更新日 2025.06.18

ユニットロードとは?貨物輸送の効率化やコスト削減につながる理由や成功させるポイントを解説

ユニットロードとは?貨物輸送の効率化やコスト削減につながる理由や成功させるポイントを解説

物流領域では、少子高齢化によるドライバー不足積載効率の悪化、長い荷待ち時間など数多くの課題を抱えています。これらの課題を解決するためには、物流の効率化が重要なポイントとなります。

物流の効率化を図る手段のひとつとして、注目されているのが「ユニットロード」です。

ユニットロードは、さまざまな荷姿の貨物をコンテナやパレットなどの標準的な単位でまとめて、機械や器具を使って荷役・輸送を行う方式です。ユニットロードの活用によって、物流の効率化に加え、コストの削減や貨物の破損防止といった多面的なメリットが期待されます。

本記事では、ユニットロードの仕組みや導入することで得られるメリットなどについて、物流DXパートナーのHacobuが解説します。現場での活用方法についてもご紹介します。

ユニットロードとは?

ユニットロードとは、「ひとまとまりの荷物=単位化された貨物形態」を表します。国土交通省によると、ユニットロードは以下のように定義されています。

ユニットロード=さまざまな荷姿の貨物を、あらかじめ、ある標準の重量もしくは体積(取扱単位)にとりまとめて輸送する方式

引用:https://www.mlit.go.jp/hakusyo/transport/shouwa63/ind000101/s04.html

荷物はさまざまな荷姿で包装されており、大きさもそれぞれ異なります。小さな荷物を個別で直接運搬すると多くのコストや時間、手間が要されます。しかし、貨物を標準的な単位でまとめて運ぶことによって、個々の荷物の積卸しの手間が削減され、作業の負担が軽減できます。

多数の小口貨物をパレットやコンテナ、カゴ車単位でひとつにまとめ、フォークリフトなどの荷役機械を使用して運搬することで、荷役輸送保管のコストの大幅な削減と作業効率の向上が期待できます。

ユニットロード活用が注目される背景

近年、ユニットロードが再び注目を集めている背景には、物流の2024年問題物流関連2法改正があります。ドライバーの時間外労働に上限規制が設けられたことで、輸送能力の不足が深刻化し、物流業界全体に大きな影響を及ぼしています。そして物流法改正により、荷主や物流事業者には「物流の効率化」が求められています。

このような変化に対応するためには、積み替えや荷扱いにかかる時間を削減し、効率的に輸送できる体制づくりが欠かせません。ユニットロードは、荷物をまとめて一括で運搬する方式であり、荷役作業の簡略化・高速化を実現します。

単なる効率化にとどまらず、労働力不足の緩和や作業現場の負担軽減、ひいては労働環境の改善といった多方面への波及効果も期待できるため、注目度が高まっています。

とくに、物流現場における積み下ろし作業は、作業員にとって最も体力を要する業務のひとつです。作業時間の短縮や運搬回数の削減は、作業の負担軽減と同時に、安全性の向上にもつながります。

ユニットロードを導入することで、個々の荷物を運ぶ必要がなくなり、パレットやコンテナ単位での荷役が可能になります。その結果、運搬回数の削減、作業時間の短縮、荷崩れや破損の防止といった効果が得られ、物流全体の品質と生産性が向上します。

ユニットロードの代表例

代表的なユニットロードの例として、まずパレット積みがあげられます。パレット積みは、荷物をパレットに積み上げてユニット化し、運搬する方法です。大型コンテナを用いて、複数の貨物をまとめて輸送するコンテナ輸送も代表的なユニットロードのひとつです。また、カゴ台車を活用することもあります。

ユニットロード導入のメリット

ユニットロードを導入することで得られるメリットとして、以下の5点が挙げられます。

  • 荷役作業の時間短縮
  • 作業員の負担軽減・安全性向上
  • 保管スペースの最適化
  • 輸送コストの削減
  • 輸送ダメージの減少

荷役作業の時間短縮

ユニットロードの導入による効果として、荷役作業の時間が短縮されます。コンテナやパレットを活用することで、個々の荷物を手作業で運ぶ必要がなくなる他、フォークリフトやクレーンによって大量の貨物を短時間で処理することができます。

作業員の負担軽減・安全性向上

ユニットロードは、作業員の身体的負担を軽減し、同時に現場の安全性も高まります。コンテナやパレットを使って一度にたくさんの荷物を運べるほか、装着・解除の作業も機械化されます。これによって作業員の負担が軽減されるため、倉庫や配送センターでの作業スピードも向上します。

また、フォークリフトなどの機械による荷役作業が可能になるため、手作業での積み下ろしに比べて作業員の負傷リスクが低下し、安全性が向上します。

保管スペースの最適化

ユニットロードを導入するメリットとして、保管スペースの最適化も挙げられます。貨物のパレット単位での保管・管理が可能になるため、倉庫のレイアウトを最適化し、保管スペースを効率的に利用できます。

