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執筆者:菅原 利康

【2023年の公表まとめ】物流の適正化・生産性向上に関する自主行動計画を徹底調査

経済産業省・農林水産省・国土交通省の3省は2023年12月26日、荷主企業や物流事業者に作成を要請していた、業種・分野別の「物流の適正化・生産性向上に関する自主行動計画」を公表した業界団体・企業が同日時点で103件に達したと発表しました。

株式会社Hacobuでは「運ぶを最適化する」をミッションとして掲げ、物流管理ソリューション「MOVO」と、物流DXコンサルティングサービスを提供しています。この物流管理ソリューションの一つであるMOVO Berthのようなトラック予約受付システム(バース予約システム)の導入や運用に関して、自主行動計画内で言及した団体・企業は73件、全体の71%でした。本記事ではその詳細を解説していきます。

物流の適正化・生産性向上に関する自主行動計画とは?

2023年6月2日、内閣官房より「物流革新に向けた政策パッケージ」と、経済産業省・農林水産省・国土交通省の3省より「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」が発表されました。トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」への対応として、政府として法制化も含めた規制的措置の具体化を行う予定ですが、各業界に対しても2023年末までに自主行動計画の作成・公表を求めていました。

物流革新政策パッケージや規制的措置の具体化、そのために荷主や物流事業者が取り組むべき内容についてはこちらの資料でも詳細をご理解いただけます。

自主行動計画を公表した業界団体・企業の内訳

2023年12月26日時点で公表した業界団体・企業は累計103に達しましたが、業界・分野別の内訳は以下の通りです。

自動車:2紙・紙加工業:2トラック運送業:1
自転車:1金属産業:3倉庫業:2
素形材:10化学産業:4トラックターミナル業:1
機械製造業:6建設業:1鉄道業:1
繊維:1商社:1航空運送業:1
電機・情報通信機器:3農業:7海運業:2
流通業:7食品製造業:35利用運送業:3
建材・住宅設備業:1食品卸売業:8
自主行動計画を公表した業界団体・企業の内訳

消費者の生活を支える農業・食品製造・卸・流通では合計で57団体・企業が発表しており、物流クライシスに対する荷主企業の社会的責任が見て取れます。

各団体・企業が自主行動計画で公表している内容

公表している内容は各団体・企業により異なりますが、総じて「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」で取り組むべきと記載されている事項になぞって、実施する、または努力目標とすると宣言しています。

ガイドラインの具体内容は以下の通りです。

発荷主事業者が実すすべき事項
着荷主事業者が実すすべき事項
物流事業者が実すすべき事項

荷主や物流事業者が取り組むべき内容についてはこちらの資料でも詳細をご理解いただけます。

公表や取組へのスタンス差

大方針としてガイドラインに遵守する傾向が見られる一方、公表や取組へのスタンスについては団体・企業ごとに差が見られます。

公表時期

2023年6月のガイドライン発表から、早い団体では2023年9月に自主行動計画が正式文書として公表され、2023年12月には駆け込みのように多くの団体・企業で公表がありました。業界ごとでも自主行動計画に関する感度や具体的な取組への検討、合意形成に差異が異なることがわかります。

公表の時系列

具体的な取組の詳細に言及

各団体が公表している正式文書を見ると、ガイドラインで明言されている実施が必要な事項・実施が推奨される事項に対して、「今後取り組みます」とだけ宣言している団体もいれば、業界特性に応じた取組事項へ明言した団体もいます。

個社としての公表

22の企業が2023年に業界団体とは別に個社として自主行動計画を公表しました。各業界の中でも物流クライシスを回避することへの社会的責任を強く受け止めていると言えるでしょう。

自主行動計画を公表した団体・企業例

早期に公表した団体例

一般社団法人自転車協会や一般社団法人日本即席食品工業協会は他団体に先んじて2023年9月に自主行動計画を公表しました。荷待ち、荷役作業等にかかる時間について各種取組を通じて平均として計2時間以内を目指すだけでなく、作業等にかかる時間が2時間以内を達成した、あるいは既に2時間以内となっている場合でも更なる時間短縮に努めると公表しました。

業界特性に応じた取組事項へ明言した団体例

オール日本スーパーマーケット協会、一般社団法人全国スーパーマーケット協会、一般社団法人日本スーパーマーケット協会の3協会が共同で公表した文書では、「業界特性に応じた取組事項」として「納品期限1/2ルール」の完全実施や「EDI の推進」を掲げています。このように単純にガイドラインに記載の文言を取組方針として公表するだけでなく、各自の業界において何ができるかを考え、具体的な取組として開示している団体もいます。

業界団体ではなく個社として取組を公表した企業例

JFE スチール株式会社や株式会社 J-オイルミルズは業界団体としてだけでなく、個社としても自主行動計画を公表しています。JFE スチール株式会社はDX(荷待ち・荷役作業時間把握ツール)を活用し積みから卸しまでの一貫で荷待ち・荷役作業時間を把握する運用を開始すると詳細な施策を公表しています。このように個社で公表した企業は、自主行動計画を公表した業界団体の中でも特に取組をリードしていくでしょう。

自主行動計画を公表した団体・企業に求められる今後の対応

各団体・企業の公表文書を見る限り、自主行動計画の公表はあくまで政府の方針に遵守している宣言に留まっていると言えるでしょう。しかし重要なことは方針を公表するだけでなく、具体的な取組を団体・企業内で合意形成し、導入・運用・定着することで、課題を解決することです。

