更新日 2026.08.29

物流における2PLとは?1PL、3PL、4PLとの違いやメリットを解説

物流における2PLとは?1PL、3PL、4PLとの違いやメリットを解説

物流の外部委託を検討しはじめると、1PL・2PL・3PL・4PLという言葉に行き当たります。なかでも2PLは、輸送や保管といった現場の実作業を外部に任せる、もっとも入口に近い形態です。ただし「どこまで任せるか」を決めないまま委託すると、コストは下がらず、品質だけが不安定になります。

この記事では、2PLの定義と1PL・3PL・4PLとの違いを整理したうえで、メリット・デメリットと実際の活用事例を解説します。自社が外部化すべき範囲を見極める材料としてご活用ください。

物流における2PLとは何か

2PL(Second Party Logistics)とは、荷主企業が自社で行っていた物流業務のうち、主に輸送保管などの実作業(現場オペレーション)を、外部の物流事業者に委託する形態を指します。たとえば、トラック運送会社に幹線輸送や配送を任せたり、倉庫会社に入出庫・保管・荷役作業を任せたりするケースが該当します。つまり2PLは、荷主企業に対して「実際に運ぶ・保管する」といった実行機能を提供するプレイヤーが担い手になる点が特徴です。

2PLを活用することで、荷主企業は自社で車両や倉庫、人員を抱える負担を抑えやすくなり、物量の増減に応じてリソースを調整しやすくなる可能性があります。一方で、委託後は「任せれば終わり」ではなく、サービスレベル(納期・品質・対応範囲など)や責任分担、運用ルールを明確にし、委託先と継続的に調整しながら運用していく姿勢が欠かせません。

2PLと1PL、3PL、4PLの違い

1PLは荷主企業が物流を自社で内製する形で、2PLは輸送や保管などの実作業を外部の物流事業者に委託する形態です。さらに3PLは、輸送・保管に加えて運用設計や管理・改善まで含めて包括的に任せる考え方で、4PLは複数の物流事業者や3PLを束ねて全体最適を設計・統括する役割に重心があります。まずは「実行(現場)」を任せたいのか、「管理・統合(設計)」まで求めるのかで、適した形態が変わります。

区分担い手主な役割イメージ
1PL荷主企業物流の計画・実行を自社で担う自社便/自社倉庫で運用
2PL運送会社・倉庫会社など輸送・保管・荷役など「実作業」を受託配送や倉庫作業を外部委託
3PL3PL事業者(物流企業等)運用設計、管理、改善を含めて物流機能を包括受託物流運営をまとめて任せる
4PL統括者(コンサル/統合型事業者等)複数プレイヤーを束ね、物流全体を設計・統合・最適化全体の司令塔として統括

2PLと1PLの違い

2PLと1PLの違いは、物流の「実行主体」が社内か社外かにあります。たとえば製造業で、自社工場から全国の拠点へ製品を運ぶ場合、1PLであれば自社トラックやトラックドライバーを抱え、自社の配車担当が日々の運行を組みます。一方2PLでは、幹線輸送や地域配送を運送会社へ委託し、荷主企業は輸送条件(納品時間帯、荷姿、積載ルールなど)や品質基準を定め、委託先の運行実績を管理する立場になります。内製で柔軟に動かしやすいのが1PLの強みである反面、車両・人員の固定費が重くなりやすく、物量変動への対応も難しくなりがちです。2PLは固定費を抑えやすい一方、委託後の調整やルール設計が不十分だと、追加費用や品質ばらつきが起きやすい点に注意が必要です。

2PLと3PLの違い

2PLは輸送・保管などの「実作業」を外部化する考え方であるのに対し、3PLは運用設計や管理・改善まで含めて、物流機能をより広く任せる点が異なります。たとえば小売業で、複数の倉庫と複数の配送会社を使って店舗配送を行っているケースを考えると、2PLでは「A倉庫の作業を倉庫会社へ委託」「店舗配送を配送会社へ委託」といった具合に、実行機能をそれぞれの事業者に任せます。一方3PLでは、倉庫内の作業設計、繁閑差(波動)への対応、配送会社の手配、KPI管理までを一体で担います。荷主側は成果指標の設定と意思決定に集中できます。委託範囲が広い分、要件定義とガバナンスが重要になり、現状の業務・コスト構造を整理してから移行するのが現実的です。

