配車の属人化が招くリスクと解決策
目次
はじめに
物流現場では、運行管理や運賃交渉、協力会社との調整など、輸配送に関わる多くの業務が、特定の担当者の経験と勘に委ねられています。中でも配車業務は、多くの制約を同時に満たす必要があり、その判断は過去の経緯や取引先との関係性といった“暗黙知”に頼りがちです。そのため「あの人がいないと現場が回らない」状態に陥りやすく、不安を抱える方も多いのではないでしょうか。
この属人化を放置すれば、特定の担当者への負荷集中や判断ミスによる遅延・誤配に加え、休暇や急な退職・異動のたびに現場が止まるリスクを抱え続けることになります。引き継ぎや育成も進まず、改善のノウハウも個人に留まったままでは、事業継続に直結する可能性が高くなります。
本記事では、配車を含む輸配送まわりを管理する立場の方に向けて、特定の担当者に依存しない配車業務の脱属人化について解説します。
なぜ配車業務は属人化しやすいのか
配車業務が属人化するのは、担当者の力量や努力の問題ではありません。配車という業務そのものが、“属人化しやすい構造”を抱えているからです。ここでは、その構造を生み出す代表的な要因を、一つずつ分解して解説します。
条件が多すぎて、マニュアル化しきれない
- 配車計画では、複数の集荷先・納品先、時間指定、積載制約、ドライバーの勤務条件など、多くの条件を同時に満たす必要があります。しかも、その組み合わせは毎日変わるため、起こりうるパターンをすべてマニュアルに書き起こそうとすれば、その量は膨大になり、整理しきれません。結果として、最終的な判断は担当者の経験や勘に頼らざるを得なくなります。
突発的な対応が多く、配車計画がたびたび変わる
- 配車計画は、一度組んだら終わりではありません。道路規制や天候の急変、突発的な積み増し・キャンセルに加え、車両の故障やドライバーの欠勤・拘束時間超過などでも、計画を組み直す必要があります。何を優先してどう振り替えるかは、その場の状況を踏まえた担当者の判断に委ねられがちです。
電話・FAXのやりとりで履歴が残らない
- 協力会社とのやりとりを電話・FAX中心で行なっている場合、依頼内容の変更や確認事項は、その場限りの口頭連絡や紙で伝えられます。その結果、検索・共有できる形で残らず、メモや記憶で補うしかなくなり、結果的に本人の記憶や感覚に依存しがちになります。こうして情報が人に紐づいた状態が続くほど、ますます属人化していきます。
配車業務の属人化が招くリスク
配車業務が属人化すると、その影響は担当者ひとりの問題にとどまりません。日々の業務負荷から、不在時の事業継続まで、さまざまな面でリスクが積み重なっていきます。ここでは、配車の属人化が招く代表的なリスクを解説します。
配車担当に負荷が集中する
- 配車担当者しか知らないことが多いと、その担当者に判断と連絡が集中しがちです。急な変更やトラブル対応もその人に集まるため、抱える業務量はふくらみ続けます。結果として残業が慢性化し、ミスやメンタル不調、離職につながります。
退職・異動・休暇で業務が止まる
- 配車担当が退職・異動・休暇などで不在になると、どの荷主を優先するか、協力会社へどの順で手配するか、イレギュラー時にどう判断するかといったノウハウが引き継がれず、代わりに対応できる人がいなくなります。その結果、確認や問い合わせの連絡ばかりが増えて現場は混乱し、遅延や誤配、緊急便の追加手配が発生し、輸配送コストの増加や顧客からの信頼低下につながります。
引き継ぎ・新人育成に時間がかかる
- 配車判断が言語化されていない場合、引き継ぎや新人育成は「横で見て覚える」OJT中心になりがちです。判断基準がベテランの頭の中にしかないため、覚えるまでに時間がかかり、新人はなかなか独り立ちできません。教える側も手が離せず、結局は特定の人が業務を回す状態から抜け出せなくなります。
改善が進まない
- 判断の理由や変更の履歴が残らない配車では、トラブルが起きても「なぜそうなったのか」を後から振り返れません。残るのは結果だけで、改善のヒントは担当者の記憶の中に埋もれてしまいます。振り返りができなければやり方は標準化されず、同じミスや手戻り、緊急対応が何度も繰り返されてしまいます。
【コラム】元配車係が語る”リアル”
Hacobuには、かつて物流会社で配車係を務めていたメンバーがいます。その属人性を象徴するような出来事がありました。
彼は長年この仕事を担うなかで、協力会社の担当者と現場の感覚を同じ目線で、かつ解像度高く話せる関係性を築いていました。だからこそ、彼が翌日の便の手配を頼めば、協力会社はすぐに応じ、二つ返事で車両を出してくれる。それが、いつもの光景でした。
ところが、彼が休暇をとるために別の担当者へ配車を引き継いだとたん、その当たり前が崩れます。引き継いだ担当者は業務の全貌までは把握しきれておらず、「この路線になぜこの車両が必要なのか」を協力会社に解像度高く説明できません。同じ協力会社に、同じ路線・同じ条件で依頼しても、車を手配してもらえない。電話をかけても、「いやあ、今はちょっと厳しいね」と断られてしまう。同じ依頼でも「誰が頼むか」で結果が変わってしまう。そんなことが、現場では珍しくなかったそうです。
結局、車両を確保できるかどうかは、依頼の中身ではなく「誰が頼むか」で決まっていたのです。協力会社とのやりとりの積み重ねや、「この路線なら、この車両を」と相手と同じ目線で話せる土地勘が、すべて彼ひとりに紐づいている状況でした。
配車業務の属人化を解消する3ステップ
配車の属人化は、担当者の頑張りだけでは解消できません。鍵は、「判断に必要な情報」と「判断の経緯」をデータとして残し、誰もが見られる状態をつくることです。ここでは、まず取り組みたい3つのポイントをご紹介します。
STEP1:情報を一か所に集め、可視化する
- 配送依頼、車両やドライバーの状況、変更連絡など、判断に必要な情報を一つの場所に集める
- 電話・FAXで発生したやりとりも、後から追える形で記録に残す
STEP2:判断基準を決めてチームのルールにする
- 荷主ごとの優先順位、例外時の対応方針などを言語化し、チームで共有する
- 「なぜその判断をしたのか」という理由もあわせて残す
STEP3:変更に強い運用にする(更新前提の管理)
- 配車計画は変更になる前提で、見直しの手順をあらかじめ決めておく
- 誰が対応しても同じ粒度で更新できるようマニュアルに落とす
とはいえ、これらをすべて人手だけで進めるのは簡単ではありません。情報を一か所に集めようとしても、電話・FAX・メール・紙が混在していれば転記や確認の手間がかえって増え、ルールや手順を決めても、それを記録し更新し続ける運用そのものが現場の負担になりがちです。
こうした状況を解消する手段として有効なのが、配車受発注・管理サービスの活用です。やりとりや判断の経緯がデータとして自動的に残り、関係者の誰もが同じ情報を見られる仕組みを整えることで、属人化しにくい体制を無理なく実現できます。
配車業務の属人化解消ならMOVO Vista
MOVO Vista(ムーボ・ヴィスタ)は、荷主企業・元請事業者・運送事業者の企業間をつなぎ、配車受発注の管理を支援するサービスです。電話・FAX・メールに頼っていた配車手配をクラウド上に集約し、依頼から請求までを一つの画面で完結できます。

