公開日 2025.03.05
更新日 2025.03.05

購買管理システムとは?主な機能や他のシステムとの違い、導入メリット、選定ポイントを解説

購買業務は、企業のコスト削減や経営効率に大きく影響を与える重要な業務です。しかし、発注の属人化や承認フローの煩雑さ、コストの見える化が難しいなど、多くの課題を抱えています。これらの課題を解決するのが「購買管理システム」です。

本記事では、購買管理システムの基本的な概念や主要な機能、導入によるメリット、そして選定時のポイントなどについて、物流DXパートナーのHacobuが解説します。

なお、物流DXツールのMOVOはこちらからサービスの詳細をご覧いただけます。

購買管理システムとは?

購買管理システムは、企業の調達業務全般をデジタル化し、発注から納品、支払いまでの一連のプロセスを可視化・効率化するシステムです。従来の紙ベースの管理や属人的な発注業務から脱却し、組織全体で統一した購買管理を実現します。

購買管理システムの主な機能

購買管理システムには、購買業務の効率化と最適化を実現するための様々な機能が搭載されています。具体的な機能はシステムの要件定義や仕様によりますが、主要機能について詳しく見ていきましょう。

購買計画

過去の購買データや在庫状況をもとに、最適な調達計画を作成します。需要予測と連携し、無駄のない購買計画を立案できます。

発注管理

発注管理機能では、見積依頼から発注書作成、発注処理までの一連のプロセスを一元管理します。承認ワークフローの自動化ができるシステムもあり、スムーズな発注処理が可能となります。また、発注履歴の管理や進捗状況の確認も容易に行えます。

検収支払管理

検収支払管理機能は、一般的に納品された商品やサービスの検収処理から、支払い処理までを管理する機能です。検収データと発注情報の突合チェック、請求書との照合、支払い処理の自動化などにより、正確で効率的な業務遂行を実現します。

仕入先管理

取引先の情報を一元管理し、取引状況や評価情報などを随時確認できる機能です。取引先ごとの購買実績、品質評価、価格履歴などの情報を蓄積・分析することで、最適な取引先の選定をサポートします。

取引契約

取引先との契約情報を管理する機能です。契約書の作成・保管、契約条件の管理、契約更新時期の管理などを行えることが一般的です。また、システムによっては契約履歴の追跡や契約内容の変更管理も可能です。

価格管理

商品やサービスの価格情報を一元管理する機能です。一般的には取引先ごとの価格履歴、価格改定情報、価格交渉記録などを管理することができ、適正な価格での調達を支援します。また、市場価格との比較分析なども行えます。

納期管理

発注した商品やサービスの納期を管理する機能です。一般的には納期遵守状況の監視、遅延アラートの設定、納期変更への対応などを行います。また、納期遅延が発生した場合に代替案の検討ができるシステムもあります。

購買管理システムと他のシステムとの違い

企業で利用される様々な業務システムの中で、購買管理システムは独自の特徴と役割を持っています。ここでは、類似するシステムとの違いを解説します。

システム目的主な機能
購買管理システム調達業務全体の効率化・可視化購買計画、発注管理、支払処理、取引先管理
受発注システム取引の発注・受注の処理受注・発注管理、請求書発行
販売管理システム売上・販売管理受注管理、顧客管理、売上管理
在庫管理システム商品の在庫管理在庫数の把握、入出庫管理
会計システム財務管理仕訳、財務レポート作成

購買管理システムと受発注システムとの違い

購買管理システムは、調達戦略の立案から支払いまでの包括的な購買プロセス全体を管理するのに対し、受発注システムは主に発注処理と受注処理という限定的な機能に特化しています。購買管理システムには予算管理や承認ワークフローなどの管理機能が含まれる一方、受発注システムは取引の実務的な処理に重点を置いています。

購買管理システムと販売管理システムとの違い

購買管理システムが企業の仕入れ・調達活動を管理するのに対し、販売管理システムは製品やサービスの販売活動を管理します。購買管理システムは支出の最適化と調達効率の向上を目指すのに対して、販売管理システムは売上の最大化と顧客管理に重点を置いています。

購買管理システムと在庫管理システムとの違い

在庫管理システムが商品の入出庫や在庫数量の管理に特化しているのに対し、購買管理システムは調達プロセス全体を管理します。購買管理システムは在庫情報を参照して発注計画を立てますが、在庫の実務的な管理は在庫管理システムが担当します。両システムは連携して運用されることで、より効果的な在庫・調達管理が実現できます。

購買管理システムと会計システムとの違い

会計システムが財務会計や管理会計の処理を行うのに対し、購買管理システムは調達業務に特化しています。購買管理システムで生成された支払データは会計システムに連携され、仕訳処理や財務諸表作成に活用されます。購買管理システムは業務プロセスの管理を、会計システムは会計処理を担当するという明確な役割分担があります。

