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物流コンサルティングの最新情報|コンサル会社選びの3つのポイントや導入事例紹介
物流領域は物流2024年問題による労働力不足や法改正を受け、テクノロジーを駆使した変革を迫られ、新たな戦略の構築が求められています。この記事では、物流コンサルティングについて、サービス内容やメリット、選び方のポイントなどの基本をご紹介します。
加えて、株式会社Hacobuが提供するサービス「Hacobu Strategy」の導入事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
物流業界(物流領域)の「2024年問題」とは|改正のポイントと影響と対策を解説
物流「2024年…
2023.05.25
物流関連2法改正・政府の中長期計画を解説。荷主・ 物流事業者は今何をするべきか。
2024年5月15日、…
2024.04.12
目次
物流コンサルティングとは
物流コンサルティングとは、企業の物流業務を詳細に分析し、現状の課題や改善点を明らかにした上で、最適な戦略やソリューションを提案することです。
物流領域全体をより良い方向へ導くため、企業の物流戦略を最適化し、業務効率の向上、競争力強化、顧客満足度の向上を実現します。
物流コンサルティング会社の業務形態
物流コンサルティング会社は、主に荷主や物流事業者向けに物流コンサルティングを行い、業務形態は大きく分けて「中立型(Bias-Free Solution Service)」と「附帯サービス型(Incidental Solution Service)」に分類されます。
附帯サービス型は、物流企業が、自社のサービスを利用いただくことを前提として、ほぼ無償もしくは安価でコンサルティングサービスを補助的に提供します。附帯サービス型はさらに「3PL(Third Party Logistics)」と「4PL(Fourth Party Logistics)」に分類されます。
3PLは、物流に関わる業務を第三者の物流事業者が代行します。一方、4PLは、自社の3PLノウハウを活かし他社3PLを統括管理するサービスに加え、ロジスティクス戦略の企画や推進も担います。
中立型は、依頼主である荷主や物流事業者にとって最適なサービスやソリューションを中心に、戦略や戦術を中立的な立場から提案し、知見に長けたスキルフルなメンバーが検討または実行をサポートします。
近年、物流クライシスと呼ばれるドライバー不足等に起因する、「モノが運べなくなる問題」が顕在化しているとおり、物流領域の課題は社会課題、すなわち企業の経営課題と捉える必要があります。また、物流領域は多くの企業が複雑に連携しており、1社だけの取り組みでは充分な問題解決に至らないことがあります。例えば複数企業での共同配送への取り組みなどは、こうした社会課題解決への具体的な事例と言えます。
そのため、中立型が有している公平で広い視点や物流ネットワーク等を活用することで、より大きな効果が見込めます。
物流コンサルティングの主なサービス内容
物流コンサルティングのサービス内容は多岐にわたりますが、ここでは主な5つのサービス内容をご紹介します。
戦略構築支援
物流・SCM領域における戦略の立案から実現までを支援します。Logistics Transformation(LX)を実現するための戦略・戦術・オペレーションを構築し、物流における課題解決を目指します。
また実現による効果の明確化、中期経営計画や物流DX構想などの立案をサポートしてもらうことも可能です。
テクノロジー導入支援
物流領域のデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を支援します。サプライチェーン全体のプロセスを可視化することで、ボトルネックを特定し、改善ポイントを洗い出します。
また、最新技術の活用(IoT、AI、ロボティクス)の支援を受け、物流業務の効率化や精度向上を目指すことが可能です。
データ分析活用支援
物流ビッグデータやお客様の物流データを分析して、重要な物流課題を特定、具体的な解決策の提案を受けます。
企業の物流課題を解決するための最適なKPI選定から、目標達成のために必要な施策の立案まで幅広く支援を受けられます。
輸配送業務改善
