更新日 2026.09.25

運行管理のデジタル化で実現できることとは?課題と導入事例もあわせて解説

運行管理のデジタル化で実現できることとは?課題と導入事例もあわせて解説

運行管理の現場では、点呼や運転日報、労働時間の管理を紙やExcelで行っているために、確認や集計に時間がかかっているケースが少なくありません。2024年4月からはトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用され、限られた人員で法令を遵守しながら安全な輸送を維持することが求められています。こうした課題を解決する手段として注目されているのが、運行管理のデジタル化です。本記事では、運行管理のデジタル化で実現できることや、現場が抱える課題、デジタル化によって成果をあげた企業事例をあわせて解説します。

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運行管理業務におけるデジタル機器の活用シーン

デジタル機器は、乗務前後の確認から運行中の安全管理まで幅広く活用できます。アルコールチェッカーや血圧計は、酒気帯びの有無や健康状態の確認に役立ちます。デジタルタコグラフは速度や運転時間、休憩時間などを記録し、ドライブレコーダーは映像を安全指導や事故原因の検証に利用できます。また、IT点呼・遠隔点呼に対応した機器を使えば、離れた営業所にいるドライバーの本人確認や測定結果の確認、点呼記録の保存も可能です。

運行管理におけるデジタル化の重要性

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運行管理を取り巻く現状と課題

運行管理の現場では、安全意識の低下による事故リスク、運行管理者・ドライバーの人手不足、長時間労働という構造課題が相互に影響しています。限られた人員で安全と法令遵守を両立するには、属人的な管理から脱却し、運行実態を正確に把握できる体制が必要です。

安全意識の低下による事故の誘発

安全意識の低下は、重大事故を誘発しかねない重要な課題です。ドライバーは運行中に一人となる時間が長く、管理者が運転状況を常時確認することは困難です。そのため、慣れや油断から速度超過、急加速、急減速などが繰り返されても、本人や管理者が問題を認識できない場合があります。さらに、人手不足による業務の集中や長時間運転が重なると、疲労や注意力の低下を招き、事故発生のリスクを一層高めます。事故はドライバーや周囲の人の生命・身体を脅かすだけでなく、車両の損傷や輸送の中断、荷主からの信用低下など、事業継続にも大きな影響を及ぼします。安全を個人の経験や注意力だけに委ねず、運転状況を継続的に把握し、客観的な記録に基づいて指導する仕組みを整えることが重要です。

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長時間労働・時間外労働

長時間労働・時間外労働への対応は、ドライバーの健康と安全を守り、コンプライアンスを徹底するうえで欠かせません。2024年4月から自動車運転業務には時間外労働の上限規制が適用され、臨時的な特別の事情がある場合でも年960時間が上限となりました。改正された改善基準告示では、1日の拘束時間を原則13時間以内とし、休息期間は継続11時間以上を基本として9時間を下回らないことなどが定められています。しかし、荷待ちや荷役、渋滞などを正確に把握できなければ、実際の拘束時間を過少に記録し、知らないうちに基準を超えるおそれがあります。違反は行政上の指導や企業の信用低下につながるだけでなく、疲労の蓄積による健康障害や事故のリスクも高めます。運転時間だけでなく、荷待ち時間や付帯作業を含む一連の業務を記録し、無理のある運行計画を早期に見直すことが重要です。

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運行管理のデジタル化により実現できること

運行管理をデジタル化すると、記録を電子化するだけでなく、運行管理業務そのものを変えられます。危険運転の検知と安全指導、配送ルートや燃費の改善、日報作成の効率化が可能になり、データに基づく継続的な業務改善につながります。

危険運転を検知し安全運転の指導が可能

車両運行管理システムを活用すると、管理者が同乗していなくても危険運転を検知し、客観的なデータに基づく安全指導が可能になります。デジタルタコグラフや通信型ドライブレコーダーなどから、速度超過、急加速、急減速、急ハンドルといった挙動を記録し、発生した場所や時刻、頻度を確認できるためです。例えば、特定の交差点で急ブレーキが繰り返されている場合、該当する映像や走行履歴をドライバーと確認し、減速を始める位置や安全確認の方法を具体的に指導できます。また、運転傾向をドライバー別・営業所別に比較すれば、指導が必要な対象や共通する課題を把握しやすくなります。事故後の検証だけでなく、危険な兆候を早期に捉えて指導することで、事故の未然防止につながります。感覚的な注意に終始せず、定期的な振り返りと教育に記録を活用することが、安全運転を継続できる組織づくりに有効です。

