更新日 2025.12.15

【改善事例あり】検品作業の効率化を実現する4つの方法とメリットを徹底解説

【改善事例あり】検品作業の効率化を実現する4つの方法とメリットを徹底解説

「検品に時間がかかり、他の業務を圧迫している」

「検品作業を根本から効率化する方法が知りたい」

そのようにお考えの物流担当者も多いのではないでしょうか。

検品作業は、入出荷業務の中でも特にミスが許されない重要なポジションです。そのため、作業に時間がかかり、倉庫業務のボトルネックになってしまう傾向にあります。しかし、それぞれに合う正しい方法を知り的確に対処すれば、効率化を図ることが可能です。

本記事では、物流現場で18年の経験を持つ筆者が、検品作業を効率化する具体的な方法をわかりやすく解説します。さらに、効率化によって得られるメリットや、実際に改善へ成功した企業事例も紹介します。

なお、「どこから手をつければいいかわからない」「専門家に相談したい」という方には、「Hacobu Strategy」がおすすめです。物流改善のプロが、データを元に貴社の課題解決をサポートします。

目次

検品作業の概要と種類

まず、検品作業の基本的な情報と、その主な種類について解説します。検品作業は、大きく以下の2つに分類されます。

  • 入荷検品:入荷時の状態チェックと数量確認
  • 出荷検品:出荷時の状態チェックや誤出荷の防止

それぞれ詳しく見ていきましょう。

検品作業は倉庫業務の中でも重要性が高い工程

検品作業とは、物流工程において「入荷した商品」や「出荷する商品」に間違いがないかを確認する作業です。具体的には、品番、数量、品質(破損・汚れなど)をチェックします。

検品は、在庫の精度を保ち、誤出荷を防ぐ品質管理の肝であり、顧客満足度に直結する重要な工程です。

①入荷検品:入荷時の状態チェックと数量確認

入荷検品の目的は、入荷した商品が「明細の内容(品番、数量、品質)」で納品されているかを確認することです。この作業が不正確だと、在庫データと実際の在庫数にズレ(在庫差異)が生じ、その後のピッキングや出荷ミスにつながる原因となります。

主な確認項目は、入荷明細と現物の照合(品番、数量、破損・汚れの有無、ロット番号、消費期限など)です。

②出荷検品:出荷時の状態チェックや誤出荷の防止

出荷検品の目的は、ピッキングなどにより出荷準備された商品が「出荷指示書(ピッキングリスト)通りの内容(品番、数量)」であり、正しい宛先に出荷されるかを確認することです。

これは顧客の手元に届く直前の最終チェックであり、誤出荷を防ぐための最も重要な防波堤となります。

主な確認項目は、出荷指示書と現物(ピッキング後の商品)の照合(品番、数量、商品の状態)、納品書や同梱物の確認です。

なお、検品に限らず出荷業務全般の効率化について知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

【倉庫管理者必見】出荷業務の効率化マニュアル|改善の手順や方法、成功事例を紹介

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次の章では、検品作業でよくある課題をご紹介します。 貴社にも該当する項目があるかもしれませんので、ぜひチェックしてみてください。

検品作業でよくある5つの課題

検品作業は重要である反面、多くの倉庫で課題を抱えがちな工程でもあります。ここでは、現場でよく聞かれる5つの代表的な課題を見ていきましょう。

  • 検品ミスなど「ヒューマンエラー」がなくならない
  • 作業者によるスキル差で「品質のばらつき」がある
  • ダブルチェックにより「人件費」が負担になっている
  • 「人材不足」により検品担当者の確保・育成が困難
  • 検品作業が止まると「他の工程にも悪影響」を与える

検品ミスなど「ヒューマンエラー」がなくならない

検品作業で最も多い課題はヒューマンエラーです。 具体的なミス例としては、以下が挙げられます。

  • 数量の見間違い
  • 出荷先の確認不備
  • 品番の思い込みによるチェック漏れ

目視や紙のリストでの照合は、作業者の集中力や疲労度に依存するため、ミスを完全になくすことが難しいのが現状です。

ヒューマンエラーが原因でよく発生する誤出荷については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

誤出荷とは?発生原因や生じる影響、物流倉庫の業務改善策を解説

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作業者によるスキル差で「品質のばらつき」がある

ベテラン作業員は早くて正確な一方、新人や経験の浅い作業員は時間がかかる上にミスが多くなってしまいます。これは検品作業が「属人化」している状態です。

この原因は、作業ルールや手順が標準化されておらず、個人の経験や勘に頼っている点にあります。その結果、品質が安定せず、特定の作業員が休むと現場の生産性が著しく低下するリスクを抱えることになるのです。

