更新日 2026.08.10

傭車(ようしゃ)とは?メリット・デメリットや、管理・運用を成功させるポイントを解説

傭車(ようしゃ)とは?メリット・デメリットや、管理・運用を成功させるポイントを解説

傭車(ようしゃ)とは、運送会社が、自社の車両では対応できない案件を外部で調達することです。本記事では、傭車のメリット・デメリット、運用を成功させるポイントについて、物流DXパートナーのHacobuが解説します。

なお本記事では傭車を効率的に行うシステムについて、記事の最後に解説します。傭車管理にお悩みの方は、まず以下リンクから傭車を効率的に行うシステムに関する資料をダウンロードしてご覧ください。

目次

傭車とは

傭車とは

傭車は、「賃金をもらって労力を提供する」という意味の「傭」と「車」を組み合わせた造語で、トラック運送業界で日常的に用いられている用語です。運送会社が自社車両で賄えない案件を、外部で調達することを意味します。また、配送車両そのものを傭車と呼ぶこともあります。

傭車と下請けの違い

傭車と下請けの違いは、依頼する業務の範囲にあります。傭車は、運送会社が自社車両だけでは対応できない輸送を、別の運送会社の車両やドライバーに依頼することを指します。一方、下請けは輸送に限らず、元請け事業者が受けた業務の一部を別の事業者へ委託する取引関係全般を意味します。なお、傭車を依頼する場合は、貨物利用運送事業の登録または許可が必要です。

正式には「利用運送」のこと

傭車は正式には、「利用運送」という事業形態に分類されます。傭車を外部に依頼する場合、貨物利用運送事業の登録または許可が必要です。

貨物利用運送事業を未登録または未許可のまま傭車した場合は、運送業に関する「事業計画変更認可または登録違反」に該当し、違法と判断されます。事業停止や登録・許可の取り消しなど、厳しい行政処分の対象になる可能性があるため、十分に注意しましょう。

※参考:貨物利用運送事業法 | e-Gov 法令検索

物流の2024年問題による傭車の影響

物流の2024年問題により、運送会社は人手不足や規制強化の影響で、自社車両だけでは配送案件を捌ききれない状況に直面しています。このため、傭車の利用が増加しているという声をお聞きします。その結果、荷主にとっては取引先の運送会社が直接業務を担うわけではなく、実際に荷物を運ぶのは、その下請け事業者という構造が発生しています。

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「車両が見つからない」という声も

一方で、協力会社側でもドライバーの労務管理が難しく、「協力会社へ配送依頼をしようとしても、なかなか車両が見つからない」という声も多くなってきたように感じます。

傭車の活用場面

傭車は、繁忙期のスポット車両調達、長距離・特殊車両の確保、自社ドライバー不在時のバックアップで活用されます。以下では、それぞれの場面で傭車を用いる目的と実務上の注意点を解説します。

繁忙期(年末・期末・引越シーズン)のスポット車両調達

繁忙期の傭車は、一時的に増える輸送量に対応し、納品遅延や積み残しを防ぐために有効です。年末や期末、引越シーズンは荷動きが集中し、自社車両だけでは通常の運行計画を維持できない場合があります。こうした場面では、必要な日程や区間に限って外部の車両を手配することで、過剰な車両保有を避けながら配送能力を補えます。ただし、直前の手配は車両確保が難しくなるため、繁忙期の見込み物量を早めに共有し、依頼先や優先順位を事前に決めておくことが重要です。

長距離・帰り便調整/特殊車両(冷凍・大型)の確保

長距離輸送や特殊車両が必要な案件では、自社だけで対応するよりも、条件に合う傭車先を活用した方が効率的な場合があります。たとえば、遠方への納品後に帰り便を組みにくい場合や、冷凍車・大型車など保有台数が限られる車両が必要な場合、自社車両を無理に割り当てると空車回送や運行負荷が増える可能性があります。傭車を活用すれば、地域や車両条件に応じた輸送体制を組みやすくなりますが、温度管理や積載条件、納品時間などの要件は事前に明確化しておく必要があります。

自社ドライバー不在時(病欠・休日)のバックアップ

自社ドライバー不在時の傭車は、予定していた運行を止めずに納品責任を果たすためのバックアップ手段です。病欠や休日取得に加え、改善基準告示で定められた拘束時間や休息期間を守る必要があるため、自社の人員だけでは急な欠員や連続運行に対応しにくい場面があります。こうした場合、協力会社の車両やドライバーを手配できれば、法令遵守と配送継続を両立しやすくなります。ただし、緊急時の連絡フローや代車手配の優先順位、トラブル時の責任分界はあらかじめ決めておくことが重要です。

