公開日 2025.03.07
更新日 2025.03.15

Data-Driven Logistics®が切り拓く物流の未来。Hacobu Innovation Day 2025イベントリポート

2025年、物流は大きな転換点を迎えています。データを活用した企業の物流改革が着実に成果を上げ、生産性向上から異業種との共同輸配送まで、様々な革新が実現しつつあります。

そんな中、2025年1月24日、東京ポートシティ竹芝 ポートホールにて開催された「Hacobu Innovation Day 2025」には、約250名の物流リーダーが集結しました。”変革を志すリーダーが集い、学び、未来の物流を描く場”として、先進企業のDX事例の共有から、最新ソリューションの体験まで、プログラムが展開されました。

第1部「最新DX事例と交流会」では、キリンビバレッジやJ-オイルミルズなど、物流リーダーが集結しました。経営目線での物流投資判断や、データドリブン型の共同輸配送について、熱い議論が交わされました。

第2部では、 ユーザー限定の「コミュニティ総会」を開催しました。YKK APやスギ薬局、花王、タキヒヨーなど、物流改革に取り組む企業から事例やノウハウが共有され、参加者同士の活発な情報交換も行われました。

本リポートでは、冒頭に宣言された「物流ビッグデータ革命の幕開け」と、セッション「MOVOの進化と真価」を中心に、イベントの模様をお伝えします。

物流ビッグデータ革命の幕開け

冒頭、Hacobu 代表取締役CEOの佐々木 太郎より、Data-Driven Logistics®の現状と展望について講演がありました。

Hacobu 代表取締役CEO 佐々木 太郎

「現場の情報がアナログにやりとりされており、デジタルデータになっていないことを、私たちは課題として指摘してきました。そしてこの課題を解決するために、物流情報プラットフォームの必要性を訴えてきたのです」と振り返ります。

現在、Hacobuが提供するクラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」は3万弱の事業所(※1)に利用され、累計で70万人のトラックドライバーが登録しています(※2)。さらに、月間230万のトランザクション数を扱っています。この物流ビッグデータの蓄積により、「企業間のデータ共有」という新たなステージに進もうとしているのです。

2024年にHacobuは、物流ビッグデータラボを創設し、共同輸配送支援サービス「MOVO X-Data」、生産・販売・在庫管理サービス「MOVO PSI」などを新たにリリースしています。佐々木は「2035年には物流情報がデジタルにつながっている世界が当たり前になる」という未来を示しました。

物流DXを加速させる、「MOVO」の進化と真価

Hacobu 執行役員 プロダクト企画本部長 VP of Productの岡 幸四郎は、”MOVOの進化と真価”について講演しました。

Hacobu 執行役員 プロダクト企画本部長 VP of Product 岡 幸四郎

データ活用がもたらす物流改革

「これまでの延長線では対応できない環境変化に直面しており、物流DXは必須となっています」と岡は話しました。各企業が個別に対応を進めると、負担が大きいだけでなく、社会全体で「車輪の再発明」が多発する非効率が生じてしまいます。

そこでHacobuは、環境・市場の変化へのキャッチアップを一手に担い、MOVOユーザーが自然と業務効率化や法対応などの変化に対応できる環境づくりを目指しています。

特に注目すべきは、現代の日本におけるCLO(Chief Logistics Officer)に求められる役割の広さです。物流戦略の策定・実行、部門横断的なサプライチェーンの最適化、他企業との連携による物流変革など、CLOに求められる役割は多岐にわたります。これらの実現には、判断・意思決定に必要なデータの活用が必須となっています。

「MOVOは、データの分析・示唆出しのハードルを下げ、Data-Driven Logistics®を民主化していきます」と岡は述べ、以下の具体的な機能進化を紹介しました。

主要機能の進化と新機能

トラック予約受付サービス「MOVO Berth(ムーボ・バース)」

本イベントで「拠点横断アナリティクス」機能が先行紹介されました。従来のダッシュボードより分析の切り口が豊富になり、詳細なデータまで掘り下げた課題特定が可能になります。複数拠点で同じKPIをもとにした議論ができる環境も整いました。

