物流領域の付帯作業とは?業務例や問題点、適正化に向けた国の施策を解説
付帯作業とは、トラック輸送で「運送」以外に発生する荷役・検品・棚入れ等の作業です。現場負担や拘束時間を増やし、コスト増の要因にもなります。本記事では、付帯作業の業務例や問題点に加え、貨物自動車運送事業法や下請法の改正など適正化に向けた国の施策について、物流DXパートナーのHacobuが解説します。
なお、付帯作業の発生状況や料金の支払い実態をデータで可視化し、運送会社との適正な取引につなげるなら、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」の活用もご検討ください。
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目次
物流領域の付帯作業とは
物流領域の付帯作業とは、トラック輸送の本来業務である「運送(荷物を運ぶこと)」とは別に生じる荷役作業等を指します。国土交通省のガイドラインでも、荷待ち・荷役等の時間がドライバーの拘束時間を押し上げ、輸送力不足の一因となり得る課題として整理されており、荷主・物流事業者が実態を把握したうえで短縮に取り組むことが求められています。
出典:https://www.mlit.go.jp/report/press/tokatsu01_hh_000687.html
付帯作業の主な業務例
付帯作業には、荷役(積み込み・積み下ろし)をはじめ、棚入れ、検品・検収、ピッキング、梱包・包装、仕分けなどが含まれます。いずれも運送そのものではない一方で、物流品質や納品条件に直結し、現場の負荷や所要時間にも大きく影響する作業です。
荷役(積み込み・積み下ろし)
荷役とは、トラックや倉庫で荷物を積み込む・積み下ろす作業です。積載状態は輸送品質と安全に直結するため重要ですが、現場では待機や人手依存で時間が延びやすく、ドライバーの拘束時間増や作業負荷、事故リスクにつながる点が課題です。
棚入れ
棚入れとは、入荷した商品を所定の保管ロケーションへ格納し、在庫として管理できる状態にする作業です。適切な棚入れができていれば、後工程のピッキングがスムーズになり、誤出荷や欠品の防止にもつながるため、庫内生産性と品質の土台になります。一方で、ロケーション設計や在庫情報(WMS等)との整合が不十分な場合、探す・運ぶといったムダが増え、作業時間の増大やミスの発生につながりやすい点が課題です。
検品・検収
検品・検収とは、入出荷時に品目・数量・外観(破損や汚損)などが指示どおりかを確認し、誤出荷やクレームを防ぐための作業です。品質と納品精度を担保するうえで欠かせませんが、目視や手作業に依存すると工数が膨らみやすく、人為ミスや記録の手間が増える点が課題です。
ピッキング
ピッキングとは、出荷指示(オーダー)にもとづき、倉庫内の保管場所(ロケーション)から該当の商品を必要数量だけ取り出して集める作業です。出荷の正確性とリードタイムを左右する中核工程であり、ここでの取り違えや数量ミスは、誤出荷や返品対応、再出荷といった追加コストに直結します。一方で、作業者の経験や目視に依存しやすく、ロケーション管理が不十分な場合は「探す時間」や移動距離が増え、工数が膨らみやすい点が課題です。また、繁忙期には人員増強が必要になり、教育コストや品質のばらつきも発生しやすくなります。
梱包・包装
梱包・包装とは、出荷する商品を配送中の破損や汚損から守り、荷姿を整えて安全に輸送できる状態にする作業です。適切な資材選定や緩衝、ラベル貼付などが品質と顧客満足に直結し、返品や再出荷の削減にもつながります。一方で、手作業比率が高いと作業時間が増えやすく、商材や納品先ごとの仕様違いが多い現場では標準化が難しい点が課題です。また、過剰梱包は資材コストや廃棄物の増加につながるため、品質確保とコスト・環境負荷のバランス設計も求められます。
仕分け
仕分けとは、出荷先や配送便、納品条件(温度帯や時間指定など)に合わせて、商品や荷姿を分類し、次工程(積み込みや出荷)へつなぐ作業です。誤った仕分けは誤納品や積み替えの手戻りを招き、配送遅延や追加コストにつながるため、納品品質を左右する重要工程といえます。一方で、物量の波動や多品種少量化の影響を受けやすく、ピーク時に作業が集中して負荷が高まりやすい点が課題です。また、表示ルールが現場ごとに異なる場合はミスが起きやすく、教育やルール統一にも工数がかかります。
付帯作業にかかる平均時間
