貨物船の種類一覧を解説 | 特徴と適した貨物を理解して、モーダルシフトを推進しよう
「『RORO船』や『在来船』など、専門用語の違いを正しく理解して業務に活かしたい」「新たに海外輸出を担当することになったけれど、船の種類が多くてどれを選べばいいかわからない」
このようにお考えの物流担当者の方も多いのではないでしょうか。
海上輸送は、運ぶ荷物の形状や量、性質によって最適な船の種類が異なります。適切な船を選ぶことは、物流コストの適正化や輸送品質の確保、さらには安全な輸送を実現するために欠かせない知識です。しかし、専門用語も多く、最初は戸惑うことも多いでしょう。
本記事では、港湾荷役を経験した筆者が、代表的な貨物船の種類とそれぞれの特徴、適した貨物を物流初心者にもわかるように解説。さらに、近年注目されている国内物流の「モーダルシフト」における船の活用法についても触れていきます。
ぜひ最後までお読みいただき、自社の商材に最適な輸送手段を見つけ、自信を持って実務に取り組むための参考にしてください。
なお、「自社の物流課題をどこから解決すればいいかわからない」「専門家に相談して物流戦略を立て直したい」という方には、「Hacobu Strategy」がおすすめです。物流改善のプロが、データを元に貴社の課題解決をサポートします。ご興味のある方は、以下のリンクより詳細をご覧ください。
目次
そもそも貨物船とは?海上輸送における役割
貨物船とは、その名の通り「貨物を運ぶための商船」です。国土交通省によると、船舶区分は以下のように定義されています。
「商船」とは、客船、貨客船、貨物船(各種専用船、コンテナ船、RORO船を含む。)及び油送船(タンカー)をいう。
ちなみに、日本における貿易の約99.6%(重量ベース)は海上輸送です。
▼国際海上輸送の占める割合

島国である日本にとって、私たちの生活や産業活動を維持するための、まさに「生命線」といえます。
貨物船の2つの運行形態
貨物船は、その運航形態によって大きく2つの種類に分類されます。
- 決まったルートを走る「定期船(ライナー)」
- 需要に合わせて走る「不定期船(トランパー)」
それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
決まったルートを走る「定期船(ライナー)」
「定期船(ライナー)」は、あらかじめ決められた港(寄港地)を、公表されたスケジュール通りに巡回する船のことです。
私たちの生活にたとえると、「路線バス」や「電車」のようなイメージです。乗客(貨物)がいてもいなくても、時刻表通りに出発・到着を繰り返します。
主な特徴は以下の通りです。
- スケジュールが明確:発着時間が決まっているため、生産計画や販売計画が立てやすい。
- 少量輸送が可能:船全体を貸し切る必要がないため、コンテナ1本単位など、少量の貨物でも利用しやすい。
- 主な船種:コンテナ船、フェリー、RORO船(定期航路を持つもの)など。
需要に合わせて走る「不定期船(トランパー)」
「不定期船(トランパー)」は、特定の航路やスケジュールを持たず、荷主の依頼に応じて、その都度行き先や日程を決める船のことです。
こちらは「タクシー」や「貸切バス」に近いイメージです。「この貨物を、A港からB港まで運んでほしい」というオーダーが入った時に初めて運行計画が立てられます。
主な特徴は以下の通りです。
- 柔軟な対応:荷主の都合に合わせて、出発地、目的地、スケジュールを自由に設定できる。
- 大量輸送・特殊貨物に特化:特定の資源や、通常のコンテナには入らない特殊な形状の貨物を大量に運ぶ際に利用される。
- 主な船種:タンカー、バルク船(ばら積み船)、自動車専用船など。
次の章では、本記事の主題である「貨物船にはどんな種類がある?」にお答えします。
代表的な貨物船の種類一覧|特徴と適した貨物
ひとくちに貨物船と言っても、運ぶものの大きさや形状、性質によって、船の構造はさまざまです。ここでは、物流の実務でよく登場する代表的な5種類の貨物船について、その特徴と適した貨物を解説します。
- コンテナ船:あらゆるものを箱に詰めて運ぶ万能選手
- 一般貨物船(在来船):コンテナに入らない長尺物や重量物に対応
