物流効率化法対応の中長期計画の書き方|サンプル付きで解説
2024年の物流効率化法(物効法)改正により、特定事業者に該当する企業は、中長期計画の提出が義務化されました。提出期限は2026年10月末。「何をどう書けばいいのか」「推進体制をどう整備すべきか」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、物流DXコンサルティングのHacobu Strategyを提供する物流DXパートナーのHacobuが、中長期計画の作成方法と推進体制の整備について、具体的なサンプルを交えて解説します。
この記事でわかること
- 物効法対応は特定事業者に限らず、全ての企業が取り組むべき課題である
- 中長期計画は「フォーマットを埋める」のではなく、自社の物流全体を把握した上で作成する
- CLO(物流統括管理者)を1人で担わず、CLO室を設置してチームで対応することが有効
目次
物流効率化法に対応するためにやるべきこと
全企業が物流の効率化に取り組む必要がある
物効法への対応を検討する際、「自社が特定事業者に該当するかどうか」が気になるポイントでしょう。しかし、物効法の趣旨を紐解くと、「特定事業者に該当するかどうかでやらなくていい、やらなきゃいけない」という話ではありません。そもそも全ての企業が物流の効率化に取り組まなければならないというのが、法律の本来の趣旨です。

つまり、まず取り組むべきは「自社の物流の問題点は何か」を点検し、その課題解決のための行動計画を立てることです。その上で特定事業者に該当する場合は、中長期計画を国に提出する必要があります。
そして重要なのは、中長期計画のフォーマットを「何らか埋めればそれでOK」というわけではありません。持続可能な物流の構築に向けた方針や取り組みをしっかり整理した上で、国が求める「積載効率の向上」「荷待ち時間の短縮」「荷役等時間の短縮」についてピックアップしたものを反映させる、という順番で取り組む必要があります。
まずは自社の物流の問題点を把握することから始めましょう。貴社の物流課題は何でしょうか。

中長期計画提出までのスケジュール感
2026年において、中長期計画の提出期限は10月末となっています。7月までには現状を把握し、戦略・取り組み方針を決めておくことをお勧めします。
現状把握から戦略策定までは、場当たり的に進めるのでも期限を定めずに長期化させるのでもなく、100日プランとして短期集中で3、4カ月で実施するのが効果的です。
100日プランは以下の3ステップに分けて進めます。
- 0~30日:組織準備・立ち上げ+現状把握
- 30~60日:目指すべき姿・戦略の策定
- 60~100日:短期施策の実行+中長期計画の具体化

物流変革の100日プラン
100日プランとは、3か月程度でスピーディに実態把握から戦略策定、短期施策の実行までを一気通貫で進めるアプローチです。短期間で方向性を明確化し、目に見える成果を出すことで、社内の信頼醸成にもつなげることができます。
0~30日:組織準備・立ち上げ+現状把握
最初の30日間は、プロジェクトを立ち上げ、関係部門への説明と巻き込みを進めます。並行して定量データの収集・分析と定性分析を実施し、自社物流の課題を抽出します。
30~60日:目指すべき姿・戦略の策定
現状把握を踏まえ、次の30日間は戦略フェーズです。自社が目指すべき物流の姿を策定し、取り組みの優先順位付けとロードマップの設計を行います。
60~100日:短期施策の実行+中長期計画の具体化
最後の40日間では、即効性のある短期案(Quick Win)の実行に着手します。成果を確認しながらギャップ分析を行い、社内外への成果発信も進めます。また、100日以降を見据えて改革アイテムの具体化、実施状況のモニタリング・改善サイクルの設計、中長期プランの実行計画策定にも取り組みます。

特に今回の物効法対応で組織を整理し直す場合や生産・調達部門などを巻き込んでいく場合、社内で「どういう取り組みをやるのだろうか」と不安に思われることもあるでしょう。小さなことでもいいから効果を出していくような取り組みは、社内の信頼獲得という観点でも非常に重要と考えています。
