更新日 2026.03.13

配車係とは?属人化を解決するための対策を解説

配車係とは?属人化を解決するための対策を解説

配車係とは、荷物の量や配送先、時間指定などの条件を踏まえて、車両とドライバーを適切に割り当て、配送を成立させる「現場の司令塔」です。配車の良し悪しは、運行の安定性だけでなく、ドライバー負荷や収益性にも直結します。一方で、経験と勘に依存しやすく属人化しがちな領域でもあります。本記事では、配車係の役割と具体的な業務内容、物流業界が抱える課題、属人化を解消するための実務的な対策などについて、物流DXパートナーのHacobuが解説します。

なお、本記事で解説する配車業務の課題解決には、配車受発注・管理サービスMOVO Vistaが有効です。荷主・運送会社間の配車情報をクラウドで一元管理し、電話・FAXに頼った属人的な業務をデジタル化します。詳細は下記よりご確認ください。

配車係とは

配車係とは、自社で請け負った配送に対し、配送先や荷量に合わせて車両とドライバーを割り当て、最適な配送計画を組み立てる担当者です。一般に「配車マン」と呼ばれることもあり、運送会社では運行管理者が兼務するケースも見られます。配車係は、日々変動する依頼内容や交通状況、車両稼働、ドライバーの勤務条件など多数の制約を同時に扱いながら判断する必要があり、判断の精度が納品品質やコスト、現場の疲弊度合いを大きく左右します。そのため、配車係の業務は会社の収益を左右しうる重要業務だと言えます。

配車係の業務内容

配車係の業務は、単に「車を手配する」だけではなく、配送計画の作成から運行中の対応、関係者調整まで幅広く及びます。大きく整理すると、配車業務は「車割り」と「車両確保」という2つのプロセスで構成されます。車割りとは、荷主から受けた配送依頼をもとに、貨物のサイズや量・荷姿・配送先・時間指定などを踏まえて、何トン車が何台必要かを判断するプロセスです。車両確保とは、その必要車両を自社車両と協力会社の車両を組み合わせて手配するプロセスです。以降の業務内容は、この2つのプロセスを軸に展開します。配車計画を組んだ後も、遅延やトラブル、追加依頼などに対応しながら、全体最適を維持することが求められます。

配車計画の作成・管理

配車計画の作成は、配車係の中核業務です。まず、荷主から受けた配送依頼をもとに貨物のサイズや量・荷姿・配送先・時間指定などを整理し、「何トン車が何台必要か」を判断する車割りを行います。車割りが確定したうえで、各便に車両とドライバーを割り当て、効率的な配送ルートを組み立てます。さらに、ドライバーの適性や経験、勤務状況も加味し、特定の人に負荷が偏らないよう調整する必要があります。計画作成後も、道路規制や天候、突発的な積み増し・キャンセルなどで前提が崩れるため、状況に応じて計画を更新し続ける「管理」まで含めて配車業務と捉えることが重要です。

車両確保(自社・協力会社)

車割りで必要台数・車型が確定したら、次に実際の車両を確保します。まず自社車両の稼働状況や点検スケジュール、ドライバーの勤務状況を確認し、対応できる台数を割り出します。依頼された荷量に対して自社車両のキャパシティが不足する場合、協力会社や同業者へ車両手配を依頼します。反対に荷量が少ない場合は、他社から仕事を受けるなどして稼働を平準化する動きも発生します。こうした外部手配は、単価や条件交渉だけでなく、引き取り時間や納品時間の整合、車番連絡、運行中の連絡体制なども含めて調整が必要となり、配車係の調整力が運行の安定性を左右します。

ドライバーの進捗管理

配車係は、運行中の車両の位置や配送状況を把握し、遅延が起きないようドライバーを支援します。事故や渋滞、悪天候などで計画通りに進まない場合は、迂回ルートの確認や指示出し、必要に応じた荷主・納品先への連絡も求められます。近年はGPS等を用いた動態管理の活用により、進捗把握の精度向上と対応の迅速化が進みつつありますが、現場判断が不要になるわけではなく、情報を基にした意思決定の質が重要になります。

ドライバーの労働管理

ドライバーが過重労働にならないよう、休憩時間や労働時間を考慮した配車を組むことも配車係の重要な役割です。人手不足が深刻化するほど、少人数で多くの業務を回そうとして無理な計画になりやすく、結果として事故リスクや離職リスクが高まります。運行の成立と安全・コンプライアンスの両立を図るうえでも、配車計画の段階で勤務可能時間や負荷の偏りを織り込むことが不可欠です。

荷主企業とのやりとり

配車係は、ドライバーだけでなく荷主企業とも日々やりとりを行い、依頼内容の確認や変更対応、遅延時の状況報告などを担います。荷主側の要望は、時間指定や納品条件など厳格になりやすく、現場側の制約との調整が頻繁に発生します。そのため配車係には、情報を正確に受け取り、関係者へ迅速に展開し、運行が破綻しない落としどころを作る調整力が求められます。

