更新日 2025.09.23

【倉庫管理者必見】出荷業務の効率化マニュアル|改善の手順や方法、成功事例を紹介

【倉庫管理者必見】出荷業務の効率化マニュアル|改善の手順や方法、成功事例を紹介

「出荷業務を効率化し、生産性・品質・顧客満足度を向上させたい」
「出荷業務効率化で成功した事例を見てみたい」

物流倉庫の管理者や経営者の方の中には、このような悩みや疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
出荷業務には、ヒューマンエラーの多発やアナログな管理体制による工数増など、想定外の人的・金銭的コストが発生しがちです。

本記事では、現場作業から安全衛生担当者までさまざまな立場で18年以上、物流現場の改善に取り組んできた筆者が、出荷業務の改善手順や具体的な効率化の方法、そして改善に成功した企業事例をご紹介。記事後半では、あなたの現場の出荷業務の効率化促進をサポートする物流DXパートナー Hacobuのサービスについて詳しく解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、貴社の物流コスト削減や生産性向上を実現するための参考にしてください。

目次

【4ステップ】出荷業務改善を進める手順

出荷業務の改善は、以下の4ステップを意識して進めるとスムーズです。

ステップ①:現状の把握と課題の洗い出し
ステップ②:施策の決定
ステップ③:施策の実行
ステップ④:効果測定

筆者の経験を交えながら、それぞれ詳しく解説します。

ステップ①:現状の把握と課題の洗い出し

まずは現状を把握し、効率化のボトルネックとなっている課題を、できるだけ多く洗い出します。この時点では課題に優先度はつけません。

現状把握の具体的な方法

貴社の現場の状況を効率よく把握するには、以下の方法を実践してみてください。

  • 各作業にかかっている時間を測定する
  • ヒヤリハット報告を分析する
  • 従業員に課題をヒアリングする

できるだけ多くのデータを集め、その中から課題をブラッシュアップします。

出荷業務によくある課題

筆者の経験から、物流倉庫では分かっていても解決できていない課題が多いと感じます。煩雑でイレギュラーの多い物流現場では、緊急性の高い問題を優先して対処するため、多くの課題が後回しになってしまいがちです。
中でも以下のような出荷業務における課題は、多くの現場で直面する課題ではないでしょうか。

課題詳細効率化への影響
アナログな管理体制・紙や口頭での出荷指示・トラック入場時間の管理不備・指示の間違い、解釈の違いによる誤出荷・工数増(荷繰りなど出荷作業)
ピッキングミス・作業員によるヒューマンエラー・似たような商品がありわかりづらい・工数増(誤って出荷した商品探しや詰め替え)・荷主、顧客への謝罪
非効率な作業動線・商品棚がバラバラ・商品分析がされていない・無駄な歩行・作業員同士の接触リスク増
作業の属人化・特定の作業員への依存・作業が標準化されていない・担当者不在時、作業の遅れが発生・ミスの多発

現状把握のコツは具体的な数値を測定すること

具体的な数字を測定し、改善すべきか、あるいは改善できるかを判断しましょう。
課題の重要度が明確になるうえ、取り組むべき施策をスムーズに決定でき、効果も測定しやすくなります。

たとえば、筆者が勤めていた物流倉庫の一部では、トラックが到着してから該当する商品を確認し、用意するという場当たり的な作業で余計な荷繰りが発生していました。現状把握では、この荷繰りにかかる時間や工数を「1日平均2回、計30分発生している」といったように数値で測定することが重要です。

ステップ②:取り組むべき課題の選定と改善策の立案

ここでは、ステップ①で洗い出した課題の中から、実際に改善に取り組む課題を決定します。
ポイントは、特に重要度が高いと思われるものを選定することです。
そして、その課題に対する改善策を立案します。
このとき、その施策で期待できる効率化の効果まで設定しておくと良いでしょう。

