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執筆者:菅原 利康

SaaSとは?意味やサービス内容、PaaS・IaaSとの違いをわかりやすく解説

物流領域でも「SaaS」の利用が進みつつあり、業務効率化やコスト削減に役立つ場面が多々あります。本記事では、SaaSの基本的な意味やサービス内容を解説するとともに、「PaaS」「IaaS」との違いについても、物流DXパートナーのHacobuが詳しく説明します。

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SaaSとは

SaaSとは「Software as a Service」の略で、インターネットを通じてソフトウェアを提供するサービスのことを指します。従来のようにソフトウェアを自社サーバーやPCにインストールする必要はなく、クラウド上で稼働するソフトウェアの機能をインターネットを通じて利用できます。

SaaSの特徴

SaaSの活用は、業務効率の大幅な向上につながります。ここでは、SaaSの主要な特徴について、物流現場での活用例を交えて解説します。

インターネット経由であればどこからでもアクセス可能

SaaSの最大の特徴の一つが、インターネットに接続できる環境さえあれば、場所を選ばずにサービスを利用できる点です。オフィスはもちろん、自宅、外出先など、あらゆる場所で、パソコンやスマートフォン、タブレット端末といったデバイスからアクセス可能です。たとえば、物流センターの現場や移動中でも、スマートフォンやタブレットを使ってシステムにアクセスし、必要な情報を確認したり作業を進めたりできます。この柔軟性により、現場の効率化と迅速な意思決定が可能になります。

いつでも最新情報にアクセスできる

SaaSは、常に最新の機能や情報にアップデートされています。ソフトウェアの更新作業は、サービス提供者が行うため、ユーザーは特別な操作をする必要はありません。物流領域では、在庫情報や配送状況などのデータがリアルタイムで更新され、最新情報に基づいた判断を行ったり、天候や交通情報との連携により、配送計画を柔軟に調整したりすることができます。これにより、誤配送や在庫不足といった問題を未然に防ぐことができます。

複数のユーザーが同時に作業できる

SaaSは、複数のユーザーが同時に同じデータにアクセスし、共同で作業を行うことができます。たとえば、倉庫スタッフがリアルタイムで在庫データを更新し、管理者が同時にその情報を確認して次の指示を出すといったことが可能です。リアルタイムでの情報共有が可能となるため、業務効率の向上や意思決定のスピードアップにも貢献します。

SaaSのメリット

SaaSを導入することで得られるメリットは多岐にわたります。以下に代表的なメリットを挙げてみましょう。

初期投資が抑えられる

SaaSは、ソフトウェアをインターネット経由で利用するため、サーバーやソフトウェアのライセンスを購入する必要がなく、月額や年額の利用料のみでサービスを利用できます。特に中小規模の物流企業にとって、この点は大きなメリットとなります。また、利用規模に応じて料金プランを選択できる場合も多いため、事業の成長に合わせて段階的に投資を行うことが可能です。そのため、予算の見通しが立てやすく、財務計画も立てやすいという利点があります。

アップデート・メンテナンスの手間がかからない

ソフトウェアのアップデートやシステムのメンテナンスはサービス提供者が一括して行うため、ユーザー企業側での運用管理の負担が大幅に軽減されます。セキュリティアップデートや新機能の追加は自動的に行われ、常に最新の状態で利用できます。また、システムトラブルが発生した際もサービス提供者が対応するため、社内にシステム専門スタッフを配置できない場合でも安心して利用でき、本業である物流業務に集中することができます。

SaaSのデメリット

社内でセキュリティ対策が必要

クラウド上でデータを扱うため、インターネット経由の不正アクセスや情報漏洩のリスクがあります。サービス提供者がセキュリティ対策を講じていても、社内での適切なアクセス権限の設定や、パスワード管理の徹底が必要です。また、従業員のセキュリティ教育も重要となります。特に物流業界では、顧客の機密情報や個人情報を扱うことも多いため、より慎重な対応が求められます。セキュリティインシデントが発生した際の対応手順も、あらかじめ定めておく必要があります。