拠点をまたいだ配車組みや配送ルートの効率化など、高度な配車管理オペレーションの支援を受けます。複数拠点間における配車業務の一元管理をするために「物流コントロールタワー」機能の構築が必要です。
これを構築することで、輸配送の効率化やコスト削減、持続可能な物流の実現につながります。
人材育成支援
物流コンサルティングの中には、物流DXを担う人材の研修プログラムを提供している会社もあります。今後の物流課題の解決のためには、DX改革プラン策定から提案までできる物流DX人材の育成が必要です。
そのため、自走した物流DXリーダーを自社で育成していきたいと考える企業におすすめです。
物流コンサルティングを導入するメリット
物流コンサルティングを導入する上での主なメリットとして、
・コスト削減と効率化
・専門的な視点と知識の活用
・他社・他業界の事例活用
の3つをご紹介します。
コスト削減と効率化
自社で改善を試みても、組織の壁が弊害となり成果が出ないケースが多々あります。社内で物流コンサルティング人材を育成することも時間とコストがかかります。
しかし、課題解決のための豊富なノウハウを有している物流の専門家に依頼すれば、時間短縮につながるなど、コストや人の負荷を削減できます。これを投資と考えれば、将来のコスト削減や業務効率化につながります。
専門的な視点と知識の活用
物流コンサルティングを利用すれば、自社の課題が明確化になります。多くの物流課題の解決を支援してきた実績や、豊富な知識・経験・コネクションにより、潜在的な自社の課題を特定できます。
その上、第三者の立場であるため、組織内のしがらみや利害関係に縛られず、有益かつ本質的な提案が可能です。
他社・他業界の事例活用
他社の問題解決をしている物流コンサルティングなら、他社の戦略やベストプラクティスを活かし、さまざまな視点から解決策を提示することができます。
さらに、他業界で成功した事例を応用し、自社の課題を解決していくことも期待できます。
物流コンサルティングの料金体系と相場
コンサルタントと契約する際は、契約形態や料金をもとに慎重に検討しなければなりません。 ここでは、 ・プロジェクト型 ・顧問契約(定額報酬)型 ・時間制型 ・成果報酬型 の4つのそれぞれの契約形態やその料金相場をご紹介します。
プロジェクト型
プロジェクト型契約は、ある特定の課題に対してそれを解決するまでの期間契約です。
プロジェクト単位で料金が設定されますが、期間、週当たり工数、役職、業種業態、タスク種別、戦略などの領域に応じて変動します。まずは見積もりを取り、比較することが大切です。
例えば大手コンサルティング会社のパートナークラスになると、人月単価は1,000万円を超えることもあります。逆に、作業者レベルでは100万円を下回ることもあり、体制や工数によって総額や平均単価は大きく変動します。
顧問契約(定額報酬)型
顧問契約はコンサルタントが継続的にサポートするコンサルティング体制です。
相談内容に関係なく会社の現状を分析・改善策の提案をします。また、必要であればメールや電話で都度対応を依頼することもできます。料金相場は、企業タイプや回数により変動しますが、例えば個人で月額5万円のケースもあれば、月額100万円以上となるケースもあります。
時間制型
時間制契約では、コンサルタントの稼働に応じて報酬金額を決定します。スポットコンサルという単発型のコンサルでもあり、短期的なプロジェクトに適し、比較的低価格です。
一方で、一回の依頼で成果を出してもらうため、要望を伝える側にも知識が必要です。こちらもコンサルタントの役職や作業内容に応じて変動しますが、1時間あたり1万円から10万円程度になるケースがあります。
成果報酬型
成果報酬型契約は、プロジェクトの成果に応じて料金が決まります。成果が明確に測定でき、高いパフォーマンスが期待できる場合に適します。料金相場は、成果に応じて変動します。
ここで重要なのは、報酬額と成果額のバランスを見極めることです。何を根拠に成果とみなすのか、何と比較して成果とするのか、契約前にしっかりと定義付けしましょう。
物流コンサルティング会社選びのポイント
物流コンサルティング会社を選ぶ上では、いくつかのポイントがあります。本章では、
・業界や業種に精通しているか
・自社の課題解決に適しているか
・業務形態や料金体系が自社に適しているか
の3点についてご紹介します。
業界や業種に精通しているか