現状把握の方法(物流マップ)
現状把握の方法としてお勧めするのが、物流マップの作成です。物がどこからどのように流れていて、どこに問題があるかをプロットする活動です。
物流マップの作成には、定性分析と定量分析の2つのアプローチがあります。
- 定性分析:物の流れを図示し、現場視察や関係者へのインタビュー、アンケートなどで問題点を把握する
- 定量分析:問題箇所の荷待ち時間や積載率などを数値で把握する

定量分析で数値を押さえておかないと、議論が空中戦になってしまいます。中長期計画において求められる「積載効率」と「荷待ち・荷役時間」の現状をしっかり把握しておくことが重要です。
中長期計画に反映が必要な積載効率、荷待ち時間、荷役時間については、全体を網羅的に把握しておく必要があります。特に国から実態などについて指摘が入った際にも、現状を定量的に捉えていることで的確な対応が可能になります。
また、ルート・エリア別、商材別、車格別、委託運送会社別のように細かく分析できると具体的な改善策が実行しやすくなります。倉庫・物流拠点の観点では、拠点別、商材別の分析が具体的な打ち手につながります。

物流戦略・実行計画の策定
現状把握で明らかになった課題をもとに、解決に向けた戦略や打ち手を決めていきます。その際、現在の課題だけを見るのではなく、自社の事業が5年後・10年後にどうなっているかという中長期の視点も欠かせません。特に物量の増減が見込まれる場合は、その変化も加味した上で打ち手を検討することが重要です。
中長期の事業戦略からは、物流に期待される条件も変わってきます。必要なキャパシティの規模、流通加工機能の要否、CO2削減目標への対応など、将来の事業環境が物流に求める要件を整理しておきましょう。
こうして「現状の課題」と「中長期で物流に期待される条件」を掛け合わせることで、自社の物流変革の戦略が定まります。その戦略を起点に、すぐに着手できる短期施策と、時間をかけて取り組む中長期の実行計画に落とし込んでいきましょう。

中長期計画の作成方法
中長期計画を作成する対象
中長期計画の提出が必要なのは、以下の「特定事業者」に該当する方々です。
| 特定事業者の種類 | 基準 | 計画に書く項目 |
|---|---|---|
| 特定第一種荷主 | 年間貨物量9万トン以上 | 積載効率・荷待ち・荷役等時間 |
| 特定第二種荷主 | 年間貨物量9万トン以上 | 積載効率・荷待ち・荷役等時間 |
| 特定連鎖化事業者 | 年間貨物量9万トン以上 | 積載効率・荷待ち時間 |
| 特定貨物自動車運送事業者等 | 保有台数150台以上 | 積載効率 |
| 特定倉庫事業者 | 年間保管量70万トン以上 | 荷待ち・荷役等時間 |
なお、複数の特定事業者に該当するケースもあります。荷物量が大きい企業では、特定第一種荷主と特定第二種荷主の両方に該当することもあるため、しっかり確認することをお勧めします。
参考:特定荷主とは?物流効率化法における基準や義務、行政処分、中長期計画・定期報告の様式を解説
中長期計画作成の3つのポイント
中長期計画を作成する際のポイントは以下の3つです。
1. 課題の特定と解決策
積載効率の向上、荷待ち時間や荷役等時間の短縮について、自社の課題を特定した上で解決策を書きましょう。「全体」ではなく、どのルート、どの拠点、どの商材の物流なのかを具体化し、なぜその問題が発生しているのかを特定することが重要です。
2. 具体的に書く
取り組み内容を書く際には、「現状がどうか」「何をすると解決できそうか」「いつまでにどれくらい(目標値)」の3つをできるだけ具体的に記載しましょう。課題と目標は定量的に書くことが重要です。
(例)
課題:「XX向けの輸送の積載率が20%と低く、このルートの積載率向上が課題」
解決手段:「業界団体の加盟企業に働きかけて、XX向け輸送の共同化を図る」
目標:「2028年度末までに、XX向け輸送の積載率を倍増の40%にすることを目指す」
3. 期間設定
中長期計画は最大5年先までを見据えて書けます。5年を超える長期の取り組みについては、5年以内で進捗が確認できる目標を置く必要があります。