運送会社が傭車を用いるメリット

運送会社が傭車を用いることで得られるメリットは、3つあります。

コスト削減になる

年間を通して、自社の車両の過不足を調整しながら傭車を活用することで、コストを削減できます。物量は年間を通して変動し、景気や季節の影響を受けやすいためです。繁忙期に合わせて体制を整えると、閑散期には余剰な人員や車両が発生し、コストが増加してしまいます。

傭車は、車両の購入費や維持費、さらに人件費や自動車税も不要です。繁忙期に自社の車両が不足した場合は、状況に応じて傭車し、コストを削減しましょう。

柔軟な対応ができる

傭車を用いることで、緊急時や予期しない事態にも柔軟に対応できます。繁忙期だけではなく、以下のようなケースで活用できます。

・ドライバーや車両が足りなくなる事態

・事故やドライバーの病気・ケガなどによる急な欠員

上記のような場合、自社で無理に対応するのではなく、傭車を用いることで、人員確保や労務管理の負担を軽減できます。

対応力が強化できる

傭車を用いることで、自社の対応力が強化できます。たとえば、冷蔵品や液体物、医薬品、化学物質など、特殊性の高い荷物でも輸送できるようになります。通常、ダンボールに入っている荷物であれば、特殊な車両やスタッフは不要です。しかし、特殊な要件がある場合には、資格を持つスタッフや専門の車両が自社にないと対応が難しくなります。

自社だけでは対応できない輸配送がある場合は、対応可能なところに依頼しましょう。

運送会社が傭車を用いるデメリット

運送会社が傭車を用いるデメリットは、主に3つあります。

自社の信用・評価に悪影響を与えるリスクがある

運送会社が傭車を用いる際には、自社の信用や評価に悪影響を与えるリスクがあります。傭車先には、自社の配送ルールや注意点の共有、教育などが十分に行われていないためです。

傭車先のドライバーが自社の方針と異なる対応をすることで、顧客からの信用や評価に悪影響を及ぼす可能性があります。悪い評判は広まりやすいため、十分な注意が必要です。

運行管理が難しい

傭車の車両は、自社の車両と比較すると、運行状況の把握や管理が難しくなる傾向があります。自社の車両は、デジタルタコグラフや動態管理システムを用いることで運行管理が容易ですが、傭車先の車両ではリアルタイムでの状況把握が難しく、運行管理が困難になることがあります。

そのため、事故や渋滞などの予期しない事態が発生した場合、対応に時間がかかるリスクがあります。

傭車先の運行管理を効率化できるシステムもある

傭車先の車両はリアルタイムの状況把握が難しいとお伝えしましたが、効率化できるシステムも存在します。詳細は本記事の末に解説しますが、詳細を知りたい方は以下のリンクより資料をダウンロードいただけます。

配車担当の業務が煩雑

自社車両の場合、車両手配のプロセスは当然ながら社内コミュニケーションや自社システム内で完結します。一方で、他社に傭車を用いる場合、配車担当は電話で空き車両を探し、FAXで配送依頼書を送るなど、業務が煩雑になります。

配車担当の業務を効率化できるシステムもある

傭車は配車担当の業務が煩雑になるとお伝えしましたが、効率化できるシステムも存在します。詳細は本記事の末に解説しますが、詳細を知りたい方は以下のリンクより資料をダウンロードいただけます。

運送会社が傭車を引き受けるメリット

運送会社が傭車の仕事を請け負うメリットは、主に3つあります。

売上が安定する

傭車の依頼を引き受けることで、その分が売上につながります。安定した売上を確保したい場合は、積極的に傭車の依頼を請けることが有効です。また、自社のドライバーや車両に余裕がある閑散期に傭車の依頼を引き受ければ、稼働していない車両を減らし、保有するリソースを最大限に活用できるようになります。

協力関係を築ける

傭車の依頼を確実にこなし、信頼を得られれば協力関係を築けます。これにより、今後案件を追加してもらえたり、自社の繁忙期に逆に傭車を依頼できたりすることが期待できます。また契約先と関係が深まることで、自社では知りえないさまざまな情報を手に入れることも可能です。

自社の可能性を試せる

今まで自社で取り扱いのなかった荷物にチャレンジすることで、自社の可能性を試すことができるのも、運送会社が傭車の依頼を引き受けるメリットです。

今まで自社で取り扱いのなかった荷物のような「未経験の仕事」を、荷主から直接受注するのは難易度が高いものです。一方で、荷主から受注した元請け事業者からの依頼である傭車は、荷主から直接受注することに比べると、受注難易度が低い傾向にあります。そのため、傭車の仕事を通じ、未経験の仕事にチャレンジしやすくなります。

