物流業界の人手不足倒産が過去最多に!動向や対策、今後の見通しについて解説
物流業界で人手不足倒産が増え、荷主も供給制約に直面しています。帝国データバンクの調査から件数推移と背景を整理し、2024年問題と価格転嫁を踏まえつつ、物流DX・AIの導入による生産性向上から、荷主自身の受け入れ体制の改善まで、取るべき対策と賃上げ難型リスクの見通しを、物流DXパートナーのHacobuが解説します。
目次
物流業界における人手不足倒産の動向
物流業界の人手不足倒産の最新動向を整理し、件数推移や企業規模別の特徴を示しながら、荷主の供給制約リスクへの影響を解説します。
2025年は52件と過去最多に
帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査(2025年)」では、物流業の人手不足倒産は2025年に52件とされ、過去最多です。同資料のグラフ(建設・物流の件数推移)でも、物流は2023年39件→2024年46件→2025年52件と増加が続いています。あわせて、同資料のグラフ「人手不足倒産 件数推移」では、全業種が2023年260件→2024年342件→2025年427件と拡大し、建設業も2023年91件→2024年99件→2025年113件と増加しています。物流は人員不足が輸送力や受託可否に直結しやすく、荷主側の調達・納品リスクとして顕在化しやすい点が特徴です。
出典:人手不足倒産、初の年間 400 件超え3 年連続で過去最多を更新
小規模事業者ほど影響が大きい
同調査では、人手不足倒産427件のうち329件(77.0%)が「従業員10人未満」の小規模企業でした。小規模企業は、配車・運行管理・現場・請求などが少人数に集中し、従業員1人の退職でも事業継続に与える影響が大きいと指摘されています。その結果、採用難や人件費高騰が続く局面では、人材確保に追随できない企業から経営が行き詰まりやすく、物流でも倒産が増える背景になります。
物流業界において人手不足倒産が増え続ける背景
人手不足倒産が増える背景として、物流の2024年問題による輸送力制約の強まりと、運賃などの価格転嫁の遅れが収益を圧迫する構造を整理します。
「物流の2024年問題」の打撃を受けている
物流の2024年問題は、2024年4月からトラックドライバーに時間外労働の上限(年960時間)などが適用され、従来の運行計画が組みにくくなったことが起点です。結果として輸送力が細り、受託を絞らざるを得ない事業者が出やすく、売上・利益が落ちた企業ほど採用や定着投資が難しくなり、人手不足倒産の増加につながります。
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価格転嫁の遅れが生じている
人手不足局面では賃上げや採用コストが増えますが、運賃・料金へ十分に転嫁できないと利益が削られ、求人強化や待遇改善に踏み切れません。さらに燃料費などの上昇も重なると資金繰りが悪化し、人材流出→稼働低下→収益悪化の悪循環に陥ります。価格転嫁の遅れは、人手不足を「倒産に直結する問題」に変えてしまう要因です。
物流業界における人手不足倒産の対策
人手不足倒産を防ぐには、短時間人材の就業調整を緩和する制度対応に加え、物流DXやAIによる生産性向上、多様な人材の確保・定着、さらに荷主自身の受け入れ体制の改善を組み合わせ、稼働と収益の両面から経営体力を高めることが重要です。

政府が進める「年収の壁」への対応
「年収の壁」への対応とは、年収106万円・130万円付近で社会保険料負担が増え手取りが減ることを理由に、パート等が働き控えする状況を緩和する施策です。厚生労働省は2023年10月から「年収の壁・支援強化パッケージ」に取り組んでいます。働き控えが和らげば現場の担い手確保につながり、人員不足で業務が回らず倒産に至るリスクの低減が期待できます。
物流のDX化
物流DXは、配車・受付・荷待ち・作業実績などをデータで可視化し、属人化を減らして少人数でも回る運用へ変える取り組みです。人が増えにくい局面でも、ムダな待機や手戻りを減らせれば、同じ人員で処理量を維持しやすく、採用競争や人件費上昇のダメージを受けにくくなります。結果として「回せないから倒産する」リスクの抑制につながります。
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AIの導入
