属人化した配車業務に不安を感じていた
Q. MOVO Vista導入の背景を教えてください
小川様:センターの配車担当者には、5つの事業部から日々出荷依頼が届きます。配車担当者は、その出荷依頼をもとに配車組みを行い運送会社に配車を手配します。しかし、そのやりとりが非常にアナログな方法で行われており、またひとりの配車担当者に依存していたため、サステナビリティの観点でも不安を感じていました。そんなときにちょうどHacobuのセミナーでMOVO Vistaの紹介を受ける機会があり、「これで解決できるかもしれない」と検討を始めました。
Q. 導入前の課題を教えてください
小川様: センター、運送会社、タキヒヨーのそれぞれに課題がありました。センターでは、FAX、電話メモ、手渡し、口頭など、バラバラな方法で出荷依頼を受けていました。配車担当者は、それらをまとめ直して、日別、行き先別、サイズ別に整理し、電話とFAXを駆使して運送会社に配車依頼を行っていました。配車完了の返事がない場合は何度も電話をかけ直すなど、配車担当者の精神力に依存する状態でした。

アナログな方法で行われる出荷依頼・配車手配
運送会社では、不定期に届くFAXと電話による依頼で配車ミスや漏れが発生していました。
両社とも属人化が進み過ぎている状況でした。
タキヒヨーでは定期的に配送実態を確認し、運送会社の所長と取引状況の確認や交渉を行っていますが、配車実態が不透明でデータも存在しないブラックボックス化した状態であり、話し合いをするための材料がない状態でした。
Q. どのように導入を進めましたか、その際工夫したことはありますか
小川様:Hacobuの担当者と業務フローを整理しながら検討を進め、MOVO Vistaでやりたいことが実現できる感触は掴めました。しかし、そのためには5つの事業部から届く出荷依頼のフォーマットを揃える必要があります。今回のMOVO Vista導入をきっかけに、社内の業務フローや出荷依頼のフォーマットの見直しを実施しました。
MOVO Vista導入にあたっては、社内から「デジタル化したからといって車両が取りやすくなるわけではない」となかなか理解を得ることができませんでした。しかし、このままでは車両が確保できなくなり、肝心の売上もたたなくなると丁寧に説得し、理解を得ました。
Q. 導入後の成果を教えてください
小川様:事業部からの出荷依頼のフォーマットが統一され、センターの業務が効率化しました。MOVO Vistaを通じて、運送会社への配車依頼から完了までがシームレスに行われるようになりました。これらにより、担当者の配車業務の7割、1日2時間相当が削減されました。
運送会社では配車ミスや漏れがなくなり、担当者の業務負担も大幅に軽減されました。運送会社の担当者からは、電話の呼び出し音やFAXの電子音が減ったおかげでよく眠れるようになりましたとの声もいただきました。
タキヒヨーとしても、センター・運送会社双方の配車担当者の属人化が解消され、持続可能な体制を構築できたことが何よりよかったことです。また、運送会社の所長との定期的な打ち合わせでは、配車状況を共有して共通認識をもちながら建設的な議論ができるようになりました。これまでは、関東方面の便が取りづらくなっているとの話をしても、実際にどの程度取りづらくなっているのか、課題の深さが共有できませんでした。今は、当社の要求に対してどれくらい手配できているのかが可視化されたので、双方にとってよい解決策を一緒に検討することができるようになりました。
データを獲得したことで、新たな可能性が見えてきた
Q. 今後の展望について教えてください
小川様: MOVO Vista導入により、これまで存在しなかったチャーター便のデジタル情報を得ることができました。これらを分析し3つの効率化施策に取り組んで行く予定です。

1つ目は他社混載チャーター便で、中部エリアの競合他社との共同配送です。商品では競合する他社と、配送では協業する取り組みです。2つ目は自社混載チャーター便で、複数の配送を1台に集約し、中継地で各納品先向けのトラックに積み替えを行う方法です。3つ目は配送スケジュールを最適化することで、同じ得意先への複数部門からの配送を集約する取り組みです。
これまでは事業部からの出荷依頼に応えることを優先した配車手配をしていました。そのため、チャーター便トラックの積載率をあまり意識していませんでした。今後は、デジタル化により積載状況を把握できるため、自社だけでなく、運送会社、そして中部エリアの競合他社とも協力して、サステナブルな輸送を実現していきたいと考えています。
