更新日 2025.06.12

ガバナンスとは?物流部門こそ強化しなければならない理由と改善ステップを解説

ガバナンスとは?物流部門こそ強化しなければならない理由と改善ステップを解説

ここ数年、企業における相次ぐ不祥事やサステナビリティ要求の高まりから、ガバナンスの欠如が厳しく問われるようになりました。多くのステークホルダーが介在する物流部門にとって、ガバナンスの強化は決して他人事ではありません。

本記事では、ガバナンスの基本から物流における重要性、具体的なリスク、メリット、そして強化ステップなどについて、物流DXパートナーのHacobuが解説します。

目次

ガバナンスの基本概念

ガバナンスの定義(企業ガバナンス/コーポレートガバナンス)

ガバナンスとは、企業や組織が持続的に成長しながら、社会的責任を果たすための「しくみ」と「ルール」の総体を指します。企業が健全な経営を続けるためには、透明性・公正性・説明責任といった価値観に基づく統治体制が不可欠です。コーポレートガバナンスという用語も広く用いられますが、その本質は企業全体の統治と持続可能性の担保にあります。株主や取引先、従業員といったステークホルダーが安心して関与できる環境を整えることは、ガバナンスの目的の一つと言えます。

物流や製造といった実務現場でもガバナンスの意義は無視できません。たとえば輸送の安全性、品質保証、納期の遵守といった日々の業務こそが、ガバナンスの仕組みによって支えられています。つまり、ガバナンスは経営層だけの話ではなく、現場の隅々にまで影響を及ぼす基盤的要素と言えます。

コンプライアンス・内部統制との違い

ガバナンスと混同されやすい概念に「コンプライアンス」や「内部統制」がありますが、それぞれの役割は明確に異なります。

  • コンプライアンス:法令や企業倫理、社内ルールを「守る」行為そのものを指します。たとえば道路交通法を遵守する、労働基準法に則って雇用管理を行う、といった具体的な実践が該当します。
  • 内部統制:こうしたルールや規範を確実に守るために、業務プロセスを設計・運用する「仕組み」です。マニュアルの整備、チェック体制の構築、フローの文書化などがその一部です。
  • ガバナンス:これらコンプライアンスや内部統制の取り組みを「機能させ続けるための統治構造」そのものを指します。

たとえば、過積載防止のための法令遵守(コンプライアンス)を目的とし、積載量のチェックフローを定義(内部統制)し、そのフローが適切に実行されているかを監視・是正する体制(ガバナンス)を整備することが求められます。こうした三位一体の取り組みが企業の健全性を支えるのです。

物流領域におけるガバナンスの重要性

物流は、多様な企業や組織が関与するサプライチェーンの中核を担っています。荷主企業に加え、調達元や得意先、元請け事業者、実運送事業者など、多くのステークホルダーが関わるため、業務の柔軟性やコスト効率が向上する一方で、責任の所在が不明確になりがちです。

「あのトラブルはなぜ起きたのか、責任の所在が不明確だ」「委託先とのコミュニケーションがうまくいかず、いつも後手に回っている」といった経験はないでしょうか。このような構造では、法令違反や品質のばらつきといったリスクが見過ごされやすくなります。

したがって、荷主の物流部門は、自社のガバナンス体制だけにとどまらず、委託先を含めたサプライチェーン全体に対する監視と統制の枠組みを構築することが重要です。明確なルール策定、実効性のある監査体制、そしてトラブル発生時の迅速な是正対応こそが、信頼される物流体制の基礎となります。

今、ガバナンスが一層求められる背景

近年の企業不祥事と社会的要請

ここ数年、日本国内では大手企業による不正会計や品質データの改ざんといった深刻な不祥事が相次ぎ、企業ガバナンスの欠如が厳しく問われるようになりました。経営陣の辞任、製品の出荷停止、株価の急落、信頼の失墜など、社会に与える影響は甚大であり、企業に対する監視の目が一層厳しくなっています。

これを受け、金融庁や証券取引所はコーポレートガバナンス・コードを改訂し、社外取締役の比率引き上げや内部通報制度の強化といった取り組みを推奨しています。つまり、今やガバナンスは一部の大手企業だけが意識すればよい問題ではなく、すべての企業にとって不可欠な社会的要請となっています。

法規制の強化

さらに、法的な規制強化もガバナンスを後押ししています。たとえば2025年4月に施行された改正物流効率化法では、物流の効率化が企業の「努力義務」へと格上げされました。判断基準を満たさない場合には勧告や社名公表といった行政処分が科される可能性もあり、物流部門には従来以上に法令対応と実務改善が求められています。