特定荷主の中長期計画サンプル
中長期計画書のフォーマット
中長期計画書は以下の4章構成になっています。
- 1章: 企業名、住所、担当者名、計画期間等の基本情報(物流統括管理者の役職・氏名の記載も必要)
- 2章: 積載効率をいかに向上させるかという計画
- 3章: 荷待ち時間をいかに短縮させるかという計画
- 4章: 荷役等時間をいかに短縮させるかという計画

積載効率の向上や荷待ち・荷役等時間の短縮に向けた計画を記載する2〜4章が特に重要です。なお、この書類は国に提出する公式文書であるため、物流統括管理者が内容をしっかりとレビューする必要があります。会社によっては、法務部門の確認や経営会議での承認を経るプロセスを設けることも検討しましょう。
特定第一種荷主と特定第二種荷主の両方に該当する場合は、それぞれの立場としての取り組みを分けて記載します。どちらか一方のみに指定されている場合は、その区分のみ記載すれば問題ありません。
積載効率向上の取り組み例
積載効率向上の取り組み例としては、第一種荷主・第二種荷主それぞれ以下のような対応策が考えられます。
| 取り組み領域 | 第一種荷主の対応策例 | 第二種荷主の対 応策例 |
|---|---|---|
| 荷姿を揃えて荷台空間を最大限活用 | ・荷姿(段ボールサイズ等)の統一 ・製品設計段階でのサイズ調整 (特定の段ボールやパレットに入るサイズにする) | ・特殊形状の指定排除 |
| 「いつ・どれだけ」送るかと いうルールを見直し、1回あたりの輸送量を増加 | ・出荷量予測に基づく出荷量の平準化 ・大口発注へのインセンティブ設定 ・最小受注単位の引き上げ | ・発注単位の大型化 ・リードタイムの延長 ・時間指定の緩和 |
| トラックの「空き」を有効活用 | ・帰り便を活用した貨物輸送の強化 ・共同輸配送の促進 ・柔軟な輸配送ルートの見直し | ・帰り便への自社貨物の積載 ・共同輸配送による納品の許諾 |
| 車両等の機器・設備を大型化・最適化 | ・低床車両や可動式デッキ車両の導入 ・大型車両の導入 ・鉄道や船舶への切り替え |
このような対応策を計画書に、前述の通り、①現状(具体的、定量的に)⇒②打ち手(具体的に)⇒③目標(時期、定量)で記載していきます。
※以降で記載の内容はHacobuの考える回答例であり絶対解ではありません。各社の実情に合わせた記載が必要です。
積載効率の向上(第一種荷主の例)
| 実施措置 | 計画内容(具体的な措置の内容、目標 等) | 実施時期 |
| A地域での帰り便の積載の強化 | A地域での配送について、帰り便の積載率が平均8%にとどまる。納品先や物流企業に働きかけたり、業界団体が行うマッチングイベントへ参加したりして帰り便を利用し得る企業を見つける。帰り便の平均積載率を、2028年度末までに30%、2030年度末までに40%を目指す。 | 2026年度~2030年度 |
| 納品リードタイムの最適化 | 17時受注締め、翌日9時納品を行っており、積載率が平均で30%と低い。納品が翌々日になると積載率は60%に引き上げ可能。納品先に現状と納品時間変更の効果を定量的に示したうえで理解をいただき、2028年度末までに納品先の80%でリードタイム見直しを実現する。 | 2026年度~2028年度 |
| 製品荷姿の標準化 | 製品Aについて、現在はXXサイズの段ボールを利用しているが、T11パレットだとサイズが収まらず無駄が発生している。次期モデルでは、パレットサイズに合致する段ボールに収まるように、製品サイズを調整する。製品Aについて、2030年度末までに全量のT11パレット活用を実現する。 | 2027年度~2030年度 |
積載効率の向上(第二種荷主の例)
| 実施措置 | 計画内容(具体的な措置の内容、目標 等) | 実施時期 |
|---|---|---|
| 部品Aについて納品リードタイムの見直し | 部品Aについて、発注の翌朝9時納品の条件を緩和し、翌々日12時までの 納品とする。リードタイム見直しに向けた関係者調整を進め、2026年度末までに全量の条件変更を実現する。 | 2026年度 |
