物流の倉庫業とは?課題や対策を解説
「自社で新しく倉庫拠点を立ち上げたいが、どのような法規制をクリアすべきかわからない」
「委託先の倉庫会社にこのまま任せていて問題ないだろうか?」
荷主企業の物流担当者様の中には、このような悩みや疑問を抱えた方も多いのではないでしょうか。
本記事では、物流倉庫の現場管理を14年以上経験した筆者が、倉庫業の定義や法律といった基礎知識をご紹介します。さらに、現場が直面している課題、それらを打破する解決策までをわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、安全で高品質な物流のヒントにしてください。
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物流の倉庫業とは
国土交通省では、倉庫業を以下のように定義しています。
倉庫業とは、寄託を受けた物品を倉庫において保管する事業であり、原料から製品、冷凍・冷蔵品や危険物に至るまで、国民生活・経済活動に欠かせない多種多様な物品を大量かつ安全に保管する役割を担っています。
引用元:https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/butsuryu05100.html
荷主企業にとって、この「安全に保管する」という機能は、サプライチェーンの安定に欠かせない要素です。委託先の見直しや自社拠点の新設を検討するにあたっては、まずその基本となる以下の2点を押さえておきましょう。
- 倉庫業と運送業の違い
- 倉庫業法とは
倉庫業と運送業の違い
物流を支える大きな柱である「運送業」と「倉庫業」ですが、その目的と法的な役割には明確な違いがあります。
運送業は荷物を目的地まで届ける「移動」を目的とするのに対し、倉庫業は荷主から預かった(寄託された)物品を、引き渡すまで適切な状態で「保管・管理」することを目的としています。
実務上は運送と保管がセットで提供されることも多いですが、契約の性質が異なる点に注意が必要です。
倉庫業法とは
倉庫業法は、一言でいうと「倉庫業を正しく運営させて、利用者や取引の安心を守るための法律」です。
火災や盗難、地震などから大切な荷物を守るために、倉庫の施設基準(防火、防犯、耐震など)が厳格に定められています。また、事業者が倒産した際の荷主の保護など、健全な取引を支えるルールも含まれています。
事業として倉庫業を営む者は、この倉庫業法に基づく「登録」を受ける必要があります。委託先を選定する際は、その会社が登録済みの業者であるかを確認しておきましょう。荷主としてのコンプライアンスを守るためにも重要です。
参考:https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000121/

物流における倉庫業の種類と特徴
この章では、代表的な以下の3つの倉庫業について解説します。
- 普通倉庫業
- 冷蔵倉庫業
- 水面倉庫業
1.普通倉庫業
普通倉庫業は、冷蔵倉庫や水面倉庫以外の荷物を保管する、最も一般的な倉庫業です。食品、衣類、家電から原材料、危険物まで多岐にわたる物品を扱います。倉庫の設備基準によって、以下のような分類(1号〜3号倉庫など)がなされており、保管できる物品が制限されています。
| 普通倉庫の分類 | 概要 |
| 1号倉庫 | 最も基準が厳しく、耐火・防湿性能などを備えた倉庫。日用品、繊維、食品など広範な物品を保管可能。ただし、冷蔵倉庫、危険品倉庫での保管が義務づけられている物品は保管できない。 |
| 2号倉庫 | 1号倉庫より基準が緩和されており、防火・耐火性能は不要。 |
| 3号倉庫 | 防火・耐火性能に加え、防湿性能も不要。燃えにくく、湿気にも強い貨物が保管される。 |
| 野積倉庫 | 柵や塀で囲まれた屋外の場所。木材、鉱物、大型機械など、屋外に置いても支障のない物品を保管する。 |
| 危険物倉庫 | 消防法で7類物品に定められた危険物や高圧ガスを専門に保管する、安全基準の極めて高い倉庫。 |
2.冷蔵倉庫業