購買管理システムの導入メリット

購買管理システムを導入することで、企業は様々なメリットを享受することができます。以下では、主な導入メリットについて詳しく解説していきます。

購買プロセスの効率化と標準化

購買管理システムの導入により、発注から支払いまでの一連のプロセスが自動化・標準化されます。これにより、手作業による処理時間が大幅に削減され、業務効率が向上します。また、統一された手順とフォーマットにより、部門間での業務の標準化が実現し、ヒューマンエラーのリスクも低減します。さらに、承認プロセスの電子化により、決裁のスピードアップと透明性の確保が可能となります。

コストの可視化と削減

システムによる一元管理により、購買に関する全てのコストを可視化することができます。発注金額、取引先ごとの購入実績、部門別の購買状況など、様々な角度からコストを分析することが可能になります。これにより、無駄な支出の特定や、より有利な取引条件の交渉材料として活用できます。また、発注の集約化や適正在庫の維持により、コスト削減を実現します。

コンプライアンスの強化

購買管理システムには、規定に基づいた承認ワークフローや権限管理機能が備わっています。これにより、不正や過剰発注を防止し、購買業務の透明性を確保することができます。また、取引履歴や承認記録が自動的に保存されるため、監査対応も容易になります。さらに、法令や社内規定の遵守状況を常時モニタリングすることが可能です。

データに基づく戦略的購買

蓄積された購買データを分析することで、より戦略的な調達活動が可能となります。過去の購買実績、価格推移、取引先評価などのデータを活用し、最適な発注タイミングや取引先の選定を行うことができます。また、需要予測との連携により、より精度の高い購買計画の立案が可能になります。

サプライヤー管理の向上

取引先の情報を一元管理することで、より効果的なサプライヤー管理が実現します。取引実績、品質評価、納期遵守率などの情報を統合的に管理し、取引先の総合的な評価を行うことができます。これにより、優良取引先との関係強化や、問題のある取引先への適切な対応が可能となります。また、新規取引先の開拓や既存取引先との条件見直しなど、戦略的なサプライヤー管理を展開することができます。

購買管理システムの選定ポイント

購買管理システムを導入する際には、自社のニーズに合った最適なシステムを選定することが重要です。以下の観点から慎重に検討を行いましょう。

必要な機能が揃っているか

自社の購買業務に必要な機能が網羅されているかを確認することが重要です。基本的な購買管理機能はもちろん、業界特有の要件や自社特有の業務プロセスに対応できるかを精査します。また、将来的な業務拡大や変更にも柔軟に対応できる拡張性を持っているかも重要なポイントです。カスタマイズの可能性や、オプション機能の追加のしやすさなども考慮に入れましょう。

導入・運用コスト

システムの導入費用だけでなく、運用に関わる継続的なコストも含めて総合的に検討する必要があります。初期費用には、システム本体の費用の他、カスタマイズ費用、データ移行費用、社員教育費用などが含まれます。また、月額利用料、保守費用、アップデート費用などのランニングコストについても確認が必要です。投資対効果(ROI)を見極めながら、適切な予算配分を検討しましょう。

既存システムとの連携性

既に導入している会計システムや在庫管理システムなどとの連携が重要です。データ連携の方式や対応フォーマット、連携の自動化の可能性などを確認します。シームレスな連携ができないと、手作業でのデータ移行が必要となり、業務効率化の妨げとなる可能性があります。また、将来的に導入を検討している他のシステムとの親和性についても考慮しましょう。

サポート体制の充実度

システム導入時および運用時のサポート体制が整っているかを確認します。導入時のコンサルティング、運用開始後のトレーニング、技術的な問い合わせへの対応など、十分なサポートが受けられるかを確認しましょう。また、障害発生時の対応体制や、システムのアップデート情報の提供方法なども重要な確認ポイントです。

セキュリティ対策

購買データには、取引先情報や価格情報など、機密性の高い情報が含まれます。そのため、十分なセキュリティ対策が施されているかを確認することが重要です。具体的には、アクセス権限の管理、データの暗号化、バックアップ体制、外部からの不正アクセス対策などが整備されているかを確認します。また、法令やコンプライアンスへの対応状況についても精査が必要です。

購買管理だけでなく物流もシステム化を

購買管理システムの導入により、発注業務の効率化やコスト削減が実現できます。しかし、物流プロセスの効率化が伴わない場合、どれだけ購買業務を改善しても、調達活動全体の最適化には限界があります。

物流面での非効率は、納期遅延や輸送コストの上昇を引き起こし、結果として企業競争力の低下につながります。そのため、購買管理の強化と並行して、物流システムの整備も重要な経営課題となっています。配送ルートの最適化、在庫管理の効率化、物流状況の可視化など、物流のデジタル化を推進することで、調達から納品までの一貫した業務改善が可能となります。

なお、Hacobuでは「運ぶを最適化する」をミッションとして掲げ、物流DXツールMOVO(ムーボ)と、物流DXコンサルティングサービスHacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)を提供しています。物流現場の課題を解決する物流DXツール「MOVO」の各サービス資料では、導入効果や費用について詳しくご紹介しています。

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著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。

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