国土交通省「トラック輸送状況の実態調査結果(概要版)」では、短・中距離(500km以下)の1運行あたりの拘束時間(平均10時間8分)の内訳として、荷役に1時間31分、その他の付帯作業に15分が示されており、合計すると1時間46分が荷役・付帯作業に充てられていることになります。

出典:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001409523.pdf (12ページ)
つまり、運送そのもの以外の時間が運行全体の約2割弱を占めており、付帯作業の発生や長時間化は、ドライバーの労働負荷を高めるだけでなく、輸送効率の低下にもつながり得ます。荷主側としては、現状の作業実態を把握したうえで、作業の標準化や事前準備の徹底などにより、荷役・付帯作業の短縮を進めることが重要です。
参考:https://hacobu.jp/blog/archives/3952

物流領域において付帯作業が求められる背景
付帯作業が発生・増加している背景には、物流現場の事情だけでなく、荷主側の要件変化も大きく関係しています。特に、人手不足の深刻化により限られたリソースでの対応が難しくなる一方で、納品形態やサービス水準は多様化し、求められる作業が細分化しています。さらに、商品の品質を安定的に担保するための確認工程が増え、競合との差別化として付帯サービスを拡充する動きも見られます。以下では、これらの要因を「人手不足」「顧客ニーズ」「品質管理」「差別化」の観点から整理して解説します。
人手不足による影響
物流業界では少子高齢化の影響もあり、人材の採用・定着が年々難しくなっています。その一方で、ネット通販の拡大によって物量が増え、現場には「より多くの荷物を、より短時間でさばく」ことが求められるようになりました。付帯作業は、仕分けや検品・検収、梱包・包装といった細かな工程の積み重ねで成り立ち、人手を前提とする作業が少なくありません。しかし専任者を十分に配置できない現場では、倉庫スタッフに加えてドライバーが作業を担う場面も増えています。結果として運送以外の負担が膨らみ、拘束時間の長期化や働き方の厳しさにつながりやすくなる点が課題です。
顧客ニーズの多様化
物流に求められるサービス水準は年々細分化しており、納品条件や取引先ごとの運用ルールが増えることで、運送だけでは完結しない対応が発生しやすくなっています。加えて、欠品や誤出荷を許容しにくい商流が広がり、納品の正確性や作業の確実性がより重視されるようになりました。この結果、現場では確認作業や付随する処理が増え、庫内・構内での作業負荷が積み上がりやすくなります。こうした変化が、付帯作業が発生・増加する背景の一つになっています。
商品の安定した品質管理の必要性
付帯作業が求められる背景には、物流工程での品質を安定させる必要性があります。例えば出荷前の検品は、品目・数量違いや汚損などを早期に発見し、クレームや返品を防ぐ役割を担います。品質不良が発生すると、再検品や再出荷といった手戻りが生じ、結果として現場負荷とコストが増加します。
競合他社との差別化の必要性
物流業界では競争が激化しており、輸送そのものだけでは提供価値の差が見えにくい状況があります。そのため物流事業者は、荷役や検品、梱包などの付帯作業まで含めた対応力を強みとし、サービス品質の向上や顧客満足度の確保につなげる動きが見られます。一方で、付帯作業の受託範囲が拡大すると現場負荷が増大しやすく、対応可否の判断が難しくなる点が課題です。
付帯作業を巡る問題
物流領域における付帯作業には、対価・拘束時間・安全面の3つの観点で課題があります。
運送の対価に含まれやすい
本来、荷役や検品、仕分けなどは運送とは別の作業であり、発生すれば相応の時間と人員を要します。しかし、契約や役割分担が曖昧なまま現場対応が常態化すると、作業負荷が運送事業者側、特にドライバー側に偏りやすくなります。
拘束時間の増加と運行計画の不安定化
付帯作業の増加は拘束時間を押し上げ、運行計画を不安定にします。とりわけ「物流の2024年問題」では、トラックドライバーの時間外労働に上限規制が適用されたことで、従来どおりの長時間労働を前提とした運用が成立しにくくなりました。付帯作業が長引けば、その分だけ運べる回数が減り、輸送力不足やコスト上昇、納品遅延リスクにつながります。
出典:https://jta.or.jp/pdf/logi2024/flyer02.pdf
ドライバーの労働災害リスク
付帯作業はドライバーの安全面にも深刻な影響を及ぼします。全日本トラック協会によれば、トラック運送事業における労働災害の約7割は荷役作業時に発生しており、さらにそのうち約7割が荷主等の事業場で起きています。付帯作業の負担がドライバーに偏る構造は、労災リスクの増大にも直結するため、作業環境の整備や安全対策についても荷主との連携が欠かせません。
