更新日 2026.03.11

中継輸送とは?4つの方式・メリット・デメリットと導入ポイントを解説

中継輸送とは?4つの方式・メリット・デメリットと導入ポイントを解説

中継輸送とは、長距離・長時間に及ぶトラック輸送において、途中の中継地点でドライバーを交代したり、貨物を積み替えたりすることで、複数人が輸送を分担する輸送形態です。一人のドライバーが出発地から目的地まで通しで運ぶ「直送輸送」とは異なり、中継地点を設けることでドライバーの拘束時間を大幅に短縮できる点が最大の特徴です。本記事では、荷主企業や元請け事業者向けに、中継輸送の仕組みと4つの方式、メリット・デメリット、そして実務的な導入ポイントなどについて、物流DXパートナーのHacobuが解説します。

目次

中継輸送とは

まず、中継輸送とは何か、その定義と仕組み、直送輸送との違いを解説します。

中継輸送の定義と仕組み

中継輸送とは、国土交通省の定義によれば「長距離・長時間に及ぶ運行等において、運行途中の中継地等において他の運転者と乗務を交替する輸送形態」を指します。集荷エリアと納品エリアのほぼ中間に中継拠点を設け、そこでドライバーの交代または貨物の積み替えを行うことで、各ドライバーの運行距離と拘束時間を短縮するのが基本的な仕組みです。

たとえば東京から大阪への長距離輸送を例に挙げると、従来は一人のドライバーが目的地まで運ぶ必要があり、ドライバーへの負荷が非常に大きいものでした。中継輸送を導入すると、名古屋付近に中継拠点を設けてドライバーや車両を交代させることで、各ドライバーが日帰りで自宅に戻れる運行設計が可能になります。

引用:https://www.mlit.go.jp/common/001178753.pdf

直送輸送との違い

直送輸送が「1人のドライバーが出発地から目的地まで通し運行する」形態であるのに対し、中継輸送は「複数のドライバーが分担して運行する」形態です。直送輸送はシンプルで荷扱い回数が少ない反面、長距離になるほどドライバーの拘束時間が増大し、物流の2024年問題以降の労働時間規制への対応が難しくなります。一方、中継輸送は中継拠点の確保や事業者間の調整が必要になるものの、ドライバーの労働環境改善と輸送ネットワークの柔軟化を両立できる点で、注目を集めています。

中継輸送が広がる背景

中継輸送への注目が高まっている背景として、2024年問題によるドライバー不足の深刻化と、物流効率化法(物効法)改正による政策的な後押しを解説します。

物流の2024年問題とドライバー不足が長距離輸送を変えた

中継輸送への関心が急速に高まった背景には、物流の2024年問題があります。2024年4月以降、トラックドライバーに対して年間960時間の時間外労働上限規制(改善基準告示の改正)が適用されたことで、これまで一人のドライバーが担っていた長距離輸送が物理的に成立しにくくなりました。国土交通省の資料によれば、輸送距離が長くなるほどドライバー1人あたりの拘束時間は増加し、500km以上の長距離輸送では日帰り運行が困難なケースも多く見受けられます。

また、ドライバーの高齢化と若年層の担い手不足が深刻化するなかで、労働環境の改善は物流領域全体の持続可能性に直結する課題となっています。中継輸送はこうした構造的問題への現実的な解決策として、荷主企業・元請け物流事業者の双方から改めて注目されています。

物流効率化法(物効法)改正が中継拠点の整備を後押し

さらに2026年3月時点では、国土交通省が物流効率化法(物効法)の改正案に、長距離トラック輸送の中継拠点整備を支援する措置を盛り込む方向で調整していることが明らかになっています。利便性の高い場所への中継拠点整備を促進することで、中継輸送のさらなる普及と、ドライバーの負荷軽減につなげていく考えです。政策面でも追い風が吹いており、中継輸送は今後ますます実務の標準として根付いていくことが予想されます。

中継輸送の4つの方式

中継輸送には主に4つの方式があり、貨物の特性や拠点の状況に応じて使い分けることが重要です。

トレーラー・トラクター方式(ヘッド交換方式)

