倉庫の人手不足対策とは?採用に頼らず現場を回す考え方と進め方
目次
はじめに
倉庫を含む物流の現場では、人手不足が一段と深刻化しています。求人を出しても応募が集まりにくく、採用しても定着せず、さらにベテランの退職でノウハウが途切れる。こうした状況で「人を増やして解決する」発想だけに頼ると、同じ問題が繰り返されがちです。物流領域全体の人手不足の背景や対策は、物流業界で人材不足の原因とは?解決策や人手不足解消の成功事例を紹介でも整理しています。
本記事では「人が増えない時代に倉庫はどう回すべきか」をテーマに、現場でよく伺う悩みを整理した上で、限られた人員でも現場を回し続けるための考え方と、その実現手段を解説します。結論から言えば、倉庫の生産性を左右しているのは作業量そのものよりも、到着時間・荷物・情報の「不確実さ」を人力で吸収している構造であり、これを仕組みとデータで減らすことが鍵になります。なお、倉庫管理の効率化アイデア10選|業務改善のポイントと企業事例も紹介では、庫内の改善アプローチをより具体的にまとめています。
本記事の内容は以下より資料としても保存いただけます。
物流現場でよく伺うお悩み
倉庫の運用についてお話を伺うと、人手不足そのものに加えて、業務の属人化や業務負荷の集中がセットで起きているケースが少なくありません。

たとえば、
- 求人を出しても応募が来ないため、今いるメンバーで回すしかない。
- 採用や育成にコストをかけても、定着しないまま離職する。
- 配車担当や特定の担当者にしか分からない業務があり、その人が休むと現場が回らない。
- 定年退職でベテランが現場を離れ、技術や判断のノウハウが引き継がれない。
- 電話対応や社内確認が多く、そのたびに作業が止まってしまう。
- 出荷計画の変更など突発対応が発生し、一日の予定が崩れてしまう。
こうした悩みは、現場の忙しさを増幅させ、さらに人が辞めやすい環境をつくる要因にもなります。
物流現場の課題=人を雇えば解決するではない理由
物流現場の課題を「人を雇うこと」で解決しようとしても、仕組みが変わらなければ同じ問題が繰り返されてしまいます。人材確保のハードルが年々上がる中では、採用を強化しても人が集まらない、集まっても戦力化に時間がかかるといった状況が起きやすく、さらに残業が常態化している職場では定着にも課題が残ります。
このとき重要なのは、「突発的な対応に追われる毎日」や「あの人がいないと回らない」が常態化している状態から、仕組みで回り、人は考える作業に集中できる状態へ移行することです。
言い換えると、誰でも同じ品質で回せるように業務を設計し、情報を可視化し、判断のルールを明確にすることで、人が増えにくい環境でも運用が破綻しない形をつくることが必要になります。

同じ人数でも「回る現場」「回らない現場」の違い
人数や荷量などの条件が同じでも、スムーズに回る現場と回らない現場が生まれます。この差は、現場の構造から生じている可能性があります。
回らない現場では、トラックの到着時間が読めず、時間帯によってトラックが集中したり、逆に少ない時間帯に手待ちが発生したりします。配車担当にしか分からない業務があり、担当者不在で停滞することもあります。さらに社内確認がたびたび発生して業務が止まり、結果として現場は「常に忙しい」状態になります。
一方で回る現場では、事前にトラックの到着予定が分かり、入荷・出荷の作業計画を立てています。業務が標準化されてチーム全員で回せる体制が整っており、物流情報が可視化されて社内の誰もがリアルタイムに確認できる状態に近づいています。つまり、現場を回す力は、現場の段取りと情報設計によって大きく変わります。
現場の忙しさを生んでいる正体
現場の忙しさを生んでいるのは、作業そのものではないかもしれません。到着時間がわからない車両、いつ届くかわからない荷物、どこにあるかわからない情報。こうした不確実さがあると、現場は「今すぐ確認する」「電話で聞く」「人が見に行く」「都度判断する」といった人力の対応を増やさざるを得ません。
結果として、現場の仕事は「荷役や仕分け」といった作業だけでなく、不確実さに対処するための確認・調整・連絡・やり直しが膨らみます。人手不足が深刻なときほど、この追加負荷は致命的になります。だからこそ、限られた人数で現場を回すには、現場に不確実さを持ち込まない設計と、状況を見える化して都度の判断を減らす設計が重要になります。