また、下請法の改正も進んでおり、荷主・元請け事業者が物流委託契約を行う際には、書面化の義務や価格決定の協議義務など、具体的な遵守項目が厳格化されます。こうした変化を受け、物流部門においてもガバナンス体制の再構築が急務となっています。

ESG投資・サステナビリティ要求の高まり

投資家の視点でも、ガバナンスの重要性は高まっています。環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を重視するESG投資が注目される中、企業の統治体制は株価や資金調達に直結するものと言えます。

たとえば、過積載を常態化させる運送業者や、再生可能エネルギーを使用しない施設の倉庫業者、恒常的な荷待ちが発生して行政処分を受けた荷主企業は、ESG観点から低評価を受けるリスクがあります。つまり、物流業務におけるガバナンス不全が、そのまま企業価値の毀損につながる可能性が非常に高いと言えます。

協力会社への不当な行為とガバナンス不全

ガバナンスの目的

ガバナンスの目的は、企業が法令・社会規範を守りながら持続的に成長できる統治体制を整えることです。具体的には以下が機能することで企業は社会的信頼を獲得し、安定した事業運営を継続できます。

  • コンプライアンスの徹底
  • 株主・従業員・取引先などステークホルダーへの説明責任の遂行
  • リスクの早期発見と抑制
  • 不正発生時の迅速な是正を実現する

協力会社への不当な行為とガバナンスの関係

しかしながら、現実には協力会社に対して不当な要求が日常的に行われているケースが存在します。たとえば、契約書で定めた条件を無視した一方的な変更、正当な理由のない値引き交渉、納期短縮の強要、あるいはハラスメント的な口調による交渉などです。

こうした行為が継続的に行われている場合、企業内部で適切な統制や監視が行われていないことを意味します。つまり、それはガバナンスの不全そのものであり、社内外からの告発や行政指導の対象となるリスクを孕んでいます。

不当行為の恒常化=内部統制の欠如

本来であれば企業は、内部統制の仕組みによって業務プロセスの適正化、不当行為の早期発見と是正、取引先への配慮といった行動を組織的に管理・監視すべきです。それにもかかわらず不当な行為が「恒常化」しているということは、裏を返せば現場で不正が黙認され、是正措置が講じられず、経営層にまで報告が上がっていない、または報告があっても放置されているという状況を意味します。

このように法令違反はもとより、企業の倫理観や社会的責任を逸脱する行為が抑止されない状態は、ガバナンス機能が停止していると言えるでしょう。

物流部門が気をつけたいガバナンス不全の具体例

物流部門はその性質上、業務の多くを外部の協力会社に委託しているため、ガバナンスの形骸化や統制漏れが起こりやすい領域です。以下に、実際に起こりうる問題例と、それが示すリスクを紹介します。

委託先物流拠点における安全管理の不備

たとえば、委託倉庫でフォークリフト事故が発生した際に、物流部門が報告を受けていながら、適切なエスカレーションを行わず、被害者へのケアや再発防止策を講じないといった対応は、明らかなガバナンス不全です。万が一このような事案がマスメディアやSNSで公表されれば、企業のレピュテーションは一気に失墜します。

長時間の荷待ちによる労務違反

製造ラインを優先するあまり、搬入トラックに長時間の荷待ちを強いている現場も少なくありません。ドライバーは荷主都合で配送計画が乱れ、法令で定められた4時間以内ごとの30分休憩(通称:430休憩)を確保できないまま運行せざるを得ない状況に陥ります。これは労働基準法上の違反に該当し、荷主にも是正勧告が出される恐れがあります。

過積載の強要

荷主が自社の都合を優先して、最大積載量を超える貨物の積載を運送事業者に求めた場合、これは道路交通法および貨物自動車運送事業法違反に該当します。近年では、荷主による過積載への関与が明らかになった場合、国土交通省から協力要請書や警告書が発行され、それに従わなければ社名公表や勧告の対象となることがあります。

優越的地位の濫用と下請法違反

物流部門が運送事業者に追加便を依頼する際、電話のみの口頭合意で済ませてしまい、運賃や納品期日などの重要条件を書面化していないケースは、下請法違反のリスクを孕んでいます。法令上の書面の交付義務を怠ると、「言った/言わない」の紛争が生じるばかりか、運送事業者の負荷を考慮せずに強要するようなことがあれば、公正取引委員会から優越的地位の濫用と判断されるおそれもあります。