AIの導入は、需要予測・配車計画・問い合わせ対応・帳票処理といった判断業務や定型業務をAIに任せ、人手をかけずに業務を回す取り組みです。たとえば、過去実績をもとにした配車・運行計画の自動立案、AI-OCRによる受発注・請求書類の自動処理、チャットボットによる問い合わせの一次対応などにより、これまで熟練者に依存していた業務を標準化できます。人員を増やしにくい局面でも、AIが判断・処理の一部を担えば、限られた人数で同じ業務量を維持しやすくなり、「人がいないから業務が回らない」状態に陥るリスクを下げられます。
実際、Hacobuが物流ニュースサイト『LOGISTICS TODAY』と共同で荷主企業・物流事業者232社(268名)を対象に実施した調査では、AIを業務で活用している企業は36.6%にとどまる一方、今後の活用に前向きな企業は95%超にのぼりました。AIを活用したい業務としては「配車の自動化・標準化(37.3%)」が最多で、「データ分析に基づく経営判断の支援(36.6%)」「在庫管理や需要予測(35.8%)」が続き、人手のかかる計画・分析業務を自動化したいニーズの高さがうかがえます。一方で、導入の壁としては「AIを使いこなせる人材が社内にいない(50.4%)」「効果が分かりにくい(47.4%)」が上位を占め、意欲はあっても実装に踏み出せていない実態も浮かび上がりました。
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採用力の強化と多様な人材の活用
業務効率化と並行して、「担い手そのものを確保し、辞めさせない」取り組みも欠かせません。女性・シニア・外国人など多様な人材が働きやすい環境(荷役負担の軽減、労働時間や勤務形態の柔軟化)を整え、採用の母集団を広げることが有効です。あわせて、賃金・評価・キャリアパスを整備して定着率を高めれば、採用コストの増加と離職による稼働低下という悪循環を抑えられます。DX・AIで現場の負荷を下げることは、こうした多様な人材が活躍できる前提づくりにもつながります。
荷主の受け入れ体制の改善と“選ばれる荷主”への転換
人手不足倒産は、荷を運ぶ運送会社だけの問題ではありません。ドライバー不足が深刻化するなかでは、運送会社やドライバーから“選ばれる”荷主になれるかどうかが、必要な輸送力を確保し続けられるかの分かれ目になりつつあります。
実際、Hacobuが全国のトラックドライバー1,271名を対象に実施した調査では、過半数が1日あたり1時間以上の荷待ちを経験し、仕事で負担に感じることの第1位も「荷待ち時間の長さ」でした。さらに、荷主に改善してほしい点として「待機場所の確保(63.0%)」「待ち時間の短縮(60.1%)」がいずれも6割を超えています。
トラック予約受付システムなどで荷待ち時間を削減し、受け入れ体制を整える荷主は、ドライバー・運送会社からの支持を得て安定した輸送力を確保しやすくなります。逆に改善が進まない荷主は、人手不足局面で委託先を失い、「モノが運べない」供給制約リスクに直面しかねません。荷主自身の受け入れ体制の改善は、自社の物流を止めないための重要な人手不足対策です。
参考:https://hacobu.jp/news/14378/
今後は「賃上げ難型」の人手不足倒産が懸念される
人手不足倒産は今後も高水準で推移し、特に懸念されるのが「賃上げ難型」です。人材確保・定着のための賃上げが求められる一方、運賃などへの価格転嫁が十分に進まない企業では、人件費増を吸収できず収益が急速に悪化します。その結果、採用難や離職が加速し、稼働低下がさらなる収益減を招く悪循環に陥りやすくなります。物流業界でもこのリスクが高まっています。
物流における人手不足対策するなら「Hacobu」
物流の人手不足倒産は、「業務を効率化してムダを減らす」か「人材を確保する」のどちらか一方だけでは食い止められません。Hacobuは、物流DXツール(MOVO)・AI導入支援(Hacobu Solution Studio)・物流特化人材紹介(Hacobu Career)を一社で一気通貫に提供できる、物流業界でも数少ない物流DXパートナーです。さらに、数多くの物流現場で使われるMOVOに蓄積された業界横断のデータを活かし、自社のデータだけでは見えにくい「全体最適」の視点から、ムダの所在や改善余地を可視化できる点も特長です。こうして「仕組みで減らす」と「人を確保する」を組み合わせ、少人数でも回り続ける体制づくりを支援します。
物流DXツール MOVO