| 原料Bにおける発注単位の大型化 | 原料Bについて、1車満載での納品となる単位での発注に変更する。2026年度は発注単位見直しによる在庫量の影響などを精査し、調達先と連携して移行計画を策定する。そのうえで、2027年度に原料Bの全量の発注単位を見直す。 | 2026年度~2027年度 |
| 帰り便の活用 | 当社への納品の帰り便について、積載率が常にほぼ0%となっている。そのため、発荷主と協力して当社の輸送にこの帰り便を活用する。まずは製品CのD拠点への横持輸送に帰り便を活用することを目指し、2026年度中にトライアルの輸送を実施し実行可能性や効果検証を行う。そのうえで、2027年度には実行開始する。加えて、他の輸送での帰り便活用も検討し、発荷主の目標値である帰り便の平均積載率を40%に貢献する。 | 2026年度~2030年度 |
荷待ち時間短縮の取り組み例
荷待ち時間短縮の取り組み例としては、第一種荷主・第二種荷主それぞれ以下のような対応策が考えられます。
| 取り組み領域 | 第一種荷主の対応策例 | 第二種荷主の対応策例 |
| トラック到着時間の分散化 | ・バース予約システムの導入 ・出荷時刻の分散 | ・バース予約システムの導入 ・受付時間の拡大 ・時間指定の緩和・分散 |
| 手積み・手降ろしの削減 | ・パレット化 | ・パレット納品の受け入れ ・荷降ろし作業の自社負担 |
| 車両の到着状況や作業進捗の可視化 | ・出荷情報の事前送信 ・車両動態の可視化と共有 | ・到着予測に基づく受け入れ態勢の整備 |
| 無理な納期設定の緩和 | ・リードタイムの延長調整 | ・時間指定の緩和・分散 ・多頻度小口配送の見直し |
| トラック受け入れキャパシティ拡大 | ・自動搬送機等の導入による荷役自動化 ・作業体制強化によるバースの回転率向上 ・バース数の増強 | ・自動搬送機等の導入による荷役自動化 ・作業体制強化によるバースの回転率向上 ・バース数の増強 |
このような対応策を計画書に、前述の通り、①現状(具体的、定量的に)⇒②打ち手(具体的に)⇒③目標(時期、定量)で記載していきます。
荷待ち時間の短縮(第一種荷主の例)
| 実施措置 | 計画内容(具体的な措置の内容、目標 等) | 実施時期 |
|---|---|---|
| 出荷日時の分散 | 商習慣として月末に受注・出荷が集中している。特にA拠点の月末の荷待ち時間が平均75分となっている。そのため、納品先と調整のうえで、出荷のタイミングを分散させ、A拠点の月末荷待ち時間を平均で60分以内にする(2026年度末まで)。その取り組みをさらに進め、2028年度までに平均30分以内を目指す。 | 2026年度~2028年度 |
| 出荷情報の着荷主への連携 | 着荷主(第二種荷主)側での荷待ち時間削減に協力するため、出荷予定情報を事前に共有する。2026年度には全製品の50%での実現を目指し、2030年度までに全量について出荷予定情報の事前通知を実現する。 | 2026年度~2030年度 |
| 出荷バースの増強 | B拠点は出荷バースが1つのみであり、バース混雑によって平均荷待ち時間が80分となっている。そのため、庫内レイアウトを見直し、2026年度中に出荷バースを2つに増強する。その結果として、B拠点の平均荷待ち時間を60分以内にする。 | 2026年度 |
荷待ち時間の短縮(第二種荷主の例)
| 実施措置 | 計画内容(具体的な措置の内容、目標 等) | 実施時期 |
|---|---|---|
| バース予約システムの導入 | A拠点の平均荷待ち時間が95分となっており、バース予約システムを導入し、荷待ち時間削減を目指す。2026年度中に予約システムを導入し、2026年度末のA拠点の平均荷待ち時間60分を目指す。 | 2026年度 |
| 到着予測に基づく受け入れ態勢の整備 | B拠点は平均荷待ち時間が85分となっている。原因分析によると、荷受体制が整っていないことが主要な要因と認識している。そのため、サプライヤ―に出荷情報を連携してもらい、各トラックの到着予測を行う。その予測結果から必要な荷役体制を事前に整え、迅速な荷受け作業を行う。2026年度中に出荷情報の連携を開始し各トラックの到着予測を開始する。それを踏まえ、2027年度には予測結果に基づく体制整備を開始し、平均荷待ち時間を60分以内にする。 | 2026年度~2027年度 |