輸送コストの削減

ユニットロードを導入すると、作業効率の向上が見込まれるため、輸送コストの削減も期待できます。ユニットロードでは、積込みや荷卸しの時間が短縮されるため、輸送回転率が向上します。

また、荷役の機械化によって荷卸しなどの作業時に人件費を抑制できるほか、貨物の破損リスクが低減し、補償費用や返品対応の負担も軽減されるでしょう。

さらに、パレットやコンテナは再利用が可能ですし、安全に荷物を運べるようになるため、個々の荷物の梱包を厳重にする必要がなくなります。そのため、梱包コストの削減にもつながります。

輸送ダメージの減少

ユニットロードを導入することで、輸送ダメージも減少します。ユニットロードではパレットやコンテナを活用するため、バラ積みの荷物とは異なり、荷崩れのリスクや輸送時の振動や衝撃を抑えられるようになります。よって、安定した輸送が可能になり、商品の品質維持と安全性の向上にもつながります。例えば、パレットに商品を整列することによって適切に固定され、運搬や保管中の商品の破損リスクが大幅に低減されます。

ユニットロードの種類と特徴

ユニットロードの主な種類として、以下の4つが挙げられます。

  • パレットユニットロード
  • コンテナユニットロード
  • ラックユニットロード
  • 特殊ユニットロード

それぞれの特徴について解説します。

パレットユニットロード

パレットユニットロードは、多数の少量荷物を木製やプラスチック製のパレットに積み付けて、一括で輸送する方法です。パレットを用いて荷姿の標準化を図ることをパレチゼーションといいます。パレチゼーションを行うことで、フォークリフトなどの荷役機械で荷物を運べるようになり、手で個別に持ち運ぶ場合と比べると作業効率が大幅に向上します。

パレットには素材やサイズ、形状などさまざまな種類があるため、取り扱う荷物に適したものを選択しましょう。日本国内では、1,100mm × 1,100mmのパレットが一般的に使われています。

パレットユニットロードはもっとも一般的な方法で、流通業・製造業において活用されています。

コンテナユニットロード

コンテナユニットロードは、大型コンテナを用いて複数の貨物をまとめて輸送する方法です。荷物をコンテナに積み付けることで荷姿の標準化を図ることをコンテナリゼーションといいます。コンテナリゼーションにおいてもフォークリフトを使用して運搬できるため、作業効率が向上します。

コンテナには、ドライコンテナや冷凍コンテナなど、用途に合わせた複数の種類があります。サイズもひとつではないため、荷物や運搬設備に適したものを選びましょう。

コンテナユニットロードは、海上輸送や鉄道輸送で重要な役割を果たし、国際物流においても標準的な手段です。

ラックユニットロード

ラックユニットロードとは、荷物をラックにまとめて輸送する方法を指します。ラックは、商品を保管するための棚で、物流倉庫にとっての必需品です。

物流倉庫で商品を保管する棚をユニットとして運ぶため、作業効率が向上します。ラックユニットロードは、主に食品業やアパレル業において活用されています。

特殊ユニットロード

パレットやコンテナ、ラック以外の特殊なものをユニット化して輸送する場合もあります。まず、ロールボックスパレットが挙げられます。

ロールボックスパレットはカゴ車とも呼ばれており、ボックス型のパレットの底面に車輪を装着したものを指します。 3面が網状または格子状のスチール製の枠で覆われており、車輪がついているため、荷物を積んだまま押して動かすことが可能です。ロールボックスパレットは、宅配業者の配送のほか、倉庫や小売業の現場でも活用されています。

ほかにも、ロールボックスパレットに入れる前の段階の折りたたみコンテナ(オリコン)をユニット化して輸送する方法もあります。

ユニットロードを成功させるポイント

ユニットロードには多くのメリットがありますが、導入にあたってはいくつかの課題も存在します。

たとえば、パレットやコンテナ、フォークリフトといった機材の導入には初期コストがかかります。また、企業によってはパレットサイズの統一や既存の倉庫・配送ルートとの整合性調整が必要となるケースもあります。

さらに、現場オペレーションの見直しや、作業員への新たな教育・研修の負担も考慮すべき要素です。こうした注意点を踏まえたうえで導入計画を立てることが、ユニットロードを成功させる鍵となります。

パレットサイズ・コンテナサイズの統一

ユニットロードにおいて、パレットやコンテナのサイズを統一することが重要です。パレットやコンテナのサイズを統一することで、積み重ねやすくなるため、倉庫や輸送時のスペース利用効率が向上します。また、異なる輸送手段や保管場所間での互換性が向上するため、荷役作業の効率化とコスト削減につながります。

ラッピング・バンド掛けなど荷崩れ防止対策

ユニットロードでは、パレットやコンテナを用いてバラ積みでの輸送と比べると荷崩れは起こりにくい傾向にありますが、フォークリフトでの運搬時などで荷崩れが生じることがあります。