物流の人手不足が深刻化する今、現場のムダや属人化を減らし、少人数でも安定して回る仕組みづくりが欠かせません。Hacobuは物流DXツール「MOVO」シリーズで、予約受付・動態管理・配車受発注など企業間物流をデータでつなぎ、改善を支援します。
MOVOのサービス資料は以下よりダウンロードいただけます。
AI導入支援 Hacobu Solution Studio
「人手不足だからこそAIを導入したい」一方で、物流現場では「AIを使いこなせる人材がいない」「効果が見えにくい」「ツール選定が難しい」といった壁から、導入が進みにくいのが実情です。
Hacobu Solution Studioは、物流DXに特化したシステムインテグレーション・AI導入支援サービスです。SaaS製品「MOVO」を自社開発してきたメーカーならではの実装知と物流現場の解像度を活かし、システム連携・個社開発から、データ統合・AIによる分析・可視化までを一気通貫で支援します。
- SaaSと基幹を“つなぐ”ワンストップの設計力:MOVOと既存の基幹システムの間に生じるデータの分断を、連携開発で解消
- AI駆動型開発による「最速実装」:開発プロセスそのものに生成AIを組み込み、企業ごとの業務要件に合わせて迅速にシステム化
- 構想から実装・運用まで伴走:配車計画の標準化やAI-OCRによる帳票処理など、属人化した業務を「人がいなくても回る」仕組みへ転換
「自社だけではAI活用の一歩が踏み出せない」という場合でも、物流業務を理解した専門チームが要件定義から伴走するため、人手不足の現場でも着実にAI導入を進められます。
Hacobu Solution Studioのサービス資料は以下よりダウンロードいただけます。
物流特化人材紹介 Hacobu Career
物流業界の人手不足は、「採用したいのに集まらない」「採用しても定着しない」といった構造課題とセットで進行しています。DXで現場の生産性を高めることに加えて、必要な人材を必要なタイミングで確保できる状態をつくることが、供給制約リスクを下げる現実的な打ち手になります。
Hacobu Careerは、物流領域に特化した人材紹介サービスです。業務理解(配車・運行管理・物流企画・倉庫管理など)を前提に、採用要件の整理から候補者の提案、選考・入社後の立ち上がりまでを一貫して支援します。短期的な欠員補充にとどまらず、現場が回り続ける体制づくり(将来の管理者候補の採用、採用難職種の母集団形成など)にもつなげやすいのが特長です。
- 物流業界に詳しいから、職種・役割の解像度を上げた要件定義ができる
- 採用ミスマッチを減らすために、業務内容や期待値をすり合わせた上で紹介できる
- DXと採用をセットで検討することで、「仕組みで減らせる業務」と「人が必要な業務」を切り分け、現場負荷を最適化しやすい
「DXで改善しつつも、当面の人手を確保しないと回らない」という状況では、MOVOによる業務の可視化・効率化と、Hacobu Careerによる採用支援を組み合わせることで、現場の持続性を高められます。
Hacobu Careerのサービス資料は以下よりダウンロードいただけます。
まとめ
物流業界の人手不足倒産は増加傾向にあり、特に小規模事業者ほど影響が大きくなっています。背景には2024年問題による輸送力制約と、価格転嫁の遅れがあります。対策としては、「年収の壁」対応などで担い手確保を後押ししつつ、物流DXやAIの導入でムダや属人化を減らし、少人数でも回る体制をつくることが基本となります。AIについては活用意欲が9割を超える一方で実際に活用できている企業は約3割にとどまり、現場には実装の余地が大きく残されています。さらに、人手不足倒産は運送会社だけの課題ではありません。荷待ち時間の削減など荷主自身の受け入れ体制を改善して“選ばれる荷主”となり、必要な輸送力を確保し続けることも、自社の物流を止めないための重要な対策です。
クラウド物流管理ソリューション「MOVO(ムーボ)」のマーケティングを管掌し、荷主企業や物流事業者の業務デジタル化(DX)を推進。専門知識を活かし、ロジスティクス分野の専門誌への寄稿や、様々な業界団体での講演活動にも登壇。「最新ツールの普及」と「分かりやすい情報発信」の両面から、物流業界の課題解決に現場目線で取り組んでいる。 >>プロフィールを見る
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