外国人トラックドライバーを即戦力に!採用企業の要件・手順・課題と定着のコツ
「特定技能に自動車運送業が追加されたが、自社でも外国人ドライバーを採用できるのだろうか」
「具体的な受け入れ要件や手順、トラブルを防ぐコツを知りたい」
そうお考えの物流担当者の方は多いのではないでしょうか。
2024年3月に政府が特定技能の対象分野に「自動車運送業」を追加することを閣議決定し、現在では外国人ドライバーの受け入れが可能です。人手不足など物流課題の解決策として、活躍が期待されています。
本記事では、外国人ドライバーが期待される背景や企業に求められる必須要件、採用の手順を解説します。さらに、18年間物流現場に勤めた筆者の視点から、現場におけるトラブルや、定着させるための具体的な成功のコツをまとめました。
ぜひ最後までお読みいただき、外国人ドライバーの採用を成功させ、持続可能な物流網の構築と物流課題の解決を実現してください。
なお、人手不足に限らず「自社の物流課題をどこから解決すればいいかわからない」「専門家に相談して物流戦略を立て直したい」という方には、『Hacobu Strategy』がおすすめです。物流改善のプロが、データを元に貴社の課題解決をサポートします。ご興味のある方は、以下のリンクよりサービス資料をダウンロードしてご覧ください。
目次
外国人ドライバーが期待される背景
物流業界において外国人ドライバーの活躍が期待される背景として、以下の3つを解説します。
- 深刻化するトラックドライバー不足
- 減少を続ける若手日本人の免許保有者
- 約94%を占める特定技能1号外国人の39歳以下割合
深刻化するトラックドライバー不足
外国人ドライバー採用が期待される背景に、年々深刻化する人材不足が挙げられます。
労働者1人当たりの求人数を表す「有効求人倍率」が、全職業1.14倍に対し、トラックドライバーは倍以上の2.37倍となっているのが現状です。
▼トラックドライバーと全職業の有効求人倍率

国内での新たな人材の確保が難しい今、新たな選択肢として外国人ドライバーに焦点が当たっています。
減少を続ける若手日本人の免許保有者
国内におけるドライバー不足の根本的な原因として、若年層のトラック免許保有者が減少している点が挙げられます。特に「大型1種免許」の保有者は年々減少傾向です。
公益社団法人 全日本トラック協会の資料によると、2022年時点における大型1種免許保有者のうち、**39歳以下の若年層が占める割合はわずか12%**にとどまります。

出典:自動車運送業分野 トラック区分における特定技能外国人受け入れの手引き(公益社団法人 全日本トラック協会)
さらに我が国では、少子高齢化の進展により労働人口が減少しつづけています。このまま対策を講じなければ、近い将来に運送能力がさらに低下することは避けられません。
約94%を占める特定技能1号外国人の39歳以下割合
出入国在留管理庁のデータによると、2025年12月末時点で、在留資格「特定技能1号」を取得し来日している外国人の年齢構成は、全体の約94%が39歳以下の若手人材です。
▼特定技能1号在留外国人数の年齢別割合(2025年12月末)
| 特定技能1号在留外国人数(人) | 総数に占める割合(%) | |
|---|---|---|
| 総数 | 382,341 | 100 |
| 18~29歳 | 226,525 | 59.2 |
| 30~39歳 | 131,362 | 34.4 |
| 40歳以上 | 24,454 | 6.4 |
※出入国在留管理庁のデータを参考に筆者作成
この若年層の多さが、国内の若手ドライバー不足を補う即戦力として期待を寄せられる大きな理由のひとつです。先述した若手不足の穴を埋め、次世代の配送網を支える中核人材となるポテンシャルを持っています。
次章では、「外国人ドライバーを受け入れるためには、どのような条件を満たせばいい?」という疑問にお答えします。
外国人ドライバーを受け入れる企業に必須となる3つの要件
特定技能の在留資格を持つ外国人ドライバーを受け入れる条件として、以下の3つを解説します。
- 自動車運送事業の許可取得
- Gマークなどの認証取得
- 自動車運送業分野特定技能協議会への加入
自動車運送事業の許可取得
大前提として、自動車運送事業の許可を得た事業者でなければ、外国人ドライバーを受け入れられません。
バス事業者であれば「旅客自動車運送事業」、トラック事業者であれば、「貨物自動車運送事業」の許可を受けている必要があります。
Gマークなどの認証取得
受け入れ企業には、適切な労働環境と安全管理体制が構築されている証明として、指定の認証取得が義務付けられています。
対象となる主な認証制度は、下表の通りです。
▼特定技能外国人ドライバーの受け入れに必須となる認証
| 通称(正式名称) | 制度概要 | 実施団体 |
|---|---|---|
| Gマーク (貨物自動車運送事業安全性評価) | トラック運送事業者の安全性を評価・認定し、高い安全性を維持している事業所であることを認定する制度 | 公益社団法人 全日本トラック協会 |
| 働きやすい職場認証 (運転者職場環境良好度認証) | 職場環境改善の取り組みを見える化し、求職者への就職を促進する制度 | 一般財団法人 日本海事協会 |
労働者が不当な労働環境に置かれるリスクを防ぎ、安全な運行管理が行える環境を担保している事業者である必要があります。