実際に、筆者がいた現場も1人の検品担当者に依存していました。そのため、その担当者が休むと、普段は積み込みをしている作業員が代わりに入りましたが、手探りで作業するため検品がまったく追いつかず、現場が回らない事態に陥っていたのです。このように、属人化によって生産性に大きなムラが生じていました。

ダブルチェックにより「人件費」が負担になっている

ダブルチェックとは、1人が検品したものを別の人が再度確認する体制を指します。ヒューマンエラーを防ぐことが目的です。

これはミス防止策として一般的ですが、単純に作業時間と人員が2倍になるため、人件費が大幅に増大します。さらに、コストをかけても確認者も人間である以上、ミスをゼロにすることは難しいという課題も残ります。

「人材不足」により検品担当者の確保・育成が困難

厚生労働省「人口動態統計」によれば、2004年に約111万人だった出生数は、2024年には約69万人まで減少しました。 その一方で、矢野経済研究所「物流15業種総市場規模推移・予測」は、2024年度の物流市場規模が前年度比5.1%増となり、2025年以降も増え続けると予測しています。 つまり、労働人口が減少していくにもかかわらず、物流のニーズは増え続けているのが現状です。

ただでさえ人材確保が難しい状況に加え、検品作業は正確性と集中力が求められるため、新人作業員がすぐに高品質な作業を行うのは困難です。

採用コストや教育コストがかかる一方で離職率も高く、安定した人員の確保と育成が大きな課題となっています。

検品作業が止まると「他の工程にも悪影響」を与える

検品は、入荷から在庫計上、ピッキングから出荷へと続く、倉庫業務全体の「ハブ」にあたる工程です。

そのため、検品作業が遅延すると、入荷した商品を棚入れできず後続の全工程に遅れが生じます

筆者が勤めた倉庫でも、入荷した商品の「検品待ち」がよく発生していました。そこに数が合わないトラブルや入荷が重なったりすると、検品者の焦りによるミスが発生することも多々あり、結果として倉庫全体の生産性低下や出荷遅延につながっていたのです。

その原因は、作業プロセスだけでなく、そもそも作業環境に問題があるケースも少なくありません。 たとえば、急なトラックの入場で「先に対応してあげて」となると、荷繰りなど余計な業務が発生します。 これにより、本来の検品業務の流れが悪くなり、結果として効率が低下するのです。

そうならないためには、業務がスムーズに進行する仕組みづくりが欠かせません。 そこでおすすめなのが、トラック受付予約サービス「MOVO Berthです。 車両の到着順が事前に分かるため、慌てることなく事前に段取りを組むことができます。 結果として、検品作業だけでなく、倉庫業務全体の効率化につながるでしょう。

MOVO Berthが少しでも気になった方は、以下をクリックして詳しい資料をダウンロードしてください。

次の章では、「検品作業を効率化する具体的な方法を知りたい」という声にお答えします。

検品作業の効率化を実現する4つの方法

それでは、検品作業を効率化するための具体的な方法を見ていきましょう。主な方法は以下の4つです。

  • 作業マニュアルを整備し手順を標準化する
  • 5Sを徹底し作業環境を整える
  • 検品システムを導入し、省人化を図る
  • アウトソーシング(3PL)でプロに任せる

作業マニュアルを整備し手順を標準化する

「誰がやっても同じ品質」で作業できるよう、検品の手順、確認項目、ミスの際の対処法などを具体的に明文化することが重要です。

目的は、属人化を解消し、作業品質を標準化することにあります。 たとえば、「リストの上から順に数えると漏れを防げる」や「数が合わなければ後回しにする」など、これまで培ったノウハウから最も効率の良い手順をマニュアル化しておきましょう。