限られた人員で現場を回すための3つの考え方
限られた人数で現場を回し続けるには、人が担っている「確認・判断・転記」といった周辺業務を見直し、三つの視点で負荷を減らすことが重要です。

1. 突発的な対応を減らす
運送会社からトラックの到着時間や荷物などの情報を事前に共有してもらい、入荷・出荷の進捗をリアルタイムに可視化します。そうすることで、作業の優先順位や人員配置を当日の状況に応じて柔軟に調整しやすくなります。
2. 判断・調整を現場から切り離す
どのバースにどのトラックを接車させるか、次の車両の呼び出しタイミングをどうするかといった判断は、ルールが曖昧だとベテランに集中し、属人化しやすくなります。判断基準をルールとして定義し、誰が見ても分かる形にすることで、担当者不在でも回る状態に近づきます。配車判断についても、どの運送会社にどの案件を振るかを可視化し、判断の再現性を高めることが重要です。
3. 人がやらなくてよい作業を減らす
紙の帳票をデータとしてデジタル化し、システムへの転記工数をなくします。あわせて、トラックの到着確認やバース呼び出しの電話連絡など、人手で回している連絡業務も減らします。こうした作業は、一つひとつは小さく見えても、積み重なると大きな負荷になり、ミスや手戻りを生みます。人手が増えにくい時代には、まず「人がやらなくてよい作業」を洗い出し、順番に減らしていくことが現実的なアプローチになります。
限られた人員で現場を回すための選択肢
人も予算も限られる中で「人を増やさずに現場を回す」第一歩として、費用を抑えられ、すぐに使い始められる物流DXツールの活用が選択肢になります。

採用による解決は、採用コストに加えて人件費が継続的にかかり、採用難や戦力化までの時間といった不確実さも伴います。設備投資による省人化は効果が大きい一方で、投資額が大きく導入期間も長くなりやすい特徴があります。
物流DXツールは、月額のシステム利用料から始められるものもあり、導入後すぐに運用に乗せやすい点が特徴です。一方で、現場の作業員がITツールに不慣れな場合には、操作定着のためのフォローが必要になります。重要なのは、ツール導入自体を目的にするのではなく、先ほどの三つの考え方、すなわち突発対応の削減、判断・調整のルール化、不要作業の削減に対して、どの業務から効果が出やすいかを見極めることです。物流DXとは?課題解決と2024年問題対策、業界特有の成功事例を解説もあわせてご覧ください。
物流DXツールの活用で効果が出やすい業務
物流DXツールの活用で特に効果が出やすいのは、予定と実態がずれやすい業務、転記作業や電話連絡など情報の受け渡しが多い業務、判断が特定の人に集中している業務、そして作業そのものより段取りに時間がかかる業務です。
こうした業務は、不確実さが大きく、人力での吸収コストが膨らみやすい領域でもあります。倉庫運用の改善を進める際は、現場のどこに不確実さが多く、どこで確認・連絡・待ちが発生しているかを起点に、改善対象を選ぶと効果につながりやすくなります。

具体的には、配送依頼の領域で協力会社との電話やFAXのやり取りが多い場合や、請求書の突合に時間がかかっている場合は、受発注や情報連携のデジタル化が有効になり得ます。
受付や事務の領域では、トラックの入退場時間を紙の受付簿で記録し、終業時にExcelへ転記している運用や、FAXやPDFで受け取った依頼書や発注書を基幹システムへ手入力している運用は、転記工数やミスが蓄積しやすい典型です。庫内業務全体を支えるシステムとしては、WMSとは?基本機能や導入メリット、導入事例をわかりやすく解説も参考になります。
バース管理の領域では、バース呼び出しや誘導、稼働状況の現場確認が人に依存していると、電話や移動、待ちのロスが増えやすくなります。
物流業務効率化にはMOVO
こうした「不確実さ」と「人力の吸収コスト」を減らし、物流をデータで可視化して課題解決へ導く手段として、物流DXツール「MOVO」があります。物流業務効率化から法対応、輸送コスト削減まで、物流DXの取り組みを支援するサービス群として提供されています。
以下では、「人を増やさずに現場を回す」という観点から、代表的なサービスを紹介します。

トラック予約受付サービス「MOVO Berth」
MOVO Berthは、入場予約と入退場受付によって、物流センターや工場におけるトラック車両の待機削減や生産性向上を支援するトラック予約受付サービスです。事前に入場時間を予約し、入場受付から荷役開始、荷役終了、退場までの流れをデータで扱えるようにすることで、現場の段取りを立てやすくし、当日の状況把握と調整をしやすくします。