自動車運送業分野特定技能協議会への加入
外国人ドライバーを受け入れた企業(特定技能所属機関)は、「自動車運送業分野特定技能協議会」へ加入しなければなりません。
同組織は、外国人ドライバーの適正な受け入れと保護を図るために設置されました。
各地域の受入れ企業(特定技能所属機関)が必要な外国人材を受け入れられるよう、関係者間で連絡を取り合い、情報の共有や必要な措置を講じることを目的としています。
次章では、「実際に外国人ドライバーを採用するにはいくらかかる?」という疑問にお答えします。
外国人ドライバー受け入れの費用目安
外国人ドライバーを受け入れる際に必要となる費用について、以下の2つのポイントで解説します。
- 採用にかかる費用の目安
- 負担を軽減する助成金の活用
採用にかかる費用の目安
特定技能を持つ外国人を雇用するにあたっては、通常日本人を採用する場合の費用項目に加えて、特別な費用が発生します。項目と金額の目安は以下の通りです。
▼特定技能外国人の採用にかかる費用目安
| 項目 | 主な内訳や特徴 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 人材紹介料 | 人材紹介手数料、登録支援機関への初期登録費用など | ~60万円/1人 |
| 支援委託費 | 外国人労働者への支援の代行 | ~5万円/月・1人 |
| ビザ取得費用 | ・ビザ取得、更新のたび発生 ・手続きが複雑なため、委託が一般的 | ~20万円/1回・1人 |
| 寮の手配費 | エリアや条件により変動 | ₋ |
| 渡航/国内移動費 | ・基本的には配属の際の1度のみ発生 ・エリア、LCCの利用などで変動 | ~15万円 |
| その他 | 交通費、交流支援費、語学教育にかかる費用などの負担があれば発生 | ₋ |
特に、月々の固定費がいくらかかるのか、あらかじめ確認しておくことが重要です。
負担を軽減する助成金の活用
採用や教育にかかるコストを削減するため、公的な助成金制度を有効に活用することが賢明です。
ここでは、国が公募する外国人の採用に特化した助成金をご紹介します。
▼助成金の一例
| 名称 | 概要 | 金額 | 管轄 |
|---|---|---|---|
| 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) | 外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備措置を実施した事業者が受給できる。 例)雇用労務責任者の選任、就業規則などの多言語化など | 1制度導入につき20万円(上限80万円) | 厚生労働省 |
※2026年6月現在。今後、廃止になる可能性があります。
その他、国や自治体が公募している雇用に関する補助金・助成金をうまく活用し、コストを抑えた採用を実現しましょう。
次章では、「外国人ドライバーを採用する場合、具体的にどのような手順で進めればいい?」という疑問にお答えします。
外国人ドライバーの採用方法
外国人ドライバーの採用は、日本人向けの求人とは異なる独自のアプローチと手続きが必要です。その詳細について、以下の2つポイントで解説します。
- 人材紹介会社、登録支援機関への依頼が中心
- 外国人ドライバー採用までの大まかな流れ
人材紹介会社、登録支援機関への依頼が中心
特定技能を持つ外国人材を採用する際は、専門のノウハウを持つ人材紹介会社や登録支援機関へ依頼するのが一般的です。複雑な手続きが伴うため、自社だけで募集から行政手続きまでを完結させるのは容易ではありません。
登録支援機関とは
受け入れ企業に代わって外国人の日常生活や業務上の支援を行う専門機関を指します。サポート内容は、雇用契約後の手続きに関する説明から日本人との交流の促進など、多岐にわたります。
登録支援機関の一覧は、以下のリンクから確認可能です。
外国人ドライバー採用までの大まかな流れ
外国人ドライバーの採用は、募集から実際の稼働までに複数のステップを踏む必要があります。大まかな流れと採用から逆算した目安期日は以下の通りです。
▼特定技能外国人採用の流れの一例
| 手続きや検討内容 | 採用から逆算した目安期日 | |
|---|---|---|
| ① | 注意事項を知り、採用を検討する | 海外:入社7~8カ月前 国内:入社4~5か月前 |
| ② | 人材紹介業者・登録支援業者への相談 | |
| ③ | 求人内容の確定 | |
| ④ | 募集 | 海外:入社5~6カ月前 国内:入社3~4か月前 |
| ⑤ | 書類選考・面接 | ₋(状況により変動) |
| ⑥ | 内定・内定承諾・雇用契約書締結 | ₋(状況により変動) |
出典:https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2024/08/ssw_tebiki.pdf
入国したからといって、すぐにトラックを運転できるわけではありません。外免切替の予約待ちや各種研修などにさらに数か月を要します。そのため、外国人の採用を検討してから実務まで、1年以上かかる可能性があると認識しておくべきです。
次章では、「外国人ドライバーを受け入れる際、企業側はどのような体制を整えるべき?」という疑問にお答えします。
外国人ドライバー受け入れ時に企業側が備えるべき課題
