更新日 2026.11.05

CLO設置と取り組みに関する実態調査 ― 改正物流効率化法の本格施行から半年、CLO選任と物流改革の現在地

CLO設置と取り組みに関する実態調査 ― 改正物流効率化法の本格施行から半年、CLO選任と物流改革の現在地

Hacobuは、全国の特定荷主企業に勤務する方101名を対象に、物流統括管理者(CLO)の選任状況と物流改革の進捗に関する実態調査を実施しました。

CLOを「選任済み」または「選任予定」と回答した人は77.2%と、同一の抽出条件で実施した2026年2月調査(76.2%)と同水準でしたが、内訳では「選任済み」が30.7%から67.3%となり、CLOの設置は進んだとみられます。一方、物流改革の進捗は「法令対応」「現状把握」「戦略策定」の準備段階が計69.3%を占め、定量成果を確認できている回答者は11.9%でした。CLOの設置が進んだ今、論点は「設置」から「実行」へ移っており、計画を実行に移し、全社的な成果につなげていくことが次のテーマになりそうです。

調査背景

2026年4月に施行された改正物流効率化法により、一定規模以上の荷主企業(特定荷主)には、物流統括管理者(CLO)の選任と、荷待ち時間・荷役時間の削減や積載効率の向上に関する中長期計画の作成・提出が義務付けられました。

制度施行から約半年が経過した今、CLOの選任はどこまで進んだのか、物流改革の課題は何かを明らかにするため、本調査を実施しました。

※法律上の名称は「物流統括管理者」ですが、本調査では、企業において物流全体に経営責任を持つ役割を象徴する概念として、CLO(Chief Logistics Officer)という呼称も併用しています。

調査結果サマリー

CLO選任済みは約7割に。「選任予定」だった層の移行が進む一方、現場への浸透が課題
「選任済み」は67.3%、「選任済み・選任予定」の合計は77.2%に達しました。一方、選任状況を「分からない」と回答した人が15.8%おり、CLOの選任が社内に十分に共有されていない企業が一定数あると考えられます。

物流改革は約7割が「準備段階」。論点は「設置」から「実行」へ
法令対応・現状把握・戦略策定の段階にある回答者が計69.3%、定量成果を確認できている回答者は11.9%でした。設置が進んだ今、計画を実行に移し成果につなげていくことが次のテーマになりそうです。

次の半年の最優先領域は「法令への確実な対応」。データ基盤整備・データによる現状把握が続く
次の半年の最優先領域は「法令への確実な対応」28.7%が最多で、「データ・IT・AI基盤の整備と活用」と「データに基づいた現状把握」を合わせたデータ関連が27.7%。法令対応にとどまらず、データを起点に改革を進める姿勢がうかがえます。

調査概要

  • 調査タイトル:CLO設置と取り組みに関する実態調査
  • 調査主体:株式会社Hacobu
  • 調査期間:2026年10月2日~2026年10月16日
  • 有効回答数:101名
  • 調査手法:全国の特定荷主企業を対象に、Hacobuが保有する企業ネットワークを通じてインターネット調査を実施
  • 調査対象:従業員数1000名以上の荷主企業(物流子会社を含む)に勤務する方。回答者357名のうち、自社が「特定荷主」に該当すると回答した101名を分析対象
  • 比較対象:2026年2月調査(2026年1月27日~2月6日、有効回答数101名、同一の抽出条件。回答者は異なる)

※図表の構成比は小数点第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

調査結果

CLO選任済みは約7割に。「選任予定」だった層の移行が進む一方、現場への浸透が課題

Q. 貴社における物流統括管理者(CLO)の選任状況を教えてください。(n=101)

※2026年2月調査は同一の抽出条件で実施(n=101)。回答者は異なる

物流統括管理者(CLO)の選任状況を聞いたところ、「選任済み」が67.3%、「選任予定」が9.9%、「未選任」が6.9%、「分からない」が15.8%であった。同一の抽出条件で実施した2026年2月調査(回答者は今回と異なる)では「選任済み」30.7%、「選任予定」45.5%であり、「選任予定」から「選任済み」への移行が進んだとみられる。

「選任済み」と「選任予定」の合計は77.2%と、2月調査(76.2%)とほぼ同水準である。当時「選任予定」と回答していた層の多くが「選任済み」に移った構図である。企業には、特定荷主の届出後速やかにCLOを選任することが求められており、調査時点(2026年10月2日~16日)で「選任予定」「未選任」としている企業は、対応が続いている段階とみられる。

