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IHIグループの改革方針を現場で体現 配車業務の“当たり前”を覆し工数8割を削減

会社名
株式会社IHIインフラシステム
導入サービス
MOVO Vista
導入拠点
3拠点(茨城県常陸太田市、茨城県行方市、大阪府堺市)
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株式会社IHIインフラシステムは、橋梁や水門などの製作工事・保全工事を担うIHIグループの中核企業です。高度な設計・製作・施工技術を強みに、安全で持続可能な社会基盤の構築に貢献しています。

同社 橋梁技術本部 デジタル改革部にはICT推進グループと機材グループがあります。機材グループでは橋梁工事で使用する機材の管理・保管・搬送業務の効率化を目指して、2023年から段階的にデジタル化を進めています。その一環として、配車受発注・管理サービス「MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)」を導入しました。

今回、導入の背景から成果、今後の展望について、橋梁技術本部 デジタル改革部 松橋 弘幸部長、機材グループ 調査役 團 紳一郎様、郡司 諒様、伊東 康廣様にお話を伺いました。

※本記事の掲載内容は全て取材時(2025年4月)現在の情報に基づいています

導入前の課題
  • 配車手配のやり取りがFAX・電話中心で、工数がかかっていた
  • 車番情報連絡の遅れにより、ヤードでのドライバー待機が発生していた
  • 月末の請求書突合作業に手間がかかっていた
導入後の成果
  • 配車手配にかかる工数が約8割削減し属人化も改善した
  • 月末の請求業務が効率化した
  • 車両情報の前倒し連絡が定着し、ヤードでの待機がなくなった
  • 配車状況の可視化により、センター間の調整が効率化した
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“当たり前”を疑う意識から始まった配車業務DX

-配車業務のデジタル化の取り組みについて教えてください

松橋様:IHIインフラシステムが所属するIHIの社会基盤グループでは、「当たり前を覆す」をテーマに変革に取り組んでおり、デジタル技術の活用は重点施策のひとつです。私たちデジタル改革部もこの方針のもと、2023年から3カ年計画で機材グループの業務改革を進めています。1年目はデジタル化と業務効率化、2年目は業務フローの最適化、そして3年目の今年はその集大成として、最適化した業務フローの定着を進めていきます。

橋梁技術本部 デジタル改革部 松橋 弘幸部長

團様:業務改革の対象として、アナログな配車手配が課題にあがり、検討を始めました。普段から何となく非効率さを感じていたものの見過ごされてきた業務です。業務改革プロジェクトを進める中でメンバーに当たり前を疑う意識が生まれ、検討に動き出しました。

FAX・電話での対応に工数がかかっていた。電話による確認作業が常態化

-MOVO Vista導入前の課題を教えてください

郡司様:当社には3つの機材センターがあり、それぞれから工事現場に必要な機材を搬送し、使用後は回収して保管します。3センターは異なる機材を扱うため、同じ工事現場に複数のセンターから車両を手配します。機材は特殊車両で搬送します。そのため、通常は特定の運送会社7社に依頼しています。1-2週間前に工事部から搬送依頼が来て、積み付けを考慮し車両を手配する流れです。

運送会社への依頼や、車番情報のやり取りはすべてFAXと電話で対応していました。FAXでは画質が粗く文字が読みづらいため、電話での確認も発生し、工数がかかっていました。
車両ごとに積み込む機材を指定し手配しますが、運送会社から車番情報の連絡が来るのが前日の夕方から当日だったため、連絡が来る前に車両が到着し、車両をヤードで待たせることも度々発生していました。運送会社への連絡もすぐに担当者がつかまらず、時間を取られていました。

月末の請求書突合では、紙の手配書を工事ごと・運送会社ごとに仕分けて突き合わせを行います。請求内容が違う場合は電話での確認が発生し、レポート作成も含め、月に2-4時間を費やしていました。