物流コンサルティング会社を選定する際には、自社の業界に精通し、実績や長年の経験があることが重要です。コンサルタントが得意な領域はその人の経験で大きく異なるため、適切な戦略や解決策を提案できる会社を選びましょう。
自社の課題解決に適しているか
物流コンサルティングは対応範囲が広く、自社の業界の経験があったとしても、企業ごとに抱える課題は多種多様のため、自社の課題を解決できるのか確かめる必要があります。
物流コンサルティング会社の過去の実績や評判を確認し、依頼内容と似た課題に取り組んだ経験があるかについて確認しましょう。
業務形態や料金体系が自社に適しているか
どのような契約形態・料金体系を選択できるのかという観点も重要です。料金体系では、継続的なアドバイスを受けたいなら顧問契約、短期的な課題を解決するなら成果報酬型、プロジェクト型を選択するのがおすすめです。
また、3PL型か4PL型など、自社に適している業務形態であるかも確認が必要です。なかには、物流業務の実務部分は担わず、戦略改革提案を専門とする業務形態も存在しますが、物流領域、いわゆるサプライチェーン領域は製造から販売までのバリューチェーンを包括し、それぞれのプロセスが密接に関連し合っています。
そのため、一気通貫で課題を解決できるプロジェクト型のサービスを提供している物流コンサルティング会社を選択するのがおすすめです。
物流コンサルティングの導入に際する留意点
物流コンサルティングの導入には、留意すべき2つの点が存在します。
導入の必要性を明確にする
上述したように、物流コンサルティングは業界・業種などの条件で必要な知識や解決方法が異なるため、「解決したい課題の明確化」は非常に重要です。
すでに物流課題が明確な場合は、新しいシステムの導入で対応できる可能性もあり、システム導入などの他の対策を検討する必要もあります。両者の料金を比較し効果的な選択を目指すべきでしょう。
コスト効果分析を正確に行う
物流コンサルティング会社に相談する際は、事前に予算の上限を設定し適切にコスト管理をしましょう。フルサポートを受けると料金の総額が数百万円以上、そして大手の場合はさらに料金が高額になることも多いためです。
自社で解決可能か検討した後、複数社に相談し提案内容と費用対効果を吟味する必要があるでしょう。
物流コンサルティングの重要性
現在、物流2024年問題によるトラックドライバーの人材不足が深刻化しており、モノの輸配送が滞り、荷主事業者は「モノを製造できない・販売できない」という危機に直面しています。
この問題を解決するためには、物流に関わるすべての企業が、物流の効率化やコスト削減に取り組む必要があります。
物流コンサルティングは、企業に寄り添い、物流2024年問題をはじめとする物流課題の解決を支援するため、重要な選択肢となります。
物流業界(物流領域)の「2024年問題」とは|改正のポイントと影響と対策を解説
物流「2024年…
2023.05.25
物流コンサルティングサービス「Hacobu Strategy」
前述の通り、物流2024年問題への対応や物流DXの実現に向けて、物流に関わるすべての企業において、物流コンサルティング会社の支援が不可欠となっています。
物流コンサルティングサービス「Hacobu Strategy」は、データドリブン・ロジスティクスの普及と持続可能な物流インフラの構築を目指し、経営戦略策定からテクノロジーを活用した実装まで、幅広く包括的な問題解決を支援します。中立型に分類されるサービスです。
その中でも、企業研修プログラム「Hacobu ACADEMY」では、物流DXリーダーの育成をサポートします。お客様の物流データを活用したDX改革プラン策定をワークショップ形式で実践し、自走できる人材を育成します。
また、費用面についても、例えば必要に応じて事業者側からもリソースを拠出することで依頼工数を削減するなど、柔軟な調整が可能です。これは、コンサルティング終了後も自走していくために、社内育成やナレッジの蓄積が可能になるといったメリットも生じます。
重要なのは目的の達成です。目的を変更して局所的なスコープに絞るなどにより費用を削減するのではなく、ROIの観点でリターンとのバランスに着目することをおすすめします。
参考:3分でわかる 物流DX人材育成支援Hacobu ACADEMY
物流コンサルティング「Hacobu Strategy」の導入事例