サービス停止時の影響

インターネットに接続できない環境では、システムを利用することができません。また、サービス提供者側でシステム障害が発生した場合、システムが利用できず、業務が停止してしまうリスクがあります。特に物流業界では、配送遅延などの直接的な影響が発生する可能性があるため、代替手段の確保やバックアップ体制の整備が重要です。また、長時間のシステム停止に備えて、緊急時の対応マニュアルを準備しておくことも必要です。

細かいカスタマイズが難しい場合がある

SaaSは多くの企業が共通で利用することを前提としているため、提供される機能やインターフェースがあらかじめ決められていることが多く、個別の要望に応じたカスタマイズには制限がある場合があります。特殊な業務フローや独自の管理方法がある場合、それらに完全に対応することが難しいケースもあります。また、既存の社内システムとの連携や、データ形式の変換が必要になることもあります。導入前には、自社の業務プロセスとSaaSの機能を照らし合わせ、適合性を十分に検討することが重要です。

SaaSと「PaaS」「IaaS」の違い

クラウドサービスは大きく「SaaS」「PaaS」「IaaS」の3種類に分類されます。これらの違いを表す例えとして、IaaSを「土地」、PaaSは「建物」、SaaSは「完成されたマンションの各区画」と例えることがあります。それぞれの特徴と、SaaSとの違いを見ていきましょう。

「PaaS」との違い

PaaSとは「Platform as a Service(サービスとしてのプラットフォーム)」の略で、アプリケーション開発のためのプラットフォームを提供するサービスです。開発者がインフラを気にすることなく、ソフトウェアやアプリケーションを構築できるのが特徴です。

SaaSは、完成されたアプリケーションを提供するのに対し、PaaSは、アプリケーションを開発するための土台を提供します。たとえば、PaaSを利用すれば、データベースや開発ツールなどをクラウド上で利用でき、アプリケーションの開発や利用を効率的に行うことができます。

「IaaS」との違い

IaaSとは「Infrastructure as a Service(サービスとしてのインフラストラクチャ)」の略で、サーバーやストレージなどのインフラをクラウド上で提供するサービスです。物理的なサーバーを購入する必要がなく、オンデマンドで利用できます。SaaSはソフトウェアを提供するのに対し、IaaSはインフラそのものを提供します。SaaSやPaaSは、IaaSの上に構築されるサービスです。

SaaSサービスの例

SaaSはさまざまな業界や分野で活用されています。その中でも代表的な例と、物流領域で活用されているSaaSを以下に挙げます。

ビジネスチャット

SlackやMicrosoft Teams、Chatworkなど、業務連絡やチーム内のコミュニケーションを効率化するツールです。これらのサービスは、リアルタイムでのメッセージ送信やファイル共有、音声・ビデオ通話機能も備えており、社内外のコミュニケーションを円滑にする役割を果たします。また、チャットログが自動的に保存されるため、重要な指示や連絡の履歴を後から確認することもできます。

Web会議システム

ZoomやGoogle Meetなど、オンラインでの会議やセミナーを実現するツールです。画面共有や録画機能があり、リモートワークやオンライン商談において重要な役割を担っています。特にコロナ禍以降、テレワークの普及に伴い、需要が急増しています。

ERP

ERP(Enterprise Resource Planning)は、企業の基幹業務を一元管理するためのシステムです。物流領域では、受発注管理、在庫管理、会計処理、人事管理などを統合的に扱うことができます。各業務のデータが連携されているため、経営状況の把握や業務効率の分析が容易になります。また、データの二重入力を防ぎ、業務の正確性も向上します。

WMS

WMS(Warehouse Management System)は、倉庫内の貨物や資材、商品の入出庫や在庫管理を効率化するためのシステムです。具体的には、商品の受け入れから出庫、棚卸し、在庫移動の追跡までをサポートし、正確な在庫状況をリアルタイムで把握できます。これにより、在庫の過不足を防ぎ、物流コストの削減や作業効率の向上が実現されます。