関連: 3PLとは?物流アウトソーシングの基礎と導入ポイント

2PLと4PLの違い

2PLが「現場の実行(運ぶ・保管する)」を担う委託先であるのに対し、4PLは複数の物流事業者や3PL、ITなどを束ねて、物流全体を設計・統括する役割に重心があります。たとえば卸売業で、全国に広がる納品先に対し、幹線輸送は複数キャリア、保管は複数倉庫、さらに業態別に納品条件も異なるような場合、2PLだけでは個々の委託先管理に留まりやすく、全体最適(拠点配置や輸送モード、リードタイムとコストのバランス)を取りにくくなります。4PL的なアプローチでは、委託先の組み合わせそのものを設計し、KPIとデータを基に統合管理しながら全体最適を狙います。その分、立ち上げ時には現状可視化やデータ整備、契約・運用ルールの再設計が必要になり、導入難易度は高くなります。

2PLを導入するメリット

2PLの導入により、車両・倉庫・人員といった物流の固定費と固定資産を自社から切り離せます。加えて、物流事業者が蓄積したノウハウを活用でき、対応エリアの拡大にもつながります。

固定費・固定資産を圧縮できる

2PLを導入するメリットのひとつは、物流にかかる固定費と固定資産を自社から切り離せる点です。自社で車両や倉庫、人員を抱えている場合、物量が落ちる時期でも減価償却費・人件費・賃料といった固定費が発生し続け、稼働のムラがそのままコスト増につながります。また、車両や倉庫は貸借対照表上に固定資産として残り、維持・更新投資とその資金負担も継続します。輸配送や保管といった実作業を運送会社・倉庫会社へ委託すれば、これらの固定費・固定資産を自社で保有せずに済み、物量に応じた費用設計へ切り替えられます。ただしこれは、費用の性質が固定費から変動費へ移るということであり、物流コストの総額が自動的に下がるわけではありません。総額の増減は委託単価と自社の物量水準で決まるため、変動費化に伴う注意点はデメリットもあわせて確認してください。

業務効率が向上する

2PLでは、輸送・保管などの現場オペレーションを外部に任せられるため、荷主企業は日々の運行調整や現場対応の負荷を減らしやすくなります。たとえば、欠車や遅延、急な物量変動への対応を自社だけで吸収していると、物流企画や改善活動に割く時間が確保できず、結果として「火消し」中心の運用になりがちです。2PLの導入により現場の実行を委託先に寄せられれば、荷主側は要件整理、KPI管理、納品条件の見直しなど上流の業務に集中しやすくなり、改善のサイクルを回しやすくなります。

物流業者の専門知識・ノウハウを活用できる

物流は、運行管理や安全、荷姿・積載、庫内作業設計など、現場起点の専門性が成果に直結する領域です。2PLを活用すると、実作業を担う物流事業者が日々蓄積してきた知見を、荷主企業のオペレーション改善に取り込みやすくなります。たとえば、積み込み順の工夫や荷役手順の標準化、庫内導線の改善などは、自社だけでは気づきにくい改善余地が見つかることがあります。単に作業を委託するだけでなく、品質基準や改善テーマを共有し、実績データを基に定例で振り返る運用にすることで、ノウハウ活用の効果が出やすくなります。

対応可能な地域が拡大する

2PLの導入は、配送エリアや保管拠点の対応範囲を広げやすい点でも有効です。自社物流で新エリアに対応しようとすると、拠点設置や車両確保、人員採用などが必要になり、立ち上げに時間とコストがかかります。一方、地域に強い運送会社や倉庫会社へ委託できれば、比較的短期間でサービス提供範囲を拡張できる可能性があります。ただし、エリアごとに委託先が増えるほど運用は複雑化するため、納品条件の統一、連絡フロー、品質指標、例外対応ルールを整備し、管理が破綻しない範囲で段階的に広げます。