配送ルートの効率化につながる

車両運行管理システムは、車両の位置や走行ルート、走行距離、停車時間などを記録し、配送ルートを効率化するための判断材料を提供します。例えば、予定したルートと実際の走行履歴を比較すれば、渋滞が発生しやすい道路、遠回りが生じている区間、滞在時間が長い配送先を把握できます。管理者は、こうした記録をもとに出発時刻や経由順、利用道路を見直し、より無理のない運行計画を作成できます。また、車両の現在地をリアルタイムに確認できるシステムであれば、渋滞や通行止めが発生した際の迂回指示や、近くを走る車両への配送変更にも活用可能です。走行距離やアイドリング時間、急加速などの傾向を可視化して改善すれば、燃料消費の抑制も期待できます。経験や勘だけでルートを決めるのではなく、実績データを蓄積して継続的に見直すことで、輸送効率と定時性の向上につながります。

日報作成の手間が省ける

車両運行管理システムを導入すると、走行データを利用して運転日報を作成できるため、ドライバーによる記入や転記の手間を省けます。GPSやデジタルタコグラフから、出発・到着時刻、走行距離、走行ルート、停車地点、休憩時間などを自動的に取得し、日報に必要な情報として整理できるためです。従来の紙の日報では、運行を終えたドライバーが記憶やメモを頼りに記入し、管理者が内容を確認して集計する必要がありました。自動作成された日報をドライバーが確認し、荷物や作業内容など必要な項目だけを補足する運用に変えれば、帰庫後の事務作業を短縮できます。手書き文字の読み間違い、記入漏れ、転記ミスの防止にも有効です。さらに、蓄積した日報データを検索・集計できれば、拘束時間や休憩時間、荷待ち時間などの把握が容易になり、運行管理者の確認業務や労務管理の効率化にもつながります。

運行管理をデジタル化し成果をあげた企業事例

本章では、秋田県を中心に農産物や食品を輸送する有限会社石田運輸商会の取り組みを、5つの観点から紹介します。同社は、従来の高額な動態管理システムの維持が難しく、長時間労働の改善に必要な運行・荷役・待機時間を把握できる環境を求めていました。そこで動態管理サービス「MOVO Fleet」を全40台に導入。車両位置や運行データを活用し、荷主への問い合わせ対応、安全指導、乗務記録の作成を効率化した結果、運行管理にかかる工数を約30%削減しています。

有限会社石田運輸商会 代表取締役 石田義光 様

秋田県を中心に事業を展開する有限会社石田運輸商会は、県内JAの集荷所を廻り、農産物(野菜・果物・米・食肉等)を集荷し、首都圏の市場やスーパーの配送センターまで輸送しています。また、県内の医療施設や老人介護施設向けの食材配送も手掛けています。
今回は代表取締役で、社内システムの管理もされている石田様にお話を伺いました。

トラック輸送の無駄を把握、長時間労働改善が狙い
以前の高額な動態管理システムの維持が課題に

Q.MOVO Fleetの導入前の課題を教えてください

以前導入していた動態管理システムが、通信回線網の廃止に伴い使用できなくなり、それに代わるシステムを探していました。以前のシステムは県のIT活用型基盤強化事業の支援を受けて導入したのですが、総額で1,300万円強と高額で、かつ専用回線が必要だったためシステム再構築は困難でした。動態管理システムを導入した理由は、長時間労働改善の取り組みのために業務の効率化を図る必要があったからです。たとえば同程度の荷量でも荷役作業時間に差がある集荷所を把握できれば、その理由を特定し、パレット化などを荷主と協議することも可能です。そのためには自車の運行状態、荷役作業時間、待機時間、付帯作業時間を知ることが不可欠でした。

全車両に導入しやすい価格と、自社開発システムとのデータ連携

Q.MOVO Fleetを選んだ理由は何でしょうか

以前のシステムの回線費用にも満たない金額で、端末も含め全車両(40台)に導入でき、車両位置情報の取得、ドライブレコーダー機能まで付いていたからです。そして、当社で使用するアナタコのデータとMOVO Fleetの日報データを組み合わせることで、自社基準の安全評価票に利用しています。他にもポイントは何点もありました。
・試用機の貸し出しがある
・取り付けが簡単
・大規模な初期費用が不要で、ランニングコストは端末レンタル料のみ
・わかりやすいUI(ユーザーインターフェース)
・サポート体制が充実している
などです。