外国人ドライバーを受け入れる際に、企業側が事前に整えておきたい体制や運用上の課題について、以下の3つをご紹介します。
- 言語の違いを前提にした情報伝達体制の整備
- 宗教など異なる文化や価値観への理解
- 実務にあたるまで長時間必要
言語の違いを前提にした情報伝達体制の整備
物流現場で外国人材を受け入れる際の課題のひとつが、言語の違いを前提にした情報伝達体制の整備です。
日本の物流現場は、「阿吽の呼吸」や暗黙のルールに依存している部分が少なくありません。そのため、日本語での業務コミュニケーションの習熟度には個人差があり、荷主からの細かな指定や納品時の特殊なルールは、口頭説明だけでは正確に伝わりにくい場合があります。
さらに、筆者の経験上、忙しい現場のフォークリフトオペレーターや作業員は、外部のドライバーに丁寧に対応している余裕がありません。「わからなかったら聞きにきてくれ」というスタンスです。そのため、配送先での指示や確認事項を多言語・図解で共有できる仕組みがないと、ドライバーが対応に迷う場面が生じやすくなります。
異なる文化や価値観への理解
宗教や生活習慣、時間感覚といった文化の違いへの相互理解が不足すると、現場で行き違いが生じることがあります。
分単位のスケジュール管理が求められる日本の運送業では、運行ルールや納品時間の厳格さを事前に共有し、認識をそろえることが重要です。また、宗教上の礼拝時間の確保や、食のタブーへの配慮なども不可欠です。
互いの価値観や業務上の前提を共有しないまま進めると、現場内で認識のずれや行き違いが生じるおそれがあります。
実務にあたるまで長時間必要
【外国人ドライバー採用までの大まかな流れ】で解説したように、特定技能外国人を採用し、実務にあたるまでには1年近くの時間が必要となる場合があります。
日本国内の人材のように「明日からトラックで配達してください」という訳にはいきません。目先の人手不足の解消には向かないため、先を見据えた計画的な採用が必須となります。
次章では、「外国人ドライバーの採用を成功させるための具体的なコツとは?」という疑問にお答えします。
外国人ドライバーの採用を成功させるコツ
外国人ドライバー採用で失敗しないためのコツとして、以下の4つを解説します。
- 既存従業員に対する異文化理解の教育
- ベテランの勘に依存しない業務の標準化
- 言語の壁をなくす多言語マニュアルの整備
- 充実した生活支援体制の構築

既存従業員に対する異文化理解の教育
外国人ドライバーを受け入れる際、既存従業員への事前説明と教育が不可欠です。
現場では、言語面でのサポートに対する負担感や、採用方針への不安が生じる場合があるためです。
事前に外国人採用の目的や、人手不足解消による既存社員の負担軽減といったメリットを共有し理解を深めておきましょう。
ベテランの勘に依存しない業務の標準化
日本の物流品質は、長年培われた暗黙のルールや「背中を見て学ぶ」文化に依存している部分が少なくありません。
しかし、こうした暗黙知に頼った進め方は、文化や言語の異なる人材には伝わりにくく、十分に機能しないことがあります。そのため、誰が見ても理解できる**「業務の標準化」の重要度が増します**。
属人的な管理から脱却することは、結果として日本人を含む全従業員の働きやすさ向上にも直結します。
言語の壁をなくす多言語マニュアルの整備
3つ目のコツは、納品時の細かなルールや駐車位置の指定などを、日本語に不慣れな人にも伝わるよう可視化することです。
具体的には、写真や図解を多用した多言語マニュアルや、指差しで確認できるシートや動画マニュアルを整備します。
他にも、緊急時の対応や事故発生時の初動についても、母国語で記載された「事故対応カード」を携行させることで、パニックによる二次トラブルを防ぐことができます。
充実した生活支援体制の構築
日本での生活基盤を安定させることは、業務の質を維持するうえで欠かせない投資です。
具体的には、住居の確保や銀行口座の開設から、ゴミ出しなどの地域ルールへの対応といった日常生活のサポートが挙げられます。
これらを面倒と思わず、仕事への集中力向上や定着のための「投資」と捉えるべきです。
公的機関や登録支援機関のサポートを活用し、生活をトータルで支える体制を構築してください。
物流課題の根本解決はHacobu Strategy
「人材不足だけでなく、物流課題が山積している。どこから手をつければいいかわからない」
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まとめ
トラックドライバーの人材不足を解消する方法として、特定技能を持つ外国人の採用は有効な手段です。なお、受け入れるためには、企業側に以下の要件が求められます。
- 自動車運送事業の許可取得
- Gマークまたは働きやすい職場認証の取得
- 自動車運送業分野特定技能協議会への加入
さらに、日本の運転免許への切り替えなどの手続きや、礼拝や食といった文化の違いなど、外国人材の受け入れに伴う手順や注意点が存在します。
行き当たりばったりの採用は、現場の混乱を招く原因です。言語の壁をなくすマニュアルの整備や、既存従業員への教育といった事前の準備が不可欠です。
ぜひ本記事を参考に外国人材の導入を成功させ、持続的な物流網の維持を実現してください。
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