| 時間指定の緩和 | C拠点は午前の平均荷待ち時間が90分となっている。これは納品を9時~11時に限定していることが主な要因と認識している。そのため、荷受体制を見直し、2026年度中に納品時間を午後3時までに拡大する。そのことにより、C拠点の2026年度末の午前平均荷待ち時間を60分以内にする。 | 2026年度 |
荷役時間短縮の取り組み例
荷役時間短縮の取り組み例としては、第一種荷主・第二種荷主それぞれ以下のような対応策が考えられます。
| 取り組み領域 | 第一種荷主の対応策例 | 第二種荷主の対応策例 |
| 手積み・手降ろしの削減 | ・パレット化 | ・パレット納品の受け入れ |
| ドライバー荷役の削減 | ・出荷時の荷役や付帯作業を自社社員(倉庫側の人材)で実施 | ・荷受け時の荷役や付帯作業を自社社員(倉庫側の人材)で実施 |
| 作業の自動化、効率化 | ・フォークリフトや自動化機器の導入 ・RFIDによる商品情報管理・検品簡素化 | ・フォークリフトや自動化機器の導入 ・RFIDによる商品情報管理・検品簡素化 |
荷役等時間の短縮(第一種荷主の例)
| 実施措置 | 計画内容(具体的な措置の内容、目標 等) | 実施時期 |
|---|---|---|
| 検品作業の効率化 | A拠点では荷役時間が平均で70分となっている。その原因としては、積み込む貨物の検品等の作業に時間がかかってしまう点だと捉えている。そこで、RFIDによる検品簡素化を目指す。RFIDを用いた検品簡素化を2026年度中に全商品30%、2027年度に80%、2028年度に100%で実現する。 | 2026年度~2028年度 |
| パレット化 | A拠点ではこれまで手積みを行ってきた。これも荷役作業の長時間化の主要因である。そのため、T11型のレンタルパレットを使用することとし、積み込み作業を短縮化する。上記の検品簡素化・下記のドライバー荷役廃止とあわせ、2028年度末までにA拠点の荷役時間を30分以内とする。 | 2026年度~2028年度 |
| ドライバー荷役の廃止 | 上記のパレット化とあわせ、これまでドライバーに積み込み作業を担当してもらっていた運用をあらため、当社側の倉庫人員にて積み込む運用に切り替える。そのことにより、事前に出荷バースにて積み込み順等を考慮した準備をしておくことで荷役時間を削減する。 | 2026年度~2028年度 |
荷役等時間の短縮(第二種荷主の例)
| 実施措置 | 計画内容(具体的な措置の内容、目標 等) | 実施時期 |
|---|---|---|
| ドライバー荷役・付帯作業の廃止 | A拠点では、荷役作業が平均80分となっている。これは、ドライバーに荷降ろしおよびラベル貼付を委託していることが大きい。そのため、荷降ろしおよびラベル貼付作業を当社側の作業人員で担当することとする。このことによりドライバーが荷降ろし後速やかに出車できる状態にし、荷役作業を平均40分以内とすることを目指す。2026年度は5拠点中1拠点で実現させ、残り4拠点を2027年度中に実現させる。 | 2026年度~2027年度 |
| 作業体制強化による荷降ろしの効率化 | B拠点では、荷役作業が平均70分となっている。これは、荷降ろしの際に仕分けスペースに貨物が滞留しており荷降ろし作業が停滞してしまうことが主要因である。そのため、荷役作業員を増員し、荷物の保管場所までの移動を円滑化させる。このことにより、2026年度中に平均荷役作業を30分以内にする。 | 2026年度 |
| 設備導入による荷降ろしの効率化 | 製品Cは、荷姿の特性からパレットが活用できない。そのため製品Cを扱う5拠点の平均荷役作業は65分となっている。そこで、荷降ろしを効率化するためにローラーコンベアの導入を進める。製品Cを扱う5拠点のうち、2026年度には1拠点、2027年度に2拠点、2028年度に2拠点で順次導入を進める。結果として、2028年度末までに平均荷役時間を30分以内にする。 | 2026年度~2028年度 |
