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第2回 MOVOユーザ・コミュニティ総会 イベントリポート「荷主企業・物流事業者の相互理解を深め、物流をアップデートしよう」

Hacobuは、MOVOをご利用いただいているユーザの皆様が集まり、語り合える場「MOVO ユーザ・コミュニティ」を開催しています。2024年2月22日「第2回MOVOユーザ・コミュニティ総会」を開催しました。当日の様子をご紹介します。

「MOVOユーザ・コミュニティ」とは?

MOVOを通じて物流を改善、改革しようとする方々が集う場です。

物流現場にデジタルツールを導入していくことは、初めての経験という方も多くいらっしゃいます。だからこそ、他社の取り組みが、自社の悩みを解消するヒントになります。また、共に進む仲間の存在に励まされる、そんな場になればと思い、「MOVOユーザ・コミュニティ」を企画しています。

2024年のコミュニティテーマは「荷主企業・物流事業者の相互理解を深め、物流をアップデートしよう」と掲げました。

2023年6月に関係3省から発表された「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」の冒頭でも、「効率的な物流を実現するためには、発荷主事業者、物流事業者、着荷主事業者が連携・協働して、現状の改善を図るための取組を実施することが必要である」と述べられています。荷主企業-物流事業者の相互理解を深めていきたいという思いを込めてテーマ設定をしました。

当日のプログラム

・Hacobuご挨拶
・ユーザ・セッション#1(デンソー様 ご登壇)
・ユーザ・セッション#2(鴻池運輸様 ご登壇)
・ディスカッション
・「Innovative Logistics Leaders」表彰式
・懇親会

Hacobuご挨拶

冒頭、Hacobu 取締役 執行役員COOの坂田優から、MOVOの進化についてお話ししました。

(坂田)政府は2024年2月13日に、物流2024年問題に対応する改正法案を閣議決定しました。

同じく政府より発表された「2030年度に向けた政府の中長期計画」では、「デジタル技術を活用した物流効率化」「バース予約システムの導入促進」「荷主・物流事業者のデータ連携を通じた共同輸配送の促進」といった、「データ活用」について触れられています。

こうした時流を踏まえ、Hacobuは「政策への対応」と「データ活用」という方向性でMOVOを進化させてきました。

例えば、実運送事業者の名称を記載した「実運送体制管理簿」の作成が、貨物自動車運送事業法で元請事業者に義務付けられることに合わせ、配送案件管理サービス「MOVO Vista」に、実運送体制管理簿を簡単に出力できる機能を実装しました。

Hacobuは、企業や業界の枠を越えた物流ビッグデータの蓄積・活用基盤となる「物流情報プラットフォーム」の構築を目指しています。人手不足や長時間残業といった物流課題を解決するためには、様々なステークホルダーと連携しながら、「どのような荷物が、どこからどこへ、どのような手段で運ばれているのか」というデータを集めて可視化することが重要です。Hacobuは、こうした情報をMOVOを通じてデータとして蓄積・活用することで、全体としての物流を最適化することを目指しています。

実際に、利用事業所数は約4年で6倍弱、利用ドライバー数は約4年で5倍弱となりました。それに伴い、MOVOのシステム上でやり取りされるデータ量は4年で4倍強となり、122万件のデータが蓄積されています。

MOVO Berthの物流ビックデータから共同配送の実現可能性に関する分析も行っています。

https://hacobu.jp/news/6988/

Hacobuは、「データドリブン・ロジスティクスが社会課題を解決する」という信念のもと、データを活用した物流改善に取り組んでまいります。

今後も、ユーザの皆様の意見を元にプロダクトを進化させていきたいと考えています。ユーザ・コミュニティで皆様と一緒に議論し、学ばせていただきたい考えです。

ユーザ・セッション

当日はMOVOユーザ2社の方にご登壇いただきました。

株式会社デンソー 生産管理部 物流改革室 国内物流購買課長  及川 明彦 様  

「物流効率化活動における、荷主企業と物流事業者の相互理解」

自動車部品メーカー大手のデンソー様は、物流事業者との対話を進めながら「物流の改善を進めていく主体者」としての取り組みを行っています。物流事業者とのコミュニケーションの場を、どのように設定しているのかをお話しされました。

「物流事業者に対しては、運行管理や輸送品質の維持・向上を期待しています。その一方で、日々の業務における課題、効率化の方法を荷主企業としてケアできる関係性でありたいと考えています」と、デンソーの及川様は語りました。

鴻池運輸株式会社 東日本支店 営業革新部 グループリーダー 輪千 雄一 様

「物流改善の取り組み状況と、荷主企業との理想的な関係について」

続いて、物流事業者である鴻池運輸様から「対話」による物流改善についてお聞きしました。

荷主企業との関係性においては、「荷主企業には改善に向けて主体的に動いていただき、物流事業者はそれに対して、安全・品質を担保しつつ応えていく関係性がよいのではないか」と語ります。

