と車両の大きさによって異なり、大型車で10割以上の過積載を行った場合は免許停止処分となります。
| 過積載割合 | 大型車(中型・大型トラック) | 普通車・小型トラック |
|---|---|---|
| 5割未満 | 違反点数2点、反則金3万円 | 違反点数1点、反則金2万5,000円 |
| 5割以上10割未満 | 違反点数3点、反則金4万円 | 違反点数2点、反則金3万円 |
| 10割以上 | 違反点数6点、10万円以下の罰金または6ヵ月以下の懲役、免許停止 | 違反点数3点、反則金3万5,000円 |
また、過積載が原因で事故を起こし、加害者となってしまった場合には、損害賠償や刑事罰に加え、運転免許の減点・停止・取消といった行政上の処分を受ける可能性があり、さらに被害者に対する道義的な責任も負うことになります。
荷主の罰則・処分
過積載はトラック運送事業者・ドライバーだけの責任ではありません。荷主の主体的な関与が認められると、道路交通法に基づき警察署長から再発防止命令が発出され、これに違反した場合は6か月以下の拘禁刑または10万円以下の罰金が科せられる場合があります。また、貨物自動車運送事業法に基づく荷主勧告制度により、国土交通省から協力要請書や警告書が発行され、従わない場合には勧告という措置がとられ、社名や事案の概要が公表される可能性があります。
過積載の罰則・処分については、以下記事で詳細に解説しています。
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過積載の責任の所在と果たすべき義務
過積載の責任は、トラック運送事業者・ドライバー・荷主のそれぞれに及び、道路交通法や貨物自動車運送事業法に基づき、各当事者が果たすべき義務が明確に定められています。
トラック運送事業者の責任・義務
トラック運送事業者は、車両の使用者として過積載を防止する責任を負います。具体的には、ドライバーに対して過積載を指示・容認しないことはもちろん、日常的な運行管理体制の整備が求められます。運行管理者による出庫前の積載重量確認の徹底、ドライバーへの定期的な安全教育の実施、適正な運送契約の締結により無理な運送依頼を受けない体制づくりなど、組織全体で過積載を防止する仕組みを構築する必要があります。また、荷主との適切なコミュニケーションを通じて、積載量に関する情報共有を密にし、事前に過積載のリスクを排除することが重要です。
ドライバーの責任・義務
ドライバーは、運転する車両の最大積載量を正確に把握し、過積載状態で運転しない義務があります。積載前には必ず積載物の重量を確認し、少しでも最大積載量を超える可能性がある場合には、運行管理者や荷主に相談する姿勢が求められます。また、荷主や運送事業者から過積載を指示された場合でも、法令遵守の観点から毅然と断る判断力を持つことが必要です。日々の運行においては、車両の挙動や制動距離の変化に注意を払い、安全運転の基本を徹底することで、自身と周囲の安全を守る責任を果たすことができます。
荷主の責任・義務
荷主は、トラック運送事業者やドライバーに対して過積載となる運送を要求・指示してはならず、適正な積載量での運送を実現するための協力が求められます。多重下請け構造や労使関係のもとではドライバーの立場は弱く、過積載運行を断れない現場も少なくありません。そのため、荷主には出荷前に正確な貨物重量を計測し、その情報を運送事業者へ事前に共有する義務があります。また、無理な納期設定や過度なコスト削減要求を避け、適正な運送条件での契約を結ぶこと、委託先から積載量に関する相談があった場合には誠実に対応し、配送回数の調整や出荷方法の見直しなど、具体的な改善策を講じる責任を負います。

過積載の通報先
実際に、過積載はどのように通報されるのかを解説します。
過積載が発覚する2つのパターン
過積載は一般的に、以下のパターンで発覚します。
- 高速道路の料金所付近に設置されている自重計にトラックが乗った時に過積載が発覚し、警察官が車両を誘導して、検挙するパターン
- トラック運送事業者に過積載をさせられているドライバーが内部告発するパターン
以下では、後者のパターンのように、ドライバーなどが内部告発する場合の方法を解説します。
過積載の通報先
内部告発の方法は、会社の所在地を管轄している警察署交通課の担当部署へ、過積載をしている事実を通報するか、もしくは国土交通省に違反行為の内部告発文書を提出します。
トラック輸送に関する安全対策は、以下の全日本トラック協会に報告することも可能です。
荷主が過積載をしている場合の通報窓口
過積載に対し、荷主による主体的な関与がある場合、以下の窓口に通報することも可能です。
国土交通省が、悪質な荷主に関する情報を集めるために開設した窓口で、寄せられた情報は、トラックGメンによる是正指導に活用されます。
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トラック運送事業者が過積載を防ぐための対策
ここでは、トラック運送事業者が過積載を防ぐための対策を5つに分けて解説します。
「目視」で積載量をチェックする
まずは、荷物を積む際に目視で確認をしましょう。リアサスペンションの下がり具合やタイヤの膨らみ具合をチェックし、過積載の兆候がないか確認します。「土砂は荷台にすり切れいっぱい」など、具体的な基準を定めておくと、日々の確認作業が効率化され、過積載リスクも軽減されます。
トラックスケールで積荷を計測する
トラックスケールを使用することで、正確な積載量を測定できます。測定結果を記録しておくことで、後からの確認やトラブル防止にも役立ちます。
積載量の監督者を設ける
過積載を防ぐためには、専任の監督者を設けることが重要です。監督者は、積み込み作業が完了した後に過積載になっていないかを確認し、適切な荷重管理を徹底します。現場でのチェック体制を強化し、法令遵守と安全性を確保することが求められます。
ドライバーへの教育・指導
過積載の危険性や法的責任について、定期的な研修を実施することが重要です。そのうえで、トラックごとの最大積載量をドライバーに周知徹底し、万が一過積載を発見した際の具体的な報告・対応手順についても、明確な教育を行う必要があります。
荷主に協力を仰ぐ
過積載を防ぐためには、荷主の協力が欠かせません。荷主との契約時には、最大積載量の遵守について明確な取り決めや、重量証明を得ることが重要です。また、突発的な追加依頼への対応手順についても事前に取り決めを行い、法令違反となるような輸送依頼に対しては、毅然とした態度で断る姿勢を保持することが重要です。
荷主が過積載を防ぐための対策
正確な貨物重量の事前申告
出荷する貨物の重量を正確に計測し、トラック運送事業者への事前連絡を徹底する必要があります。その際、パレットやラップなどの梱包資材の重量も含めた総重量を把握することが重要です。また、突発的な追加発送依頼は過積載のリスクを高めるため、計画的な出荷体制を整えることが求められます。
荷主としての法的責任の認識
過積載を誘発する行為は荷主にも責任が及ぶため、この点について十分な理解が必要です。そのため、運送契約書には最大積載量の遵守を明確に記載し、さらに運送事業者との定期的な打ち合わせを通じて、法令遵守の状況を確認することが重要です。
過積載に許容範囲はないため、余裕を持った積載量を
過積載は、1kgでも最大積載量を超えると違反とみなされ、法的にも厳しく取り締まられています。最大積載量ギリギリを目指すのではなく、余裕を持った積載計画を立てることが重要です。安全かつ効率的な物流を維持するためにも、過積載のリスクを理解し、徹底した対策を心がけましょう。
なお、Hacobuでは「運ぶを最適化する」をミッションとして掲げ、物流DXツールMOVO(ムーボ)と、物流DXコンサルティングサービスHacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)を提供しています。
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