Hacobu Strategyは、企業様の物流DXを支援しております。最後にHacobu Strategyの導入事例を紹介します。
キリンビバレッジ株式会社
キリングループは、物流の2024年問題対策を強力に推進しており、運送能力不足による「運びきる」体制の整備を経営上の優先課題と捉えていました。
物流課題の真の解決には、関係者間の協働が不可欠と考え、キリンビバレッジはHacobuを物流DXパートナーに選びました。
具体的な取り組みとして、キリンビバレッジとHacobuは、食品卸、小売事業者と連携したデータ連携の実証実験を実施しました。この実験では、PSI(生産・販売・在庫)計画を共有し、共通の需要予測に基づいて発注数量の平準化を図ることで、メーカー、卸、小売の3者にとってのメリットが得られることがわかりました。
迫る2024年問題〜運べなくなるリスクを真剣に考えているか〜KIRINが物流パートナーにHacobuを選んだ理由〜
トラックド…
2023.08.21
秋田県と首都圏間の青果物の物流効率化 実証実験
物流2024年問題により、人口減少が進む地方から首都圏への長距離輸送においては、トラックドライバーの長時間労働の是正が喫緊の課題でした。そこで、秋田県トラック協会や国土交通省等が「首都圏向け青果物の物流効率化 実証実験」を2021年度より開始し、Hacobu Strategyはコンサルティングパートナーとして参画しました。
取り組みの一例として、これまで1台のトラックで行っていた集荷便と幹線便を分離し、別々のドライバーが担当することで、これまでの幹線便の削減を行い、適正な本数に最適化しました。
この結果、ドライバー総労働時間の約20%削減、ドライバーの時間当たりの売上額は約25%の向上を見込むことができました。単にドライバーの労働時間を減らすのではなく、物量を維持することで生産性を向上させることに成功しました。
3年間の実証実験で見えてきた2024年問題の解決策
目次1 ~収入を&…
2024.01.29
SBS東芝ロジスティクス株式会社
当時、SBS東芝ロジスティクス株式会社は、売上目標達成のための営業力底上げと、4PLソリューションの提案における物流以外の視点不足という2点が課題でした。そこで、Hacobu ACADEMYを受講し、実際のデータを使い実際に使える物流提案に落とし込むところまで、「とことん考える」研修を実施しました。
この結果、業務課題の解決に成功しました。血肉の通った4PLソリューションの提案が可能となり、さらに、営業の型ができ会社全体の営業力の底上げにつながる道筋を見つけられました。
参考:Hacobu ACADEMY受講で、4PL提案に向けた営業体制の礎を築くことに成功
株式会社サトー商会
東北地方の人口減少や地方衰退の流れに対応するため、業務用食品卸企業である株式会社サトー商会は、物流構造を見直すことに決断しました。 物流構造改革は全社を巻き込む大規模なプロジェクトであり、データを基に投資判断を行う必要があったため、Hacobu ACADEMYを受講しました。
この結果、構造改革におけるポイントを整理し、データ検証に基づいた納得度の高い「事業計画」を策定することができました。さらに、物流部門だけでなく営業・商品・ITなどの各部門の責任者が「物流は経営戦略」という共通認識をもつことができました。
参考:組織横断チームで踏み出した物流の経営アジェンダ化への第一歩
まとめ
本記事では、物流コンサルティングに関して、サービス内容やメリット、料金や留意点に至るまで幅広いポイントについて包括的にご紹介しました。
物流コンサルティングは、自社の物流課題解決と競争力強化に役立つ有効な手段です。 導入を検討している場合は、最適なパートナーを選び、物流の未来を創造しましょう。
Hacobu Strategyは、皆さまの改革チームの主体性を尊重し、稼働工数を減らすことで料金を抑えながら支援するコンサルティング集団です。皆さまのあらゆる物流のお悩みをまずは受け止め、戦略・戦術の両面から最適解を共に探します。
物流DXとは?メリットや推進する上での課題、解決策、事例について解説
近年、さま…
2021.11.29
著者プロフィール / 菅原 利康
株式会社Hacobuのマーケティング担当
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