公開日 2025.02.27
更新日 2025.03.10

販売管理システムとは?主な機能や他のシステムとの違い、メリット、比較・選定のポイントを解説

企業の販売業務を効率化し、管理の精度を向上させるために、多くの企業が販売管理システムを導入しています。本記事では、物流DXパートナーのHacobuが販売管理システムの基本的な機能やメリット・デメリット、導入時のポイントについて詳しく解説します。

なお、物流DXツールのMOVOはこちらからサービスの詳細をご覧いただけます。

販売管理システムとは

販売管理システムは、企業の販売活動に関連する様々なデータを一元管理し、業務効率を向上させるためのソフトウェアです。受注から出荷、請求、在庫管理まで、販売プロセス全体を統合的に管理することができます。

このシステムを導入することで、販売実績のリアルタイムな把握や、顧客情報の効率的な管理が可能となり、経営判断のスピードアップにも貢献します。さらに、データの分析機能を活用することで、売上傾向の把握や販売戦略の立案にも役立てることができます。

販売管理における課題

販売管理における主な課題を2点ご紹介します。

手作業による人的ミス

販売管理を手作業で行う場合、様々な人的ミスが発生するリスクが高まります。例えば、伝票の転記時に数字を誤って入力してしまうことや、在庫数の確認ミスによって過剰発注や欠品が発生することがあります。また、請求書作成時の計算ミスによって誤った金額を請求してしまう可能性もあります。このような人的ミスは、業務の遅延を引き起こすだけでなく、顧客との信頼関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。

情報共有の難しさ

手作業による管理では、部門間での円滑な情報共有が難しいという課題があります。特に販売部門と在庫管理部門との間で情報の連携が遅れることで、適切な在庫管理が困難になることがあります。また、複数の拠点がある場合、リアルタイムな情報共有が難しく、ビジネスチャンスを逃す原因となることもあります。さらに、顧客対応の履歴が適切に共有されないことで、担当者によって対応品質にばらつきが生じ、顧客満足度の低下につながる可能性があります。

販売管理システムの主な機能

販売管理システムには、企業の販売活動を効率的に管理するための様々な機能が搭載されています。それぞれの機能が連携することで、一連の販売プロセスをスムーズに進行させることができます。以降では、一般的な機能について解説します。

見積管理機能

見積管理機能は、顧客からの問い合わせに対して迅速かつ正確な見積書を作成・管理する機能です。過去の取引データや商品マスタを活用することで、適切な価格設定や納期の提示が可能となります。また、見積書の作成履歴を保存することで、商談の進捗状況を把握したり、成約率の分析に活用できるものもあります。

受注管理機能

受注管理機能では、顧客からの注文情報を正確に記録し、その後の製品の出荷や請求などの業務につなげることができます。受注時点での在庫確認や納期調整が自動で行われ、確実な納品計画を立てられるものもあります。また、受注データは売上予測にも活用され、経営判断の重要な指標となります。

売上管理機能

売上管理機能により、日々の売上データをリアルタイムで把握・分析することができます。商品別、顧客別、地域別など、様々な切り口での売上分析が可能となり、販売戦略の立案や在庫計画の策定に役立ちます。また、定期的な売上レポートの自動生成により、経営状況の把握も容易になります。

請求管理機能

請求管理機能は、売上データに基づいて請求書を自動作成し、請求業務を効率化する機能です。複数の取引を一括で請求書にまとめたり、請求条件に応じて締日や支払期日を自動設定したりすることができます。また、請求履歴の管理により、未請求や請求漏れを防ぐことも可能です。

入金管理機能

入金管理機能では、顧客からの入金状況を一元管理し、未回収金の把握や督促業務を効率的に行うことができます。入金予定日の管理や、入金実績の自動照合により、資金繰りの計画も立てやすくなります。また、請求データと連携することで、消し込み作業も自動化され、経理業務の負担を大幅に軽減することができます。

販売管理システムと他のシステムとの違い

企業の業務効率化を支援するシステムには様々な種類がありますが、それぞれに特徴や主な用途が異なります。ここでは、販売管理システムと他の主要なシステムとの違いについて、具体的に解説していきます。

販売管理システムと会計システムとの違い

販売管理システムと会計システムは、どちらも企業活動に不可欠なシステムですが、その目的と機能は異なります。販売管理システムは、商談から受注、計上、請求までの販売プロセス全体を管理することに重点を置いています。一方、会計システムは、取引の仕訳や帳簿作成、決算書の作成など、財務会計処理を主な目的としています。

ただし、両システムは密接に連携することで、より効率的な業務運営が可能となります。例えば、販売管理システムで記録された売上データを会計システムに連携することで、会計処理の自動化や経営分析の精度向上につながります。

販売管理システムと受発注システムとの違い

受発注システムは、文字通り受注と発注の業務に特化したシステムです。主に商品の受注処理や仕入先への発注処理を効率化することを目的としています。一方、販売管理システムは受発注機能を含みつつ、その後の売上管理や請求管理など、より広範な販売プロセスをカバーしています。

また、販売管理システムには顧客管理機能や売上分析機能など、営業活動を支援する機能も備わっており、より戦略的な販売活動の展開が可能となります。

なお、製造業や物流業などの配車においては、専門の受発注システムも存在します。MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)を代表例とするこれらの受発注システムを、自社の販売管理システムと併用して使うことも効果的です。

販売管理システムと在庫管理システムとの違い

在庫管理システムは、商品の入出荷や在庫数の管理、適正在庫の維持などを主な目的としています。商品の入荷、保管、出荷といった物流面での管理に重点を置いているのが特徴です。これに対して販売管理システムは、在庫管理機能を持ちながらも、それを販売活動全体の中の一要素として位置づけています。