團様:これらの業務がひとりの担当者に依存していたことも課題でした。担当者に聞かないと、運送会社や現場からの変更依頼にも対応できない状況でした。

クラウドサービスの採用により、“成果を早く出す”を実現

-MOVO Vistaを選択した理由を教えてください

團様:当初は自社でアプリケーションを開発しようと考えていました。3カ年計画の2年目には成果を出したいと思っていましたが、自社アプリだと1-2年かかるだろうと想定し半ば諦めていました。そんな時に、協力運送会社からHacobuの紹介があり、MOVO Vistaの説明を聞きました。当社が必要とする機能が揃っている上、クラウドサービスのため導入までのスピードも速い。協力運送会社の中にも好意的に捉える企業があったことも後押しになりました。

最初は運送会社1社で1カ月間テスト運用を行い、操作性やフローを確認しました。その結果を踏まえ、他の6社にも一斉に展開しました。デジタルに慣れない運送会社もいて不安もありましたが、現場からの抵抗は一切なく、スムーズに導入でき早期の成果につながりました。

橋梁技術本部 デジタル改革部 機材グループ 調査役 團 紳一郎様

FAXゼロ、コメント欄活用で運送会社との情報共有もスムーズに

-MOVO Vistaの活用状況を教えてください

郡司様:運送会社への配車依頼や車番情報の授受はすべてMOVO Vistaに置き換え、FAXはゼロになりました。急ぎの場合は電話を使うことはありますが、通常はMOVO Vistaのコメント欄を使って運送会社とやりとりしています。以前は、電話をしても担当者がつかまらずストレスを感じることもありましたが、コミュニケーションがスムーズになりました。いまでは、朝出勤してはじめにMOVO Vistaを確認するのが日課になっています。

配車業務で8割、月末請求業務で7割以上の工数を削減

―導入の成果を教えてください

郡司様:FAXと電話がMOVO Vistaに置き換わったことで、手配業務の工数は約8割削減されました。車番情報も前日にはMOVO Vistaで確認できるようになりました。そのため、ヤードでドライバーさんを待たせることもなくなり、機材の積み込み作業もスムーズに行えるようになりました。おそらく、MOVO Vistaで手軽に連絡できるので、作業の先送りがなくなったのではないかと思います。

月末の請求書突合やレポート作成作業の工数も削減しました。工事ごと・運送会社ごとの集計は、MOVO VistaからCSVにダウンロードし、Excelのフォーマットに貼り付けするだけなので、瞬時にできるようになりました。以前は2-4時間かかっていた月末の作業が30分以内に短縮されました。

橋梁技術本部 デジタル改革部 機材グループ 郡司 諒様

伊東様:3センターをまたいで配車状況が見えるようになり、工事現場での車両集中を避ける調整が可能になりました。工事部からは「とりあえず8時」で依頼がきます。それを機材センター間で電話で調整していましたが、今はMOVO Vistaで各センターでの手配状況を確認できますし、MOVO Vistaのコメント欄を使って、どの車両の作業を優先すべきかも共有できます。

團様:属人化も改善しました。積み付けなど一部はまだ属人的ですが、デジタル技術の活用で完全に解消する予定です。また一部の運送会社では、MOVO Vistaのデータを請求書の作成に活用しているようで、運送会社の業務効率化にも寄与できているのではないかと感じています。

次なるDXが進行中。1人1人の意識の変化が大きな変革を生む

-今後の展望を教えてください

團様:MOVO Vistaでの目的はおおむね達成できました。今後は工事現場との情報共有を効率化するため、現場でもMOVO Vistaを直接確認できる仕組みを検討しています。

松橋様:積み付け図の自動生成や、画像から機材個数を自動でカウントするシステムの導入などを進めています。

橋梁技術本部の目標に「感受性を高めよう」「まずはやってみよう」があります。新しい情報への感度を高める。こうしたらもっとよくなるのではという意識を持つ。そして、まずはやってみる。これらの積み重ねでデジタル化への意識を定着させてきました。

IHI 社会基盤グループが掲げる「当たり前を覆す」には続きがあります。「大きな変革は、小さな1人1人の本気から」、1人1人の意識の変化が大きな変革に繋がると思っています。

伊東様:これまでは「決まったことを淡々とやる」自分が、今は「どうすれば良くなるか」を考えて仕事をするようになりました。やることが増え忙しくはなりましたが、前向きに取り組めています。

橋梁技術本部 デジタル改革部 機材グループ 伊東 康廣様

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