物流業務を効率化する「物流KPI」とは?3つの評価項目と計算式を解説
物流KPIを設定することで、課題の発見から問題解決、改善を行える体制が整います。日々の業務の改善が行われることで、企業の利益にもつながります。この記事では、株式会社Hacobuが物流業者の担当者様向けに、物流KPIの概要やそれぞれの指標やポイント、メリット、導入手順などについて解説します。ぜひ参考にしてください。
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2026.06.14
目次
物流KPIとは
物流KPIとは、「コスト・生産性」「品質・サービス」「物流・配送条件」において適切な管理がなされているかを判断する指標であり、物流管理指標とも呼ばれています。
自社の物流の現場を把握して、経営の効率化を目指したり、サービスの品質向上を図ったりするために用いられます。そもそもKPIとは物流以外の分野でも頻繁に使われる指標であり、「重要業績評価指標」という意味の英語の頭文字を取ったものです。
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物流KPIの3つの評価項目と計算式
物流KPIの3つの指標は、コスト・生産性、品質・サービス、物流・配送条件の3つで判断をしています。以下にてそれぞれについて解説をします。
コスト・生産性
積載率や実車率などのコストや生産性をチェックする指標です。確認する数字には以下のような例があります。積載率、実車率、保管効率、倉庫内作業のひとり当たり生産性などがあります。
積載率=積載数量÷積載可能数量実写率=実写距離(km)÷走行距離(km)保管効率=保管間口数÷総間口数倉庫内作業のひとり当たり生産性=処理ケース数÷投入人時
- 積載率=積載数量÷積載可能数量
- 実写率=実写距離(km)÷走行距離(km)
- 保管効率=保管間口数÷総間口数
- 倉庫内作業のひとり当たり生産性=処理ケース数÷投入人時
また、数量当たり物流コストとは、出荷した数量に対して物流費がどれだけ発生しているかを示す指標であり、荷量の増減に左右されにくい形でコスト水準を把握できます。
計算式は「数量当たり物流コスト=物流コスト÷出荷数量(ケース・重量・容積など)」です。
日次収支は、日々の採算を短いサイクルで確認するための指標で、車両別や拠点別に算出すると課題箇所が特定しやすくなります。
計算式は「日次収支=1日当たりの収益-1日当たりのコスト」です。実働率は、営業日数のうち実際に稼働した日数の割合を表し、非稼働日の発生や車両・要員の過不足を点検するのに有効です。計算式は「実働率=実働日数÷営業日数」です。
品質・サービス
品質についてクレーム発生率や誤出荷率などのサービスレベルを図る指標として使われています。例えば、棚卸差異やクレーム発生率、誤出荷率、汚破損率、クレーム発生率などがあります。
棚卸差異=棚卸差異÷棚卸資産数量誤出荷率=誤出荷発生件数÷出荷指示件数(受注数)クレーム発生率=クレーム発生件数÷出荷指示数(受注数)汚破損率=汚破損発生件数÷出荷指示数(受注数)
- 棚卸差異=棚卸差異÷棚卸資産数量
- 誤出荷率=誤出荷発生件数÷出荷指示件数(受注数)
- クレーム発生率=クレーム発生件数÷出荷指示数(受注数)
- 汚破損率=汚破損発生件数÷出荷指示数(受注数)
また、遅延・時間指定違反率とは、納品遅れや時間指定に対する違反の発生頻度を数値で捉える指標であり、輸送品質や納品先の信頼性に直結するため、サービスレベル管理の基礎となります。
計算式は「遅延・時間指定違反率=遅延・時間指定違反発生件数÷出荷指示数(受注数など)」です。
例えば繁忙期にこの割合が上がる場合、配車計画や荷待ち・荷役のボトルネック、納品先の受入体制など、遅延要因を分解して改善論点を整理しやすくなります。
物流・配送条件
配送頻度や出荷ロットなどの物流、配送条件を図る指標として使われています。例えば、配送頻度、納品先待機時間、出荷ロットなどがあります。
配送頻度=配送回数÷営業日数納品先待機時間は待機時間の平均値で求めます出荷ロットの計算式はなく、出荷先のロットサイズを明確にし、管理をしやすくします。
- 配送頻度=配送回数÷営業日数
- 納品先待機時間は待機時間の平均値で求めます
