公開日 2025.03.27
更新日 2025.03.31

第一種荷主・第二種荷主は運送契約の有無で区分する?定義や発荷主・着荷主との違いについて解説

改正流通業務総合効率化法が2025年4月に施行され、すべての荷主に物流効率化の努力義務が課せられました。同法や関連省令では「第一種荷主」「第二種荷主」という区分が示されていますが、自社がどちらに該当するのか、疑問に思われている荷主企業も少なくないのではないでしょうか。

本記事では、第一種荷主・第二種荷主の定義や区分、発荷主・着荷主との違いについて、物流DXパートナーのHacobuが解説します。

第一種荷主とは

同法 第三十条には以下のように記載があります。

  • 自らの事業(貨物の運送の事業を除く。)に関して継続して貨物自動車運送事業者又は貨物利用運送事業者(第一種貨物利用運送事業者、第二種貨物利用運送事業者及び貨物利用運送事業法第四十六条 第一項に規定する外国人国際第二種貨物利用運送事業者をいう。以下同じ。)に貨物の運送を行わせることを内容とする契約(貨物自動車を使用しないで貨物の運送を行わせることを内容とする契約を除く。)を締結する者をいう。

つまり、第一種荷主とは、運送会社に自社の貨物の運送を委託するため、継続的に運送契約を締結している事業者を指します。たとえばメーカーや小売チェーンなどが、得意先の倉庫や自社の店舗に貨物を届ける際に、自社で外部のトラックを手配している場合、第一種荷主に該当します。

第二種荷主とは

第一種荷主と同じく、同法 同条には以下のように記載があります。

  • イ 自らの事業(貨物の運送及び保管の事業を除く。ロ及び第四十五条第五項において同じ。)に関して継続して貨物(自らが貨物自動車運送事業者又は貨物利用運送事業者に運送を委託する貨物を除く。ロ及び第 四十二条第四項において同じ。)を運転者(他の者に雇用されている運転者に限る。以下この号において同じ。)から受け取る者又は他の者をして運転者から受け取らせる者
  • ロ 自らの事業に関して継続して貨物を運転者に引き渡す者又は他の者をして運転者に引き渡させる者

つまり、第二種荷主とは、自社で車両の手配をせずに貨物の受け渡しを行う事業者を指します。前述の例では、貨物の受け取り手が第二種荷主に該当します。

物流効率化に関する判断基準:第一種荷主

第一種荷主は、どのような物流効率化の取り組みをすれば良いのでしょうか。判断基準の例を解説します。

積載効率の向上

運送会社が積載効率の向上を行えるように、以下に取り組む

  • 委託から配達までのリードタイムの確保、貨物量の平準化
  • システム導入による配車計画・運行経路の最適化
  • 全社的な部門間連携(開発、生産、流通、販売、調達、在庫管理その他の貨物の運送に関係する業務に係る各部門間の連携を促進)

荷待ち・荷役時間の短縮

荷待ち荷役の把握・短縮の取り組みを計画的・効率的に実施する

  • トラック予約受付システムを導入し、トラックの到着時間を調整、分散
  • 一貫パレチゼーション、効率的な荷姿、フォークリフトや人員の適正配置
  • 第二種荷主、3PL、運送会社への貨物情報の事前共有
  • 検査の効率化、荷役を効率的に行える環境整備
  • 荷待ち・荷役の把握・削減の取り組みを3PLに提案
  • 3PLから提案を受けた場合は、必要な対応を実施

物流効率化に関する判断基準:第二種荷主

次に、第二種荷主の判断基準を解説します。

発荷主への協力

第一種荷主が自身の判断基準に取り組めるように、納期調整があった場合には協力する

  • 納期調整のための全社的な部門間連携(開発、生産、流通、販売、調達、在庫管理その他の貨物の運送に関係する業務に係る各部門間の連携を促進)

荷待ち・荷役時間の削減

荷待ち・荷役の把握・削減の取り組みを計画的・効率的に実施する

  • トラック予約受付システムを導入し、トラックの到着時間を調整、分散
  • 検査の効率化
  • フォークリフトや人員の適正配置
  • 荷役を効率的に行える環境整備
  • 荷待ち・荷役の把握・削減の取り組みを3PLに提案
  • 3PLから提案を受けた場合は、必要な対応を実施