トレーラー・トラクター方式とは、トラクター(エンジン部分)とトレーラー(荷台部分)を分離できる車両を使い、中継地点でトラクターだけを交換する方法です。荷物はトレーラーに積んだまま動かさないため、貨物積み替え方式と比べて荷傷みリスクを最小限に抑えられます。また、ドライバーは自分のトラクターを持って折り返せるため、日帰り運行が実現しやすい点も特徴です。ただし、対応車両の導入コストや中継拠点でのスペース確保が課題になります。

貨物積み替え方式

貨物積み替え方式とは、中継地点でトラックから別のトラックへ荷物を積み替える方法です。複数の集荷先からの荷物を中継拠点でまとめて仕分け・再積載できるため、混載輸送との相性が良く、ハブ&スポーク型のネットワーク設計に適しています。その一方で、積み替え時の荷傷みや積み間違いのリスクへの対策が求められます。

ドライバー交代方式

ドライバー交代方式とは、中継地点でトラックをそのまま引き継ぎ、ドライバーだけを交代する方法です。貨物の積み替えが発生しないため、荷傷みのリスクが低く、作業時間も短縮できるのが利点です。ただし、中継地点に両方のドライバーが集まる必要があり、運行スケジュールの調整が不可欠となります。

スワップボディ方式

トレーラー・トラクター方式に近しい手段として、スワップボディ方式もあります。スワップボディ方式とは、荷台部分(スワップボディコンテナ)を着脱可能な専用トラックを使い、中継地点で荷台ごと乗せ換える方法です。ヨーロッパでは広く普及している方式で、荷役作業の効率化と標準化を図りやすい点が評価されています。日本国内では普及途上ですが、輸送量が大きく定型化された幹線ルートへの適用が期待されています。

中継輸送のメリット

中継輸送について、ドライバーの労働時間・負担の削減、輸送効率の向上、コスト削減の可能性という3つのメリットを解説します。

ドライバーの労働時間・負担の削減

中継輸送の最大のメリットは、ドライバーの労働時間を規制の範囲内に収めやすくなることです。長距離を一人で担っていた従来の運行形態から、中継地点を境に前半・後半でドライバーを分担する設計にすることで、各ドライバーの拘束時間を大幅に短縮できます。日帰り運行が可能になることで、ドライバーのワークライフバランスが向上し、採用・定着の面でもプラスの効果が期待されます。

輸送効率の向上

中継輸送を適切に設計することで、空車距離の削減と車両稼働率の向上が期待できます。前半区間のドライバーが折り返しで別の荷物を積んで戻る運行設計が組みやすくなるため、積載効率の改善につながるケースもあります。また、中継拠点を活用した混載輸送との組み合わせにより、多頻度小口輸送への対応力を高めることも可能です。

コスト削減の可能性

中継輸送は導入初期に中継拠点の確保や運行設計の再構築に費用がかかるため、単純に「コスト削減できる」とは言い切れません。しかし、中長期的には燃料費や人件費の最適化、ドライバー不足による機会損失の回避といった効果が期待できます。特に、既存の営業所や協力会社の拠点を中継地として活用できる場合は、追加投資を抑えつつ効果を得やすくなります。

中継輸送のデメリット・導入時の課題

次に中継輸送について、中継拠点の確保コスト、積み替え作業による破損・遅延リスク、情報連携の複雑化という3つの課題を解説します。

中継拠点の確保コスト

中継輸送の導入にあたって最初に直面する課題が、中継拠点の確保です。自社で拠点を持たない場合は、土地・施設の賃借コストや荷役スタッフの配置が必要になります。この課題を解決するアプローチとして、既存の営業所・配送センターを活用する方法や、異業種・他社との共同拠点を利用する方法が挙げられます。

積み替え作業による破損・遅延リスク

貨物積み替え方式を採用する場合、積み替えの際に生じる荷傷みや積み間違いのリスクを適切に管理する必要があります。梱包基準の統一や積み付け要領の標準化、あるいは積み替え作業を省けるトレーラー・トラクター方式の採用など、貨物の特性に合わせた対策が求められます。また、リードタイム延長への懸念が荷主から出るケースも多いため、導入前に配送スケジュールへの影響を丁寧にシミュレーションしておくことが重要です。