- ドライバルク船(ばら積み船):資源を梱包せずに大量輸送
- タンク船(タンカー):液体や気体を専用タンクで輸送
- RORO船(ローロー船):車両やトレーラーを自走で積み下ろし
コンテナ船:海上輸送の主役となる万能選手
コンテナ船の特徴
「コンテナ船」は、国際物流において最もポピュラーな船です。貨物を国際規格のコンテナに詰めて運ぶため、積み込みや荷降ろしの効率が非常に高く、港での滞在時間を短縮できるのが最大の特徴です。また、トラックや鉄道への積み替えもスムーズに行えます。
ガントリークレーンを使用し、船倉やデッキ上にコンテナを積みつけていく様子をご存じの方も多いのではないでしょうか。筆者は、デッキに積みつけたコンテナを固縛する「ラッシャー」を担当した経験があります。2mを超える重い鉄の棒を、コンテナ上部の穴へはめ込み、デッキと固定する作業です。大型船のデッキ上はとても高く、海へ投げ出されないか不安との闘いでした。
コンテナ船に適した貨物
日用品、衣類、家電製品、機械部品、家具など、コンテナに入る大きさの雑貨全般。「リーファーコンテナ」という冷蔵・冷凍機能付きのコンテナを使えば、生鮮食品など暑さに弱い商材も輸送可能です。
コンテナからの貨物の積み降ろし「バンニング・デバンニング」について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
いまさら聞けない「バンニング・デバンニング」| 具体的な流れや注意点、効率化ポイントなどを解説
バンニング…
2025.12.19
一般貨物船(在来船):長尺物や重量物に対応
一般貨物船(在来船)の特徴
「一般貨物船」は、コンテナ船が普及する前から活躍している船で、「在来船」とも呼ばれます。船自体にクレーン(デリック)を装備していることが多く、コンテナには収まらない巨大な貨物や、長さのある貨物が得意です。
筆者は、この在来船への貨物の積み降ろしも経験しています。岸壁などに用意した貨物を船に設置したクレーンで船倉へと運び、積み付けます。ただ、船倉の場所によっては、クレーンの操縦士から視認できません。そのため、合図だけを頼りに数トンもある重量物を積みつけていきます。船倉内には手元作業に従事する作業員がいるわけですから、危険度の高い船だといえます。
一般貨物船(在来船)に適した貨物
大型のプラント設備、発電機、鉄道のレール、鋼材、パイプなど、サイズや重量が規格外の貨物。
ドライバルク船(ばら積み船):資源を大量輸送
ドライバルク船(ばら積み船)の特徴
「ドライバルク船」は、梱包されていない大量のドライカーゴをそのまま船倉に流し込んで運ぶ船です。資源を一度に大量に運ぶことで、輸送コストを安く抑えることができます。運ぶものに合わせて、「石炭専用船」や「鉱石専用船」など特定の貨物に特化した船もあります。
ドライバルク船(ばら積み船)に適した貨物
鉄鉱石、石炭、穀物(大豆・トウモロコシ・小麦)、塩、木材チップ、セメントなど。
タンク船(タンカー):専用タンクで液体や気体を運ぶ
タンク船(タンカー)の特徴
「タンク船」は、液体や気体を運ぶための巨大なタンクを船内に備えた船です。原油を運ぶ石油タンカーが有名ですが、ガスの種類によってさらに「LNG船」と「LPG船」に分けられます。両者の違いは、運ぶ中身と、液体にするための温度です。
LNG船(液化天然ガス)
メタンを主成分とする天然ガスを運びます。マイナス162℃という極低温に冷却して液化させるため、高度な断熱構造を持った丸いタンクなどが特徴です。
LPG船(液化石油ガス)
家庭用のプロパンガスやタクシーの燃料に使われるプロパン・ブタンなどを運びます。こちらはマイナス42℃程度で液体になります。
RORO船(ローロー船):車両を自走で積み下ろし
RORO船(ローロー船)の特徴
「RORO船(Roll-on/Roll-off ship)」は、船の前後にスロープ(ランプウェイ)を備え、トラックやトレーラーが自走して乗り降りできる船です。巨大な立体駐車場が海に浮いているような構造をしています。