特定貨物自動車運送事業者の中長期計画サンプル
特定貨物自動車運送事業者の中長期計画には、「積載効率の向上」について記載します。運送事業者として自社でコントロールできる範囲での取り組みを記載します。
積載効率の向上の取り組み例
積載効率向上の取り組み例としては、以下のような対応策が考えられます。
| 取り組み領域 | 第一種荷主の対応策例 | 第二種荷主の対応策例 |
| 荷姿を揃えて荷台空間を最大限活用 | ・荷姿(段ボールサイズ等)の統一 ・製品設計段階でのサイズ調整(特定の段ボールやパレットに入るサイズにする) | ・特殊形状の指定排除 |
| 「いつ・どれだけ」送るかというルールを見直し、1回あたりの輸送量を増加 | ・出荷量予測に基づく出荷量の平準化 ・大口発注へのインセンティブ設定 ・最小受注単位の引き上げ | ・発注単位の大型化 ・リードタイムの延長 ・時間指定の緩和 |
| トラックの「空き」を有効活用 | ・帰り便を活用した貨物輸送の強化 ・共同輸配送の促進 ・柔軟な輸配送ルートの見直し | ・帰り便への自社貨物の積載 ・共同輸配送による納品の許諾 |
| 車両等の機器・設備を大型化・最適化 | ・低床車両や可動式デッキ車両の導入 ・大型車両の導入 ・鉄道や船舶への切り替え |
このような対応策を計画書に、前述の通り、①現状(具体的、定量的に)⇒②打ち手(具体的に)⇒③目標(時期、定量)で記載していきます。
積載効率の向上(運送事業者)
| 実施措置 | 計画内容(具体的な措置の内容、目標 等) | 実施時期 |
|---|---|---|
| 輸送ネットワーク再編 | A地域の配送について、特にB拠点発やC拠点発の積載率はそれぞれ25%、30%となっている。現在の拠点配置が30年前の荷量をもとに設定されているため、現状および将来予測ベースでの拠点再編および配送便の集約を行う。2030年度までにA地域の平均積載率を50%に 引き上げる。 | 2026年度~2030年度 |
| 帰り便の積載の強化 | E地域での配送について、帰り便の積載率が平均8%にとどまる。荷主や納品先に働きかけたり、求貨求車システムを活用し、帰り便の平均積載率を、2028年度までに30%、2030年度までに40%を目指す。 | 2026年度~2030年度 |
| 配送の共同化 | F地域での配送について、平均積載率が20%にとどまっている。所属している事業協同組合の運送会社と連携し、同一の着荷主向けの配送について共同配送化を進める。2026年度中に計画を策定、荷主に提案したうえで、2027年度以降の実行を目指す。2030年度までに平均積載率50%を目指す。 | 2027年度~2030年度 |
推進体制の整備
ここまで、中長期計画に何をどう書くべきかをサンプルとともに解説してきました。最後に、こうした計画を実際に策定・実行していくための推進体制について触れます。
物流統括管理者(CLO)に求められる役割
物効法対応で中長期計画を作成・実行するにあたって、物流統括管理者(CLO)に求められる役割は以下の3つです。
- 情報収集・実態把握の主導:物流マップの作成や定量分析を主導する
- 部門間調整・全体最適の判断:生産・販売部門や他社との連携を判断する
- 実行の旗振り:計画を絵に描いた餅にせず、周りを巻き込んで実行する
CLO室の設置と必要な機能
この機能をCLOを1人で担うのは現実的に難しいケースが多いでしょう。しかし、CLOが1人でこれらの役割を担う必要は全くないと考えています。そこで有効なのが、CLO室という補佐組織を設けることです。
たとえば、CLO室には以下の3つの機能を持つ人材が必要です。
- 戦略・企画:物流知見を活かして変革をサポートする戦略を立案できる人材
- データ分析:データを可視化・分析し、数字に基づいた意思決定をサポートできる人材
- 交渉補佐:社内外の各ステークホルダーとの調整を実務レベルでサポートできる人材
人数規模は会社の状況によります。1人が複数の機能を兼ねることもできますので、まずはスモールスタートで始めるのも一案です。

CLO室を「経営リーダー育成の登竜門」に
