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流通とは?4つの機能と3つの役割、課題や解決方法を解説
流通とは、消費者から生産者までの流れのことを指します。流通と似ている言葉として、商流や物流がありますが、それぞれ意味合いが少し異なります。本記事では、流通の機能や役割、課題や解決方法などについて、物流DXパートナーのHacobuが解説します。
目次
流通とは
流通とは、商品が生産者から消費者に届くまでの一連の提供の流れを指します。具体的には、商品が生産されてから消費者の手元に届くまでに、倉庫での保管、小売店への卸売り、代金の支払いなど、さまざまな過程を経ることになります。このような商品の移動に関わる一連の流れ全体が流通です。 これまでの流通は、生産者から卸売業者、小売店を経て消費者に届くという実店舗での購入が主流でした。しかし、近年ではEC(電子商取引)市場の急速な拡大により、流通の形態も大きく変化してきています。特に、生産者が直接消費者に商品を届けるダイレクト型の流通が増加しており、従来の流通経路に加えて、新たな選択肢として定着しつつあります。
流通が持つ4つの機能
物流
物流は、商品の保管や輸送、在庫管理など、モノの実際の移動に関わる機能を指します。具体的には、トラックによる配送や倉庫での保管、商品の仕分けなどが含まれます。この機能は、商品を適切なタイミングで適切な場所に届けることを可能にし、サプライチェーン全体の効率性を支えています。
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商流
商流は、商品の売買に関する所有権の移転を管理する機能です。製造業者から卸売業者、小売業者、そして最終消費者までの商取引の流れを整理し、各段階での取引を円滑に進める役割を果たしています。
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金流
金流は、商品やサービスの対価として発生する代金の流れを管理する機能です。現金取引やクレジットカード決済、電子マネー決済など、様々な決済手段を通じて、取引の金銭的側面を支えています。
情報流
情報流は、商品に関する情報や市場動向、消費者ニーズなどの情報を収集・分析・共有する機能です。この機能により、市場の需要と供給のバランスを適切に保つことが可能となります。
流通は「ギャップ」を埋めるために必要不可欠
生産者と消費者では、商品に対する立場が大きく異なります。生産者は大量生産による効率化を求め、消費者は必要な時に必要な量だけを求めるというように、両者の要求には大きな隔たりがあります。実際、ほとんどの商品には、この生産者と消費者の間に様々な「ギャップ」が存在しています。 このような状況において、流通の存在は非常に重要な意味を持ちます。流通システムが「ギャップ」を適切に埋めることで、商品の円滑な移動が可能となり、結果として経済全体の活性化にも大きく貢献しています。例えば、消費者が必要とするタイミングで、必要な場所に、適切な量の商品を提供できるのも、流通システムが効果的に機能しているからです。
つまり、生産者とは異なる立場や要求を持つ消費者に商品を適切に届けるためには、流通の存在が不可欠といえます。
流通の3つの役割
具体的に流通システムはどのように「ギャップ」を埋めているのでしょうか。ここでは、流通が果たす3つの重要な役割について、詳しく解説します。
「人」のギャップを埋める
生産者と消費者の間には、様々な隔たりが存在します。例えば、生産者は大量生産した商品の販売先を探す必要がある一方で、消費者は自分に必要な商品をどこで購入できるのかを知る必要があります。このように、両者の間には所有権の移転や商品情報の伝達における大きな隔たりが生じているのです。 このような「人」のギャップを埋めるのが、先に説明した4つの機能のうちの「商流」です。「商流」は、商品の所有権を生産者から消費者へと適切に移転させる機能を持ち、さらに必要な商品情報を双方に提供することで、スムーズな取引を可能にしています。例えば、小売店が商品の品質や特徴を消費者に説明したり、消費者のニーズを生産者にフィードバックしたりする役割を担うことで、生産者と消費者の架け橋となっています。
「時間」のギャップを埋める