筆者が勤めていた物流倉庫の「荷繰り」を例にすると、以下のような改善策や効果が挙げられます。

課題改善策期待する効果
1日平均2回、場当たり的な荷繰りが発生し、1回あたり平均20分を費やしているバース予約システムを導入し、トラックの入庫を管理する場当たり的な荷繰り作業をなくし、1日あたり40分の残業を削減する

ステップ③:施策の実行

ステップ②で決定した改善策を実行に移します。その際、以下の3つのポイントを押さえて進めましょう。

  • 従業員に施策のベネフィットを伝え「自分ごと」として捉えてもらう
  • 目標達成までの期限を設定する
  • 経営層から作業員まで全員参加で取り組む

筆者が勤めていた物流倉庫の「場当たり的な荷繰り」を例にとると、以下のようになります。

項目概要
従業員のベネフィット・移動回数削減による事故リスクの軽減・通路確保による精神的負担の軽減・効率化による残業時間の削減
目標達成の期限6か月以内に場当たり的な荷繰りをゼロにする

予算を決定する経営者から、最前線で働く従業員まで、全員参加で取り組むことが成功の秘訣です。

ステップ④:効果測定とさらなる改善

改善策の効果を定期的に測定します。具体的な数値で管理していれば効果測定は容易になります。

並行して、進捗状況を最前線で働く作業員にまで共有することが重要です。意外にも作業員には効果がわかりづらいものです。筆者も、現場担当者が提案した改善策の効果がわからず「続けていて意味があるのか?」と、モチベーションを下げたことがありました。そうならないためにも、作業員と密に連携を取り、一緒に進めていきましょう。

そのうえで、もし効果が薄い場合は、ステップ②に戻り改善策を練り直します。

生産性向上!出荷業務を効率化する7つの方法

ここでは、具体的な効率化の方法として以下の7つをご紹介します。前の章でお伝えした手順で言えば「ステップ②:施策の決定」にあたります。

  • 倉庫内のレイアウト・ロケーション管理の見直し
  • ピッキング方法の最適化
  • 作業マニュアルの作成と標準化
  • 梱包作業の効率化
  • 検品プロセスの改善
  • アウトソーシング(3PL)の活用
  • テクノロジーの活用

貴社の現場課題を解決する方法を見つけてください。

倉庫内のレイアウト・ロケーション管理の見直し

作業者の移動距離を最短にし、モノを探す時間をなくすことが基本です。

主な施策期待される効果
動線の最適化移動のムダをなくし、作業効率と安全性を向上させる。
ABC分析による配置出荷頻度の高い商品へのアクセスを速め、ピッキング時間を短縮。
ロケーションの固定化・見える化「探す」作業を減らし、誰でも迷わず作業できるようにする。

なお、物流倉庫のレイアウトについては、以下の記事でも解説しています。ぜひ併せてご覧ください。

物流センターの業務改善とレイアウトのポイント

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ピッキング方法の最適化

物量や商品の特性に合わせて、最適なピッキング方法を選択・組み合わせます。

主な施策期待される効果
シングルピッキング(摘み取り)作業がシンプルでミスが起きにくく、多品種少量出荷に向いている。
トータルピッキング(種まき)移動距離が大幅に減り、少品種多量出荷の時間を一気に短縮できる。
ピッキングリストのデジタル化ペーパーレス化を実現し、リアルタイムでの進捗管理やミス防止に貢献。

作業マニュアルの作成と標準化

誰が作業しても同じ品質と速度を保てるように、業務の属人化をなくします。

主な施策期待される効果
業務の見える化作業品質が安定し、手順の間違いや自己流のやり方を防ぐ。
教育・研修の効率化指導内容のバラつきがなくなり、新人が短期間で戦力になる。
属人化の防止特定の作業員に依存しないため、急な欠員にも対応できる。

梱包作業の効率化

梱包材選びや手作業の時間を短縮し、スムーズな出荷を実現します。

主な施策期待される効果
梱包資材の最適化資材を選ぶ迷いがなくなり、梱包スピードが向上。過剰梱包も防ぐ。
作業台の整理整頓道具を探す時間をなくし、ストレスなく作業に集中できる。
自動化ツールの導入テープ貼りなどの単純作業を自動化し、作業者の負担を軽減。