CLO室の人材確保に悩む企業も多いでしょう。しかし、見方を変えれば、CLO室は将来の経営リーダーを育成する場にもなり得ます。優秀な人材をあえてチャレンジの場としてCLO室に配置し、活躍を促すサイクルが回るようになれば、法律の本来の趣旨にも沿い、その企業にとっても好ましい姿になります。CLO室を「経営リーダーとして育成するための登竜門」として位置づけることは、人材確保の観点でも有効なアプローチです。
欧米企業ではCLO経験者がCEOになるパターンも多くあります。CLO室を単なる「法対応のための組織」ではなく、経営人材を育成する重要なポジションと位置づけることで、優秀な人材を集めやすくなります。
CLOやCLO室の人材確保が難しい場合は、Hacobu Strategyのような外部のコンサルティング会社と連携して専門的なノウハウを外部調達することも有効です。
参考:CLOに求められる5つのスキルと、実践すべき5つのアクションプラン
よくある質問(Q&A)
Q1. 特定事業者でなくてもトラック・物流Gメンの勧告対象になる?
はい、勧告対象になり得ます。トラック・物流Gメンの勧告は、物効法だけでなく「貨物自動車運送事業法」にも関連しています。荷量に限定されず、どの企業も物流の効率化に取り組む必要があります。
Q2. 物流マップの作成にはどれくらいの工数がかかる?
企業によって異なりますが、真剣に取り組むと2、3カ月かかることが多いです。特にデータが紙ベースで管理されていたり、データが散在している場合は、データの整備に時間がかかります。逆に言えば、データが揃っている企業であれば短期間で整理できます。自社だけでの対応が難しい場合は、Hacobu Strategyのようなコンサルティング会社の支援を活用するのも有効です。
Q3. 物流改革がうまくいく企業の共通点は?
「責任を持ってやり切る文化、あるいは人がいるかどうか」が決定的な違いです。戦略の中身そのものよりも、推進体制が重要です。特に大企業では、物流担当者が数年で異動するケースが多く、後任への引き継ぎが十分に行われなかったり、改革への熱量が伝わらなかったりすることで、取り組みが頓挫してしまう事例が少なくありませんでした。
今回の法改正によってCLO(物流統括管理者)の設置が制度化されたことで、計画倒れに終わらず本気で改革を推進できる体制を構築する企業が増えることが期待されます。形式的にCLOを置くだけでなく、この機会を真の変革の契機として捉え、物流改革に本気で取り組む文化や姿勢を各社が醸成していくことが重要です。
物流管理体制の再構築、中長期計画の策定ならHacobu Strategy
物流戦略策定からテクノロジーを活用した実装まで、一気通貫で物流DXを支援します。CLOの選任体制構築、物流診断、戦略立案までを一貫して支援可能です。
「そもそも誰がCLOになるべきか社内で意見が割れている」
「どのような管理体制で物流効率化法対応を進めるべきかわからない」
「自社の物流課題を特定できていない」
「どのようなデータを取得すべきかわからない」
「中長期計画にどのような内容を書けばいいかわからない」
このようなお悩みがあれば是非お問い合わせください。

まとめ
物流効率化法の改正により、特定事業者は2026年10月末までに中長期計画を提出する必要があります。ただし、特定事業者に該当するかどうかにかかわらず、全ての企業が物流の効率化に取り組むべきです。
中長期計画は、フォーマットを埋めれば完了というものではありません。自社の物流全体の実態を把握し、将来にわたって持続可能な効率的な物流を構築するために何に取り組むべきかを整理することが本質です。これからの物流部門は「指示に従うだけ」ではなく、「物流で何ができるか」を主体的に考えることが求められます。物流改革のオーナーが明確になることで、計画が絵に描いた餅で終わるリスクは大きく低減されます。
10月に向けて、意外に時間的な余裕がない状況になりつつあります。まずは実態把握から取り組み、推進体制を整備していきましょう。
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