筆者は、港湾作業員時代、主にこのRORO船への積み込み作業に従事していました。大型の建機や自動車をそのまま走り込んで積み込めるのが最大の特徴です。加えて、船内で大型のフォークリフトを使用し積み降ろしができるのも、RORO船ならではの特徴といえます。
在来船のように一つひとつの貨物をクレーンで吊り上げる必要がないため、短時間で多くの貨物を積み込めます。ただし、大型の荷役機器があわただしく行き来するため、船内は常に危険と隣り合わせでした。
RORO船(ローロー船)に適した貨物
乗用車、トラック、バス、建設機械(ショベルカーなど)、トレーラー。
RORO船は、貨物を積んだ「トレーラーの荷台部分(シャーシ)」だけを船に乗せて運ぶべるのが特長です。この点が、「陸上トラック輸送の代わり」として近年の国内物流で非常に注目されています。
なぜ今、このRORO船の活用が物流担当者に求められているのでしょうか?その理由こそが、次章で解説する「モーダルシフト」です。

物流担当者が知っておくべき「モーダルシフト」とは?
ここでは、物流担当者なら知っておくべき「モーダルシフト」について、以下のポイントで深掘りしていきます。
- トラックから船舶・鉄道へ輸送手段を転換する動き
- モーダルシフト推進の背景
- ドライバー不足の切り札となる「RORO船・フェリー」
トラックから船舶・鉄道へ輸送手段を転換する動き
モーダルシフトとは、トラックによる貨物輸送を、より大量輸送が可能で環境負荷の少ない「海運(船舶)」や「鉄道」へと転換することを指します。
特に近年は、「モーダルシフト等推進事業」として国土交通省が主導し、官民一体となり推し進められている重要課題です。
モーダルシフト推進の背景
モーダルシフト推進の背景として、大きく以下の2つが挙げられます。
- 深刻化するドライバー不足
- 地球温暖化対策としてのCO2削減(カーボンニュートラル)
中でも船舶に求められているのは、これまで「トラックで運ぶのが当たり前」だった長距離輸送の一部を船に置き換えることです。それにより、無理のない持続可能な物流体制を構築しようという動きが加速しています。
この動きを、荷主企業や物流事業者が先頭に立って進めていこうというのが、いわゆる「物流関連2法改正」です。この物流2法改正については、以下の資料で詳しく解説しています。気になる方は以下のリンクをクリックし、ダウンロードしてご覧ください。
資料「物流関連2法改正・政府の中長期計画を解説 荷主・物流事業者は今何をするべきか」をダウンロードする
ドライバー不足の切り札となる「RORO船・フェリー」
特に、2024年4月から適用されたトラックドライバーの時間外労働規制(いわゆる「物流の2024年問題」)への対策として、RORO船やフェリーが注目されています。
【物流の2024年問題とは】
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に「年960時間」の上限規制が適用されたことに起因する、国内物流の構造的な危機や諸問題の総称。単なる法改正への対応にとどまらず、荷主企業を含めたサプライチェーン全体での抜本的な改革やDX推進が、事業継続の必須条件となっています。
具体的には、長距離区間を船で運ぶことで、ドライバーの長時間運転をなくそうという取り組みです。ドライバーが乗船せずにトレーラーのヘッド(運転席部分)だけを港で切り離し、荷台(シャーシ)のみを船で運ぶ「無人航送」が可能になります。輸送した荷台は、着点で待つドレージ業者により、輸送先まで運ばれる仕組みです。
結果、一人のドライバーが長距離を往復する必要がなくなり、労働生産性を向上させることができるのです。
モーダルシフトは、物流業界の人手不足対策として期待されています。ただ、他にも多重下請けやトラックの荷待ちなど、物流業界は多くの課題を抱えているのが現実です。それらについて詳しく知りたい方は、以下のリンクをクリックし、資料をダウンロードしご覧ください。
資料「物流業界を取り巻く状況とは 抱える課題や対策を解説」をダウンロードする
次の章では、「海上輸送に切り替えることでどんなメリットがある?」という疑問にお答えします。
荷主企業が海上輸送を取り入れる3つのメリット
では、具体的に荷主企業がトラック輸送の一部を海上輸送に切り替えることで得られる主なメリットは以下の3点です。