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なお、Hacobuが提供するバース予約システムのMOVO Berthはこちらからシステムの詳細をご覧いただけます。

自社に適したSaaSの選び方

SaaSを選ぶ際には、自社の業務ニーズや条件に合ったサービスを見極めることが重要です。以下に、選定時に注目すべきポイントを紹介します。

必要な機能が備わっているか

まずは、自社の業務で必要な機能が提供されているかを確認しましょう。現在の業務で必要な機能はもちろん、将来的な事業拡大や新規サービスへの対応も視野に入れて検討します。具体的な業務シーンを想定し、システムの操作性や画面遷移なども確認することをお勧めします。また、既存システムとの連携の要否や可否についても事前に確認が必要です。

料金体系

SaaSの料金体系は、サービスによって異なります。月額料金や初期費用、追加料金の発生条件や契約期間、解約条件などを詳細に確認します。利用するユーザー数や取扱荷物量に応じて料金が変動する場合もあるため、長期的なコスト試算を行うことが重要です。事業規模の変動に応じて、柔軟にプランを変更できるかどうかも重要なポイントとなります。

セキュリティ体制

セキュリティは、SaaS選定時の重要なポイントです。データの暗号化、アクセス権限の設定、バックアップ体制など、セキュリティ面での対策を確認します。特に、個人情報や機密情報を扱う場合は、より厳格なセキュリティ基準が求められます。サービス提供企業のセキュリティ認証の取得状況や、過去のインシデント対応実績なども確認するとよいでしょう。

サポートの充実度

導入時のサポート体制や、運用開始後のヘルプデスク対応について確認します。問い合わせ方法や対応時間帯、サポート内容の範囲などを事前に把握しておくことが重要です。また、システムトラブル発生時の対応体制や、復旧までの目標時間なども確認しておく必要があります。物流業界では、業務が止まることの影響が大きいため、サポート体制がしっかりしたサービスを選びましょう。

導入実績

同業他社での導入実績や、業界内での評価を確認します。特に、自社と似た規模や業務形態の企業での導入事例があれば、より具体的な効果や課題を把握することができます。可能であれば、実際に導入している企業の声を聞くことも検討するとよいでしょう。

まとめ

SaaSは、物流領域をはじめとするさまざまな分野で業務効率化を実現する強力なツールです。その利便性やコスト効率の良さから、多くの企業が導入を進めています。一方で、セキュリティやサービス停止リスクなどの課題も存在するため、自社のニーズに合ったサービスを慎重に選ぶことが重要です。

本記事で紹介した選定ポイントや具体例を参考に、最適なSaaSを活用して業務の効率化と競争力の向上を目指しましょう。また、サービス導入後も継続的に運用を見直し、最新の技術やトレンドに対応することで、さらに大きな効果を得ることができます。SaaSを活用し、業務の効率化と顧客満足度の向上を図りましょう。

なお、Hacobuでは「運ぶを最適化する」をミッションとして掲げ、物流DXツールMOVO(ムーボ)と、物流DXコンサルティングサービスHacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)を提供しています。

物流現場の課題を解決する物流DXツール「MOVO」の各サービス資料では、導入効果や費用について詳しくご紹介しています。

トラック予約受付サービス(バース予約システム) MOVO Berth

MOVO Berth(ムーボ・バース)は、荷待ち・荷役時間の把握・削減、物流拠点の生産性向上を支援します。

動態管理サービス MOVO Fleet

MOVO Fleet(ムーボ・フリート)は、協力会社も含めて位置情報を一元管理し、取得データの活用で輸配送の課題解決を支援します。

配車受発注・管理サービス MOVO Vista

MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)は、電話・FAXによるアナログな配車業務をデジタル化し、業務効率化と属人化解消を支援します。

物流DXコンサルティング Hacobu Strategy

Hacobu Strategyは、物流DXの戦略、導入、実行まで一気通貫で支援します。

著者プロフィール / 菅原 利康

株式会社Hacobuのマーケティング担当

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