荷主と物流事業者間の情報連携の複雑化

中継輸送では、出発地・中継地・目的地にまたがって複数の事業者や担当者が関与します。そのため、荷物の状態や所在をリアルタイムに把握することが難しくなる点が、荷主にとっての不安要素になりがちです。責任分界点の明確化と、輸送状況の可視化手段を事前に合意しておくことが、トラブル防止の観点から欠かせません。

荷主・元請け事業者が押さえるべき導入ポイント

中継輸送における荷主として確認すべき要件・責任分界と、物流事業者の選び方という2つの実務的なポイントを解説します。

荷主として確認すべき要件・責任分界

荷主が中継輸送を物流事業者に依頼する際には、いくつかの実務的な確認事項があります。まず、積み替えの有無・方式を明確に指定し、それに伴う荷傷みリスクの責任分界を契約に明記することが重要です。次に、配送リードタイムへの影響(中継作業時間の加算)を事前に確認し、納品先との調整を行っておく必要があります。加えて、輸送中の追跡手段(動態管理システムの有無)や、問題発生時のエスカレーションフローも確認しておくことで、運用開始後のトラブルを最小化できます。

物流事業者の選び方

元請け物流事業者が中継輸送のネットワークを組む際、または荷主が委託先を選定する際に重視したいのが、中継拠点の地理的カバレッジと実績です。輸送ルート上の適切な位置に拠点を持っているか、複数の協力会社との連携体制が整っているか、そして中継輸送に対応した運行管理・点呼体制を整備しているかを確認するとよいでしょう。国土交通省が公表している「中継輸送の取組事例集~成功事例に学ぶ中継輸送成功の秘訣」も、事業者選定の参考資料として活用できます。

参考:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000103.html

中継輸送の効果を高めるデジタル活用

中継輸送の運用品質を高めるうえで、デジタルツールの活用は欠かせない要素になりつつあります。特に荷主にとって課題となりやすい「輸送状況の可視化」については、動態管理システムを活用することで、中継地点を越えたリアルタイムな荷物の追跡が可能になります。また、配車計画の段階でデータを活用することで、中継タイミングや積載率を最適化し、輸送コストの無駄を抑えることができます。デジタルと中継輸送の組み合わせは、単なる労働環境の改善にとどまらず、物流ネットワーク全体の効率化につながる取り組みとして注目されています。

Hacobuが提供する動態管理サービス「MOVO Fleet」を活用することで、中継地点をまたいだリアルタイムの車両位置追跡が可能になります。出発地・中継地・目的地にまたがる複数事業者間でも輸送状況を共有できるため、荷主の「今どこにあるかわからない」という不安を解消し、責任分界点の明確化にも貢献します。

また、中継拠点では複数のトラックが前後のドライバー交代や積み替えのタイミングを待つ「滞留」が発生しやすく、拠点の処理能力がボトルネックになりがちです。バース予約・受付管理サービス「MOVO Berth」を中継拠点に導入することで、トラックの到着時刻と荷役スペースの割り当てを事前に調整し、待機時間と混雑を大幅に削減できます。

中継輸送の導入とあわせて輸送の可視化・拠点運用の効率化を検討されている方は、ぜひ各サービスの資料をダウンロードしてご覧ください。

MOVO Fleetの資料ダウンロードはこちら

MOVO Berthの資料ダウンロードはこちら

中継輸送の取り組み事例

ドライバー交替方式:株式会社シーエックスカーゴ

株式会社シーエックスカーゴは、長距離運行で生じやすい車中泊の負担を減らすため、まず大型トラックで佐賀〜広島〜兵庫の区間に中継輸送を導入し、その後は兵庫を起点に対象区間を拡大しました。具体的には、兵庫〜静岡〜埼玉へ広げたうえで、さらに埼玉を活用して愛知〜静岡〜埼玉へと運行経路も拡充しています。兵庫〜静岡〜埼玉の区間では全長21mのフルトレーラーを投入することで輸送効率の向上を図り、大型車と比べて燃料費や道路通行費の削減、環境負荷の低減にもつなげました。