成果を出すだけでなく、それを社会に発信していくことも重要になるでしょう。統合報告書に社会的責任(CSR)を公表する企業も増えてきています。物流クライシスに対する社会的責任として自主行動計画による成果を同報告書に明記すべき未来はきっと近いものでしょう。成果とは応じて定量的に説明する必要があり、そのためのモニタリング体制は責務と言えます。

トラック予約受付システム(バース予約システム)への言及と導入検討

政府のガイドラインにおいて、実施が必要な事項として「荷待ち時間・荷役作業等に係る時間の把握」「荷待ち・荷役作業等時間の2時間以内ルール/1時間以内努力目標」や、実施することが推奨される事項として「予約受付システムの導入」は読んで字の如く筆頭に明記されており、取り組むべき重要事項と言えるでしょう。

トラック予約受付システムへの言及

自主行動計画の中で実際にトラック予約受付システム(バース予約システム)について言及したのは103団体・企業のうち73件(71%)に及びました。荷主側の団体・企業に絞ると、全92団体・企業のうち69件(75%)に及び、多くの荷主が導入を少なからず検討しているでしょう。

トラック予約受付システムへの言及

トラック予約受付システムの導入に関する明示

多くの団体・企業で言及している一方、「一定の効果が見られる場合は検討する」などその有用性を判断してから導入を検討する団体・企業も多いです。

事実としてトラック予約受付システムを契約し、システムを実装するだけで効果が出るものではありません。なぜなら導入拠点の各所作業者のオペレーションやフローの変更はもちろん、予約を行う外部の運送会社やドライバーの協力が得られないと定着しない構造になっているからです。綿密な導入計画や運用定着を経て一定の効果が得られるシステムであるため、曖昧な表現での公表にならざるを得ないのでしょう。

また業界団体として共同でトラック予約受付システムの導入検討を公表しても、実際の費用捻出は個社ごとになります。各社の事情(予算・時期・対象拠点など)に応じて個別判断となるため、明確な表現は難しいと言えるでしょう。

トラック予約受付システムを導入する上で重要なポイント

自主行動計画において多くの団体・企業でトラック予約受付システムへの言及があることから、物流領域全体で見れば今後トラック予約受付システムの導入はますます加速していくでしょう。その中で個社がトラック予約受付システムを導入検討する上で、重要なポイントを2点解説します。

長時間の荷待ちが発生していない企業・拠点でも導入が必要

長時間の荷待ちが発生している企業・拠点が、荷待ち時間を削減する上で導入すべきなのは明白です。長時間の荷待ちが発生していない企業・拠点は導入する必要がないということではありません。前述の通り、政府のガイドラインにおいて「荷待ち時間・荷役作業等に係る時間の把握」は実施が必要な事項です。現状の運用として紙の帳簿で受付記録をしているだけでは精緻なデータ取得が難しいため、適切な把握のために導入検討すべきでしょう。

価格や機能はもちろん、支援体制や実績も含めて比較する

前述の通り、トラック予約受付システムは外部の運送会社やドライバーの協力が得られないと定着しない構造です。しかし「導入支援が手厚い」システムや運送会社やドライバーのような外部関係者の「利用実績が多い」システムを選べば、このような導入障壁は下げることができます。外部関係者への周知にサポートがあったり、そもそも外部関係者がすでに利用したことのあるシステムであれば導入における悩みポイントは1つなくなるでしょう。

トラック予約受付システムを導入するならMOVO Berth

トラック予約受付システムのMOVO Berth(ムーボ・バース)は、予約受付機能だけでなくバースにおける荷役効率を高めるための豊富な機能が備わっています。MOVO Berthの導入により平均63.3分の荷待ち時間削減に貢献しており、政府のガイドラインに記載のある「荷待ち時間・荷役作業等に係る時間の把握」「荷待ち・荷役作業等時間の2時間以内ルール/1時間以内努力目標」を実現するのに最適なシステムです。

豊富な機能に加えて手厚い導入支援で運用定着まで伴走、また4年連続シェアNo.1 ※2、ドライバーの2人に1人 ※3 は利用実績があり、トラック予約システムを導入する上で最適と言えるでしょう。

自主行動計画を公表した個社のMOVO Berth導入事例

自主行動計画を個社で公表した株式会社J-オイルミルズの静岡事業所では、MOVO Berthを活用いただいております。元々30〜60分の荷待ちが発生していましたが、MOVO Berth導入後はほぼゼロになりました。詳細はこちらの記事をご覧ください。

https://hacobu.jp/case-study/2995/

※1 : 2023年2月 自社調べ

※2 : 出典:「デロイト トーマツ ミック経済研究所『スマートロジスティクス・ソリューション市場の実態と展望【2023年度版】』https://mic-r.co.jp/mr/02960/ バース管理システム市場の売上高および拠点数におけるシェア」

※3 : 利⽤者が「MOVO Berth」を利⽤する際に登録するドライバー電話番号のID数と、国⼟交通省「物流⽣産性向上に資する幹線輸送の効率化⽅策の⼿引き」より2015年の従事者数76.7万⼈を基に試算(https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001415371.pdf)

著者プロフィール / 菅原 利康

株式会社Hacobuのマーケティング担当

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