出典:https://jta.or.jp/wp-content/themes/jta_theme/pdf/rodo/brochure.pdf
したがって、付帯作業を可視化し、事前に条件を取り決めたうえで、発生抑制と適正な負担・対価の整理を進めることが重要です。
付帯作業料金の未収受問題
全日本トラック協会の調査によれば、運送事業者の66.5%が付帯作業料金を収受できていないと回答しています。付帯作業は本来、運送とは別に料金を収受すべき役務ですが、実際にはその対価が支払われないまま現場対応が常態化している実態がうかがえます。こうした状況は運送事業者の収益を圧迫し、ドライバーの処遇改善や人材確保を妨げる要因にもなっています。

出典:https://jta.or.jp/pdf/logi2024/flyer02.pdf

付帯作業の適正化に向けた国の施策
付帯作業の適正化に向けて、国は荷主・物流事業者間の取引の透明性を高め、運送とそれ以外の役務を切り分けて整理する施策を進めています。具体的には、運送の対価である「運賃」と、荷役等の対価である「料金」を明確に区別することや、荷役・付帯作業の実態を記録し可視化することが求められています。加えて、標準的な運賃の枠組み整備により、適正な収受を後押しする動きもあります。
参考:https://hacobu.jp/blog/archives/1305
「運賃」と「料金」の区別の明確化
2017年11月4日から、標準貨物自動車運送約款等の改正により、「運賃」と「料金」の区別が明確化されました。運賃はあくまで運送そのものの対価である一方、積込み・取卸し等の荷役や付帯業務、荷主都合で発生する荷待ち時間などは運送以外の役務として整理され、別途「料金」として収受する考え方が示されています。これにより、従来あいまいになりがちだった範囲を切り分け、取引条件や費用負担を明確にしたうえで契約・運用することが求められるようになりました。
出典:https://www.mlit.go.jp/common/001236734.pdf
荷役・付帯作業の記録が義務化
2019年6月15日から、一定の対象となるトラック運送事業者に対して、荷待ちや荷役作業等に関する記録の作成・保存が義務付けられました。これは、荷待ち・荷役といった「運送以外」の時間が長時間労働の一因になり得ることを踏まえ、実態を把握し、取引の適正化や改善につなげる狙いがあります。記録の対象となる項目は、例えば到着日時や、荷積み・荷卸しの開始・終了日時などで、一定期間の保存が求められます。こうした可視化により、付帯作業の発生状況を巡って当事者間の認識差が生じにくくなり、改善に向けた協議もしやすくなります。
参考:https://www.mlit.go.jp/common/001292626.pdf
「標準的運賃」制度の創設
2020年4月、国土交通省はトラック運送業における「標準的運賃」を告示し、運賃・料金の目安を示す制度を創設しました。背景には、過度な価格競争により運賃水準が低下し、ドライバーの労働条件改善や賃上げ、適正な事業運営に必要な原資を確保しにくい構造があるとされています。標準的運賃は法的に一律の運賃を強制するものではありませんが、荷主・物流事業者が適正な水準で運賃交渉を行うための共通指標として位置づけられています。また、荷役など運送以外の役務(料金)を含め、取引条件を明確にしたうえで適正に収受する流れを後押しする点でも重要です。
参考:https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha04_hh_000294.html
貨物自動車運送事業法の改正
2025年4月、貨物自動車運送事業法の施行規則等の改正省令が施行され、運送契約の締結時に運送役務の内容やその対価を書面に記載して交付することが義務付けられました。具体的には、運送の対価である「運賃」と、荷役や付帯作業等の対価である「料金」(高速道路利用料や燃料サーチャージ等を含む)を区分して記載し、契約の相手方に交付・保存(保存期間1年)する必要があります。
この改正は、2017年の約款改正で示された「運賃」と「料金」の区別を、契約書面のレベルで実効性のある形に落とし込んだものといえます。付帯作業の対価が運賃に包含されたまま不明確になる構造を是正し、荷主・物流事業者の双方が取引条件を正確に把握できる環境を整備する狙いがあります。