運行の遅延把握と荷主からの問合せ対応で活躍 荷待ち時間・荷役時間等の記録にも活用

Q.現在はどのようにお使いいただいていますか

運行管理者は現在位置を知ることで、運行に遅延は無いか、遅延の要因はどこにあるのか知ることができます。荷主から配送に関する問合せがあった際に、的確に到着予定、遅延の状況を伝えられる点が好評です。リアルタイムに現場の画像を取得することで、天候状態や交通渋滞を確認し、迂回路の指示にも活用しています。
また、日報データをダウンロードし自社ツール内で加工することで、荷待時間・荷役作業時間等の記録票を作成するなど、活用の幅を広げています。

Q.導入にあたり、工夫されたポイントはありましたか

ユーザ情報や車両情報を登録する「マスタ登録」を工夫しました。特に、車両の位置情報から特定の地点の到着/出発を自動記録するための「地点マスタ」には約800地点を登録しました。荷主の積み降ろし先の他、自社の物流拠点、高速道路のパーキング、道の駅、トラックステーションなど、ドライバーが立ち寄りそうな地点を登録しています。後からの検索やデータ抽出のことを考え、名称やコードの付け方を体系的に考えると使いやすくなると思います。

運行管理の工数30%減、ストレス削減、ドライバーの意識向上に寄与

Q.MOVO Fleet導入後、どのような成果が出ているでしょうか

1点目としては、運行管理に係る工数が30%程度削減されています。先述の荷主からの問合せの工数削減に加え、MOVOから連続運転時間、休憩・休息時間、拘束時間等のデータをダウンロードし、自社ツールで乗務記録に活かしているので、その管理工数も削減されています。

2点目は、運行管理者、ドライバー双方のストレス削減です。ドライバーの休憩所を地点マスタに登録しているので、その場所に着いたことを確認し中間点呼の電話を行うことができています。運行管理者はドライバーが休憩に入ったことを見計らって電話をかけられ、ドライバーも休憩に入り寝ているところを起こされることがなくなり、双方にメリットがありました。

3点目は、ドライバーの意識向上です。スピード、連続運転時間の超過、休憩・休息時間の実績を把握し、問題があればドライバーに注意しています。ドライバーは運行状況が常に記録されていることを知り、安全運転へ取り組む姿勢に変化が見られました。

単に現在位置を知るだけのサービスではない。とことん活用したい。

Q.今後、MOVOを使って実現したいことはありますか

MOVOの2020年夏のバージョンアップで、画面のUIも見やすくなっていますし、更なる機能向上を期待しています。単に現在位置を知るだけのサービではなく、とことん活用したいと考えています。

その他の事例を知りたい方は以下からダウンロードください。

物流課題をDX化で解決するなら「Hacobu」

運行管理のデジタル化を進めるなら、Hacobuのクラウド物流管理ソリューション「MOVO」が役立ちます。中心となる動態管理サービス「MOVO Fleet」は、協力会社を含む車両の位置情報や走行ルート、速度、停留時間などを一元管理できるサービスです。危険運転の検知や日報の自動作成、稼働時間の分析にも対応し、安全運転の推進と運行管理業務の効率化を支援します。

トラック予約受付サービス「MOVO Berth」を活用すれば、物流拠点への車両の集中を分散し、荷待ち・荷役時間の把握と削減につなげられます。配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」は、配送の計画・依頼・実行・請求・分析を一気通貫で管理し、電話やFAX、Excelに依存した配車業務の標準化を支援します。

さらに、物流DXコンサルティング「Hacobu Strategy」では、MOVOに蓄積したデータをもとに、課題の特定から改善施策の策定・実行まで伴走します。個別業務のデジタル化にとどまらず、輸配送全体を横断した継続的な改善を目指せます。

まとめ

運行管理のデジタル化は、紙や口頭に依存した業務を効率化するだけでなく、安全性の向上や労働時間の適正化、人手不足への対応を進めるための重要な基盤です。車両の位置や走行状況、停留時間などを可視化すれば、危険運転への具体的な指導、配送ルートの見直し、日報作成の省力化につなげられます。さらに、蓄積したデータを荷主との協議や運行計画の改善に活用することで、業務の仕組みそのものを変革できます。まずは自社の課題を明確にし、必要な機能から段階的に導入することが大切です。

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