委託先ドライバーの稼働時間を分析し、拘束時間や運転時間の実態把握に主体的に取り組む
Q.MOVO Fleet導入の背景を教えてください
佐久間様:車両物流本部 OTD推進部 物流グループでは、工場から約750店ある販売店までの商品車輸送に関する環境を構築することをミッションとし、そのための輸送協力会社様とのやり取りや各社様のドライバーの皆様の法令遵守支援、環境の整備が役割です。
具体的には、配送エリアごとに必要な輸送能力や配送網における中継地の検討、全体的な配送ルートの再構築、輸送協力会社へのヒアリングなどを行っています。
当社が MOVO Fleetを導入した目的は2つあります。
1つ目は、配送ルートの実績を確認し、最適な配車・配送ルートを組み立てることです。配送実績が詳細まで把握しきれておらず、配車当者が考えた計画通りに運行が行われているのか不明確でした。そのため、日々変化する配車が最適なものだったのか、確証が持てない状況でした。
配車業務は東日本・中日本・西日本の地域ごとにある当社の事業部がそれぞれ実施しておりますが、私たち物流グループは、各事業部を横断して俯瞰してみる中であらゆる選択肢を持って、最適な配車をバックアップする必要があります。配送計画に対して実際の配送ルートや時間は適切だったのか、正確なデータを知ることで、より効率的な配車を実現したいと考えました。
2つ目は、荷役場所の確認です。
当社はドライバーの皆様の販売店付近での安全確保、渋滞回避などに対処するため、公道での路上荷役作業の撲滅に向けて率先して取り組んでまいりました。荷主・販売店のご協力を得て、現在は全ての販売店において、店舗内での荷役作業を実施しております。
MOVO Fleetは商品車を輸送するキャリアカーの正確な位置情報が分かるので、店舗内での荷役作業が徹底できているか確認できると考えました。
Q.MOVO Fleetの導入成果を教えてください
改善基準告示に違反している車両の特定が可能に
2024年4月の改善基準告示の施行が迫る中、2024年1〜3月の期間に試験的に輸送協力会社様のキャリアカーの拘束時間や運転時間の実態把握に取り組んでいました。各輸送協力会社様から提出されるデジタコの情報を要約した報告書を確認する形式をとっておりましたが、実運行データとしてより正確な時間のデータを追求できないか、輸送協力会社様任せではなく、主体的に取り組めるように改善出来ないか、と考えました。
そのような中、 MOVO Fleetに「稼働時間分析」機能がリリースされ、一目で拘束時間や運転時間が可視化できるようになりました。違反の可能性のある車両があれば、当日の走行軌跡を追うことができます。これにより効率的かつ安心感をもって、稼働時間の把握に取り組めるようになり、画期的だと感じました。
また、データが容易に確認できるようになったことで各事業部が主体的に運行管理の改善に取り組むようになり、これも大きな成果だと感じています。
経営層への報告業務の負担が半減
当社は、輸送協力会社様のドライバーの皆様が改善基準告示を遵守できているか確認する責任があると考えており、経営陣や荷主であるマツダ株式会社に対し、週単位でレポートを行なっていますが、このレポート作成にかかる工数が大幅に軽減されました。
以前は、輸送協力会社様からの報告をさらに要約して報告書にまとめており、当社発意ではなく、各輸送協力会社様任せになっていた部分がありました。また、不明点があった場合は各事業部を介して輸送協力会社様に確認する必要があり、非効率でした。
MOVO Fleetで管理するようになってからは、拘束時間を遵守できているか、できていない場合の原因は何か、ということまで輸送協力会社様に聞かずとも把握できるようになり、それに対して各事業部と行うべき対策を検討し、改善まで行えるようになりました。
他部署・運送会社との業務連携を強化。それぞれの業務へのサポートにも活躍
MOVO Fleetの情報は、配車業務を行う各事業部やその担当者、輸送協力会社様まで様々な関係者が活用しており、多くの場面で業務の助けになっていると感じています。
例えば、配車業務の担当者からは、荷積みをする予定のキャリアカーが何分で現場につくか分かるので、荷役の順番や内容を変更するなど、状況に合わせた効率的な動きをとることができていると喜ばれています。
走行履歴のデータ活用でより良い配送計画の構築を目指す
Q.MOVOFleetを活用した今後の展望を教えてください
MOVO Fleetの地点登録機能を活用し、荷役・待機時間の実態把握にもアジャストしていきたいです。具体的には、各事業部内で荷役場所や待機場所を地点登録(※)することで各滞在時間を計測しています。 MOVO Fleetの新機能アップデートにより、これまでは登録したい地点を中心とした同心円状でしか設定できなかったところ、荷役や待機をする場所に応じた形状(多角形登録)で設定できるようになりました。その結果、より精度の高い実態把握ができるようになったため、早速使ってみています。
※地点登録機能:事前登録された地点に到着したか否かを自動で判定し、滞在時間を記録する機能
また、 MOVO Fleetで蓄積した走行履歴などのデータを活用し、より良い配送計画の構築に取り組みたいと考えています。実績を見ながらエリアによって配送する曜日を固定化したり、キーとなる母店をセンター化したりして、周辺の店舗の商品車をまとめて母店に配送することも検討しています。
以前は、配車計画した内容と、実績の相違について確認ができませんでしたが、 MOVO Fleet導入後は新しいルートを提案した際に、計画と実績のルートを走行軌跡なども確認しながら突合できることから、新しいルートを迅速に採用できるようになりました。これらのデータを活用して、最適な配送ルートの検証にも取り組んで行く予定です。
ここまでご紹介させていただいた例だけではなく、他にも MOVO Fleetを活用した効率化の手段は多くあると考えております。今後も安定的な輸送体制を保持していくことが物流グループの役割であり、これからも世の中の変化に合わせて、 MOVO Fleetを活用して課題解決に取り組んでいきたいです。
※本機能はあくまで「改善基準告示」対応サポートとしての役割を果たすもので、ユーザーの状況に応じた詳細の法令適合性を保証するものではありません。