拠点任せによる全社統制の不備

こうした諸問題が各拠点で発生しても、本社物流部門がそれを把握・統制できていなければ、ガバナンス体制としては機能不全です。現場からの報告が上がってこない、あるいは拠点ごとに対応方針が異なるといった状況は、全社的な是正措置の妨げになります。

ガバナンス強化のメリット

ガバナンスの強化は、単なるリスク対策にとどまらず、企業価値を高める戦略的投資でもあります。

リスク低減とブランド価値向上

事故や不正の芽を早期に摘み取ることができれば、法令違反はもとより社会的批判といった重大リスクを未然に防げます。結果として「信頼できる企業」という評価が定着し、ブランド価値の向上につながります。

ステークホルダーからの信頼獲得

投資家、顧客、社員、金融機関といったステークホルダーは、ガバナンスの行き届いた企業に対して長期的な信頼を寄せます。そのため資金調達や人材採用においても競争優位性が得られやすくなります。

コスト最適化と業務効率化

ルールと責任が明確に定義されることで、情報伝達や意思決定のスピードが上がり、業務全体の最適化がしやすくなります。重複作業や無駄なコストも自然と削減され、効率的な運営が実現します。

ガバナンス不全が引き起こすリスク

逆に、ガバナンスが機能しない場合には、深刻なリスクを引き起こします。

レピュテーション低下と顧客離反

不祥事が報道されると、企業のブランドイメージは瞬時に傷つきます。信頼を失った顧客は競合へ流れ、容易に取り戻せません。SNSでの拡散は加速度的に評判を下げ、長期的な売上減と市場占有率低下を招くおそれがあります。そうなると、従業員の士気も下がり、新規採用コストも膨らみます。結果として投資回収期間が延び、マーケティング費用が増加し、経営資源の再配分を迫られることになります。

行政処分・罰金・訴訟

下請法違反や重大事故が発覚すると、監督官庁から業務停止命令や課徴金が科される可能性があります。そうなれば被害者や取引先からの損害賠償請求訴訟が連鎖し、さまざまなコストが急増します。仮に紛争が生じるなどして、その裁判が長期化すれば資金繰りが圧迫され、研究開発や設備投資に回す資金が失われ、競争力が低下するおそれもあります。内部調査や再発防止策の策定にも多大な時間と費用が必要になります。

生産ラインの停止

メーカーの生産ラインのケースであれば、ガバナンスが機能せず品質不良や契約違反が発覚した場合、サプライヤーが納品を自主的に見合わせる場合があります。その結果、自社の生産ラインが停止する恐れがあります。

投資家からの評価低下

ESG評価機関はガバナンス不備を即座にスコアへ反映し、投資家はリスクプレミアムを上乗せして資金調達コストを引き上げます。場合によっては、株価への影響、経営者への信任が揺らぐなどして、長期的には成長戦略の実行速度が鈍化するおそれがあります。

ガバナンス強化時の落とし穴

ガバナンス強化を進める際には、陥りやすい「落とし穴」があります。これらを理解し、対策を講じることが重要です。

現場を巻き込まない形骸化ルール

経営主導で一方的にルールを追加すると、現場は背景を理解できず単なる作業として処理しがちです。実態と乖離した規定は守られにくく、「どうせ形だけ」という意識が広がり、改善提案も出なくなります。結果として可視化どころか隠蔽体質を助長し、リスクが潜航します。さらに長期的にはガバナンスへの信頼が失われます。

書類・監査偏重による機動力低下

監査資料や承認フローを過度に増やすと、意思決定に必要な時間が延び、商機を逸する恐れがあります。書類作成が現場の最優先事項となり、本来の業務改善や顧客対応が後回しになり、結果として競争力が低下します。階層ごとの重複承認が続くほど追加チェックが増え、コストも膨らみ、負のスパイラルに陥ります。

指示系統の複雑化による情報分断

部門や拠点ごとに異なる管理ツールや報告系統を導入すると、情報が縦割りで閉じてしまい、全社的なリスク兆候を掴めなくなるおそれがあります。重複入力や担当外への連絡漏れが増え、問題発生時の初動が遅れます。

ガバナンス強化時の対策

これらの落とし穴を避け、実効性のあるガバナンス体制を築くためには、以下の対策を講じることが不可欠です。

現場主導のルール整備と運用定着

ルール策定段階から現場代表をメンバーに加え、背景と目的を対話で共有します。業務フローと照合し、実行可能な手順へ落とし込むことで形骸化を防ぎます。導入後は定期的な振り返り会議を行い、改善提案を即時反映させることで、自律的に守られる文化を育てます。改善案を採用したチームを表彰しKPIに連動させると、参加意識が高まり継続性が向上します。