商品が生産される時期と、実際に消費者が必要とする時期には、多くの場合ズレが生じます。例えば、農産物は収穫期に大量に生産されますが、消費者は1年を通じて必要な量を購入したいと考えます。また、製造業では生産効率を高めるため、まとまった量を一度に生産しますが、消費者の購入は少量ずつ分散して行われます。 このような生産時期と消費時期の「時間」のギャップを埋めるのが、4つの機能のうちの「物流」です。具体的には、倉庫や物流センターにおける適切な保管管理により、商品を必要な時期まで品質を維持しながら保管することができます。また、季節商品の在庫調整や需要予測に基づく在庫配置など、きめ細かな物流管理により、消費者が必要とするタイミングに商品提供を可能にしています。
「距離・場所」のギャップを埋める
生産者と消費者の間には、物理的な距離や場所の隔たりが存在します。例えば、工場は効率的な生産のために郊外に立地していることが多く、一方で消費者は都心部に集中しているため、両者の間には大きな距離的なギャップが生じています。また、海外で生産された商品を国内の消費者に届ける場合など、より大きな地理的な隔たりが存在することもあります。 このような「距離・場所」のギャップを埋めるのも、4つの機能のうちの「物流」の重要な役割です。具体的には、トラックや鉄道、船舶、飛行機などの輸送手段を活用した配送ネットワークの構築や、生産者が物流拠点を各地に戦略的に配置することで、効率的な商品の移動を実現しています。特に近年では、全国各地の消費者に迅速に商品を届けるため、物流センターや配送拠点を適切に配置し、きめ細かな配送サービスを提供することで、この距離的なギャップを最小限に抑える工夫が行われているのです。
流通が抱える3つの課題
流通システムは、大きく分けて3つの重要な課題に直面しています。これらの課題は互いに関連し合い、サプライチェーン全体の効率性と持続可能性に影響を与えています。
人手不足
1つ目の課題は、深刻化する人手不足です。特に物流現場における作業員の確保が困難になっており、工場や物流センターでの入出荷作業、フォークリフトなどの重機オペレーター、長距離トラックドライバーの不足が深刻な問題となっています。この背景には、少子高齢化による労働人口の減少に加え、製造業のグローバル化に伴う物流需要の増加があります。
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コストの上昇
2つ目の課題は、コストの上昇です。人件費の高騰、燃料費の増加、大型物流施設への設備投資負担など、様々な要因によりコストが上昇傾向にあります。特に工場間や倉庫間の中継輸送において、積載効率の低下や空車での回送が発生しており、輸送コストを押し上げています。さらに、原材料や部品のジャストインタイム納品要請への対応など、取引先からの厳しい納期要求に応えるための余分なコストも発生しています。
環境負荷への対応
3つ目の課題は、環境負荷への対応です。大型トラックからのCO2排出や産業用包装資材の廃棄物増加など、企業間物流が環境に与える影響が社会問題として認識されています。SDGs(持続可能な開発目標)への関心が高まる中、環境に配慮した企業間物流の構築が急務となっています。また、生産計画と在庫管理の不適切な連携による過剰在庫や、製品の仕様変更による部品の廃棄なども、環境負荷を増大させる要因となっています。
これらの課題は、企業間取引における商習慣や業界構造とも密接に関連しており、個別企業の取り組みだけでは十分な解決が難しい状況です。そのため、業界全体での協力体制の構築や、新技術の導入による抜本的な改革が必要とされています。
流通の課題を解決する方法
流通における様々な課題を解決するためには、複数のアプローチが考えられます。例えば、業務プロセスの見直し、人材育成の強化、設備投資の拡大などが挙げられます。しかし、これらの解決策の中でも、特に物流機能からの改善が効果的です。物流は流通全体のコストの大部分を占めており、ここの改善が全体の最適化に直結します。
サプライチェーン全体の最適化を図る
個別の物流機能の改善だけでなく、サプライチェーン全体を見据えた最適化が重要です。生産計画と物流計画の連携強化、取引先との情報共有の促進、在庫の適正化などを通じて、全体最適を実現します。特に、受発注システムと在庫管理システムを連携させることで、余分な在庫を持つことなく、必要な時に必要な量を供給する体制を構築できます。これにより、保管コストの削減や環境負荷の低減にもつながります。
モーダルシフトを推進する
環境負荷の低減と輸送効率の向上を同時に実現する方法として、モーダルシフトの推進が効果的です。トラック輸送から鉄道や船舶による輸送への切り替えを進めることで、CO2排出量の削減と長距離ドライバー不足の解消を図ることができます。特に、大量輸送が可能な幹線輸送において、計画的にモーダルシフトを推進することで、環境面での改善とコスト削減の両立が可能となります。