これにより、実績を積むことができるため、幅広いニーズに対応できる基盤を構築し、新たな収益源を確保できるでしょう。

運送会社が傭車を引き受けるデメリット

運送会社が傭車の仕事を請け負うメリットがある半面、デメリットも生じます。

低運賃なことが多い

低運賃なことが多い点は、運送会社が傭車の依頼を引き受けるデメリットといえます。傭車の運賃は、利用運送手数料が引かれたものです。傭車先がさらに傭車を依頼し、一次下請け、二次下請け(孫請け)と二重・三重の構造になった場合は、より低運賃になる傾向があります。

下請け構造は変化していくか

このような多重下請け構造により、実運送会社が適切な運賃を収受できないという事態は、貨物自動車運送事業法の改正により、徐々に無くなっていくと期待されています。今後の下請け構造の変化について、LOGI-BIZとHacobuが解説した資料は以下からダウンロードいただけます。

傭車の手配・運用を成功させるポイント

傭車の管理・運用を成功させるためには、押さえておくべきポイントがあります。

適切な契約を結ぶ

傭車の運用を成功させるためには、適切な契約を結ぶことが大切です。下請代金支払遅延等防止法では、下請法の規制対象となる運送事業者間の取引において、書面での契約が義務付けられています。契約書を作成する際には、お互いの業務範囲を明確にし、トラブルが起きた場合に適切な対応ができるようにしましょう。

※参考:下請代金支払遅延等防止法 | e-Gov 法令検索

また、段階を経て、責任と契約書の規定を増やす方法も有効です。法令上求められる最低限の契約や、責任の少ない荷物に関する業務委託から結び、徐々に契約規定や責任を足していく方法です。

教育・研修を実施する

傭車の運用を成功させるためには、教育・研修を実施することも重要です。傭車で自社の信用に影響するというデメリットは、事前の教育・研修の実施でカバーできます。お互いに連携して、知識を共有することが大切です。ただし、教育や研修を受ける時間は人材の出費となるため、それに見合う報酬が必要となります。

システムを導入して連携する

傭車の運用を成功させるためには、システムを導入して連携する方法もおすすめです。元請け事業者と下請け事業者の間で発生する課題は、共通のシステムを使って管理することで解決できます。同じシステムで管理して連携すれば、配送管理が行き届かないことによるトラブルを回避できるでしょう。

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傭車をシステムで効率化するなら、物流DXツールMOVO(ムーボ)

自社、傭車先が共通のシステムを使い、双方の業務を効率化するなら、物流DXツール MOVOの2つのサービスがおすすめです。

動態管理サービス MOVO Fleet(ムーボ・フリート)

MOVO Fleetは、車両のシガーソケットなどに小型端末を設置することで、リアルタイムで位置情報を把握できるシステムです。端末を運送会社に渡して車両に設置してもらうだけで、傭車が今どこを走っているかを確認できます。

また、「改善基準告示」対応サポート機能を備えており、各ドライバーの拘束時間や運転時間の経過および残り時間をダッシュボード上で確認でき、複雑な要件を遵守するためのサポートが可能です。傭車先が法令を遵守した運行をできているかを確認するのに効果的です。

配車受発注・管理サービス MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)

MOVO Vistaは、傭車元と傭車先が配送依頼における受発注をクラウド上で行うシステムです。従来、受発注をFAXで行う場合、書類の作成や送付、請求処理に多くの時間を費やしますが、MOVO Vista上で受発注を行うことでその事務作業の時間を削減できます。

また元請け事業者においては、作成が義務化された実運送体制管理簿を1クリックで作成することも可能です。傭車先がさらに傭車を用いているかどうかを把握する上で効果的です。

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よくある質問

傭車と庸車・用車では、どの表記が正しいですか?

正しい表記は「傭車」です。「賃金をもらって労力を提供する」という意味の「傭」と「車」を組み合わせた造語で、トラック運送業界で使われています。「庸車」「用車」と書かれることもありますが、当て字や誤記です。契約書や配送依頼書などの書面では「傭車」、または正式な事業形態である「利用運送」を用いるのが適切です。

傭車を依頼するには、登録や許可が必要ですか?

傭車を外部に依頼する場合は、貨物利用運送事業の登録または許可が必要です。未登録・未許可のまま傭車を行うと「事業計画変更認可または登録違反」に該当し、事業停止や登録・許可の取り消しといった行政処分の対象となる可能性があります。自社が傭車を用いる予定がある場合は、事前に登録・許可の有無を確認しておきましょう。

傭車の運賃はどのように決めればよいですか?