冷蔵倉庫業は、農畜水産物や冷凍食品など、10℃以下の低温で保管する必要がある物品を扱う倉庫業です。温度帯によって細かく等級が分かれており、品質保持のために厳格な温度管理が求められます。
| 冷蔵倉庫の分類 | 概要(保管温度帯の目安) |
| C3級 | ー2℃超~+10℃以下のもの |
| C2級 | ー10℃を超え、ー2℃以下のもの |
| C1級 | ー20℃を超え、ー10℃以下のもの |
| F1級 | ー30℃を超え、ー20℃以下のもの |
| F2級 | ー40℃を超え、ー30℃以下のもの |
| F3級 | ー50℃を超え、ー40℃以下のもの |
| F4級 | ー50℃以下のもの |
3.水面倉庫業
水面倉庫業は、その名の通り「水面」を保管場所とする倉庫業です。主に原木(丸太)などの木材を水面に浮かべて保管します。
木材を水面に浮かべることで、乾燥による「ひび割れ」を防いだり、虫食いの被害を抑えたりする効果があります。また、重量のある木材を水上で移動させることで、陸上よりも効率的に搬出入ができるというメリットもあります。

物流倉庫における業務内容
この章では、物流倉庫で行われる主要な業務プロセスについて解説します。
- 入荷・検品:商品の受け入れと品質・数量の厳重なチェック
- 保管・在庫管理:商品の品質維持と効率的なロケーション管理
- 流通加工:タグ付け・包装・セット組みなど商品価値を高める作業
- ピッキング・梱包・出荷:オーダーに合わせた迅速な出庫作業
入荷・検品:商品の受け入れと品質・数量の厳重なチェック
入荷
あらかじめ設定されたスケジュールに基づき、到着したトラックを適切なバース(荷降ろし場)へ誘導し、荷解きや荷降ろしを行います。
この入荷業務において問題となっているのがトラックの荷待ち問題です。改正物流効率化法の倉庫事業者の判断基準においても、『トラック予約受付システム』などを活用し、荷待ち時間を削減するよう明記されています。
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検品
届いた現物が発注データや納品書の内容と一致しているか、また輸送中に破損や汚れが生じていないかを厳重に確認します。
保管・在庫管理:商品の品質維持と効率的なロケーション管理
商品は検品後、特性に合わせた場所(ロケーション)へ収められます。単に置くのではなく、品質を維持しながら「いつでも迅速に出荷できる状態」を保つことが目的です。
正確な在庫管理は、欠品による機会損失と過剰在庫のコスト増を同時に防ぐ、荷主にとっての生命線といえます。
流通加工:タグ付け・包装・セット組みなど商品価値を高める作業
流通加工は、倉庫内で行われる「商材に付加価値をつける」作業です。メーカーから出荷されたままの状態ではなく、販売先や消費者のニーズに合わせた最終仕上げを行います。
具体的には、値札(タグ)付け、プロモーション用のラベル貼り、複数の商品を組み合わせるセット組み、あるいはギフト用のラッピングなどが含まれます。
これらの作業を倉庫内で行うことで、小売店での作業負担を軽減し、リードタイムの短縮に貢献します。
ピッキング・梱包・出荷:オーダーに合わせた迅速な出庫作業
出荷指示(オーダー)に基づき、必要な商品を必要な数だけ棚から取り出すのが「ピッキング」です。
ピッキングされた商品は、輸送中に壊れないよう緩衝材とともに「梱包」され、最終的な送り状を貼り付けて「出荷」を待ちます。
トラックへの積み込み直前には、再度送り先や個数に間違いがないか「出荷検品」を行い、正確な配送を実現します。
物流倉庫業の課題
この章では、多くの物流倉庫が直面している以下の3つの深刻な課題について解説します。
- 深刻な「人手不足」と熟練スタッフへの「業務の属人化」
- アナログ管理からの脱却と「物流DX・自動化」の遅れ
- EC拡大に伴う「小口配送・多頻度化」への対応と業務負荷の増大
深刻な「人手不足」と熟練スタッフへの「業務の属人化」
労働力不足が深刻化するなか、特定のベテランに頼る「属人化」が大きなリスクとなっています。
実際に、筆者の勤めた現場は検品作業が属人化していました。担当者が不在の際、代わりの者が対応することに。普段通りに検品が回らず、そこがボトルネックとなってすべての業務に悪影響を及ぼしてしまいました。結果、担当者が不在となるたびに、出荷遅延や労働時間の増加が発生していました。