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共同配送を推進する
環境への負荷を軽減しながら輸送効率を高める方法として、共同配送の推進が有効です。複数の企業が連携して荷物をまとめて配送することで、トラックの台数を削減し、CO2排出量の抑制が可能となります。さらに、配送ルートの最適化や積載効率の向上によって、コストの削減や物流全体の効率化が期待できます。特に、都市部や近距離輸送において、共同配送を計画的に進めることで、環境負荷の軽減と企業間の連携による新しい物流の形を実現することができます。
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物流DXを推進する
企業間物流のデジタルトランスフォーメーション(DX)は、多くの課題を包括的に解決する有効な手段です。具体的には、倉庫管理システム(WMS)やバース予約システムによる入出荷作業の自動化や、輸配送管理システム(TMS)による配車計画の最適化などが挙げられます。さらに、IoTセンサーやAI技術を活用することで、庫内作業の無人化や需要予測の精度向上も実現可能です。これらのデジタル技術の導入により、人手不足の解消、業務効率の向上、コスト削減を同時に達成することができます。
これらの解決策は、個別に実施するのではなく、相互に連携させながら段階的に導入していくことが重要です。特に物流DXを基盤として、他の施策を効果的に組み合わせることで、より大きな改善効果を期待することができます。
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物流DXにおける3つのメリット
物流DXには以下の3つのメリットがあります。
労働生産性の向上
物流DXの推進により、従業員の負担軽減や業務効率の向上が期待できます。例えば、配車業務をデジタル化することで、FAXや電話対応の手間を削減し、属人化を解消できます。また、動態管理サービスを活用すれば、車両の到着確認が容易になり、業務のムダやムラを削減できます。
業務効率化によるコスト削減
紙媒体の電子化やデータの活用により、事務処理の手間を軽減し、印刷コストや人件費の削減が可能です。また、データの可視化により非効率な業務を特定し、改善することでさらなるコスト削減が期待できます。これにより、物流コストの高騰に対処し、企業の競争力を維持・向上させることができます。
脱炭素への貢献
物流DXの導入は、脱炭素社会の実現にも寄与します。サプライチェーン全体のCO2排出量を可視化し、効率的な輸配送を実現することで、環境負荷の低減が可能です。具体的には、輸配送のCO2排出量を把握し、最適なルート選択や車両の稼働率向上を図ることで、脱炭素への貢献が期待できます。
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まとめ
流通システムは、現代社会における経済活動の基盤として不可欠な存在です。4つの基本機能(物流、商流、金流、情報流)と3つの重要な役割(人、時間、距離・場所のギャップを埋める)を持ち、これらが効果的に機能することで、円滑な商取引が実現されています。
現在直面している様々な課題に対しては、アウトソーシングやDX化といった解決策が有効です。特に、デジタル技術の活用は、業務効率の向上やコスト削減など、多くのメリットをもたらします。
今後は、さらなるデジタル化と技術革新により、より効率的で持続可能な流通システムの構築が期待されています。これにより、経済活動全体の活性化と社会の持続的な発展が実現されるでしょう。
なお、Hacobuでは「運ぶを最適化する」をミッションとして掲げ、物流DXツールMOVO(ムーボ)と、物流DXコンサルティングサービスHacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)を提供しています。
物流現場の課題を解決する物流DXツール「MOVO」の各サービス資料では、導入効果や費用について詳しくご紹介しています。
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著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuのマーケティング担当
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