公開日 2025.04.28
更新日 2025.04.28

受発注システムとは?主な機能やメリット・デメリット、選び方を解説

企業活動において欠かせない受発注業務。近年、デジタル化の波が押し寄せる中、多くの企業が受発注システムの導入を検討しています。本記事では、物流DXパートナーのHacobuが受発注システムの基本的な概念から、導入による効果、さらには選定時のポイントまでを詳しく解説します。

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受発注システムとは

受発注システムは、企業における商品やサービスの受注・発注業務をデジタル化し、一元管理するためのシステムです。従来の電話やFAX、メールによる受発注業務をシステム化することで、業務効率の向上や人的ミスの削減を実現します。

具体的には、発注データの作成から発注内容の承認、発注先への送信、受注確認、納期管理まで、一連の業務プロセスをシステム上で完結させることができます。また、過去の取引データの蓄積や分析も容易になり、より戦略的な在庫管理や発注計画の立案が可能となります。

受発注管理における課題

アナログな受発注管理においては以下のような課題があります。

業務の属人化

受発注業務において最も深刻な課題の一つが、業務の属人化です。長年の経験を持つ担当者の暗黙知に依存した業務プロセスは、以下のようなリスクをはらんでいます。

担当者の急な欠勤や退職時に業務が停滞する可能性があります。また、特定の担当者しか把握していない取引先との関係性や特殊な発注ルールなどが、組織の知識として共有されないことで、業務の継続性が損なわれる恐れがあります。

ヒューマンエラーの発生

手作業による受発注管理では、さまざまなヒューマンエラーが発生するリスクがあります。具体的には数量や金額の入力ミス、発注先の選択ミス、発注忘れなど、人的ミスが発生しやすい環境にあります。これらのエラーは、取引先との信頼関係を損なうだけでなく、場合によっては重大な機会損失や追加コストの発生につながる可能性があります。また、エラーの発見や修正にかかる時間と労力も、業務効率を低下させる要因となっています。

受発注システムの主な機能

受発注システムには、企業の業務効率化を支援するさまざまな機能が搭載されており、一般的には以下のような機能があります。

受注管理

受注管理機能では、一般的に取引先からの注文を正確かつ効率的に処理することができます。注文書の電子化による自動データ入力、受注状況のリアルタイム確認、納期回答の自動化などが可能です。また、受注履歴の管理や、受注状況に応じた在庫確保なども容易に行えます。

発注管理

発注管理機能では、仕入先への発注業務を一元管理します。発注書の作成から承認フロー、発注データの送信まで完結できるシステムもあります。また、発注状況の可視化や、締め日管理、発注実績の分析などの機能が備わっている場合もあります。定期発注や自動発注の設定により、業務の効率化を図ることができます。

在庫管理

在庫管理機能では、商品の入出庫情報をリアルタイムで把握できます。一般的には適正在庫量の維持、在庫切れの防止、過剰在庫の抑制などが可能になります。また、在庫の動きを分析することで、需要予測や発注計画の最適化にも活用できるシステムもあります。

顧客管理

顧客管理機能では、取引先の情報を一元管理します。主に取引条件、価格設定、配送先情報、担当者情報などを管理し、受発注業務に必要な情報を即座に参照できる機能を搭載しているケースが多数です。また、取引履歴の管理により、顧客ごとの傾向分析をおこなうことができるシステムも存在します。

入出荷管理

入出荷管理機能では、商品の入荷予定や出荷状況を管理します。入出荷予定のスケジュール管理、配送業者との連携、出荷指示書の発行など、物流に関する業務を効率化できる機能を備えていることが一般的です。また、トレーサビリティの確保にも役立てることができます。

会計連携

会計連携機能により、受発注データを会計システムと連携させることができます。売上・仕入データの自動連携により、請求書作成や支払処理の効率化が図れます。また、システムによっては消し込み作業の自動化なども可能です。

データ分析・レポート

データ分析・レポート機能では、蓄積された受発注データを活用した各種分析が可能です。売上推移、商品別実績、取引先別分析など、様々な角度からデータを分析し、経営判断に活用できるレポートを作成できることが一般的です。また、システムによっては定期レポートの自動生成なども可能で、業務効率の向上に貢献します。

受発注システムと他のシステムとの違い

企業で利用される業務システムには様々な種類があり、一見すると機能が重複しているように見えることがあります。ここでは、受発注システムと他の主要なシステムの違いを解説します。

受発注システムと販売管理システムとの違い

受発注システムは取引の入り口となる受注・発注業務に特化したシステムであるのに対し、販売管理システムはより広範な販売活動全般を管理するシステムです。

販売管理システムには、見積作成、販売計画の立案、営業活動の管理、販売実績の分析など、販売に関わる幅広い機能が含まれます。一方、受発注システムは取引処理の正確性と効率性に重点を置いており、受発注業務のワークフローを最適化することに特化しています。

受発注システムと在庫管理システムとの違い

在庫管理システムは、商品の入出庫や在庫状況の把握、ロケーション管理など、在庫に関する詳細な管理機能を提供します。これに対し、受発注システムは在庫情報を参照・活用する立場にあり、在庫状況に基づいた受発注判断をサポートする役割を担っています。

在庫管理システムでは、棚卸業務、賞味期限管理、ロット管理など、より専門的な在庫管理機能が充実している一方、受発注システムは在庫情報を取引業務に活用することに重点を置いています。