参考:https://hacobu.jp/blog/archives/2707
取適法(下請法)の改正
2025年、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の改正により、「運送の委託」が新たに下請法の規制対象に追加されました。従来、下請法は製造委託や情報成果物作成委託などを対象としており、荷主がトラック運送事業者に運送を委託する取引は規制の対象外でした。しかし、物流業界では荷主の優越的な立場を背景に、運賃の不当な据え置きや一方的な減額、付帯作業の無償要求といった問題が指摘されてきました。
今回の改正により、荷主と運送事業者の間の取引にも下請法のルールが適用され、発注書面の交付義務、支払遅延の禁止、不当な減額や買いたたきの禁止といった規制が及ぶことになります。あわせて、トラック・物流Gメン等による優越的地位の濫用に対する指導・助言も強化されました。付帯作業に関しても、荷役や検品等の役務を一方的に無償で求める行為は「不当な経済上の利益の提供要請」に該当し得るため、荷主側には対価を含めた取引条件の見直しがより明確に求められるようになります。
参考:https://hacobu.jp/blog/archives/5100
「その他一切の付帯業務」は違反のおそれという公正取引委員会の見解
公正取引委員会は報道発表において、以下の見解を示しています。この内容は、物流業界における契約実務に大きな影響を与えるものです。
- 荷待ちや積込み、取卸しなどの作業を行わせる場合は、その内容を契約書面に明記するよう指導した
- 運送業務以外の役務の内容について、「その他一切の付帯業務」という記載では具体性が不足しており、何を指すのか明確にするよう指導した
- 「運送業務、その他一切の付帯業務」という包括的な記載は、違反行為のおそれがあると見なされることを明示的に示した
出典:https://www.trucknews.biz/article/r122532/
つまり、付帯作業の範囲をあいまいなままにした契約は、下請法上のリスクとなり得ます。荷主企業には、運送以外に行わせる作業の内容を具体的に列挙したうえで、それぞれの対価を明確にした契約書面の整備が求められます。
付帯作業への支払いを可視化するならMOVO Vista
MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)は、運送会社への配送依頼から請求までを一元的に管理できる配車受発注・管理サービスです。付帯作業の適正化においては、以下のような活用が可能です。
運賃と付帯作業を分けた発注
荷主・元請け事業者は、MOVO Vista上で配送案件を発注する際に、運送の対価である「運賃」と、荷役や検品等の「付帯作業料金」を区分して発注できます。これにより、契約時点から運賃と料金の内訳が明確になり、書面交付義務への対応にもつながります。
運送会社による付帯作業実費の請求
運送会社側は、配送完了後にMOVO Vista上で実際に発生した付帯作業の内容と実費を入力し、荷主・元請けに対して請求できます。この仕組みにより、付帯作業の対価が運賃に埋もれたままになることを防ぎ、運送会社が適正に料金を収受できる環境を整備できます。
ダッシュボードで付帯作業の実態を俯瞰
荷主・元請け事業者は、MOVO Vistaのダッシュボード機能を通じて、商品別や運送会社別に付帯作業料金がいくら発生しているかを俯瞰的に把握できます。たとえば、特定の商品や納品先で付帯作業料金が突出していれば、作業内容の見直しやオペレーション改善が必要です。一方で、付帯作業料金がまったく計上されていない場合は、実際には発生している付帯作業が運賃に含まれたままになっている可能性もあり、取引条件の再確認が必要です。
このように、データにもとづいて付帯作業の実態を可視化し、運送会社との協議に活用していくことが、取引の適正化と物流品質の向上につながります。
MOVO Vistaのサービス資料は以下よりダウンロードいただけます。
まとめ
付帯作業は、運送以外に発生する荷役や検品などの作業で、拘束時間やコストを押し上げる要因になり得ます。取引構造の健全化への対応が求められる中、運賃と料金の区別、作業実態の記録、標準的運賃の整備など、国も取引の透明化と適正収受を後押ししています。付帯作業の可視化と役割分担の明確化を進めることが重要です。
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