一方で、選任状況を「分からない」と回答した人が15.8%おり、CLOの選任が社内に十分に共有されていない企業が一定数あると考えられる。

CLOの属性は「従来の物流部門のトップ」が45.6%で最多

Q. 貴社の物流統括管理者(CLO)に最も近いものを教えてください。(n=68)

※前問でCLOを「選任済み」と回答した方

CLOを「選任済み」と回答した回答者(n=68)におけるCLOの属性は、「従来の物流部門のトップ」が45.6%で最も多く、「経営企画などの全社横断部門の役員クラス」22.1%、「主力事業のトップ」20.6%、「社長、副社長」5.9%と続いた。

物流部門出身者が中心である一方、全社横断部門や経営層が担うケースも約半数を占めており、各社の状況に応じて、様々な出自のCLOが生まれつつあることがうかがえる。

物流改革は約7割が「準備段階」。論点は「設置」から「実行」へ

Q. 貴社の物流改革全体について、現在の進捗状況として最も近いものを教えてください。(n=101)

物流改革全体の進捗状況を聞いたところ、「法令対応を中心に進めている」が26.7%で最も多く、「現状把握・データ収集」21.8%、「改革戦略・ロードマップの策定」20.8%が続いた。「まだ具体的に着手していない」は8.9%であった。

「施策を実行しているが、定量成果はまだ確認できていない」は5.0%であった。

定量成果を確認できている回答者は、「一部の拠点・テーマで」5.0%、「複数の拠点・部門で」1.0%、「全社的に」5.9%で、合計11.9%であった。

制度施行から半年、多くの特定荷主は法令対応と、現状把握・戦略策定といった改革の準備段階にあり、成果創出に向けた施策の実行はこれからであることが分かる。

荷待ち時間は56.4%が「改善」。一方、積載効率の改善は38.6%と道半ば

Q. 2026年4月以降、以下の指標について改善効果を確認できていますか。(n=101)

※右端の数値は「改善した」+「やや改善した」の合計

2026年4月以降の現場指標の変化を聞いたところ、荷待ち時間は「改善した」13.9%、「やや改善した」42.6%の合計56.4%が改善を実感していた。荷役時間は「改善した」9.9%、「やや改善した」39.6%の合計49.5%であった。

一方、積載効率は「改善した」6.9%、「やや改善した」31.7%の合計38.6%が改善を実感しているという結果となり、「変わらない」が42.6%と最も多かった。荷待ち時間は入出荷予約や時間指定など拠点ごとの運用改善で効果が表れやすい一方、積載効率は出荷ロットや納品回数など取引先を含めた見直しを要するため、改善に時間がかかっていると考えられる。

なお、いずれの指標でも「測定していない・判断できない」が14.9%~16.8%存在した。

物流コストは「上昇した」「やや上昇した」が計48.5%

Q. 2026年4月以降、貴社の物流コストはどのように変化しましたか。(n=101)

物流コストについては「上昇した」18.8%、「やや上昇した」29.7%、「変わらない」22.8%、「やや低下した」8.9%、「低下した」5.0%、「比較できない・把握していない」14.9%であった。

中長期計画は「提出済み」「提出準備中」が計48.5%

Q. 物流効率化法に基づく中長期計画の作成・提出状況を教えてください。(n=101)

物流効率化法に基づく中長期計画の状況は、「提出済み」21.8%、「内容が確定し、提出準備中」26.7%の合計48.5%が提出段階にあり、「作成中」26.7%、「未着手」5.9%、「分からない」18.8%であった。

CLOの選任と同様、計画の作成・提出という制度対応は多くの企業で進んでいる。

現状値・目標値・達成期限・具体策の4要素がそろう計画は1割未満

Q. 貴社の中長期計画では、以下の改善テーマについて、どの項目を記載していますか。(テーマごとに複数回答)(n=101)

※数値は各項目を記載している回答者の割合(%)

荷待ち時間の削減について、中長期計画に「現状値」を記載している回答者は26.7%、「目標値」31.7%、「達成期限」18.8%、「目標達成に向けた具体的な施策」31.7%で、この4要素をすべて記載している回答者は8.9%にとどまった。荷役時間の削減(7.9%)、積載効率の向上(7.9%)も同様で、3テーマすべてで4要素がそろう回答者は5.9%であった。

計画の提出は進んでいる一方、現状値や達成期限まで具体化するには至っていない計画が多い。「記載に向けて検討中」は各テーマで約2割を占めた。

計画具体化の最大の課題は「現状値を把握するためのデータが不足している」19.8%

Q. 中長期計画を具体化するうえで、最も大きな課題を教えてください。(n=101)

計画を具体化するうえで最も大きな課題は「現状値を把握するためのデータが不足している」19.8%が最多で、「自社に適した目標値を設定するのが難しい」14.9%、「目標を具体的な施策や工程に落とし込むのが難しい」13.9%が続いた。