詳細は以下の記事をご覧ください。

改正物流効率化法(流通業務総合効率化法)・改正貨物自動車運送事業法に関する省令の要点、判断基準ついて解説

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特定第一種荷主・特定第二種荷主とは

第一種荷主・第二種荷主いずれかの立場で、前年度に運送会社に運送を依頼した、または受け渡した貨物量が9万トン以上の場合、特定第一種荷主・特定第二種荷主に指定されます。特定第一種荷主・特定第二種荷主に指定された場合、物流効率化に関する中長期計画・計画に対する定期報告が求められます。

詳細は以下の記事をご覧ください。

特定荷主とは | 省エネ法・流通業務総合効率化法における基準や義務、行政処分、中長期計画・定期報告の様式を解説

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荷主の区分の考え方

自社が第一種荷主・第二種荷主のどちらに該当するか、また特定第一種荷主・特定第二種荷主に該当するかは、以下のフローチャートをご参照ください。

自社のトラック以外のトラックを貨物の運送・受け取りに利用している場合、改正流通業務総合効率化法では荷主として定義されます。その上で、運送会社と運送契約を結んでいるのが自社の場合、第一種荷主に該当します。(運送会社との間に元請け事業者や物流子会社などを介する場合も含みます。)

自社ではなく貨物を受け渡す相手等の取引先が、運送会社と運送契約を結んでいる場合は第二種に該当します。

さらに、それぞれ第一種荷主・第二種荷主として年間の貨物重量が9万トン以上であれば、特定第一種荷主・特定第二種荷主に該当します。9万トン未満であれば、特定第一種荷主・特定第二種荷主には該当せず、通常の第一種荷主・第二種荷主に該当します。

第一種荷主・第二種荷主の区分に関する補足

自社・取引先の両方で運送契約をしている場合は、第一種荷主・第二種荷主の両方に該当

運送会社との運送契約について、自社契約、取引先契約の両方がある場合、第一種荷主、第二種荷主の両方に該当します。つまり、前述のフローチャートの①・②両方に該当します。(取引先契約は、自社で受け渡しを行う貨物に限ります。)

発荷主・着荷主で区分されていない

第一種荷主・第二種荷主は、引渡し(発荷主)・受け取り(着荷主)で区別されていません。運送契約が自社なのか、取引先なのかで区分されます。

たとえば完成品メーカーが自社で運送契約をしたトラックで、原材料メーカーにミルクラン方式で集荷に行く場合、完成品メーカーは着荷主ですが第一種荷主、原材料メーカーは発荷主ですが第二種荷主に区分されます。

そのため、特定荷主の基準値の計測にも注意が必要です。たとえば、受け取る貨物重量が年間5万トン、引き渡す貨物重量が年間5万トン、いずれも取引先契約の運送会社に受け渡している場合は、第二種荷主としての貨物重量が10万トンとなり、特定第二種荷主に該当します。

社内物流の場合、第二種荷主は存在しない

たとえば、事業者Aが寄託している倉庫業者Bから倉庫業者Cへ、社内物流(横持ち)する場合、第二種荷主は存在しないことになります。この場合、「運送契約を取引先が行なっている事業者」が存在せず、事業者Aが荷送人 兼 荷受人になります。

ただし倉庫業者には別途、物流効率化の努力義務が課せられ、倉庫業者としての取り組みが求められます。

グループ会社は取引先扱い

受け渡し先が、自社ではなくグループ会社である場合は、取引先とみなされますので、それぞれが第一種荷主・第二種荷主に区分されます。

まとめ

本記事では、第一種荷主・第二種荷主の定義や区分について解説しました。持続可能な物流を実現するため、第一種荷主・第二種荷主いずれの場合でも物流効率化が求められ、それぞれの立場に応じた適切な取り組みが重要です。

なお、Hacobuでは、第一種・第二種いずれの荷主企業にも向けて、物流効率化を支援するさまざまなサービスを提供しています。

トラック予約受付サービス(バース予約システム) MOVO Berth

MOVO Berth(ムーボ・バース)は、荷待ち・荷役時間の把握・削減、物流拠点の生産性向上を支援します。

動態管理サービス MOVO Fleet

MOVO Fleet(ムーボ・フリート)は、協力会社も含めて位置情報を一元管理し、取得データの活用で輸配送の課題解決を支援します。

配車受発注・管理サービス MOVO Vista

MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)は、電話・FAXによるアナログな配車業務をデジタル化し、業務効率化と属人化解消を支援します。

物流DXコンサルティング Hacobu Strategy

Hacobu Strategyは、物流DXの戦略、導入、実行まで一気通貫で支援します。

著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。

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