検品プロセスの改善

ヒューマンエラーをなくし、誤出荷を未然に防いで出荷品質を高めます。

主な施策期待される効果
バーコード検品の導入目視より圧倒的に速く正確。品番や数量の間違いを根本から防止する。
ダブルチェック体制複数人で確認することで、ヒューマンエラーによる見落としを防ぐ。
重量検品システムの活用商品の入れ忘れや数量違いを重量で検知し、ミスを物理的に防ぐ。

アウトソーシング(3PL)の活用

物流のプロに業務を委託し、自社は利益に直結するコア業務に集中します。

主な施策期待される効果
プロへの業務委託専門家のノウハウを活用し、高品質な物流を低コストで実現できる。
コア業務への集中商品開発や販売戦略など、自社の成長に繋がる業務にリソースを集中。
繁閑差への柔軟な対応物量の変動に合わせてリソースを調整でき、固定費のリスクを抑える。

3PLの概要や選び方について、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

3PLとは?荷主が導入するメリット・デメリット、4PLとの違い、形態、選び方のポイント、注意点などを解説

昨今、物流…

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テクノロジーの活用

アナログな業務をデジタル技術で効率化し、根本的な課題解決を目指します。

主な施策期待される効果
WMS(倉庫管理システム)在庫情報や作業状況をデータで一元管理し、最適な作業指示を出す。
AGV・ロボット「歩く」「運ぶ」といった身体的負担の大きい作業を自動化する。
トラック予約受付システム車両の入場時間や出荷貨物を管理し、スムーズな出荷準備で残業を削減する。

出荷作業において、トラックが到着してから荷物を確認し、用意するのは非効率です。余計な荷繰りはムダな工数が発生するだけでなく、事故のリスクも高まります。

トラック予約受付サービス「MOVO Berth」なら、トラック入場時間のコントロールが可能です。事前の準備など効率化を実現することで、従業員の残業削減やトラックの荷待ち問題を解決します。ちなみに、厚生労働省愛知労働局「予約管理システムで出荷作業の効率化」においても、予約管理システムが有効であることが紹介されています。

気になる方は以下のサービス資料をダウンロードして、詳細をご確認ください。

出荷業務の効率化で得られる4つの効果

出荷業務の効率化には、さまざまなメリットがあります。ここでは、以下の4つの効果をご紹介します。

  • 物損事故減少でコストの削減や本業への集中が実現する
  • 工数が減り、生産性が向上する
  • 事故や誤出荷の減少で顧客満足度が向上する
  • 労働環境が改善され従業員が安全に作業できる

損事故減少でコストの削減や本業への集中が実現する

大きな目的の一つに、物損事故の削減が挙げられます。期待される効果は以下の2つです。

  • 修理・弁償費用、保険料など金銭的コストの削減
  • 謝罪にかかる人的コストの削減

金銭的なコストだけでなく、人的なコストを削減できるのは大きなメリットです。営業活動や経営戦略の策定など、本来の業務に集中できます。

工数が減り、生産性が向上する

作業の効率化は、生産性の向上にも期待できます。ひとつの作業に対する工数が減り、ムダがなくなるためです。

たとえば、ピッキング作業者の歩行距離を50%削減できれば、1時間あたりの取り扱い個数が大幅に増えます。結果的に、人件費の削減にもつながります。

事故や誤出荷の減少で顧客満足度が向上する

誤出荷や物損事故が減って品質が安定するため、顧客満足度が向上します。さらに、リードタイムの短縮を実現できれば、営業戦略上の大きな武器にもなります。

なお、適切に管理することで競争力強化につながる指標に「QCDS(Quality・Cost・Delivery・Safety)」があります。詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

