更新日 2026.08.27

クラウド型のデジタコとは?効率化の仕組み、メリット、事例を解説

クラウド型のデジタコとは?効率化の仕組み、メリット、事例を解説

デジタコは、運行記録を正確に残すだけでなく、運行管理や労務管理を効率化するための重要な仕組みです。なかでもクラウド型デジタコは、車両位置や運行状況をリアルタイムに可視化し、日報作成の自動化や改善基準告示への対応にも役立ちます。本記事では、クラウド型デジタコの仕組みや主な機能、導入メリット、事例、装着義務について解説します。

デジタコとは

デジタコとは、デジタルタコグラフの略称で、車両の走行距離や速度、運転時間などを電子データとして自動記録する運行記録計のことです。従来のアナログタコグラフは記録紙に運行情報を残しますが、デジタコでは車両の動きに応じた情報をデータとして保存できます。運送事業者にとっては、運行実態を正確に把握し、日報作成や労務管理、安全運転指導の根拠を整えるための基本的な装置といえます。

デジタコのクラウド化とは?

デジタコのクラウド化とは、車両に搭載したデジタコで取得した走行距離、速度、運転時間、位置情報などの運行データを、インターネット経由でクラウド上に送信し、一元管理できるようにすることです。従来は車両が営業所に戻った後にデータを回収・確認する運用が一般的でしたが、クラウド型では事務所にいながら運行状況をリアルタイムに把握できます。これにより、日報作成や運行記録の確認、労務管理、安全運転指導などを効率化し、改善基準告示への対応や管理業務の属人化防止にもつながります。

デジタコの装着義務について

トラックにおいて、デジタコそのものの装着が一律で義務化されているわけではありません。現行制度では、車両総重量7トン以上、または最大積載量4トン以上の事業用トラックなどに、運行記録計の装着が義務付けられています。運行記録計はアナログ式・デジタル式のいずれも認められているため、対象車両では記録・保存義務への対応が必要です。一方で、デジタコの普及促進や将来的な義務化に向けた議論は進んでいます。

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なお、義務の対象は「運行記録計」であり、クラウド型(通信型)デジタコの導入が求められているわけではありません。アナタコやSDカード型でも法令上の記録・保存義務は満たせるため、クラウド化を検討する際は「義務だから」でなく、運行管理・労務管理をどこまで効率化したいかという観点で判断することが重要です。

クラウド型デジタコの高度な機能

クラウド型デジタコは、運行データの記録にとどまらず、位置情報の可視化や日報作成、安全運転管理、点呼・アルコールチェック連携まで支援します。ここでは、主な機能を順に解説します。

なお、本記事で紹介する機能は、クラウド型デジタコ全般で一般的に提供されている内容をまとめたものです。搭載されている機能はメーカーや製品・プラン、車載機の仕様によって異なり、すべての機能が利用できるとは限りません。導入を検討される際は、必要な機能に対応しているかを各メーカー・販売店の最新情報にてご確認ください。

リアルタイム位置・運行状況の可視化

クラウド型デジタコでは、走行中の車両位置や運行状況を地図上でリアルタイムに確認できます。配車・運行管理側は、どの車両がどこにいるかを即時に把握でき、遅延対応や配車判断を迅速に行えます。

運転日報・運行記録の自動生成

クラウド型デジタコは、GPSや運行データをもとに運転日報・運行記録を自動生成できます。手書きやExcel入力の手間を減らし、記録の改ざん防止や管理業務の工数削減につながります。

安全運転スコアリング(急ブレーキ・急加速・速度超過の自動検知)

クラウド型デジタコでは、急ブレーキや急加速、速度超過などの運転挙動を自動検知し、ドライバーごとの運転傾向を可視化できます。危険運転の傾向を把握しやすくなるため、安全運転教育や事故リスクの低減に役立ちます。

アルコールチェッカー・点呼との連携

クラウド型の点呼システムや運行管理システムと連携することで、アルコール測定結果や点呼記録を自動保存できます。記録の抜け漏れや確認作業を減らし、点呼業務の効率化につながります。

クラウド型デジタコにおける運用側のメリット

クラウド型デジタコは、日報・運行記録の自動化や労務管理、コスト改善に役立ちます。ここでは、運用管理側の主なメリットを解説します。

運行管理業務の工数削減(日報・運行記録の自動化)

日報作成や運行記録の確認にかかる手入力・集計作業を減らせる点も、クラウド型デジタコの利点です。国土交通省資料では、日報作成時間が20分から5分に短縮された例も紹介されています。

出典:https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001752873.pdf

改善基準告示遵守の確認とコンプライアンス強化

連続運転時間や拘束時間、休息期間の基準をデータで確認できれば、違反リスクを早期に把握しやすくなります。改善基準告示への対応状況を可視化し、監査や行政指導への備えを強化できます。

燃費・コスト管理の高度化(運行データの分析と改善)

燃費データや運行ルート、アイドリング時間を分析することで、燃料消費につながる運転や非効率な走行を把握できます。改善点を明確にし、燃費改善や燃料費の管理強化につなげられます。

クラウド型デジタコにおけるドライバー側のメリット

クラウド型デジタコは、日報作成や記録業務の負担軽減、安全運転への気づき、ペーパーレス化にも役立ちます。ここでは、ドライバー側の主なメリットを解説します。

日報作成・記録業務の負担軽減

クラウド型デジタコにより運行データが自動記録されるため、ドライバーによる手書き日報や運行記録の作成負担を大きく減らせます。記入漏れや転記ミスの防止にもつながります。