さらに、カメラ連携による入退場・接車の自動記録についても紹介されました。記録が自動化され、さらに誘導や呼出の効率化も実現します。

動態管理サービス 「MOVO Fleet(ムーボ・フリート)」

様々な現場のニーズに応えるため、GPSデバイスの多様化を進めています。現場の状況やニーズに合わせた運用を可能にし、多様な利用シーンに対応できるようになります。

改善基準告示のサポート機能も強化され、荷主企業や元請け事業者が国からドライバーの労働時間について指摘を受ける可能性にも対応しました。ドライバーの拘束時間や稼働時間を取得し、基準を超えた車両があればダイヤの見直しを荷主企業側から提案できます。

配車受発注・管理サービス「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」

スマートフォンによる配送実績記録機能を実装し、到着や出発の時刻、荷待ち時間などの記録が可能になりました。貨物自動車運送事業法(トラック法)改正への対応として、実運送体制管理簿を簡単に出力できる機能も迅速にリリースしています。

さらに、開発中の新機能もイベント限定で紹介され、参加者に向けてその概要が説明されました。

変革を志すリーダーたちの、物流DX実践事例

物流リーダーが集結、テクノロジーで挑む物流改革

キリンビバレッジ、J-オイルミルズ、GROUNDの3社が登壇。2025年に注目すべき物流テクノロジーとして、自動化・ロボティクス、サステナビリティ、AI、自動運転、物流情報プラットフォームの5つが紹介されました。

左より、キリンビバレッジ 執行役員 SCM部長 掛林 正人氏、J-オイルミルズ 執行役員 SCM担当 畑谷 一美氏、GROUND 取締役副社長 吉野 宏樹氏

キリン×日本製紙、異業種で挑むデータ駆動型の物流改革

Hacobuが2024年8月に発表した「物流ビッグデータラボ」の進捗について話されました。

異業種間の共同輸配送に向け、MOVOのデータを活用することで、候補ルートを見つけるまでのスピードが向上し、新たな可能性が広がっていることが紹介されました。

左より、キリンビバレッジ SCM部 企画担当 主務 森本 貴一氏、日本製紙 営業企画本部 物流部 庄司 健一郎氏

https://hacobu.jp/award/007/

YKK APのMOVO Berth導入事例

30拠点への展開プロジェクトについて、現場の要望への対応や標準化の取り組みが共有されました。MOVO Berth導入により、2時間を超える荷待ちがほぼゼロになりました。

YKK AP ロジスティクス部 物流DX推進室 米 健太郎氏

https://hacobu.jp/case-study/14066/

花王の完全自動化倉庫の取り組み

豊橋工場の完全自動化倉庫の事例が紹介されました。

MOVO Berthと、車両ナンバー認識カメラやゲートシステム、倉庫制御システム(WCS)などを連携させ、高度な倉庫運営を実現しています。

花王 SCM部門 ロジスティクスセンター ロジスティクス改革部 マネジャー(物流DX担当) 田坂 晃一氏

https://hacobu.jp/case-study/13971/

スギ薬局のドライバー働き方改革

MOVO Fleet導入により、「正確な事実」を「定量的に」捉えることができるようになりました。今後はデータを活用した積載率改善、店舗滞在時間短縮などに取り組む方針が示されました。

左より、スギ薬局 物流部 物流開発課 課長 吉本 昂司氏、同課 杉山 央氏

https://hacobu.jp/case-study/13983/

タキヒヨーの配車業務デジタル化

MOVO Vista導入により、配車業務の効率化と脱属人化を実現しました。データ活用による曜日集約チャーター便など、新たな取り組みも開始されています。

タキヒヨー 物流セクション 国内物流チーム チーフ 小川 能史氏

https://hacobu.jp/case-study/14103/

終わりに

本イベントを通じて、物流領域におけるデータ活用の重要性と、それを実現するプラットフォームとしてのMOVOの進化が示されました。特に、企業間でのデータ共有による新たな価値創造の可能性が、具体的な事例とともに明らかになりました。

物流ビッグデータ革命は、まさに始まったばかりです。今後も、データドリブンな意思決定による物流改革の取り組みに、注目が集まりそうです。

※1 MOVO 導入拠点に加えて、MOVO を利用する事業所のIDを合計した数字

※2 累計登録ドライバー数。利用者が「MOVO Berth」を利用する際に登録するドライバー電話番号の累計ID数

著者プロフィール / 栗島瞳
株式会社Hacobuの広報・PR担当。PR会社を経て、2023年12月にHacobuに入社。より多くの方に物流の現状を知っていただけるよう、日々プレスリリースや記事を書いたり、取材アレンジを行ったりと奮闘中。1児の母。

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