2PLを導入するデメリット

2PLのデメリットは、費用面と運用面の両方に現れます。代表的な四つの論点を順に見ていきます。

変動費が増え、コスト総額は下がらないことがある

2PLで最初に押さえておきたいのは、固定費が減る代わりに変動費が増えるという点です。委託後は輸送1件、保管1パレットといった単位で単価が積み上がるため、物量が増えるほど支払額も比例して増えていきます。自社便・自社倉庫であれば稼働率を高めるほど1件あたりのコストは下がりますが、委託の場合そのスケールメリットは委託先に帰属します。結果として、物量が多く安定している企業ほど、内製のほうが総額を抑えられる場合もあります。委託を判断する際は、想定物量に単価を掛けて年間総額を試算し、現状の固定費(減価償却費・人件費・賃料など)と比較することが欠かせません。

費用の変動要因を自社でコントロールしにくい

変動費化は、単価の決定権が委託先側に移ることを意味します。燃料サーチャージや運賃改定、繁忙期の割増、付帯作業や待機時間の追加料金など、自社の努力だけでは押さえられない要因が費用に乗ります。年度予算を組む際は、単価改定の協議タイミングや改定幅の上限、追加料金が発生する条件を契約で明確にしておく必要があります。

現場を直接コントロールしにくくなる

物流の実作業を外部に委託すると、荷主企業が現場を直接動かしにくくなります。たとえば急な物量変動や納品条件の変更が発生した際、委託先のリソースや運用ルールに左右され、対応スピードが落ちる場合があります。

追加費用や品質のばらつきが生じやすい

サービスレベルや責任分担が曖昧なまま委託すると、想定外の追加費用が発生したり、遅延・誤出荷・荷扱いなど品質のばらつきが起きたりするリスクが高まります。委託範囲と責任分界、例外時の対応ルールを事前に取り決めておくことが前提です。

実績データが見えず、改善が属人化する

委託後に実績データやKPIが十分に可視化されないと、コストの増減要因や改善点を特定できず、運用が属人的になりがちです。2PLは任せて終わりではありません。契約条件・運用ルール・管理指標を整備したうえで運用します。

2PLサービスの活用事例

2PLは輸送・保管といった「実作業」を物流事業者に委託する形態のため、委託範囲の切り方によって活用シーンが変わります。ここでは、トラック輸送、倉庫業務、鉄道・航空といった輸送モード別に、代表的な活用例を紹介します。

トラック運送会社における活用事例

トラック運送会社への委託は、2PLの最も一般的な活用例です。たとえば製造業で、自社工場から全国の拠点・取引先へ製品を出荷する場合、幹線輸送や地域配送を運送会社へ委託することで、自社で車両やトラックドライバーを抱える負担を抑えつつ、必要な輸送力を確保しやすくなります。繁忙期のみ増便する、特定エリアだけ委託するなど、物量や納品条件に合わせて柔軟に委託範囲を設定できる点もメリットです。一方で、納品時間帯や荷姿、積載ルール、付帯作業の有無など条件が曖昧なまま委託すると、追加費用や遅延の要因になりやすくなります。委託効果を安定させるためには、サービスレベル(納品品質、遅延時の対応、緊急時の連絡フローなど)と責任分界を事前に取り決め、実績を定例で確認しながら運用を改善する流れをつくります。