デジタル化による監査プロセス効率化

稟議や監査をペーパーレス化し、ワークフローシステムで自動ルーティングすることで承認時間を短縮します。入力データを一元管理し重複登録を排除すると、現場の負荷が減りミスも低減します。AIによる異常値検知を組み込めば審査の精度が向上し、必要なチェックだけを重点的に行えます。さらにダッシュボードで進捗を可視化し、遅延箇所を即把握できるためPDCAが加速します。

コントロールタワー設置

経営直轄のコントロールタワーを設置し、リスク情報・KPI・改善状況をリアルタイムで集約します。各部門のデータを統合ダッシュボードで可視化し、横串で問題の優先度を判断して対応指示を出すことで、指示系統を単純化できます。早期警戒と迅速是正の両輪が回り、全社最適のガバナンスが実現します。さらに外部パートナーとも連携することで、ガバナンスを一層強固なものにすることができます。

物流部門がガバナンスを強化するステップ

ここで改めて物流部門にフォーカスします。ガバナンス強化は、単なるリスク対策に留まらず、貴社の物流部門を戦略的な変革へと導く機会となります。しかし、どこから手をつければ良いのか迷うこともあるでしょう。本章では、物流部門がガバナンスを強化する際に、実践的なステップを解説します。

ステップ1:現状の可視化とベースラインの確立

ガバナンス強化の第一歩は、現状を正確に把握し、問題の「量」と「質」をデータで可視化することです。感覚や経験だけでなく、客観的な数値に基づいて課題を特定します。

荷待ち・荷役時間などの計測とボトルネック特定

  • 各拠点での車両の入退場時間、荷役開始・終了時間、バース滞留時間などを計測します。
  • データ分析を通じて、特定の時間帯、荷姿、拠点、あるいは運送会社で荷待ち・荷役時間が常態化しているボトルネックを特定します。
  • これにより、改正物流効率化法への対応状況や、運送会社への負担の実態が浮き彫りになります。

委託契約のデジタル化と契約状況の棚卸し

  • 現在紙で保管されている委託契約書や覚書をデジタルデータとして整理し、データベース化します。
  • 契約内容(運賃、納期、付帯作業の有無、契約期間など)が最新の状態か、すべての委託先と書面が交わされているか(3条書面交付状況)を確認します。
  • これにより、未契約や形骸化した契約、口頭でのやり取りによる「言った/言わない」の問題など、下請法違反のリスクを可視化します。

事故・ヒヤリハット報告の一元管理と傾向分析

  • 物流現場で発生した事故(物損、人身)、ヒヤリハット、軽微なトラブル(誤出荷、破損など)の報告ルートを一本化し、システム上で管理します。
  • 発生日時、場所、原因、被害状況、担当者、対応策などを詳細に記録し、定期的に分析することで、特定の事故原因や発生しやすい状況の傾向を把握します。
  • これにより、具体的な安全対策や作業改善の優先順位を明確にできます。

協力会社からのフィードバック収集と課題抽出

  • 運送会社や倉庫業者など、主要な協力会社に対し、アンケートや定期的なヒアリングを実施します。
  • 自社からの依頼内容、作業環境、コミュニケーション、支払い条件などに関する意見や要望を直接収集し、課題を抽出します。
  • これにより、自社側から見過ごされがちな現場の実情や、優越的地位の濫用につながる可能性のある行為を早期に発見できます。

ステップ2:ルールとプロセスの設計・標準化

可視化されたデータに基づき、ガバナンスの「しくみ」と「ルール」を具体的に設計し、標準化します。

物流ガイドラインの策定と周知徹底

  • ステップ1で特定された課題(荷待ち、過積載、安全管理など)を解消するための具体的なガイドラインを策定します。これには、輸送安全基準、荷役作業手順、緊急時の対応フロー、協力会社とのコミュニケーションルールなどが含まれます。
  • 策定したガイドラインは、貴社の全従業員(特に物流部門、生産部門、営業部門など関連部署)と、全ての委託先運送会社・倉庫業者に周知徹底します。eラーニングや説明会を定期的に実施し、理解度テストを導入することも有効です。

デジタルツールを活用した業務プロセスの標準化

  • 自社から運送会社への発注、配送状況の確認、請求処理、トラブル報告など、一連の物流業務プロセスをデジタルツール上に標準化します。
  • これにより、属人化を防ぎ、情報伝達の正確性を高め、ヒューマンエラーを削減します。たとえば、発注時には必ずシステムを介して3条書面を自動発行する、といった仕組みを構築します。