物流業界における配車の課題

物流業界では、人材不足や労働時間の制約といった構造課題に加え、配車など基幹業務が特定の個人の経験に依存しやすい問題があります。結果として、現場は日々のオペレーションを回すだけで手一杯になり、改善や標準化に着手しづらい状況が生まれます。

人手不足

物流業界の人手不足は、配車業務の難易度をさらに引き上げます。ドライバー数が不足すると、限られた人員で配送を成立させる必要があり、無理のあるルートや時間設定になりやすくなります。さらに、労働時間規制や働き方改革の流れもあり、勤務可能時間の範囲内で運行を成立させる制約が強まっています。こうした条件が重なるほど、配車係にはより高度な調整と判断が求められ、現場負荷が増大しやすい構造になります。

業務の属人化

配車は、複数の集荷先・納品先、時間指定、積載制約、ドライバーの勤務条件など、多数の条件を同時に満たす必要があり、経験や土地勘が成果を左右しやすい業務です。そのため、ベテランの判断や暗黙知に依存し、手順や判断基準が形式知化されにくい傾向があります。属人化が進むと、担当者不在時に業務が回らないだけでなく、改善の再現性が持てず、品質やコストのブレが生じやすくなる点が経営上のリスクになります。

【コラム】元配車係が語る”リアル”

筆者の同僚には、かつて運送会社で配車係を務めていたメンバーがいます。彼の1日はこうでした。——就業は9時のはずが、朝5時にはオペレーターから携帯に電話がかかってきて叩き起こされる。それが”モーニングコール”として常態化していたといいます。1日に鳴る電話は800件。出荷データが確定する15時以降から依頼書の作成・送付が始まり、車番連絡が深夜になることも珍しくない。月末月初は150件の請求処理も重なります。こうした状況が特例ではなく「通常営業」だったというのは、配車係がいかに属人的かつ属人”依存”の仕事かを如実に表しています。

育成に時間がかかる

属人化が進んだ配車業務は、教育も難しくなります。何を見て判断しているのかが言語化されていないと、現場でのOJTが中心となり、習熟までに長期間を要します。さらに、日々の運行に追われる環境では教育に割ける時間も限られ、結果として「できる人が回し続ける」構造が固定化しやすくなります。育成期間の長期化は、採用・定着コストの増加にもつながり、経営層にとって無視できない課題です。

物流業界の課題を解決するために企業に求められること

人手不足や属人化を前提に「回す」だけでは、いずれ現場が限界を迎えます。企業としては、労働環境の改善と業務の標準化を両輪で進め、誰が担当しても一定品質で運行できる体制づくりを目指すことが重要です。

ドライバーの労働環境の改善

労働環境の改善は、ドライバー確保と定着の観点からも最優先のテーマです。配車の段階で無理な運行計画を避け、休憩や勤務時間の管理を徹底することで、事故リスクや離職リスクを抑える効果が期待できます。また、運行中のトラブル対応や連絡の集中が特定の人に偏ると、配車係側の長時間労働も助長されます。運行管理の仕組みを整え、現場が過度に「人」で支えなくても回る状態を作ることが、持続可能性の観点で重要になります。

システム導入による配車業務の効率化

属人化を解消するうえでは、配車判断に必要な情報を一元管理し、業務プロセスを標準化することが効果的です。配車計画を手作業で作成し続ける場合、作業時間が増えるだけでなく、判断基準が個人に閉じてしまいがちです。システム導入により、依頼情報や運行状況を整理し、関係者との連絡や進捗把握を効率化できれば、配車係の負荷を下げつつ品質を安定させやすくなります。結果として、新人でも業務に入りやすくなり、育成の短縮や引き継ぎリスクの低減につながります。

配車の課題解決ならMOVO Vista

配車受発注・管理サービス MOVO Vistaは、荷主・運送会社・ドライバー間の配車情報をクラウド上で一元管理する配車管理システムです。これまで電話やFAX、紙の帳票で行っていた配送依頼・車番連絡・進捗確認をデジタル化することで、配車係の連絡負荷と手作業を大幅に削減します。情報が一か所に集約されることで配車状況のリアルタイム把握が可能になり、トラブル発生時の迅速な対応もサポートします。また、属人化した判断や暗黙知に依存しがちな配車業務をプロセス化し、担当者が変わっても一定品質を維持できる体制づくりにも貢献。人手不足が深刻化する物流業界において、現場の負荷を下げながら配車品質を安定させる手段として有効です。

まとめ

配車係は、車両とドライバーを適切に割り当て、配送を成立させる現場の司令塔であり、収益性や現場の働きやすさに直結する重要職種です。一方で、配車は制約条件が多く経験依存になりやすいため、属人化や育成長期化といった課題が生まれやすい領域でもあります。これからの運送会社には、労働環境の改善と、情報の一元化・標準化を進めることで、誰が担っても一定品質で回る配車体制を構築することが求められます。

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。 >>プロフィールを見る

関連記事

セミナー

タグから記事を探す

メルマガ登録

物流に関する最新情報やお役立ちセミナーの告知などHacobuから厳選情報をお届けします