受発注システムと会計システムとの違い

会計システムは、仕訳入力、勘定科目管理、財務諸表作成など、会計処理に特化したシステムです。受発注システムは取引データを生成する源泉となりますが、会計システムはその取引を会計的な観点から処理し、財務報告のために必要な情報へと変換します。

受発注システムが日々の取引業務の効率化を目的としているのに対し、会計システムは正確な財務情報の作成と法令遵守を主な目的としています。両システムは連携することで、取引から会計処理までの一連の流れを自動化することができます。

受発注システムの導入メリット

受発注システムには以下のようなメリットがあります。

業務効率の大幅な向上

受発注システムの導入により、業務効率が大幅に向上します。注文処理の自動化により、手作業によるミスが減少し、業務効率が向上します。また、発注から納品までのスピードが上がり、リードタイムが短縮されます。さらに、顧客からの問い合わせ対応頻度も減少し、全体的な業務の効率化が実現します。

コスト削減とペーパーレス化

受発注システムの導入は、コスト削減とペーパーレス化につながります。在庫管理の精度向上により、過剰在庫や欠品を防ぎ、在庫コストの削減が可能になります。また、注文処理の自動化により人件費の削減も期待できます。さらに、システムによるデータ管理により、帳票作成や請求処理の効率化が図れ、ペーパーレス化も促進されます。

在庫管理の最適化

受発注システムは在庫管理の最適化に大きく貢献します。リアルタイムに在庫状況を把握し、過剰在庫や欠品を防ぐことができます。システムは在庫レベルを常に監視し、必要に応じて自動発注も可能です。また、在庫データを分析することで、最適な在庫量を維持し、在庫コストの削減が可能になります。さらに、賞味期限やロット番号、シリアル番号単位での在庫管理にも対応しており、幅広い商材で利用できます。

受発注システムの比較・選定ポイント

受発注システムを導入する際は、自社のニーズに合った最適なシステムを選定することが重要です。以下の5つの観点から、慎重に比較・検討を行いましょう。

必要な機能が搭載されているか

自社の業務に必要な機能が標準で搭載されているかを確認することが重要です。

システムを選定する際は、受発注フローの自動化レベル、取引先とのデータ連携方法、在庫管理機能の充実度、帳票出力機能のカスタマイズ性などを十分に確認する必要があります。また、将来的な業務拡大や取引形態の変化も見据えて、機能の拡張性についても検討することをお勧めします。

導入コストと運用コスト

システム導入時の初期費用だけでなく、継続的に発生する運用コストまでを含めた総合的な費用対効果を検討します。

初期費用には、システム本体の購入費用やカスタマイズ費用、データ移行費用、社員教育費用などが含まれます。また、月額のライセンス料、保守料、クラウド利用料などの運用コストについても、長期的な視点で検討する必要があります。

既存システムとの連携

新規導入するシステムと、既存の社内システムとの連携可能性を確認することが重要です。

会計システム、在庫管理システム、ERPなど、既存システムとのスムーズなデータ連携が可能かどうかを確認します。連携に追加のカスタマイズが必要な場合は、その費用や工期についても考慮に入れる必要があります。

データ分析のしやすさ

蓄積されたデータを活用して、経営判断に役立つ分析が可能かどうかを確認します。

売上分析、在庫分析、取引先別分析など、必要な分析機能が搭載されているか、カスタムレポートの作成は可能か、データのエクスポート機能は充実しているかなどを確認します。また、直感的に操作できるインターフェースであることも重要なポイントです。

サポート体制

システム導入後の安定運用を支えるサポート体制の充実度を確認します。

導入時のトレーニング内容、マニュアルの充実度、問い合わせ対応の窓口体制、障害発生時の対応フロー、バージョンアップ対応など、継続的なサポート体制が整っているかを確認します。また、導入実績やユーザーからの評価についても参考にすることで、より確実な選定が可能となります。

受発注だけでなく物流もシステム化を

受発注システムの導入により、発注処理の自動化や在庫管理の最適化が実現できます。しかし、物流プロセスの効率化が伴わない場合、どれだけ受発注業務を改善しても、サプライチェーン全体の最適化には限界があります。

物流面での非効率は、納品遅延や物流コストの増大を引き起こし、結果として業務効率の低下を招きます。そのため、受発注管理の強化と同時に、物流システムの整備も重要な課題となっています。配送計画の最適化、倉庫内作業の効率化、トレーサビリティの向上など、物流のデジタル化を推進することで、エンドツーエンドでの業務改善が可能となります。

今後、企業が持続的な成長を実現するためには、受発注と物流、双方のデジタル化が不可欠です。蓄積されたデータを活用した需要予測や配送計画の最適化など、データドリブンな物流戦略の構築が、ビジネスの成功を左右する重要な要素となっています。

なお、Hacobuでは「運ぶを最適化する」をミッションとして掲げ、物流DXツールMOVO(ムーボ)と、物流DXコンサルティングサービスHacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)を提供しています。物流現場の課題を解決する物流DXツール「MOVO」の各サービス資料では、導入効果や費用について詳しくご紹介しています。

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配車受発注・管理サービス MOVO Vista

MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)は、電話・FAXによるアナログな配車業務をデジタル化し、業務効率化と属人化解消を支援します。

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物流DXコンサルティング Hacobu Strategy

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著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営するハコブログの編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。

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