安全運転・労務管理面でのフィードバック取得

ドライバー自身が安全運転の傾向や運行データの分析結果を確認できれば、急加速や長時間運転などの改善点に気づきやすくなります。自身の運転改善や労務状況の把握に役立ちます。

ペーパーレス化による業務効率化

クラウド型デジタコを活用すれば、紙ベースの日報や運行記録から脱却しやすくなります。運行終了後の記入・提出・保管にかかる事務作業を減らし、業務効率化につながります。

クラウド型デジタコは高額?費用がネックになりやすい理由

クラウド型(通信型)デジタコは利便性が高い一方で、導入・運用コストが大きな検討ポイントになります。車載機本体の価格に加えて、取り付け工賃、システム利用料、通信費が車両台数分だけ発生し、既存のアナタコやSDカード型デジタコを積んでいる車両をすべて入れ替える場合は、初期投資が一気に膨らみます。さらに、リースや分割で導入しても月額の固定費は継続的にかかるため、保有台数が多い事業者や、協力会社の車両も含めて可視化したい場合には、費用面で踏み切れないケースが少なくありません。

補助金を活用して初期費用を抑える方法もありますが、公募時期や補助上限が限られており、全車両分をカバーできるとは限りません。デジタコ全般の種類・費用相場・補助金の詳細は、デジタルタコグラフとは | 種類や取得できるデータ、義務、メリット、デメリット、補助金、おすすめのメーカーなどを解説で解説しています。

アナタコ・SDカード型のまま、動態管理サービスでリアルタイム管理を実現する方法

こうした背景から、クラウド型デジタコへの全面的な入れ替えではなく、既存のアナタコやSDカード型(ローカル型)デジタコを使い続けながら、動態管理サービスを組み合わせてリアルタイムな管理体制を整える企業が増えています。運行記録の作成・保存はこれまでどおりタコグラフで行い、リアルタイム性が求められる領域だけを動態管理サービスで補う考え方です。

動態管理サービス「MOVO Fleet」を併用することで、次のような課題に対応できます。

  • リアルタイムな位置・稼働状況の把握:SDカードを回収するまで運行状況がわからない状態を解消し、車両の現在地や稼働状況を地図上で即時に確認できます。遅延の兆候をつかんだ時点で、荷主への連絡や配車変更の判断が可能になります。
  • 労務時間管理・改善基準告示への対応:運転時間や休憩、拘束時間の状況をデータで確認できるため、連続運転時間や430休憩の管理、長時間労働の是正をリアルタイムに近い形で進められます。協力会社の車両を含めた稼働状況の可視化にも活用できます。
  • 輸送の効率化:走行実績や積込・待機時間、店舗滞留時間を蓄積・分析することで、ルートや配送コースの見直し、有料道路の使い方、配送原価の検証といった改善につなげられます。

スマートフォンやシガーソケット電源のGPS端末で始められるため、車載機の入れ替え工事や高額な初期投資を伴わずに導入しやすく、対象車両を絞って試すこともできます。「クラウド型デジタコは高額で難しいが、リアルタイム管理と労務管理は進めたい」という事業者にとって、現実的な選択肢といえます。

動態管理サービス「MOVO Fleet」の導入事例

MOVO Fleetは、デジタコを入れ替えなくても、車両位置や走行実績を可視化して運行管理・労務管理・コスト改善に活用できます。ここでは、2つの導入事例を紹介します。

【事例1】ヤマエ久野株式会社

食品卸大手のヤマエ久野株式会社では、MOVO Fleetで取得した配送実績データをもとに深夜帯の有料道路利用を見直し、全体の3割以上の配送コースを変更しました。その結果、月20万円のコスト削減と6.25倍の投資対効果を実現しています。さらに、積込時間や店舗滞留時間、拘束時間、走行距離などの把握も可能になり、配送原価やルートの妥当性をデータで検証できる体制を整えています。

参考:https://hacobu.jp/case-study/2583/

【事例2】マツダロジスティクス株式会社

マツダグループの総合一貫物流企業であるマツダロジスティクス株式会社では、MOVO Fleetの稼働時間分析機能を活用し、輸送協力会社ドライバーの拘束時間や運転時間を可視化しています。改善基準告示に違反している可能性のある車両を特定しやすくなり、走行軌跡をもとに原因確認や対策検討が可能になりました。経営層や荷主への週次レポート作成工数も大幅に軽減されています。

参考:https://hacobu.jp/case-study/13074/

まとめ

クラウド型デジタコは、走行距離や速度、運転時間などの運行データを記録するだけでなく、車両位置の可視化、日報作成の自動化、労務管理、安全運転指導、コスト改善まで支援できる仕組みです。運行管理者にとっては、手作業の削減や改善基準告示への対応を進めやすくなり、ドライバーにとっても記録業務の負担軽減や自身の運転改善に役立ちます。今後、デジタコの普及が進むなかで、自社の課題に合ったクラウド型サービスを選ぶことが重要です。

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営し、物流の基礎知識や法律を分かりやすく解説するメディア「ハコブログ」編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。

クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」のマーケティングを管掌し、荷主企業や物流事業者の業務デジタル化(DX)を推進。専門知識を活かし、ロジスティクス分野の専門誌への寄稿や、様々な業界団体での講演活動にも登壇。「最新ツールの普及」と「分かりやすい情報発信」の両面から、物流業界の課題解決に現場目線で取り組んでいる。 >>プロフィールを見る

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