そのために、鴻池運輸の輪千様は、日頃から「荷主企業に実態を認識してもらうこと」「お互いが目線を合わせて話ができる環境を作ること」を意識し、荷主企業との対話を続けています。

ディスカッション

2つのテーマで、7テーブルに分かれディスカッションを行いました。

テーマ1:「荷主企業と物流事業者の相互理解度」は、あなたが考える理想に対し、現状は何点ですか?その理由は、何でしょうか

平均48点、下は5点、上は90点と幅があり、荷主企業がつけた点数が物流事業者に比べ高い結果となりました。ある荷主企業からは「最近まで100点だと思っていたがそうでないことに気付いた」とのお話もあり、お互いの認識の違いを知る場となりました。

【参加者の声(一部)】

・対話の場はあるが目的が定まっていない。KPI管理ができていない

・お互いが何を求めているのかが本当の意味で理解できていないように思う

・意思は統一されても、細かな論点にまで落ちていない印象、手探り状態

・それぞれの仕事の中身がわかっていないため共感しにくい

・上層部同士は仲が良いが、実務レベルはコミュニケーションする機会すらないのが現状

・荷主に本音は伝えにくい。言っても聞いてくれないと思うので言わなくなっている人も多いのではないか

・物流事業者さんに歩み寄りたいが、値引きされるのを懸念してオープンに会話してもらえないことがある

テーマ2:どうすれば「荷主企業と物流事業者の相互理解度」は高まると思いますか?ユーザ・セッションからのヒントや、独自の取り組みをお話しください。

ユーザ・セッションでのメッセージ「荷主企業が改善の主体者となる」「視点を合わせる」に近い意見の他、商習慣の是正や、荷主間でもっと連携をすべきではないかとの意見が出ました。また、あるテーブルでは、「荷主企業に対して、コスト構造をどこまで開示するか」について議論が繰り広げられました。

【参加者の声(一部)】

・得意先荷主企業が音頭を取っているところはコミュニケ―ションが上手く出来ている

・そもそも「理想がズレている」をどう修正するかが大事なのではないか

・商習慣の是正が相互理解の向上に繋がるのではないか

・食品では、お盆などの波動で車を用意するが積載が落ちてしまうことがある。まずは、製造、卸、販売の三者がしっかり連携する必要があるように思う

・荷主・倉庫・運送会社が一堂に会することになっても言葉が通じない。共通言語が必要

・共通のデータを見て、実態をベースに議論する必要がある。MOVO Berthから得たデータは、荷主企業と物流事業者で一緒に見ることができる。このような共通で見られるデータがキーになるのではないか

・相互理解を高めるため、物流事業者へのコスト還元、その代わりにデータ共有を双方で強化するというのはどうか

「Innovative Logistics Leaders」表彰式

「Innovative Logistics Leaders」は、MOVOユーザの中から「運ぶを最適化する」ことへの情熱を持ち、高い目標に向かってチャレンジされている方、ユーザ・コミュニティ等のイベント参加を通じて、社内外で物流・ロジスティクスの進展・活性化に貢献した方に贈呈する賞です。2024年は、3名の方を表彰させていただきました。

受賞者・表彰理由

株式会社デンソー 生産管理部 物流改革室 国内物流購買課長  及川 明彦 様

「荷主企業と物流事業者の相互理解」について考えるために、具体的な取り組みの紹介や、問題提起をしてくださいました。「工程単位から、サプライチェーンのスループットへと視座を高めよう」というお話には、大きなヒントがありました。

鴻池運輸株式会社 東日本支店 営業革新部 グループリーダー 輪千 雄一 様

「荷主企業と物流事業者の相互理解は、温度差の無い関係でなくては進まない!」という熱い想いのもとに、なぜ温度差があるのか、どのように温度差を埋めていくとよいのか、現実と理想を行き来しながら、協調・協働のためのヒントを提示くださいました。

日水物流株式会社 執行役員 事業推進部 部長 瀧川 泰正 様

第1回冷凍冷蔵分科会の事例発表者としてご登壇いただき、「荷主企業との交渉にも、データを活用しよう」という呼びかけに、多くの賛同が寄せられました。こういったお言葉が24年のコミュニティテーマにもつながっております。

おわりに ーHacobu 代表取締役社長CEO 佐々木太郎より

「荷主企業と物流事業者が同じテーブルに集まって、相互理解度について点数をつける」というのは攻めたテーマだったと思います。そこまでしないと、「運ぶを最適化する」は実現できないという想いでテーマ設定をさせていただきました。

この1年の物流の世界の動きは、過去の動きと比べものになりません。物流のパラダイムシフトと言ってよいと思います。ここで必要なのが、”Think outside the box”(思い込みを、とっぱらおう)という価値観です。これは、Hacobuのバリューの一つでもあります。”Think outside the box”な取り組みに、Hacobuは伴走したいと考えています。

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