荷物の種類や形状に応じて、ポリエチレンフィルムやストレッチフィルムを選び、しっかりとラッピングすることで、荷物の動きが抑えられ、荷崩れを防げます。

また、荷物の周囲をバンドやストラップで締め付けることによって、荷物の固定性が向上します。特に、バンド掛けは重い荷物や不規則な形状の荷物の荷崩れ防止に有効です。

荷扱い機器(フォークリフト・ハンドリフト)との相性

ユニットロードでは、フォークリフトやハンドリフトなどの荷扱い機器を活用します。そのため、使用するコンテナやパレットと荷扱い機器の相性も重要なポイントです。

たとえば、ユニットロードの寸法によって、対応する荷扱い機器の種類が変わりますし、重い荷物を扱う場合は、対応する機器を選ばなければなりません。また、ハンドリフトは木製パレットには対応していないことが多いため、注意が必要です。

保管・輸送ルートに応じた設計

保管・輸送ルートに応じた設計も、ユニットロードにおいて重要です。

まず、冷蔵・冷凍品や湿気に敏感な荷物を運搬する際は、適切な温湿度条件を維持できるユニットロードを設計しましょう。また、トラックや鉄道を用いた陸上輸送、海上輸送、航空輸送それぞれの特性に合わせて、耐振動性や耐衝撃性を考慮した設計をすることも大切です。

トラック予約受付システムによる荷役時間計測

ユニットロードを最大限に活かすには、「計測 → 改善 → 定着」のサイクルを回せる仕組みが欠かせません。そこで有効なのがトラック予約受付システムを活用した荷役時間の自動計測です。

荷姿別・車両別の実績データを取得

パレット・コンテナ・カゴ車など荷姿の種類と車両情報を紐づけて作業予約をすることで、「どの荷姿が何分で処理できたか」を定量的に把握できます。

ボトルネックの特定

荷姿別データをダッシュボードで可視化すれば、処理時間が長い荷姿や時間帯を瞬時に抽出でき、作業配置や動線の改善につなげられます。

施策効果の検証

ラッピング方法やパレットサイズを変更した際の時間短縮効果を、ビフォー/アフターで比較・検証できるため、次の投資判断に根拠を与えます。

荷役時間を「見える化」することで、ユニットロードの導入効果と改善ポイントを現場とマネジメント層が共有でき、継続的な最適化が可能になります。

ユニットロードの活用事例

ここでは、ユニットロードの活用事例を紹介します。(内容は記事公開時点)

NX・NPロジスティクス株式会社(旧:日通・NPロジスティクス)

NX・NPロジスティクス株式会社では、IE(Industrial Engineering)手法を用いたユニットロード化に取り組みました。 IEとは、生産工学で、作業内容や工程を科学的に分析することによって、より商品を正しく、早く、効率的に生産するための手法を指します。 この改善活動が評価され、2021年の「全日本物流改善事例大会」で最優秀賞である「物流合理化賞」を受賞しています。

引用:https://www.nipponexpress-holdings.com/ja/press/2021/20210622-2.html

ワコーパレット株式会社

物流資機材の販売・レンタルを手掛けるワコーパレットは、カゴ台車やネスティングボックスなど多様な商品ラインアップを提供し、顧客のユニットロード化を支援しています。同社は、ICTの導入も積極的に進めており、物流生産性の向上と労働負荷の軽減に貢献しています。

引用:https://www.jmd.co.jp/article.php?no=297741

花王株式会社

花王株式会社では、1970年代からユニットロードを導入し、物流システムの近代化に取り組んでいます。その取り組みのひとつとして、立体自動倉庫の導入や一貫パレチゼーションを中心とするユニットロードシステムを採用しました。これにより、物流の機械化・自動化を推進し、効率化を図っています。長年にわたってユニットロードに取り組み続けている先進企業の好例です。

https://www.gsid.nagoya-u.ac.jp/bpub/research/public/forum/22/11.pdf

ユニットロード × デジタル管理(可視化)」に取り組む必要性

物流の2024年問題・物流関連2法改正以降、荷主と物流事業者には定量的エビデンスに基づく効率化が求められています。ユニットロードで積み替え回数を減らしても、実際に何分短縮できたのかが分からなければ、追加投資の効果を社内外に示せません。

そこで鍵を握るのが、トラック予約受付システムによる荷役時間の自動把握です。荷姿別に粒度の細かい実績データを取得することにより、荷役生産性のボトルネックが明確になり、現場改善のスピードと確度が飛躍的に向上します。

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※ 出典 デロイト トーマツ ミック経済研究所『スマートロジスティクス‧ソリューション市場の実態と展望【2024年度版】』https://mic-r.co.jp/mr/03240/ バース管理システム市場の売上⾼および拠点数におけるシェア

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。 >>プロフィールを見る

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