トレーラー・トラクター方式:イオングローバルSCM株式会社、花王株式会社 向島運送株式会社福山通運株式会社

イオングローバルSCM株式会社と花王株式会社は、関東側と中部側からそれぞれトラックで自社の貨物を運び、静岡県内の中継拠点でトレーラーを交換したうえで、交換後は相手企業の拠点まで輸送する運用を構築しました。この「静岡でのトレーラー交換」により、従来は空車で回送していた区間も活用できるようになり、実車率の向上につながっています。さらに両社が入出荷時間など拠点運用の条件をすり合わせた結果、一泊二日で拘束していた運行を日帰りで完結できる形に見直し、ドライバー負担の軽減と走行距離削減による環境負荷の低減も実現しました。

複数方式:旧味の素物流株式会社(現F-LINE株式会社)

旧味の素物流(現F-LINE)は、荷量の変動に合わせて中継輸送の運用を固定せず、複数の方式を使い分けることで安定運行を実現しました。具体的には、トレーラー交換を基本にしつつ、ドライバー交替を組み合わせて運行を組み立て、ルートや時間帯によって単車・トレーラーを使い分けながら柔軟に運用しています。これにより、物量の波があっても無理のない配車と稼働を両立させた点が特徴です。

複数方式:鴻池運輸株式会社

鴻池運輸株式会社は、自社拠点を「スイッチセンター(中継地点)」として活用することで、中継輸送を継続的に運用できる体制を構築した事例です。スイッチセンターでの引き継ぎを前提に運行を組み替えた結果、ドライバーがその日のうちに出発地へ戻れるようになり、不規則な就業形態や長時間勤務の解消につなげました。こうした勤務環境の改善により、女性や若者を含む多様な人材が働きやすい労働環境を整えた点が特徴です。

出典:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001479246.pdf

中継輸送に関するよくある質問

ここでは、中継輸送に関するよくある質問にお答えします。(最新の情報については、国土交通省にお問合せください)

現行の法制上、中継輸送を実施することは可能か

可能です。ただし、以下のパターンでは、必要となる措置が異なる点にご注意ください。

  • 同一事業者内で中継輸送を実施する
  • 同一事業者内のGマーク営業所間で中継輸送を実施する
  • 異なる事業者間で中継輸送を実施する

フェリー及びRORO船を介した中継輸送を実施できるのか

フェリーやRORO船を利用した場合でも、中継輸送の実施は可能です。ただし、フェリーやRORO船に車両のみを積み込む場合には、内航貨物利用運送事業に該当するため、第2種利用運送事業の許可を取得する必要があります。

また、貨物自動車運送事業輸送安全規則に定められた交替運転者への通告等の措置を対面で実施することが難しいため、電話を活用するなど、状況に応じた対応が求められます。

異なる事業者間ではどのように中継輸送を行えばよいか

異なる事業者間で中継輸送を行う場合、「貨物自動車運送事業の用に供する事業用自動車の相互使用について」に基づき、相互使用を行う当事者間で以下の対応が必要です。

1.当事者間で協定書等に定めておくべき事項

  • 運行区間と、ドライバーが交代する場所
  • 対象車両を配置する営業所
  • 各営業所に配置する対象車両の台数
  • 対象車両の自動車登録番号(運行区間と配置営業所を明記すること)
  • 対象車両の運行管理・車両管理・事故処理における当事者間の責任の分担
  • 損害賠償に関する事項

2.車両への表示義務

対象車両の助手席側フロントガラス(外から見える位置)に、事業者名・運行区間等を記載した表板を置くこと。

出典:https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/03relay/index.html

まとめ

中継輸送は、2024年問題を背景としたドライバーの労働時間規制への対応策として、荷主・物流事業者の双方にとって重要性が増している輸送形態です。ドライバー交代・貨物積み替え・トレーラー交換・スワップボディという4つの方式を、自社の貨物特性や拠点状況に応じて適切に選択することが、導入成功のカギとなります。荷主の立場では、委託先事業者との責任分界の明確化と輸送可視化の仕組みを整えることが、安定した中継輸送運用の前提となります。また、デジタルツールと組み合わせることで、コスト効率・サービス品質の双方を高めることが可能です。まずは自社の長距離輸送ルートを洗い出し、中継輸送の適用可能性を検討するところから始めてみてください。

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。 >>プロフィールを見る

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