- 出荷ロットの計算式はなく、出荷先のロットサイズを明確にし、管理をしやすくします。
また、出荷指示遅延件数は、納品期日を過ぎてから出荷指示を出した件数を捉える指標であり、輸送側の努力だけでは解消しない遅延要因を見える化できます。納品付帯作業時間は、開梱・検品・棚入れなど納品時に発生する付帯作業の時間を平均化したもので、契約外作業の常態化や受入条件の過重さを把握するのに有効です。
納品付帯作業実施率は、納品回数に対して付帯作業が発生した割合を示し、「納品付帯作業実施率=付帯作業実施回数÷納品回数」で算出します。時間と実施率を併用することで、条件見直しの優先度が判断しやすくなります。
物流KPIを設定するメリット
物流KPIを設定するメリットは、問題の可視化、平等な評価、コミュニケーションの促進などがあります。それぞれの詳細について以下で解説します。
問題の可視化
物流業務は全体のプロセスを可視化することが難しいと言われています。そのため、問題が生じても可視化できないことが多々あるでしょう。しかし、業務を改善させるためには問題点を発見し明確にする必要があります。
KPIを設定するメリットは、この可視化にあります。定量的なデータを蓄積、可視化することで、業務プロセスを客観的に把握可能です。その結果、問題がどこにあるのかの仮説が立てられるようになります。問題解決への意識向上ができ、解決へと導けるでしょう。
平等な評価
現場の問題点を解決して、改善していくためには会社全体の協力が必要です。協力を得るためには、努力が公平に認められる環境がある方がよいでしょう。KPIという客観的な数値があることで、現場の努力が見える化されるため、平等な評価が可能となります。
結果、従業員のモチベーションを向上させることにもつながるでしょう。また、KPIを設定することで主観的な判断や評価を排除することになり、不公平な評価がなくなれば、働く人同士の人間関係改善も期待できます。
コミュニケーションの促進
物流は業務プロセスが多岐に渡り、非常に多くの人が携わる仕事です。たとえば、引き渡し先の業者や作業会社、荷主などとの接点があります。現状の業務をもっとより良い形に改善していくには、関係者同士の協力は必要不可欠でしょう。
そこで共通のKPIを設定すれば、たとえ多くの人が関わっていたとしても、問題点や現状認識を共有できるようになります。客観的な判断ができるため、スムーズにコミュニケーションがはかられ、より良い人間関係を構築できるようになるでしょう。
物流KPIの導入手順
物流KPIの導入手順は次の通りです。
①基盤整備
②戦略、目標数値の設定
③導入の準備
④運用開始
それぞれについて概要やどのようなポイントがあるのか解説します。
①基盤整備
物流KPIを始めようとする前に、まずは、目的や目標値が設定されているという前提で、データの入手経路の確保や、既存データの整理、必要なデータが入手可能かを明確にします。
データを元にして分析を行い、現状把握をします。専門的な部署を作ることで、データ抽出に専念できますが、通常業務と合わせてデータを取らないといけないため、データを最大限に活用することが、コストカットにつながります。
②戦略、目標数値の設定
既存データを集めてこれまでの分析をした後は、全体の目標値の設定や戦略を策定しましょう。業務改善をするときに大切なことは、目的をはっきりとさせることです。物流KPIでも目的を明確にすることは必須です。また、仕組み化にも必要なので、数値の測定頻度や管理方法なども明確にしましょう。
③導入の準備
戦略・目標数値の設定が完了したら、社内でKPIを浸透させるため、数値共有のためのルールを作成します。また、新たな評価基準の認知度を高めるために、社内研修などの教育も行います。荷主の協力が必要になる可能性も考えて、物流KPIが達成することで得られるメリットなどをわかりやすく説明しておき、協力体制を得られるようにしましょう。
④運用開始
ここまで準備が整った後は、実際に物流KPIに基づき作業の評価を行います。目標値や評価基準に関してはPDCAサイクルを回しながら逐一見直し、改善が必要になると導入時と同じように、社内全体に浸透させていきます。物流KPIを運用させるには、関係者一人一人の協力が必要不可欠なので、意識して取り組めるような工夫をしましょう。
物流KPIを設定するポイント