具体例として、筆者が勤めた倉庫では検品漏れによる誤出荷が繰り返し発生し、大きな問題となっていました。調査の結果、原因は「ピッキングが終わったものからランダムに検品していたこと」だったのです。そこで、「必ずリストの上から順に検品する」という手順を標準化。結果、検品漏れによる誤出荷はなくなりました。

コツとして、写真や図解を用いて新人でもひと目で分かるようにし、「やってはいけないこと」なども示すと効果的です。

5Sを徹底し作業環境を整える

5Sは、製造業や物流業、サービス業などの現場で重視される、改善活動の基本を示す用語です。これは「整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)」の頭文字をとったもので、職場環境の維持・改善のために用いられます。 作業環境を整えることは、安全性の向上に加え、作業効率化にも大きく寄与します

5Sの徹底で得られる効果

作業動線が確保され、探し物が減ることで作業効率が上がり、ミスの防止にもつながります。

検品作業における5Sの具体例

  • 整理:検品スペースに不要な在庫や私物を置かない。
  • 整頓:カッターやペン、ハンディターミナルなど必要な道具の置き場所を定める。

5S活動については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

今こそ物流現場に5S活動の徹底を。具体的な効果や実践イメージ、成功に向けた6つのステップ、秘訣を解説

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検品システムを導入し、省人化を図る

目視や紙のリストによるアナログな検品から脱却する方法として、以下のようなシステムの導入が挙げられます。

名称特徴
バーコードやQRコードハンディターミナルで読み取ることで瞬時にデータ照合ができ、ヒューマンエラーを防止します。最も一般的で導入しやすい方法です。
RFIDタグ複数の商品を一括で読み取れるため、検品作業時間を短縮できます。
WMS(倉庫管理システム)との連携検品実績がリアルタイムでWMSに反映され、在庫データの精度が飛躍的に向上します。
AI画像検査カメラで商品を撮影し、AIが自動で数量や破損をチェックする技術です。検品作業の完全な省人化・自動化に寄与します。

システムの導入についてご興味をお持ちの方は、以下の記事を参考にしてみてください。

物流の自動化とは?必要性やメリット、課題、活用できるシステムを解説

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アウトソーシング(3PL)でプロに任せる

検品作業を含む物流業務全体を、専門知識を持つ外部の3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業者に委託する方法もあります。

アウトソーシング(3PL)の「メリット」

物流のプロのノウハウを活用できるほか、自社のリソースをコア業務(販売など)に集中させることが可能です。また、システム投資などの負担がない点も利点となります。

アウトソーシング(3PL)の「デメリット」

自社に検品ノウハウが蓄積されないことや、委託コストが発生する点がデメリットとして挙げられます。

物流アウトソーシングについては以下の記事で詳しく解説しています。

物流アウトソーシングとは?外注のメリットやデメリット、選び方、成功事例を解説

「輸送量が…

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次章では、「これらの方法でどんな効果が得られる?」という疑問にお答えします。

検品作業の効率化がもたらす4つのメリット

検品作業の効率化は、企業経営に以下のような好影響をもたらします。

  • コスト削減:人件費、返品コスト削減を実現できる
  • 顧客満足度の向上:誤出荷やダメージ品の発送を事前に防げる
  • 生産の向上:ミスが減り倉庫業務全体がスムーズになる
  • 脱属人化:標準化で誰でも高品質な検品ができるようになる

コスト削減:人件費、返品コスト削減を実現できる

検品の効率化により、人員の削減はもちろん、利益を生まない余計なコストを削減できます。

人件費の削減

システム化や標準化によって作業時間が短縮され、ダブルチェックなども廃止できるため、残業代や人員配置コストを削減できます。

返品・再配送コストの削減

誤出荷がなくなることで、顧客からの返品対応や、正しい商品を送り直すための送料・梱包費といった余計なコストがなくなります。

顧客満足度の向上:誤出荷やダメージ品の発送を事前に防げる

注文通りの正しい商品が、きれいな状態で、スピーディーに届くようになります。 現代において、それは「当たり前」のレベルであり、ひとつでも欠ければ顧客からの評価は低下しかねません。