- メリット①:「ホワイト物流」の実現と安定輸送の確保
- メリット②:CO2排出量を大幅に削減し環境経営(SDGs)に貢献
- メリット③:災害による陸路寸断リスクを回避する「BCP対策」
メリット①:「ホワイト物流」の実現と安定輸送の確保
国土交通省「ホワイト物流推進運動について」にあるように、トラックドライバーの労働環境改善に協力することは、荷主企業の重要な責務となっています。
過度な長距離運転を強いることなく、船舶を併用した輸送体制を整えることは、コンプライアンス遵守に直結します。結果、「運び手が確保できなくなる」という将来的な輸送力不足のリスクを軽減。さらには、自社商品の安定供給を守ることにつながります。
メリット②:CO2排出量を大幅に削減し環境経営(SDGs)に貢献
船舶は、トラックに比べて一度に大量の貨物を運べるため、貨物1トンを1km運ぶ際のCO2排出量が圧倒的に少なくなります。具体的には、航空利用で約47%、船舶利用で約80%、鉄道利用で約91%ものCO2排出量削減が可能です。

環境経営やSDGsへの取り組みが企業評価に直結する現代において、物流部門からCO2削減に大きく貢献できる点は、経営的にも大きなメリットとなるでしょう。
なお、物流業界における環境問題への取り組みに関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
物流業界におけるSDGsの必要性と取り組み事例、推進のポイントを解説
「SDGsに取り…
2025.11.28
メリット③:災害による陸路寸断リスクを回避する「BCP対策」
地震や豪雨災害などで高速道路や鉄道などの陸路が寸断された場合、物流が完全にストップしてしまうリスクがあります。
普段から海上輸送ルートを持っておくことは、いざという時のバックアップ手段(BCP対策:事業継続計画)として有効です。陸と海、複数の輸送手段を持っておくことが、サプライチェーンの強靭化につながります。
この自然災害時の物流対策についてさらに詳しく知りたい方は、以下のリンクをクリックし、資料をダウンロードしてご覧ください。
資料「自然災害時の物流対策 BCP策定の基本とポイント」をダウンロードする
モーダルシフトは上記のようにメリットが多い取り組みです。とはいえ、「自社なら具体的にどのような改善に期待できるか」「投資対効果はどの程度あるのか」と疑問に思う方も多いと思います。そこでおすすめなのが、物流改善のプロがデータを元に貴社の課題解決をサポートする「Hacobu Strategy」です。詳細について、次の章でご紹介します。
物流課題の解決なら「Hacobu Strategy」へ
物流に関わる課題は多岐にわたります。しかし、「何から手をつければいいのかわからない」「現場の実態に即した改善策が見つからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
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まとめ|貨物船の種類を知り物流改善を実現しよう!
ひとくちに「貨物船」といっても、その種類は多岐にわたります。
- コンテナ船: 日用品から機械部品まで、あらゆるものを効率的に運ぶ。
- 一般貨物船(在来船): コンテナに入らない長尺物や重量物に対応する。
- ドライバルク船(ばら積み船): 鉄鉱石や穀物などの資源を大量輸送する。
- タンク船(タンカー): 液体や気体を専用タンクで運ぶ。
- RORO船(ローロー船): 車両を自走で積み下ろしでき、国内のモーダルシフトにも有効。
また、トラック輸送を船舶や鉄道輸送に切り替える「モーダルシフト」が政府主導で推し進められています。「ホワイト物流」「カーボンニュートラル」「BCP対策」の観点からメリットがあり、今後この動きは加速していくでしょう。
貨物船の特性を理解し、自社の物流にうまく組み込むことで、コスト、品質、安全性のバランスが取れた最適な物流体制を目指しましょう。
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