アナログ管理からの脱却と「物流DX・自動化」の遅れ
「物流DX」という言葉が浸透しつつある昨今ですが、実際の現場では依然として紙の伝票やホワイトボード、手書きの台帳といったアナログな管理が根強く残っています。
こうしたアナログ運用の最大の問題は、現場で起きていることが「データとして残らない」点にあります。入出荷の実績やトラックの待機時間といった情報が可視化されなければ、ボトルネックの特定も改善効果の検証もできません。結果として、改善の打ち手は担当者の経験と勘に頼らざるを得ず、組織的な物流改善が進みにくい構造が生まれてしまいます。
EC拡大に伴う「小口配送・多頻度化」への対応と業務負荷の増大
消費者の購買行動が大きく変化し、EC(電子商取引)市場は拡大しています。物販系分野の市場規模は、2021年には13.2兆円という巨大な数字に達しました。比例して、宅配便の取扱件数も2016年からのわずか5年間で23.1%という驚異的な伸びを見せています。
この変化が倉庫現場にもたらしたのは、作業の複雑化です。加えて、消費者の期待するリードタイム(納品時間)は年々短縮されており、現場の業務負荷は限界に達しています。
物流が抱える課題についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
【2026年版】物流が抱える課題とは?15の課題や行政の取り組み、改善策について詳しく解説
物流は「経…
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物流倉庫業が抱える課題への対策
この章では、現場の状況を変えるための3つの主要な対策を解説します。
- WMS(倉庫管理システム)や物流ロボット導入による「省人化・デジタル化」
- 業務プロセスの標準化・マニュアル化による「脱・属人化」
- 3PLや外部倉庫の活用による「リソース不足の解消」
WMS(倉庫管理システム)や物流ロボット導入による「省人化・デジタル化」
WMS(倉庫管理システム)の導入により、在庫をリアルタイムに可視化し、ハンディ検品で誤出荷を防止します。
また、搬送ロボット(AGV/AMR)を活用して作業者の歩行時間を削減し、少人数でも回せる現場を構築するのは人手不足に有効な対策です。
業務プロセスの標準化・マニュアル化による「脱・属人化」
標準化とは、誰が担当しても同じ品質を得られるよう、作業手順を統一することです。
マニュアルが整備され、業務が標準化されれば、急な欠員にも対応しやすくなるだけでなく、現場の改善点が見えやすくなるというメリットもあります。
「人のスキル」に依存せず「仕組み」で回る体制を構築することが、持続可能な倉庫運営の鍵となります。
3PLや外部倉庫の活用による「リソース不足の解消」
物流のプロである3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)へ業務を委託することで、自社投資を抑えつつ高度な物流網を利用できます。
リソースを柔軟に調整でき、荷主はより戦略的な業務に注力可能になります。
3PLについては、以下の記事で詳しく解説しています。
3PLとは?3PL企業の選び方やメリットを紹介
「3PL企業と…
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まとめ
本記事では、倉庫業の定義や倉庫業法の基礎知識から、普通倉庫業・冷蔵倉庫業・水面倉庫業といった種類と特徴、そして入荷から出荷までの業務プロセスを解説しました。さらに、人手不足や属人化、アナログ管理の遅れ、EC拡大による業務負荷増大といった課題と、WMS・ロボット活用や業務標準化、3PL活用などの対策もご紹介しました。倉庫業の改善は、まず現場の実態をデータで可視化することから始まります。本記事が、貴社の物流改善の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
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