物流領域で必須のQCDSとは?品質・コスト・納期・安全を同時に最適化するには

物流領域に…

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労働環境が改善され従業員が安全に作業できる

効率化が実現すれば、従業員満足度の向上も期待できます。労働環境が改善され、安全に作業できるためです。

たとえば、以下のような効果が考えられます。

  • 動線の最適化人の流れがスムーズになり、精神的な負担が減る
  • DX化:作業の簡素化で肉体的な負担や事故リスクが削減できる

とはいえ、ひとくちにDX化といってもさまざまなサービスが存在し、自社にマッチしたものが何なのか悩んでしまうものです。そんな時は、専門家に相談するという選択肢があります。

Hacobu Strategy」は、物流DXのプロフェッショナル集団です。ウォルマート・ジャパンで物流責任者を務めた経験を持つHacobu CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)の佐藤健次を中心に、デジタル活用の提案から実装までを一気通貫でサポートします。気になる方は、以下の無料サービス資料をダウンロードし、詳細をご確認ください。

出荷業務の効率化で課題を改善した企業事例3選

ここでは、実際に出荷業務の効率化に成功した企業の事例を3つご紹介します。

棚搬送型AGVと見える化システムの導入で従来の30%の省人化を達成

物流大手である株式会社日立物流は、人手不足に対応するため、運搬作業の自動化と人員管理の最適化を進めました。棚搬送AGVやコンベアを導入して「人が運ばない」仕組みを構築し、さらに経験と勘に頼っていた人員配置を「見える化システム」で刷新した結果、30%の省人化を達成できました。

参照元:公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会「物流現場改善導入事例」

デジタル化で作業のムダを解消!種まきピッキング作業時間を40%削減

物流3PLである不二運輸株式会社は、従来、種まきピッキングでは、バッチピッキングした商品を探す無駄な時間が発生していました。この課題に対し、紙のリストを廃止してタブレットを導入したところ、作業効率が大幅に改善。仕分け作業の時間を40%削減し、同時にペーパーレス化も達成しました。

参照元:公益社団法人 日本ロジスティクスシステム協会「物流現場改善導入事例」

トラック予約受付サービスの導入で非効率なアナログ業務をDX化!月間1,250時間以上の荷待ちと残業を削減

化学品物流のプロである東ソー物流株式会社は、FAXによる輸送手配の属人化や、それに伴う慢性的な荷待ち・残業に課題を抱えていました。そこで、トラック予約受付サービス「MOVO Berth」と配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」を導入。輸送手配をデジタル化し、車両の到着時間を事前に把握できる体制を構築した結果、2時間を超える荷待ちはゼロになり、月間1,250時間以上の荷待ち時間を削減しました。さらに、庫内作業の準備が効率化され残業が減ったほか、月約400枚の紙を削減するなど、ドライバーにも作業員にも喜ばれる現場改革に成功しています。

東ソー物流株式会社の導入事例をさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をチェックしてみてください。

東ソー物流株式会社の企業インタビュー記事はこちら

貴社の出荷業務効率化はHacobuがサポートします!

出荷業務の効率化は、無駄なコストを削減し、生産性を向上させる重要な「経営戦略」です。企業により課題や悩みは異なるため、まずはボトルネックとなっている事象を洗い出し、的確な対策を講じるようにしましょう。

Hacobuなら、その経営戦略を物流DXの側面からサポートできます。前の章でご紹介した、月間1,250時間以上の荷待ち時間を削減した東ソー物流株式会社も利用している、5年連続シェアNo.1のトラック予約受付サービス「MOVO Berth」をはじめ、以下のようなサービスを提供しています。

サービス名サービス内容できること
MOVO Berthトラック予約受付サービス入出荷の効率化
MOVO Fleet動態管理サービス配送実績の一元管理
MOVO Vista配車受発注・管理サービス廃車の適正化
MOVO Driverドライバー業務支援アプリドライバー業務のサポート
MOVO PSIAI発注・輸送最適化サービス輸送量の平準化
MOVO X-Data共同輸配送支援サービス共同輸配送マッチング

気になる方は以下の無料サービス資料をダウンロードし、詳しい内容を確認してみてください。

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