役割と責任の明確化

  • 物流部門内だけでなく、生産部門、営業部門、法務部門など、物流に関わるすべての部署において、ガバナンス上の役割と責任を明確に定義します。
  • 誰がどのデータを確認し、誰が判断を下し、誰が実行するかを明確にすることで、問題発生時の初動を迅速化し、責任の押し付け合いを防ぎます。

ステップ3:継続的な監視と改善(コントロールタワー機能の確立)

ルールを策定しただけではガバナンスは機能しません。継続的な監視体制を構築し、PDCAサイクルを回すことで、ガバナンスを「生きたしくみ」として定着させます。

「コントロールタワー」機能の設置とKPI設定

  • 本社物流部門内に、ガバナンスを統括する「コントロールタワー」機能を設置します。これはCLOや物流部長でばなく特定の課やチームでも構いません。
  • ステップ1で収集したデータに基づき、荷待ち削減時間、3条書面交付漏れ、事故件数、協力会社満足度など、ガバナンス上の重要業績評価指標(KPI)を設定します。
  • これらのKPIをコントロールタワーが定期的にモニタリングし、異常値を検知した際には、関連部署や委託先と連携して迅速に原因究明と是正を行います。

定期的な監査とフィードバック

  • 物流現場や委託先拠点に対し、定期的な内部監査および外部監査を実施します。
  • 監査結果はスコア化してフィードバックし、改善計画の提出を義務付けます。改善状況を定期的に確認し、進捗が芳しくない場合には、協力体制の見直しも検討します。
  • これにより、委託先の品質と法令遵守を底上げし、サプライチェーン全体のガバナンスレベルを向上させます。

情報公開とエンゲージメント

  • ガバナンスへの取り組み状況や、物流に関するKPIの進捗を、社内外のステークホルダーに積極的に情報公開します(年次報告書、ウェブサイトなど)。
  • これにより、透明性を高め、投資家や顧客からの信頼を獲得するだけでなく、従業員の意識向上や、優秀な人材の獲得にも繋がります。

ガバナンス強化の鍵はデータ

ガバナンス強化の鍵は、客観的なデータに基づいた現状把握と、継続的な改善サイクルにあります。データがなければ、問題の「勘所」が見えず、場当たり的な対応に終始してしまいがちです。

ここまで解説したステップを実行に移すには、まず貴社の物流現場でどの程度データが取れているか、そしてどのようにデータを取得し、活用していくかが非常に重要になります。

まさに、こうした物流現場の「見えない」部分を可視化し、ガバナンス強化を強力に推進するためのツールが、Hacobuが提供する物流DXツール MOVO(ムーボ)です。貴社の物流部門におけるガバナンス強化を、3つの側面から強力にサポートします。

運送委託のガバナンス強化:MOVO Vista

配車受発注・管理サービスのMOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)は、「適正な運賃で配送依頼をしているか」「適正な請負階層で配送をしているか」「3条書面に基づいた適正な書面交付をしているか」など、取引の透明性と適正性の確保を支援します。発注履歴がシステム上で「見える」ようになることで、下請法遵守や協力会社との公正な取引を担保し、信頼関係の構築を実現します。

資料をダウンロードする

自拠点におけるドライバー滞在時間のガバナンス強化:MOVO Berth

トラック予約受付サービスのMOVO Berth(ムーボ・バース)は、「自拠点全ての荷待ち・荷役時間の把握」を実現し、荷待ちが多い拠点や時間帯、荷姿などのボトルネックの特定を可能にします。リアルタイムでデータを収集・分析することで、ドライバーの健全な運行計画や、拠点ごとの作業効率改善に貢献します。

資料をダウンロードする

協力会社の運行ガバナンス強化:MOVO Fleet

動態管理サービスのMOVO Fleet(ムーボ・フリート)は、委託先の運送会社が「スピード違反をしていないか」「適切に430休憩を取得できているか」「納品先で長時間の待機や付帯作業が発生していないか」など、安全運行と労働環境の適正化を可視化します。さらに、運送会社への不当な負担を防ぎ、貴社のコンプライアンスを強化します。

資料をダウンロードする

データに基づいたガバナンス強化は、貴社の物流部門を単なるコストセンターではなく、企業価値を高める戦略的な部門へと変革する絶好の機会です。ぜひ、MOVOを活用し、貴社の物流ガバナンス体制を強化しましょう。

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。 >>プロフィールを見る

関連記事

セミナー

タグから記事を探す

メルマガ登録

物流に関する最新情報やお役立ちセミナーの告知などHacobuから厳選情報をお届けします