進捗を測る起点となる現状値の把握が、計画を具体化するうえでのハードルになっていることが分かる。

次の半年の最優先領域は「法令への確実な対応」28.7%。データ関連が計27.7%で続く

Q. 次の半年で、最も注力する予定の物流改革領域を教えてください。(n=101)

次の半年で最も注力する物流改革領域を聞いたところ、「法令への確実な対応」が28.7%で最も多かった。次いで「データ・IT・AI基盤の整備と活用」14.9%、「データに基づいた物流の現状把握」12.9%とデータ関連の領域が合計27.7%を占め、「物流コストの最適化」11.9%、「荷待ち時間削減など、現場オペレーションの生産性向上」10.9%が続いた。

多くの回答者が制度対応と現状把握の段階にあるなか、次の半年の注力領域としても「法令対応」と「データ」が上位を占めた。物流改革の前提となるデータ基盤の整備を優先する回答者が多いことが分かる。

調査を終えて

制度施行から半年で、CLOの設置は進んだとみられます。「選任済み」は67.3%、「選任済み・選任予定」の合計は77.2%に達しています。一方で、選任状況を「分からない」と回答した人が15.8%おり、CLOの選任が社内に十分に共有されていない企業が一定数あると考えられます。

設置が進んだ今、論点は「実行」に移っています。物流改革の進捗は約7割が「法令対応」「現状把握」「戦略策定」の準備段階にあり、定量成果を確認できている回答者は11.9%でした。

各指標を見ると、荷待ち時間については56.4%が改善を実感しているのに対し、積載効率は38.6%という結果で、「変わらない」が42.6%で最多でした。荷待ち・荷役といった拠点での改善は進み始めた一方、積載効率の向上、すなわち輸配送そのものの効率化はまだこれからといえます。

2027年7月に予定される中長期計画の定期報告では、計画に対する進捗を示すことが求められます。それまでに、計画を実行に移し成果を積み上げられる企業と、計画の提出にとどまる企業とで差が開いていくと考えられます。

その分かれ目になるのが「データ」です。次の半年の最優先領域では、「法令への確実な対応」が最多である一方、「データ・IT・AI基盤の整備と活用」と「データに基づいた現状把握」を合わせたデータ関連が約3割を占めました。法令対応にとどまらず、データ基盤の整備とデータによる現状把握を優先する回答者が多いことが分かります。現状値を把握し進捗を測れなければ、計画の実行も成果の確認も進みません。

荷待ち時間や積載効率を拠点・部門を横断して把握できるデータ基盤が整えば、現状値と目標値に基づく計画の具体化が可能になるだけでなく、AIによる配車の最適化や、荷待ちの発生要因の分析といった、人手では難しかった改善の積み上げが現実的になります。今後のCLOは、選任と計画提出という「法対応」を越え、データとAIを起点に、積載効率など全社最適の指標で成果を出せるかが問われることになるでしょう。

データを起点とした物流改革の実行と輸配送の効率化に向けて、Hacobuは、物流DXコンサルティング「Hacobu Strategy(ハコブ・ストラテジー)」で物流DX・AXの戦略から実行を、システムインテグレーション・AI導入支援「Hacobu Solution Studio(ハコブ・ソリューションスタジオ)」でシステム連携や個社開発、データ統合・AIによる分析・可視化を、クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」シリーズで法対応、荷待ち削減、配車の最適化による積載効率の向上などを担い、CLOがデータとAIからの示唆に基づいて経営判断を下し、成果を出せる環境づくりを今後も支援していきます。

調査リポートのダウンロード

本調査の全文(調査リポートPDF)は、こちらからダウンロードいただけます。
https://hacobu.jp/form/document-wp-clo-survey-2026/

プレスリリース:https://hacobu.jp/news/21327/

※本調査データを引用される際は、情報の出典元として「株式会社Hacobu」の名前を明記してください。ウェブサイトで使用する場合は、出典元として https://hacobu.jp/news/21327/ のリンクを設置してください。

著者プロフィール / 栗島瞳
株式会社Hacobuの広報・PR担当。PR会社を経て、2023年12月にHacobuに入社。より多くの方に物流の現状を知っていただけるよう、日々プレスリリースや記事を書いたり、取材アレンジを行ったりと奮闘中。1児の母。 >>プロフィールを見る

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