MOVO Vistaでできること
配車情報を一元管理し、「あの人しか分からない」をなくす
- 配車依頼・承諾・変更・確定・請求の突合までを、案件ごとに一元管理します。
- 電話・FAXで受けた案件も記録できるため、システム外のやりとりも含めて履歴が残ります。

社内外の確認・問合せ工数を削減
- システム上で配車が完結でき、これまで電話やFAXで何度も行っていた連絡・確認の手間を大きく減らせます。
- 配車担当以外のメンバーも最新状況を確認できるため、社内の問い合わせ対応が減り、引き継ぎもスムーズになります。

法令対応・データ分析まで対応
- 四条書面の作成や、実運送体制管理簿の出力にも対応します。
- 依頼先との取引状況や請負階層をダッシュボードで可視化し、多重下請の管理や見直しにつなげられます。

AIが配車判断を支援
- AI貨物組支援機能が、出荷指示データからチャーター便の案件情報を自動生成します。
- AIサジェスト機能が、過去の類似案件から依頼先や運賃を提案します。

まとめ
配車業務の属人化は、担当者の能力や努力の問題ではなく、「条件が多くマニュアル化しにくい」「突発対応が多い」「電話・FAXで履歴が残らない」といった、業務そのものの構造から生まれます。そのまま放置すれば、特定の担当者への業務負荷集中や、引き継ぎ・育成の遅れ、改善の停滞といったリスクが積み重なっていきます。
こうした状態から抜け出す鍵は、判断に必要な情報と判断の経緯をデータとして残し、関係者の誰もが同じ情報を見られる状態をつくることです。ただし、それを人手だけで続けるのは簡単ではありません。だからこそ、配車受発注・管理サービスMOVO Vistaを活用し、属人化しにくいしくみを無理なく整えることが有効です。
「自分が止まれば現場が止まる」日々から、「誰でも分かる・誰でも動ける」チームへ。配車の脱属人化は、担当者を守り、現場全体の生産性とサービス品質を高める第一歩です。
クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」のマーケティングを管掌し、荷主企業や物流事業者の業務デジタル化(DX)を推進。専門知識を活かし、ロジスティクス分野の専門誌への寄稿や、様々な業界団体での講演活動にも登壇。「最新ツールの普及」と「分かりやすい情報発信」の両面から、物流業界の課題解決に現場目線で取り組んでいる。 >>プロフィールを見る
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