現場で起きがちな「守衛・受付担当を専任でつけている」「現場作業者が到着台数やバース割り当てを確認するために現場へ見に行く」「リフトマンが電話でバース呼び出しをする」「受付簿を事務員がExcelへ転記する」「集計はしているが荷待ち・荷役時間の分析まで手が回らない」といった状況に対して、MOVO Berthは省人化と可視化を支援します。
たとえば、受付にタブレットを設置したり、スマホのオンライン受付やQRコード受付を活用したりすることで、守衛・受付人員の負荷を下げることができます。現場作業者が現場へ行かずとも画面上でバースごとの稼働状況を把握し、割り当てを支援することで、確認のための移動や都度の調整を減らせます。電話によるバース呼び出しに依存している場合でも、適切なバースへの呼び出しを支援し、連絡工数を減らすことができます。さらに受付情報の集計や、入退場時間、荷待ち・荷役時間の分析に必要なデータを蓄積しやすくなり、改善サイクルを回す土台になります。
配車受発注・管理サービス「MOVO Vista」
MOVO Vistaは、荷主・元請け・物流事業者間をデジタルでつなぎ、輸配送業務を支援するクラウド型物流サービスです。受発注管理や案件一覧・ステータス管理、配送依頼・承諾、運賃収支管理に加え、法改正対応やデータ分析、AIアシスタントといった機能群を通じて、輸配送業務の属人化と非効率を減らすことを狙います。

配車依頼や変更、車番回収が電話やFAX中心になっている現場では、やり取りのたびに業務が割り込まれ、管理者や担当者が事務作業に忙殺され、残業が常態化しやすくなります。また、配車判断が担当者の頭の中にあり独自ルールで運用されていると、担当者不在で業務が停滞し、引き継ぎや標準化が進みません。さらに、配車の効率化に向けた分析に使えるデータが残らないことで、改善の打ち手が属人化しやすくなります。
こうした状況に対して、システム上で一元管理し、電話やFAXでのやり取りを減らすことで、他の業務にリソースを割ける状態をつくります。案件情報の作成や依頼先・依頼金額の提案、蓄積データの分析といった支援により、属人化の解消と改善活動の推進を後押しします。
AI-OCRサービス「MOVO Adapter」
MOVO Adapterは、生成AIが帳票を物流データに変換し、物流領域の紙業務を起点からデジタル化するAI-OCRサービスです。単に文字をデータ化するのではなく、物流システム上にデータとして流し込むことをゴールに設計されている点が特徴で、企業ごとに異なる配送依頼書なども項目指定でデータ化し、基幹システムやMOVOシリーズが取り込める形式に整理・補正して出力することを狙います。

FAXやPDFで届く配送依頼書や発注書を、1件ずつ手作業で基幹システムへ打ち込んでいる場合、転記ミスによる差し戻しや修正対応が常態化し、配車や出荷指示まで遅れが波及しやすくなります。MOVO Adapterにアップロードして生成AIが自動でデータ化し、CSV出力でそのまま取り込みやすくすることで、転記工数を減らし、ミスによる手戻りを減らすことが期待されます。
MOVOで限られた人数でも回せる現場へ
MOVOの導入は、今いる人数のまま現場を円滑に回し続けるための仕組みづくりの第一歩です。担当者が休むと現場が回らない、電話対応や社内確認が多く作業が止まる、終わらない業務は残業でカバーするといった状態から、業務を標準化して誰でも同じ品質で回せる体制へ、仕組みで回ることで人は考える作業に集中できる状態へ、そして業務を自動化し定時内で完結できる設計へと移行することが、今後の人材環境を踏まえると重要になります。

まとめ
人手不足が続く時代に倉庫を回すためには、採用の強化だけでなく、現場の不確実さを減らし、判断をルール化し、不要な作業を減らすという視点で運用を組み替えることが重要です。現場が忙しくなる正体を「不確実さ」と捉え、データと仕組みで吸収する設計へ移行できれば、同じ人数でも回る現場に近づきます。
取り組みの第一歩としては、予定と実態がずれやすい業務、情報の受け渡しが多い業務、判断が特定の人に集中している業務、段取りに時間がかかる業務から改善対象を選び、可視化と標準化を進めることが現実的です。その際、トラック予約受付、配車受発注・管理、紙帳票のデジタル化といった領域は効果が出やすいポイントになります。よりハード寄りの省人化・自動化の進め方は、物流倉庫の自動化によるメリットとは?実践方法、成功事例を解説も参考になります。
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