傭車の運賃は、距離・車種・荷物の条件・繁忙度などを踏まえ、書面で合意して決めることが基本です。傭車の運賃は利用運送手数料が差し引かれた金額になるため、多重下請け構造になるほど実運送会社の受け取る運賃は下がる傾向があります。国土交通省が示す標準的な運賃や燃料費の変動を踏まえ、運賃・料金の内訳や改定条件を契約書に明記しておくと、価格交渉のトラブルを防ぎやすくなります。

傭車先で事故やトラブルが起きた場合、責任は誰が負いますか?

傭車先で事故やトラブルが発生した場合の責任範囲は、元請けと傭車先の契約内容によって決まります。荷主に対しては元請け事業者が運送責任を負うのが一般的であるため、事故時の連絡フロー、貨物保険の付保状況、賠償の分担を事前に取り決めておくことが重要です。下請法の規制対象となる取引では書面契約が義務付けられているため、業務範囲と責任分界を契約書で明確にしておきましょう。

傭車先の車両が今どこを走っているか、リアルタイムで把握できますか?

傭車先の車両でも、動態管理システムを使えばリアルタイムで位置情報を把握できます。自社車両と異なりデジタルタコグラフなどが導入されていないケースもありますが、たとえば動態管理サービス MOVO Fleet は、シガーソケットなどに小型端末を設置するだけで位置情報を確認できます。端末を傭車先に渡して設置してもらえば、到着遅れの予兆把握や荷主への状況共有がしやすくなります。

傭車先が改善基準告示を守れているか確認する方法はありますか?

傭車先の拘束時間や運転時間は、ダッシュボードで可視化できるシステムを使うと確認しやすくなります。MOVO Fleetには「改善基準告示」対応サポート機能があり、ドライバーごとの拘束時間・運転時間の経過と残り時間を確認できます。傭車先が法令を遵守した運行をできているかを、元請けの立場でも把握しやすくなります。

電話やFAXでの傭車手配をやめて、業務を効率化できますか?

配送依頼の受発注をクラウド化すれば、電話・FAX中心の傭車手配を効率化できます。配車受発注・管理サービス MOVO Vista は、傭車元と傭車先が配送依頼の受発注をクラウド上で行えるサービスです。書類の作成・送付や請求処理にかかっていた事務作業の時間を削減でき、配車担当者の業務負荷を軽減できます。

傭車を使う場合も、実運送体制管理簿は作成する必要がありますか?

元請け事業者は、実運送体制管理簿の作成が義務化されています。傭車先がさらに傭車を用いている場合は、下請けの階層構造まで把握して記録する必要があります。MOVO Vistaでは受発注データをもとに実運送体制管理簿を1クリックで作成でき、多重下請けの実態把握と管理簿作成の負担を同時に軽減できます。

繁忙期に傭車の車両が見つからないときは、どうすればよいですか?

繁忙期に車両を確保するには、早めの物量共有と依頼先の複数確保が有効です。直前の依頼では車両を押さえにくいため、見込み物量を協力会社へ事前に共有し、依頼の優先順位を決めておきましょう。あわせて、日常的に傭車の依頼・受注を通じて協力関係を築いておくと、繁忙期にも車両を確保しやすくなります。受発注や運行状況を共通のシステムで管理しておけば、依頼可能な協力会社の状況を素早く確認できます。

まとめ

傭車は、運送会社が自社の車両では対応できない案件を外部で調達することです。傭車の運用を成功させるためには、適切な契約を結んだり、教育・研修を実施したりすることが大切です。

また、システムを導入して連携する方法もおすすめです。まずは以下から資料をダウンロードして、情報収集をしてみてはいかがでしょうか。

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著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuが運営し、物流の基礎知識や法律を分かりやすく解説するメディア「ハコブログ」編集長。マーケティング支援会社にて従事していた際、自身の長時間労働と妊娠中の実姉の過労死を経験。非生産的で不毛な働き方を撲滅すべく、とあるフレキシブルオフィスに転職し、ワークプレイスやハイブリッドワークがもたらす労働生産性の向上を啓蒙。一部の業種・職種で労働生産性の向上に貢献するも、物流領域においてトラックドライバーの荷待ち問題や庫内作業者の生産性向上に課題があることを痛感し、物流領域における生産性向上に貢献すべく株式会社Hacobuに参画。

クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」のマーケティングを管掌し、荷主企業や物流事業者の業務デジタル化(DX)を推進。専門知識を活かし、ロジスティクス分野の専門誌への寄稿や、様々な業界団体での講演活動にも登壇。「最新ツールの普及」と「分かりやすい情報発信」の両面から、物流業界の課題解決に現場目線で取り組んでいる。 >>プロフィールを見る

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