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公開日 2025.03.15
更新日 2025.03.31

特定事業者とは?改正物流効率化法における指定基準と義務を解説(特定荷主・特定倉庫業者・特定貨物自動車運送事業者 別に解説)

改正物流効率化法(流通業務総合効率化法)は、2024年5月に公布、2025年4月に施行されました。そして特定事業者に関する規定については、2026年度に施行される見込みです。本記事では、改正物流効率化法における特定事業者の基準や義務について、物流DXパートナーのHacobuが解説します。

特定事業者とは

改正物流効率化法における特定事業者とは、一定の基準を超える荷主や物流事業者のことを指します。特定事業者は以下のように分類されます。

特定荷主

一定規模以上の貨物輸送量がある荷主

特定連鎖化事業者

一定規模以上の貨物輸送量があるフランチャイズチェーン事業者

特定倉庫業者

一定規模以上の貨物保管量がある倉庫事業者

特定貨物自動車運送事業者

一定規模以上の事業用自動車を保有している貨物自動車運送事業者

以降では、各特定事業者の基準や義務を解説します。(基準の詳細は施行までに政省令などで定められるため、2025年3月時点の予測を含みます。)

特定荷主・特定連鎖化事業者の基準

前年度にトラックで輸送された貨物量が9万トン以上の荷主・連鎖化事業者が、特定荷主・特定連鎖化事業者に指定されます。なお、自社全体の貨物重量ではなく、第一種・第二種いずれかの立場での貨物重量が9万トンを超える場合も、基準を満たします。

特定荷主・特定連鎖化事業者に該当する企業は約3,200社と推定されており、日本全体の運送事業者による輸送貨物量の約半分を占めるとされています。

「トラックで輸送される貨物量」とあるように、貨物量の基準はトラック輸送に限定され、鉄道や内航海運などの輸送は対象外です。

特定荷主については、以下記事でも詳細に解説しています。

特定荷主とは | 省エネ法・流通業務総合効率化法における基準や義務、行政処分、中長期計画・定期報告の様式を解説

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特定倉庫業者の基準

寄託を受けた物品を保管する倉庫において、前年度に入庫された貨物の保管量が70万トン以上の倉庫事業者が、特定倉庫業者に指定されます。

特定倉庫業者に該当する企業は約70社とされており、日本全体の貨物保管量の約半分を占めると見込まれています。

特定貨物自動車運送事業者の基準

年度末に事業用自動車を150台以上保有する貨物自動車運送事業者が、特定貨物自動車運送事業者に指定されます。

該当する企業は約790社と推定されており、日本全体の輸送能力の約半分を占めるとされています。

以降では、各特定事業者に課せられた義務を解説します。

特定荷主・特定連鎖化事業者の義務

特定荷主・特定連鎖化事業者には、物流の効率化に向けた中長期計画と定期報告の義務があります。

計画や報告では、以下に対する取り組みの記載が求められます。

中長期計画と定期報告の内容や様式

中長期計画と定期報告の内容や様式は以下の記事については、以下記事でも詳細に解説しています。

特定荷主とは | 省エネ法・流通業務総合効率化法における基準や義務、行政処分、中長期計画・定期報告の様式を解説

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2024.10.04

物流統括管理者の選任

さらに、特定荷主・特定連鎖化事業者は、経営幹部から物流統括管理者を選任する義務があります。物流統括管理者には以下の取り組みが求められます。

  • 物流・調達・販売など社内の関係部門間の連携体制の構築
  • 取引相手の物流統括管理者との連携・調整
  • リードタイム確保のための調達・生産・販売を含めた在庫管理計画の作成

また、後述する特別一般貨物自動車運送事業者の利用運送管理者との連携も求められます。

物流統括管理者については、以下記事でも詳細に解説しています。

物流統括管理者とCLO | 役割や責務、物流部長との違い、取るべきリーダーシップなどを解説

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特定倉庫業者の義務

特定倉庫業者は以下の取り組みを実施する義務があります。

  • 荷待ち・荷役時間の短縮

また、中長期計画の作成と定期報告が求められます。

特定貨物自動車運送事業者の義務

特定貨物自動車運送事業者は以下の取り組みを実施する義務があります。

  • 積載効率の向上

また、中長期計画の作成と定期報告が求められます。

特別一般貨物自動車運送事業者の義務

年間100万トン以上の利用運送を行う貨物自動車運送事業者は、「特別一般貨物自動車運送事業者」に指定されます。これらの事業者は、翌年度の7月10日までに運送利用管理規程を作成し、利用運送管理者を選任する義務があります。

また、利用運送管理者は、取引先の物流統括管理者と連携する必要があります。

なお、この義務は改正物流効率化法ではなく、改正貨物自動車運送事業法によるものです。特定貨物自動車運送事業者と特別一般貨物自動車運送事業者は名称が似ていますが、法律や義務内容が異なるため、正しく理解することが重要です。

特定事業者が講ずるべき措置や判断基準

各特定事業者が講ずるべき措置や判断基準は、以下の記事で詳細に解説しています。合わせてご覧ください。

改正物流効率化法(流通業務総合効率化法)・改正貨物自動車運送事業法に関する省令の要点、判断基準ついて解説

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まとめ

特定事業者は、日本の物流を支える重要な役割を担っています。持続可能な物流の実現には、各特定事業者が求められる取り組みを適切に実施することが重要です。

なおHacobuは、特定事業者における物流効率化を支援するさまざまなサービスを提供しています。

トラック予約受付サービス(バース予約システム) MOVO Berth

MOVO Berth(ムーボ・バース)は、荷待ち・荷役時間の把握・削減、物流拠点の生産性向上を支援します。

動態管理サービス MOVO Fleet

MOVO Fleet(ムーボ・フリート)は、協力会社も含めて位置情報を一元管理し、取得データの活用で輸配送の課題解決を支援します。

配車受発注・管理サービス MOVO Vista

MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)は、電話・FAXによるアナログな配車業務をデジタル化し、業務効率化と属人化解消を支援します。

物流DXコンサルティング Hacobu Strategy

Hacobu Strategyは、物流DXの戦略、導入、実行まで一気通貫で支援します。

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。

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