DC（Distribution Center）とは？TCとの違いや業務の流れ、導入するメリット・デメリット、再編する際のポイントを解説

DC（Distribution Center）は、商品を一定期間保管しながら需要に応じて出庫する「在庫型」の物流センターです。本記事では、DCの概要やTCとの違い、導入するメリット・デメリットについて物流DXパートナーのHacobuが解説します。

なお、物流ネットワークの再編には巨額の投資判断を行い、多数の関係者間での合意形成が求められるため、「専門知見を有した外部リソースの活用」が重要です。物流拠点の新設や統廃合をご検討なら、物流DXコンサルティングのHacobu Strategyにご相談ください。

DCとは

DC（Distribution Center）は、商品を一定期間保管しながら需要に応じて出庫する「在庫型」の物流センターです。入荷した製品をロケーション管理のもと棚入れし、受注内容に合わせてピッキング・梱包してから配送する、つまり「蓄積して供給する」機能を担います。多品種少量生産や需要変動が激しい現在、安定供給と在庫最適化を両立させる拠点として重要度が高まっています。

DCの主な役割

在庫保管

SKUごとに適正在庫を確保し、欠品と過剰のバランスを取ります。

ピッキング・流通加工

受注や補充指示に合わせて商品を取り出し、値札貼付やセット組み、検針などの加工も庫内で実施します。

出荷管理

納期優先度や配送条件に合わせて仕分け・梱包し、輸送モードを手配します。

情報連携

WMS（倉庫管理システム）と連携し、在庫情報やトレーサビリティをリアルタイムで可視化します。

家電やアパレル、日用雑貨のように品目数が多く需要が読みにくい商材では、DCが欠品防止と供給安定の鍵を握ります。

DCとTCの違い

TC（Transfer Center）は「保管しない」ことでスピードとコストを重視しますが、DCは「保管する」ことで欠品リスクの低減と需要変動への柔軟対応を図ります。滞留時間はDCが数時間から数か月あるのに対し、TCは通常数時間以内です。前者が「ストック＆供給」を、後者が「即時仕分け＆出荷」を担う、この役割分担がDCとTCの違いです。

DC・TC以外の代表的なセンター

DCやTCと並び、PDC（Processing Distribution Center）とFC（Fulfillment Center）も押さえておくべき形態です。PDCはラベル貼付や組み立て、検査など高度な流通加工を行う在庫型センターで、製造と物流の中間工程を担います。FCはECに特化し、保管・受注処理・決済・返品対応までワンストップで提供します。

DCとTCの業務フローを比較

DCの標準プロセスは、入荷 → 検品 → 棚入れ → 保管 → ピッキング → 流通加工 → 出荷前検品 → 梱包 → 出荷、という順序で進みます。受注が発生するまで商品は棚で待機し、出荷直前に取り出して加工・梱包を行う点が特徴です。

一方のTCは、入荷 → 検品 → 仕分け・荷揃え → 梱包 → 当日出荷、という「直行型」の流れです。棚入れ工程が存在せず、到着品はその日のうちに配送車両へ積み替えられます。

DCを導入するメリット

欠品防止とサービスレベル向上

在庫を持つことで店舗・ECの欠品リスクが下がり、納期遵守率が高まります。

需要変動へのバッファ機能

季節波動や販促イベントに合わせて先行在庫を置けるため、生産・輸送のピークを平準化できます。

流通加工による付加価値

ラッピングやセット組みなどを庫内で完結し、外注コストとリードタイムを圧縮します。

輸配送効率の最適化

複数ブランド・チャネルの商品を一括出荷でき、積載率向上と配送コスト削減が期待できます。

DCを導入するデメリット

在庫コストの発生

保管スペース、保険料、資金負担（在庫金利）が常に発生します。

設備投資と運営コスト

ラックや自動倉庫、WMSなどの初期投資が大きく、庫内作業の人件費も継続的に必要です。

リードタイム延長の可能性

拠点が増えると輸送経路が複雑化し、直送に比べてリードタイムが長くなる場合があります。

在庫精度維持の難しさ

ロケーションミスやデータ更新漏れがあると欠品・過剰在庫を招くため、定期棚卸とシステム連携が不可欠です。

物流ネットワークの再編ならHacobu Strategy

DCは「ストックして出荷する」基幹拠点として、需要変動への備えとサービスレベル維持を支えます。一方で、在庫・設備というコストを伴うため、TCやPDC、FCと組み合わせたハイブリッド設計が鍵です。扱う商材の特性、販路構成、求めるリードタイムを踏まえ、最適なセンター機能を織り交ぜることで、コスト最小化と顧客満足度最大化を同時に狙える物流ネットワークを構築しましょう。

物流拠点再編の検討プロセス

物流拠点の再編を検討する場合、大きく以下7つのステップで構成されます。

• ゴール設定
• プランニングと経営判断
• 運用設計
• システム・設備の準備
• 人員採用・トレーニング
• 移転・新旧平行稼働
• 本稼働

この際、移転の目的や期待効果を設計するゴール設定とマスタープラン策定が特に重要になります。

専門知見を有した外部リソースの活用が有効

ゴール設定とプランニングは、巨額の投資判断と多くの関係者の合意形成を伴うため、成功の鍵となります。そのため、専門知見を持つ外部リソースを活用することが有効です。

さらに、ディベロッパーやマテハンベンダーと直接進めると、ビジネス要件やスループットを満たさない提案になりがちです。ビジネスと物流の双方に精通した統合管理業者を介在させれば、要件に合致した拠点を構築し、移転効果を最大化できます。

Hacobu Strategyは統合管理業者としてプロジェクト事務局に入り、拠点再編を円滑に支援します。ベンダーフリーの立場で、お客様の目標に合わせて最適なパートナーを選定できる点が強みです。

Hacobu Strategyの概要資料は以下よりダウンロードいただけます。