倉庫業者における活用事例

倉庫業者への委託は2PLの典型で、荷主企業が保管・入出庫・荷役といった倉庫内の実作業を外部化する活用です。国土交通省は、物流総合効率化法に基づく「総合効率化計画」の認定事例を公表しており、外部の営業倉庫を活用した拠点集約の例が含まれています。たとえば株式会社ヒューテックノオリンの事例では、医療用食品を仙台市内2ヶ所の倉庫で分散して保管・管理し、それぞれから同一顧客向けに配送していた状態から、新たな物流拠点(営業倉庫1ヶ所)に保管・管理を集約。輸送網の効率化とあわせて、年間CO2排出量473.4t(18.1%)の削減が見込まれるとされています。同様に、日本通運株式会社と青森港運株式会社の事例では、既存2ヶ所で行っていた入庫・荷さばき・値付けなどを青森市内の拠点1ヶ所に集約し、横持ちの発生をなくすことで物流コストの低減とCO2排出量94.4t(16.9%)の削減を図っています。いずれも、分散した保管拠点を外部の倉庫機能に寄せ、入出庫から在庫管理までを一ヶ所で回す形に切り替えた例です。拠点の統廃合や保管方法の改善といった打ち手は、倉庫運営のノウハウを持つ事業者と組むことで実行しやすくなります。一方で、委託後に在庫精度や出荷品質が揺らぐと、荷主側の顧客対応や売上にも影響が及びます。そのため、棚卸や誤出荷時の責任分界、作業SOP、KPI(出荷リードタイム、誤出荷率など)を事前に定義し、定例で実績を振り返る運用にしておきます。

参考:国土交通省「総合効率化計画認定事例総括表」https://www.mlit.go.jp/common/001146417.pdf/国土交通省「物流効率化法に基づく支援」https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/bukkouhou.html

鉄道・航空会社における活用事例

長距離区間を鉄道コンテナに置き換えるモーダルシフトは、輸送手段の選択肢を広げながら、環境負荷低減と効率化を同時に狙える代表的な取り組みです。たとえばグリーン物流パートナーシップ会議の事例として、ネスレ日本株式会社は日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)や全国通運株式会社などと連携し、31ft鉄道コンテナの活用やオペレーション効率化、IoTによる荷待ち時間削減を組み合わせて、CO2排出削減と物流効率化を図った取り組みが紹介されています。鉄道・航空の活用は、単に輸送モードを切り替えるだけでは成立しにくく、集配送(トラック)区間との接続、積み替え拠点の運用、遅延時の代替手段など、全体プロセスの設計が重要になります。委託先に任せる範囲と、荷主側で管理すべき条件を整理しておくことが、コストと品質を両立させるポイントです。

参考:https://www.greenpartnership.jp/asset5.pdf

物流課題をDX化で解決するなら「Hacobu」

2PLの導入は、輸送・保管の実行を外部化する上で有効な選択肢ですが、委託範囲が広がるほど「現場の実態が見えにくい」「改善の優先順位が付けにくい」といった課題が起こりやすくなります。こうした状況で重要になるのが、物流の現状を可視化し、課題を構造化したうえで、コスト・品質・リードタイムのバランスを見ながら改善を回せる状態をつくることです。

Hacobuでは、物流の現状把握から課題整理、打ち手の設計までを支援する「Hacobu Strategy」を提供しています。物流コスト削減や外部委託の検討を、委託先選定に留めず、運用設計やKPI整備まで含めて検討したい場合の選択肢としてご活用ください。詳しくは以下より概要資料をダウンロードしてご覧ください。

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まとめ

2PLは、荷主企業が輸送・保管などの実作業を物流事業者に委託する形態であり、固定費・固定資産の圧縮や運用負荷の平準化、専門ノウハウの活用につながる可能性があります。一方で、費用は変動費へと姿を変えるため、物量が多い局面ではかえって総額が膨らむこともあります。また、委託後に現場のコントロールやデータ可視化が不十分だと、追加費用や品質ばらつきが発生し、改善が停滞するリスクもあります。1PL〜4PLの違いを踏まえたうえで、自社が外部化したい範囲と管理すべき指標を明確にし、委託先と合意した運用ルールで継続的に改善を回すことが、2PL活用の成果を左右します。

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営し、物流の基礎知識や法律を分かりやすく解説するメディア「ハコブログ」編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。

クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」のマーケティングを管掌し、荷主企業や物流事業者の業務デジタル化(DX)を推進。専門知識を活かし、ロジスティクス分野の専門誌への寄稿や、様々な業界団体での講演活動にも登壇。「最新ツールの普及」と「分かりやすい情報発信」の両面から、物流業界の課題解決に現場目線で取り組んでいる。 >>プロフィールを見る

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