この「当たり前」の品質を提供し続けることが、顧客の信頼獲得やリピート購入につながり、企業のブランドイメージ向上に貢献します。

生産性の向上:ミスが減り倉庫業務全体がスムーズになる

検品ミスによる再ピッキング、在庫の探し直しがなくなります。 また、検品工程がボトルネックでなくなりスムーズになることで、後続の梱包・出荷作業も円滑に進むようになります。 結果として、倉庫全体のリードタイム短縮や生産性向上につながるでしょう。

倉庫業務全体の効率化の方法のひとつが、トラック予約受付システムの導入です。 意外かもしれませんが、トラックの入場を管理すれば、庫内作業もスムーズになります。 たとえば、急な入場で「いそいで準備して」と言われ、今の業務を止めてまで荷揃えをするといった事態を防止できます。

脱属人化:標準化で誰でも高品質な検品ができるようになる

マニュアル整備やシステムの導入により、作業品質がベテランの経験や勘といった個人のスキルに依存しなくなります。

新人作業員でも短期間で戦力化できるため、教育コストの削減にもつながるでしょう。 安定した作業品質を維持できるため、急な欠員が出ても対応しやすくなり、柔軟な人員配置が可能になります

次の章では、「実際に検品作業の効率化に成功した企業事例を見てみたい!」という声にお答えします。

検品作業の改善に成功した企業事例2選

ここでは、実際に検品作業を効率化した企業の事例を2つご紹介します。

  • RFIDの導入で1日の検品時間2時間を5分に短縮
  • 画像認識システムで入荷検品でのミスを完全になくし、作業時間を40%削減

RFIDの導入で1日の検品時間2時間を5分に短縮

さまざまな製品を製造するある企業では、倉庫で管理する製造に使用する原材料の検品作業に課題がありました。従来は目視やバーコードで確認しており、検品作業だけで多くの時間を費やしていました。

そこで、非接触で複数のタグを一括読み取りできるRFIDシステムを導入。これにより、検品作業の時間が1日あたり2時間からわずか5分程度へと短縮されました。作業負荷の軽減と、より正確な品質管理の両立を実現した事例です。

画像認識システムで入荷検品でのミスを完全になくし、作業時間を40%削減

ある電子部品・半導体の専門商社では、メーカーごとに異なるラベルフォーマットの目視検品が課題でした。この作業はスタッフの負担が大きく、ミスが発生しやすい状況でした。

そこで、製品ラベルを識別しデータ照合できる画像認識システムを導入。その結果、入荷検品でのミスを完全になくすことに成功しました。さらに、作業時間も40%削減され、作業スタッフの負担を大幅に軽減できたのです。

なお、検品作業に限らず物流DXを導入し物流改善を成功させた大手企業の事例を以下の資料でご紹介しています。ご興味のある方は以下のリンクをクリックし資料をダウンロードしてください。

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まとめ|検品作業の効率化は企業課題の改善につながる!

検品作業は、倉庫の入出荷業務において非常に重要なポジションです。ヒューマンエラーによるミスや、人による品質のバラつきが多いと、スムーズな倉庫業務のさまたげになってしまいます。

しかし、自社の課題に合う最適な対処法を講じることで、効率化を図ることができます。

  • 作業マニュアルを整備し手順を標準化する
  • 5Sを徹底し作業環境を整える
  • 検品システムを導入し、省人化を図る
  • アウトソーシング(3PL)でプロに任せる

効率化が成功すれば、生産性向上やコスト削減を実現します。さらに、顧客満足度の向上や属人化の解消も実現可能です。

とはいえ、物流担当者の中には「自社に最適な対策法がわからない」「さまざまな課題がある中、検品作業の改善を最優先してもいいのか?」という方もいらっしゃるでしょう。

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著者プロフィール / 井上 ダイスケ
物流業界歴18年以上。港湾の職業訓練校を経て、港湾荷役の最前線でRORO船の荷役などに従事。その後、14年以上にわたり倉庫業務も経験し、安全衛生担当者や労働組合執行役員として、現場作業だけにとどまらない多角的な視点から物流現場を深く理解した。この豊富な実務経験と、フォークリフトやクレーン運転士など多数の国家資格に裏打ちされた専門知識を土台に、現場目線でのリアルな記事執筆を得意とする。また、AmazonセラーとしてのEC運営経験から、荷主側の視点に立ったライティングにも対応可能。自動車関連の執筆実績も多数。 >>プロフィールを見る

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