経営目標の達成には、各部門と取引先とを連携した統合的な管理が重要です。連携し、物流部門、企画開発部、生産部、営業部との連携で各部門のKPIに基づいて行動をします。物流KPIを設定するポイントは以下のとおりです。
明確な数値を設定するPDCAサイクルを回す荷主としっかり連携を行う
- 明確な数値を設定する
- PDCAサイクルを回す
- 荷主としっかり連携を行う
以下にてそれぞれを解説します。
明確な数値を設定する
KPIとは数値目標なので、まずは明確な数値である必要性があります。また、目標達成のために設定する数値なので、日常的に数値が見えるような仕組みづくりをしましょう。
経営者や責任者だけでなく、現場の担当者や従業員など社内全体で数値目標を共有することが重要です。その際には、わかりやすい数値にして共有をすることで、社内全体に浸透しやすく、日々の業務に目的意識も芽生えやすくなります。
PDCAサイクルを回す
PDCAサイクルとは「Plan・Do・Check・Action」の略で計画→実行→評価→改善のサイクルを回すことを言います。生産管理や品質管理といった、管理業務に対して、継続して改善をするために多くの企業で使われています。
物流KPIにおいて、PDCAサイクルは非常に大切なことです。KPIのPDCAサイクルを導入するために、数値を明確化し、体制を作り、KPIを測定し、そして改善をするという流れが重要です。このサイクルを円滑に回すように、社内でのKPIに対しての意識や仕組みも考えなければなりません。
荷主としっかり連携を行う
自社でPDCAサイクルを円滑に回せるようになったのならば、次は荷主とも連携を行い全体でPDCAを回す必要があります。
荷主も含めたプロセス全体の改善点を把握して、KPIを測定して、PDCAサイクルを回していきましょう。すでに自社内でPDCAを回しているので、KPIのノウハウがあるために、荷主に対しても適切な業務改善点を提示できるようになり、現実的な改善が可能になります。
各部門との連携を行う
マネジメントには、各部門と連携したKPI設定が重要になります。各部門にKPIに基づく行動は必要ですが、追求しすぎても、経営目標の達成ができるとは限りません。
ロジスティクス指標から各部門の指標を連携させ、企画計画や生産計画などと紐づけるように行うとよいでしょう。ロジスティクスKPIのフレームワークなどを用いて、マネジメントをするのもよいかもしれません。
物流KPIの導入で物流改善に成功した事例
物流KPIは、現場の感覚や個別最適に頼りがちな改善活動を、事実に基づく共通言語へ変えるために有効です。
例えばスギ薬局では、全国の物流センターの情報を集約し、統一KPIで管理・改善できる体制を整えることで、待機削減などの物流課題の改善につなげています。導入当初は「2時間以上待機する車両」の比率が一定程度見られたものの、運用データを基に改善を重ね、現在は「30分以上の待機」をKPIとして管理する段階へと進めています。KPIを月次で共有し、センター間で改善・悪化の理由を議論できる形にした点も、継続的な改善を後押しします。
詳細はこちら:https://hacobu.jp/case-study/7375/
物流課題をDX化で解決するなら「Hacobu」
物流課題の改善を継続して進めるには、KPIを「設定して終わり」にせず、実績データを安定的に収集し、関係者が同じ指標で議論できる状態をつくることが重要です。Hacobuの物流DXツール「MOVO」は、入出荷や輸配送の実績をデータで可視化し、課題の特定から改善の打ち手検討までを支援します。現場の業務負荷を抑えながら、待機・荷役・配送条件といった論点を継続的に管理したい企業にとって、KPI運用の基盤として活用しやすい選択肢です。サービスの全体像は、物流DXツール「MOVO」(https://hacobu.jp/movo/)をご覧ください。
まとめ
物流KPIは「コスト・生産性」「品質・サービス」「物流・配送条件」の3観点で物流の状態を定量的に把握し、課題発見と改善につなげるための指標です。運用を定着させるには、現場・管理部門・取引先まで関係者が同じ指標で状況を共有し、改善の目的とメリット(コスト削減、品質向上、納期遵守など)を役割ごとに腹落ちする形で伝えることが重要です。
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