販売管理システムでは、受注情報や販売計画と連動した在庫管理が可能であり、販売状況に応じた適切な在庫コントロールを実現できます。また、在庫情報を営業活動にも活用することで、より効果的な販売戦略の立案が可能となります。

販売管理システムの導入メリット

販売管理システムを導入することで、企業は業務効率の向上から経営判断の質の改善まで、様々なメリットを享受することができます。そのため、近年では規模の大小を問わず、多くの企業がシステム導入を進めています。以下では、主要なメリットについて詳しく解説します。

手入力によるミスの削減

販売管理システムの導入により、従来手作業で行っていた多くの業務を自動化し、転記ミスや計算ミスを大幅に削減できます。また、入力時のチェック機能により、明らかな誤入力を防ぐことも可能です。

リアルタイムでの情報把握

販売管理システムの導入により、日々の売上状況や受注状況をタイムリーに確認できることで、目標達成に向けた進捗管理も容易になります。このような即時性の高い情報管理により、売上目標の達成に向けたマネジメントが可能になります。

データに基づく意思決定を実現

販売管理システムには、販売実績や顧客情報など、様々なデータが蓄積されます。これらのデータを分析することで、売れ筋商品の把握や顧客の購買傾向の分析、さらには将来の需要予測まで、客観的なデータに基づく意思決定が可能になります。例えば、商品別の販売動向を分析することで、効果的な在庫計画を立てたり、顧客の購買履歴を分析することで、的確な販売促進策を講じたりすることができます。

部門間連携の強化

販売管理システムの導入により、販売部門た物流部門、経理部門など、異なる部門間でのスムーズな情報共有が実現します。例えば、販売部門で入力した受注情報を物流部門が即座に確認し、出荷準備に着手できるようになります。また、経理部門は販売データを基に迅速な請求処理を行うことができます。このような部門間の緊密な連携により、業務プロセス全体の効率化が図れ、結果として顧客へのサービス向上にもつながります。

販売管理システムの比較・選定のポイント

販売管理システムを導入する際には、様々な観点から自社に最適なシステムを選定することが重要です。適切なシステムを選ぶことで、業務効率の向上や投資対効果の最大化を図ることができます。以下では、システム選定時の重要なポイントについて解説します。

自社の業態に合ったシステムか

販売管理システムは業界や業態によって求められる機能が大きく異なります。例えば、小売業では在庫管理や POS 連携が重要となる一方、製造業では製造原価の管理や生産管理システムとの連携が重要になります。そのため、自社の業務プロセスや商習慣を十分に分析し、それらに適合したシステムを選択する必要があります。

また、企業規模や取引量に応じたシステムを選ぶことも重要です。必要以上に高機能なシステムを導入すると、コストが高くなるだけでなく、運用の複雑さから十分に機能を活用できない可能性があります。

必要な機能が備わっているか

導入を検討するシステムが、自社に必要な機能を備えているかを詳細に確認することが重要です。基本的な販売管理機能に加えて、業界特有の要件や自社独自の業務プロセスに対応できるかどうかを精査する必要があります。

特に、既存システムとの連携や、将来的な事業拡大に伴う機能拡張の可能性についても考慮が必要です。また、操作性や画面の見やすさなど、実際に使用する従業員の使いやすさも重要な選定ポイントとなります。

サポート体制が十分か

システム導入後の安定的な運用のためには、十分なサポート体制を持つベンダーを選択することが重要です。導入時のトレーニングや運用支援、トラブル発生時の対応など、様々な場面でベンダーのサポートが必要となります。

また、システムの保守・メンテナンス体制や、バージョンアップへの対応なども重要な検討ポイントです。特に、法改正や制度変更への対応が迅速に行われるかどうかは、業務への影響が大きいため、慎重に確認する必要があります。さらに、ベンダーの経営状況や実績なども考慮し、長期的なパートナーとして信頼できる企業かどうかを見極めることが重要です。

販売管理だけでなく物流もシステム化を

販売管理システムの効果的な導入により、受注処理の効率化や売上分析の精緻化が実現できます。しかし、企業活動全体の効率を上げるためには、販売管理システムの導入だけでは不十分な場合があります。

特に物流に関わる業務については、別途の対策が必要です。たとえ販売部門が大口案件を受注しても、納期どおりに商品を顧客へ納品できなければ、ビジネスとして成立しません。そのため、販売管理システム並行して、物流システム投資も不可欠です。

Hacobuでは「運ぶを最適化する」をミッションとして掲げ、物流DXツールMOVO(ムーボ)と、物流DXコンサルティングサービスHacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)を提供しています。物流現場の課題を解決する物流DXツール「MOVO」の各サービス資料では、導入効果や費用について詳しくご紹介しています。

トラック予約受付サービス(バース予約システム) MOVO Berth

MOVO Berth(ムーボ・バース)は、荷待ち・荷役時間の把握・削減、物流拠点の生産性向上を支援します。

動態管理サービス MOVO Fleet

MOVO Fleet(ムーボ・フリート)は、協力会社も含めて位置情報を一元管理し、取得データの活用で輸配送の課題解決を支援します。

配車受発注・管理サービス MOVO Vista

MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)は、電話・FAXによるアナログな配車業務をデジタル化し、業務効率化と属人化解消を支援します。

物流DXコンサルティング Hacobu Strategy

Hacobu Strategyは、物流DXの戦略、導入、実行まで一気通貫で支援します。

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。

関連記事

セミナー

タグから記事を探す

メルマガ登録

物流に関する最新情報やお役立ちセミナーの告知などHacobuから厳選情報をお届けします